長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

あれ? 金田一さんが老けたけど老けてない!? ~『悪魔が来りて笛を吹く』2018エディション~

2018年07月31日 22時21分00秒 | ミステリーまわり
 みなさま、どうもこんばんは~、そうだいでございます。
 暑いですね~、熱帯夜ですね~。こちら山形だって、立派な盆地なもんですから毎日30℃超えは当ったり前の猛暑日照り続きなんですが、まぁ風が吹けば少しは涼しくなるし、だいいち、幸運なことに災害には見舞われていませんのでね。ありがたいことでございます。連日の西日本のニュースを見ていますと、私は仕事のことでヒ~ヒ~言ってるだけ、まだまだ幸せなんだなぁ、としみじみ思っちゃいますね。

 幸せと言いますと、わたくし最近、かえすがえす「今の子どもたちは本当に幸せもんだなぁ~。」と思わずにはいられません。
 だってね、仮面ライダーに、5人戦隊に、ウルトラマンに、プリキュアに、ゴジラに、恐竜に、ゲゲゲの鬼太郎に……夢中になれるエンタメコンテンツが、ほんとにいっぱいですよね。
 まさによりどりみどり……実にうらやましい! 私が幼年期を過ごした1980年代って、アニメは確かにそうとうおもしろい作品が目白押しの記憶はあるんですが(神谷明さまと千葉繁さま大車輪のフル稼働!)、特撮といえば5人戦隊ものくらいでしたでしょうか、やってたのは。ですから、『仮面ライダーBLACK』(1987~88年放送)が始まったときは、うれしかったうれしかった! 小学生にとっては、ちょっと怖い雰囲気もありましたけど、夢中になって観てました。『ウルトラマンティガ』(1996~97年放送)はもうだいぶ大きくなってからの放送でしたから、正直申しますとオンエアはチェックしてませんでした。ゴジラシリーズとウルトラシリーズは、もっぱらレンタルビデオでしか知りませんでしたね。1984年版『ゴジラ』は怖かったなぁ~! 怖かったし、最後に小林桂樹総理大臣が泣く意味もさっぱりわかんなかったし。未就学児にはちょっと高度過ぎる my first ゴジラでしたね。

 いやはやほんと、タイムマシンでその当時の私を現在に連れてきちゃったら、ドキドキワクワクしすぎて30秒ともたずに頓死してしまうのではないのでしょうか。深海魚みたいなもんですよね。そう、1980年代の映像世界はわたくしにとりまして、昭和特撮の遺産とキョンシー映画と第3期『ゲゲゲの鬼太郎』(1985~88年放送)くらいしか養分の無い沈黙の世界だったのです……って、充分すぎるほどに栄養はありますか。かたよりまくりだけど。

 そしてねぇ、それらのヒーローたちに続いて、ついにあの「金田一耕助」までもが、不定期ながらもなんとな~く「シリーズ化する……かもヨ?」という雰囲気で帰って来やがりました! なんちゅうことや!! 稲垣金田一以来、およそ10年ぶりの快挙だ、こりゃ!

 ……と思って、意気揚々とNHK BSプレミアムにチャンネルを合わせたわけだったのですが、これがちょっと、いかにもBS プレミアム版らしい変化球な作品だったわけなんですなぁ。
 以下、原作小説と、今回のドラマ化に関するもろもろをば~。


ドラマ『悪魔が来りて笛を吹く』(2018年7月放送 NHK BSプレミアム『スーパープレミアム』)
 34代目・金田一耕助   …… 吉岡 秀隆(47歳)
 20代目・等々力大志警部 …… 池田 成志(55歳)

 『悪魔が来りて笛を吹く(あくまがきたりてふえをふく)』は、横溝正史の長編推理小説。「金田一耕助シリーズ」の一作で、1951年11月~53年11月に連載された。
 本作を原作として、これまで映画2本・TVドラマ5本(2018年版を含む)・ラジオドラマ1本・舞台1作が制作された。また、コミカライズもされている。

