長岡京エイリアン

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渡辺浩弐さんの迷宮 ドラマ『BLACK OUT』メモ

2016年01月01日 12時35分37秒 | 日記
TVドラマ『BLACK OUT』
 『BLACK OUT(ブラックアウト)』は、1995年10月~96年3月にテレビ朝日系列で放送された TVドラマシリーズである。全25回。12のエピソードで構成されており、基本的に2週で1エピソードを放映している(「Futurity9」は3週で1エピソード)。
 テレビ朝日の土曜深夜24:00~24:40のドラマ放送枠は、本作を引き継ぐ形で「ウイークエンドドラマ」枠と命名された。

 1995年当時から見て近未来となる1999年の世界において発生した、先端テクノロジーを悪用した怪事件を追う警視庁科学捜査部の捜査官を描いた、SF犯罪ドラマ。
 小説家・渡辺浩弐の SFショートショート集『1999年のゲーム・キッズ』(1994年刊行)が原案となっているが、物語としての直接のつながりはない。渡辺はドラマのノベライズ版も執筆している。
 渡辺によるノベライズ版は、ドラマ放映中の1996年3月に出版されたソフトカバー単行本版と、その3年後の1999年11月に出版された幻冬舎文庫版があるが、両者は結末が全く異なっており、文庫版はドラマに準じて峻烈な現代批判となっている。なお単行本版には、出版された時点ではまだ放映されていなかった「Futurity11」と「Futurity12」が収録されていない。

 当時、日本でも放映されて人気のあったアメリカの SFドラマ『Xファイル』シリーズ(1993年~)と比較されることが多かったが、渡辺によれば、むしろ往年の SF犯罪ドラマ『怪奇大作戦』(1968~69年)を参考にしたということで、プラズマ兵器で人体発火を起こしたり、電話回線を使った殺人といった要素に影響が見られる。物語としては、科学の未来を信じる華屋と先端技術を駆使して新世界の神になろうとする天才犯罪者たちの対決という形を取っている。
 基本的に、原理としては当時の科学技術の延長線上で実現可能な要素が、超常現象のように見える不可解な犯罪に悪用されているという点が本作の特色であると解釈されているが、「電磁波を発生させる粘菌」をコンピューターウィルスとして利用したり、「恐竜に対抗して猛毒を持つように進化した太古のハエ」をバイオテクノロジーで復活させるなど、単純にリアリティを追求しているだけでもない SFドラマである。
 本作は VHSビデオと LDでソフト商品化されているが、DVDソフト化はされていない。

主な登場人物
華屋 崇一(かや そういち)…… 椎名 桔平
 1966年10月8日生まれの33歳。西北大学理工学部の非常勤教師で、専門は応用物理学。
 1999年に警視庁で極秘に設置された、多発するハイテク犯罪全般を専門とする非公式・少数精鋭の特別捜査チーム「科学捜査部」に、民間人として嘱託で所属する。潔癖症で神経質な性格。自室には小松崎茂の「宇宙コロニー」の絵を飾っている。イギリス製の鞄を愛用している。趣味はテルミンの演奏で自身の精神統一のためにたしなみ、携帯用テルミンも所持している。泳げない。
中園 祥子(なかぞの しょうこ)…… 山本 未来
 1972年6月15日生まれの27歳。警視庁科学捜査部に所属する唯一人の専従捜査官。
 元々は警察庁科学警察研究所の所員で、犯罪心理学を学ぶため FBIのアカデミーに2年間留学していたキャリア組。科学捜査部の創設にあたり日本に帰ってきた。捜査に集中するあまりに暴走しがちな華屋に悩まされることも多い。自身もアクティブに捜査活動をこなすが、その際に犯人の罠にかかることもあった。
沖野 真由美(おきの まゆみ)…… 高島 礼子
 1966年生まれの33歳。
 潤館大学の腕利きの法医学者で、医学や科学鑑定の側面から科学捜査部に協力する。死体フェチで解剖フェチ。人体の内部の美しさを語ることもある。見事なマッシュルームカットは、実はスキンヘッドにカツラを付けている。
小林少年 …… 大地
 1982年生まれの17歳。
 本名不明の天才少年ハッカー。過去に西北大学のコンピュータから機密情報を盗み、それを追跡調査した華屋と出会い、友人となった。華屋の依頼により、半分アルバイト、半分ゲーム感覚で科学捜査部に協力している。ネット上において子どもたちの科学フォーラムの議長なども務めていた。時折女装したりする。

放送リスト
「Futurity1 DNA」(1995年10月放送)ゲスト・稲垣吾郎、西田健
 ノベライズ版タイトル『設計された子供たち』
「Futurity2 プラズマ」(10月放送)ゲスト・山崎裕太、大槻義彦
 ノベライズ版タイトル『プラズマ・ゲーム』
「Futurity3 ウイルス」(11月放送)ゲスト・田口トモロヲ
 ノベライズ版タイトル『アルキメデスの罪』
「Futurity4 ホログラフ」(11月放送)ゲスト・香川照之
 ノベライズ版タイトル『死者再生プログラム』
「Futurity5 CALL」(12月放送)
 ノベライズ版タイトル『地獄からのコール』
「Futurity6 毒」(12月放送)
 ノベライズ版タイトル『太古の毒』
「Futurity7 パラサイト」(1996年1月放送)ゲスト・嶋田久作
 ノベライズ版タイトル『海のメデューサ』
「Futurity8 インストール」(1月放送)ゲスト・大杉漣
 ノベライズ版タイトル『ハーメルン・ハッカー』
「Futurity9 SLEEP」(2月放送)ゲスト・山本太郎
 ノベライズ版タイトル『夢を食うマシン』
「Futurity10 LIFE」(2~3月放送)
 ノベライズ版タイトル『奇妙な人質』
「Futurity11 Selfishness」(3月放送)ゲスト・升毅
 ノベライズ版タイトル『利己的な遺伝子』
「Futurity12 BLACK OUT」(3月放送)
 ノベライズ版タイトル同じ

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1 コメント

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プロレタリアルとプロテリアル (リベラルアーツ関係)
2024-04-01 20:01:21
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。

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