 太平洋戦争後の混乱の時期である昭和二十二(1947)年9~10月、『黒猫亭事件』(1947年3月)と『夜歩く』事件(1948~49年)の間ごろに起きた事件を扱った、貴族没落、インモラルな性描写を濃厚に示す作品である。帝銀事件(1948年1月発生)や太宰治の『斜陽』(1947年6~9月連載)などの要素を取り込み、本格推理小説の定番「密室殺人」を扱い、他作品とは異なった雰囲気をかもし出し、作者の人気作品のひとつとなっている。
 ちなみに、作者自身は本作を、「金田一もの自選ベスト10」の第6位に推している(第1位『獄門島』、第2位『本陣殺人事件』、第3位『犬神家の一族』、第4位『悪魔の手毬唄』、第5位『八つ墓村』)。
 本作が完結するまで連載にして丸2年と1ヶ月を要したのは、作者の横溝の病気休載もあったからで、このため連載回数は計21回とかなり長いものとなった。


主なキャスティング
椿 美禰子(みねこ)…… 志田 未来(25歳)
椿 秌子(あきこ) …… 筒井 真理子(57歳)
新宮 利彦     …… 村上 淳(45歳)
新宮 華子     …… 篠原 ゆき子(37歳)
新宮 一彦     …… 中島 広稀(24歳)
玉虫 公丸     …… 中村 育二(64歳)
目賀 重亮     …… 山西 惇(55歳)
菊江        …… 倉科 カナ(30歳)
三島 東太郎    …… 中村 蒼(27歳)
堀井 駒子     …… 黒沢 あすか(46歳)
堀井 小夜子    …… 小林 涼子(28歳)
慈道和尚      …… 火野 正平(69歳)
沢村刑事      …… 市川 知宏(26歳)
椿 英輔(ひですけ)…… 益岡 徹(61歳)
下宿の女将せつ子  …… 倍賞 美津子(71歳)

主なスタッフ
脚本 …… 喜安 浩平(43歳)
演出 …… 吉田 照幸(48歳)



 はい、ということでありまして、本作は言うまでもなく、2016年11月に同じNHK BSプレミアムで放送されました、第32代金田一耕助こと長谷川博己さん主演によるスペシャルドラマ『獄門島』と、脚本家&演出家が同じという点で、純然たる続編という位置づけになりそうです。ただし、直接前作のことに言及する描写はないので、2作が同じシリーズ作品であるということを主張する演出はありません。強いて挙げるのならば、今回、電話口の声のみで出演した岡山の磯川警部役の俳優さんが同じ人、というくらいでしょうか。
 いちおう、前作のラストで「次は『悪魔が来りて笛を吹く』……?」というサービス演出はあったのですが、映像化されるまで2年近くかかっちゃったし、東京に着いたら、金田一さんが別人みたいになっちゃってた……おそらく、『獄門島』での例のものすんごい告発シーンで、エネルギーを使い過ぎてしまったのでしょう。白髪は増えるし、10歳くらい老け込むし。
 ちなみに、原作小説の時間軸によりますと、『獄門島』事件(1946年10月発生)と『悪魔が来りて笛を吹く』事件(1947年9~10月発生)とのあいだには約1年の開きがあり、その間に金田一さんも東京で数件の事件を解決しています。ですから、BS プレミアム版『獄門島』のラストは、まさしく『バットマン ビギンズ』みたいなお遊びですよね。

 さらにちなみに、その間の事件の中には、長谷川金田一の『獄門島』放送のわずか翌週に同じ NHK BSプレミアムで放送されたドラマシリーズ『横溝正史短編集 金田一耕助登場!』にある『黒蘭姫』と『殺人鬼』がしっかりありました(第33代金田一耕助として池松壮亮が出演)。う~ん、BSプレミアムはかなり本気だ!!

 でも……そうなんだったら、今回の『悪魔が来りて笛を吹く』だって、原作では当時金田一耕助34歳と推定されるフレッシュな駆け出し期なんだから、30代の長谷川さんか、20代の池松くんにそのまんま続投してもらった方が自然だったかと思うんですがね。なしてここにきて、新たなる、しかし金田一耕助シリーズにはちょっとした因縁のある(『八つ墓村』!)吉岡さんが34代目として名乗りを上げてしまったのでしょうか。

 ただ! やっぱりドラマ本編を観てみましたら、こりゃまぁ吉岡金田一で良かったのだろうなぁ、と納得させられてしまう点は大でした。
 なんてったって、『悪魔が来りて笛を吹く』はジメジメ&ドロドロ!! 1979年の映画版では、そこに明るいイメージの西田敏行さんを金田一役として投入し中和をこころみた意図を感じましたが、今回は「もういいや、こうなったら思いっきりジメジメした人に解決してもらおう! むかえジメジメ!!」という開き直りを感じました。そこに作品の一貫性が生まれたのは、良かったのではないでしょうか。でも、「もう二度と見直したくない……」という副作用も大きいかも。
 原作小説での、あの詩的でロマンティックな真犯人の最期って、たぶん横溝正史先生の感覚としては、絶対に必要な、読者に対するはからいだったと思うんですよね。そんなにきれいにしてどうするんだと言いながらも、やっぱり最後くらい美しくしないと後味が悪すぎるやろ、と。
 そこを、今回のドラマ版はきれいさっぱりかなぐり捨ててますからね。まったく、前作の『獄門島』同様の、「現実はそんなもんじゃねぇぞコノヤロー!!」というビターでロックなアレンジを見せつけられるクライマックスシーンでした。

 だから、演出の吉田さんって、横溝正史ワールドのロマンとは本質的にまるで合わない人なんだろうなぁ、と思うのですが、その不協和音こそが、このシリーズの最大の魅力なのかも知れませんね。今までの映像化作品と同じ、お涙ちょうだいのクライマックスには絶対にしねぇぞ、という若さと気迫があふれているわけです。いいじゃないですか~。

 次回もホントに楽しみなわけですが、磯川警部からの電話を聞いた時の吉岡さんの表情は実におもしろかったです。

「え……それ、おれ、金田一として行くの? それとも、寺田辰弥として!?」

 みたいな。実に40年ぶりの帰郷ですよね。


 しかしま~、吉岡さんもそうだし、椿秌子役の筒井真理子さんもそうですし、最近の役者さんはみなさん、若いですね~!! よく見ればそれなりに老けてるわけですが、吉岡さん、演技や声の点では40代後半とはぜんぜん見えませんでしたよね。等々力警部もそんなに歳がいってるとは。

 キャスティングに関して言うと、『悪魔が来りて笛を吹く』って、役の職業と俳優のお名前とを見比べて、なんとなく真犯人が誰かわかっちゃう典型例ですよね、地味に。「え? そんなパッとしない役に、こんな実力派俳優が?」みたいな。市川崑金田一シリーズの「いちばん豪華な女優が真犯人」の法則とはまた違った感じで。

 ただ、今回の脚本アレンジでは、真犯人は「悪魔そのもの」というよりも、「悪魔に運命を振り回されてしまった哀れな人」という変更がなされていたので、かつての映像作品ほどのショッキングな豹変はなかったように感じました。真犯人と判明しても、あくまで人間だな、みたいな。

 『八つ墓村』か~!! 次はどんだけロックなアレンジがされるのかな!? そして、金田一耕助はまた「岡山もの」ということで、長谷川さんに顔が戻るのかな? そしたら、金田一さんはどんなブチギレ推理を披露してくれるのでありましょうか!? 実にたんのしみですね~。


「何日だって待ちますヨ。あたしは。」(1976年版『犬神家の一族』より 犬神竹子の台詞)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オークションは明るい部屋でやろう  ~映画『ジュラシック・ワールド 炎の王国』~ 資料編

2018年07月29日 22時57分40秒 | 特撮あたり
映画『ジュラシック・ワールド 炎の王国』(2018年6月公開 アメリカ・ユニバーサルピクチャーズ 128分)

 『ジュラシック・ワールド 炎の王国』は、『ジュラシック・ワールド』(2015年)の続編で『ジュラシック・パーク』シリーズの第5作である。

あらすじ
 「ジュラシック・ワールド」での事件から4年後の2019年。パーク崩壊後も、イスラ・ヌブラル島では恐竜たちが自由に島中を徘徊して生きていたが、島北部のシボ山で火山噴火が起き、島の恐竜たちは存亡の危機にさらされる。
 嵐の夜、イスラ・ヌブラル島で傭兵の一団が、前作でラグーンの底に沈んだインドミナス・レックスの遺体を回収すべく、小型潜水艇でラグーン内を探査していた。傭兵たちは、任務中にティラノサウルスとモササウルスに襲われるも、何とか目的のインドミナスの骨を回収し、依頼主の元へ持ち帰った。
 恐竜保護を目的とした団体「Dinosaur Protection Group(DPG)」を設立したジュラシック・ワールドの元運用管理者クレア・ディアリングは、イスラ・ヌブラル島の恐竜を救出するため、故ジョン=ハモンドの盟友であったベンジャミン=ロックウッドを訪ね、彼の支援を取り付ける。また、ベンジャミンに仕えるロックウッド財団の経営者イーライ=ミルズの依頼でヴェロキラプトルのブルーを捜索するため、元恐竜監視員のオーウェン=グレイディを雇い、編成された探検隊がイスラ・ヌブラル島に向かった。
 到着したイスラ・ヌブラル島は、小規模な噴火を繰り返し、溶岩の雨が降り注ぐ不安定な島になっていた。島に到着したオーウェンは傭兵のウィートリーらに出迎えられ、ブルーを探すためにジアと共に島の奥へ向かう。


主な登場人物、専門用語
オーウェン=グレイディ …… クリス=プラット(39歳)
 「ジュラシック・ワールド」の元恐竜監視員。元アメリカ海軍の軍人。
 前作での事件を経てクレアと一度は寄りを戻したようだったが、3年の間に再び距離を置く。現在は小さな平原地域で生活し小屋を造っている。イスラ・ヌブラル島の火山噴火の脅威からブルーをはじめとする恐竜たちを救助するためクレアに雇われ、島に向かう。

クレア=ディアリング …… ブライス・ダラス=ハワード(37歳)
 「ジュラシック・ワールド」の元管理責任者。
 前作での事件を経て、恐竜を展示物としか見ない経営主義から改心して、恐竜保護グループ「Dinosaur Protection Group(略称DPG)」を設立し、政府や民間団体への資金募集などの事業を行うようになった。イスラ・ヌブラル島の火山噴火の脅威から恐竜を救出するため最初はアメリカ政府に支援を要望するが、政府からは恐竜救援への資金提供を一切拒否される。
 その後、故ジョン=ハモンドの盟友であったロックウッド財団のベンジャミンと接触し、恐竜救出作戦へのサポート支援を取り付けた。作戦を成功させるため、元恐竜監視員のオーウェンも説得した。しかし、イスラ・ヌブラル島に到着後、財団の運営者ミルズの裏切りに遭う。彼の真の目的を知ると、オーウェンと共にミルズの陰謀に立ち向かう。

フランクリン=ウェブ …… ジャスティス=スミス(22歳)
 恐竜保護グループ「DPG」に所属する若い黒人男性。DPGではコンピュータ技術を担当している。臆病な性格で、恐竜(特にティラノサウルス)を非常に恐れている。
 ロサンゼルス育ちで、幼少の頃から将来コンピュータの仕事に就くことを夢見ていた。マサチューセッツ工科大学の優秀な卒業生で、コンピュータに関して極めて高度な技術を持っている。以前は「ジュラシック・ワールド」の IT技術者であったが、前作での事件後、恐竜にも他の生物のように存在する権利があると考え、DPGに加入。DPGのソーシャルメディアとオンラインマーケティングのキャンペーンを運営するシステムアナリストとなった。コンピュータだけの男と言われたくないようで、必要に応じてジュラシック・ワールドのシステムを操作するため、オーウェンたちと共にイスラ・ヌブラル島の恐竜を救うための探検隊に参加した。

ジア=ロドリゲス …… ダニエラ=ピネダ(31歳)
 「DPG」に所属するラテン系の若い女性。DPGでは医療を担当している。
 シアトルで育ち、幼少の時から動物に関わる仕事に就くことを望んでいた。カリフォルニア大学バークレー校で獣医学を専攻し、「ジュラシック・ワールド」で獣医としてインターシップを受けることを夢見ていた。その後 DPGに加わり、恐竜生物学の専門家となる。オーウェンたちと共に、イスラ・ヌブラル島の恐竜を火山噴火から救うための探検隊に参加した。しかし、裏切ったウィートリーに、傭兵に撃たれたブルーの治療役として捕まってしまう。その後、ブルーの弾丸摘出と輸血の手術を行った。

ベンジャミン=ロックウッド …… ジェイムズ=クロムウェル(78歳)
 ロックウッド財団の設立者で、慈善事業家。旧「ジュラシック・パーク」を建造したジョン=ハモンドの旧友。カリフォルニア州にある「ロックウッド・エステート」という広大な邸宅に実験室を建設し、ハモンドがインジェン社を設立した時に資金などで協力し、仕事の盟友となった。ハモンドとの最初の恐竜の DNA抽出は、1984年にロックウッド邸の地下実験室で行われた。ハモンドと恐竜再生の研究をしていた時に娘を失い、深い悲しみに襲われ、インジェン社の恐竜のクローニング技術を使って娘を再生しようと考えた。しかし、ハモンドはクローニング技術の目的をあくまでジュラシック・パークの建造としていたため、人間をクローンで再生しようとしたベンジャミンを危険視してプロジェクトから追放した。イスラ・ヌブラル島の恐竜が火山噴火の危険に晒されると、クレアの恐竜保護グループ「DPG」の火山噴火から恐竜を救おうという主張に賛同し、恐竜救出作戦を計画した。
 高齢で健康状態が良くなく車椅子に乗っており、ハモンドと同じ蚊入り琥珀付きの杖を持っている。

イーライ=ミルズ …… レイフ=スポール(35歳)
 ベンジャミンに仕えている、ロックウッド財団の実質的運営者。大学卒業後にベンジャミンに雇われ財団の運営を任された。恐竜保護グループ「DPG」のクレアと接触し、彼女にイスラ・ヌブラル島の火山噴火から11種の恐竜を救う事が出来ると説明。特にヴェロキラプトルのブルーに特別な関心を示し、何としてもブルーを救出する必要があると主張した。クレアにはブルーの捕獲は無謀だと言われるが、かつてブルーを飼育していたオーウェンを雇うように指示し、恐竜救出のための車両輸送・医療・兵器・傭兵などを手配してサポートした。
 しかし実際は、儲けを追求する俗な男。クレアに恐竜の保護を持ち掛けたのも、実際は保護ではなく島から運び出した恐竜を兵器やペットとして高値で売りさばくことが目的だった。ブルーの救助に拘ったのも、ブルーの DNAを採取して新たなハイブリット種を造りだすためであった。またそれらの費用はベンジャミンを騙し裏で財団の資金を秘密裏に使っていた。クレアやオーウェンらを騙してブルーの元へと案内させ、ブルーを含め捕らえた恐竜達を島から運び出し、ロックウッド邸地下でオークションを開いて世界中の兵器のバイヤー達に恐竜を売ろうとする。

メイジー=ロックウッド …… イザベラ=サーモン
 ベンジャミンの孫娘。10歳。祖父の「ロックウッド・エステート」の邸宅で暮らす。表向きは孫娘とされているが、その正体は実は、ベンジャミンが昔死亡した娘をクローン技術を使って再生したクローン人間。誕生後は自分の生い立ちや母親を知らされず、ベンジャミンの孫娘として家政婦アイリスに育てられた。好奇心旺盛で、恐竜が好き。また、運動神経が良いのか、部屋に閉じ込められても外壁などを伝って別部屋に移動し脱出した。
 ミルズが見知らぬ男(エヴァーソル)と恐竜の密売について話していたのを聞いてしまい、また、地下の実験室に行ってインドラプトルの存在を知ってしまう。

アイリス …… ジェラルディン=チャップリン(73歳)
 「ロックウッド・エステート」の家政婦。ベンジャミンが大きな信頼を寄せる家政婦で、孫娘のメイジーを母親代わりに育てていた。

ヘンリー=ウー …… ブラッドリー・ダリル=ウォン(57歳)
 かつて「ジュラシック・ワールド」の研究チームのリーダーを務めた遺伝学者で、前作でハイブリット種「インドミナス・レックス」を創りだした張本人。前作での事件後、責任を問われて追われていたが、行方を眩ませる。その後、ロックウッド財団の運営者ミルズとの取引で、「ロックウッド・エステート」の地下実験室で「インドラプトル」と呼ばれる新しい遺伝子組み換え恐竜の創造に着手していた。

グンナー=エヴァーソル …… トビー=ジョーンズ(50歳)
 ミルズと手を組んでいる兵器密売人。「ロックウッド・エステート」でイスラ・ヌブラル島から連れ出された恐竜のオークションの司会を務め、次々と高値で恐竜を売りさばく。さらに、バイヤーたちに「インドラプトル」を見せ、新しい遺伝子組み換え恐竜の計画をプレゼンテーションした。

ケン=ウィートリー …… テッド=レヴィン(61歳)
 ロックウッド財団のミルズに雇われた傭兵。小型飛行機でイスラ・ヌブラル島に到着したオーウェンとクレアら恐竜保護グループ「DPG」を出迎え、共に行動した。しかし、オーウェンがブルーを発見した直後にオーウェンらを裏切り、ブルーに麻酔弾を撃ち込んで連れ去った。
 サディスティックな性格であり、捕まえた獲物の歯を収集する趣味がある。

イアン=マルコム …… ジェフ=ゴールドブラム(65歳)
 カオス理論を研究する数学者で、26年前の「ジュラシック・パーク事件」と22年前の「サンディエゴ事件」の当事者。アメリカ連邦議会で、火山噴火の危機にさらされたイスラ・ヌブラル島の恐竜の運命は自然に委ねるべきだと主張する。


イスラ・ヌラブル島
 第1・4作目の舞台ともなった火山島。マスラニ社が、多くの観光客が訪れる恐竜のテーマパーク「ジュラシック・ワールド」を島に建設したが、3年前の事件でパークは崩壊し施設は放置された。島の北側には旧「ジュラシック・パーク」の施設が放置されており、山岳地帯となっている。
 島の北部にあたる最高地点に活火山のシボ山があり、「ジュラシック・ワールド」の約65% はシボ山の地熱エネルギーを利用した電力供給量を行っていた。

ジュラシック・ワールド
 「マスラニ・グローバル・グループ」がイスラ・ヌブラル島に建設した恐竜のテーマパークで、多くの訪問者が訪れるテーマパークだったが、3年前の事件により崩壊した。現在は廃墟状態で、施設が放置されて残っている。

Dinosaur Protection Group(DPG)
 サンフランシスコに本部がある。「ジュラシック・ワールド」の元管理責任者であるクレア=ディアリングがパーク崩壊後にシボ山の火山脅威から恐竜保護と恐竜の虐待と戦う目的で設立した民間組織。
 DPGは、「人間が恐竜を絶滅から取り戻しただけで、動物を支配・放棄・悪用する権利を人々は持っていない」という原則に基づいて行動し、人間と恐竜の両方の種が平和的に共存する方法を見つけることも目的にしている。
 中心的な DPGの主要メンバーはクレアとフランクリン=ウェッブとジア=ロドリゲスの3人で、その他にボランティアで30人ほどのメンバーがおり、恐竜の保護目的で捕獲して島から脱出させるためにロックウッド財団の支援を取り付け、ロックウッドから手配された武装した傭兵と共に救出作戦に当たった。
 イスラ・ヌブラル島の休火山だったシボ山の火山が活動し、その火山噴火の影響で島の恐竜たちが脅かされていることをクレアが知り、恐竜の生き残りを島から避難させるため、オーウェンに連絡を取った。

ロックウッド・エステート
 北カリフォルニア州にある広大な森林の敷地に囲まれたベンジャミン=ロックウッドの大公邸。正門を通り広大な森林を抜けた敷地にある。ロックウッド財団の本部でもあり、3階建ての屋敷の中には恐竜の標本骨格やオブジェが展示された私設博物館や地下実験室、ベンジャミンの孫娘メイジーの部屋などがある。屋敷には肖像画が飾ってあり、その中にはベンジャミンの盟友だったジョン=ハモンドの肖像画もある。
 屋敷にある地下実験室では昔、ロックウッドとハモンドが初めて DNA抽出による恐竜クローニングの実験が行われていた。敷地の森林には恐竜を投資家たちに売りつけるためにイスラ・ヌブラル島から運ばれた恐竜の実験と保管のためのケージ施設などがあり、建物で恐竜のオークションの競売などもしている。

ロックウッド財団
 ベンジャミン=ロックウッドの創立した財団。ベンジャミンに仕えるイーライ=ミルズが財団の運営を任されている。ベンジャミンが自分の過去に行った行為の間違いを真剣に追及しはじめて、財団を通してクレアの恐竜保護グループ「DPG」の恐竜救出作戦を計画した。財団運営者のミルズが DPG支援のために恐竜輸送の兵器や車両や傭兵を手配しイスラ・ヌブラル島に派遣させる。


登場する恐竜・古生物
ティラノサウルス・レックス
 パーク最大の肉食恐竜。巨大な頭、強力な顎、凶暴な性格と、小さな手が特徴。体長13メートル。
 シリーズ第1・4作に登場したものと同一個体である。「ジュラシック・ワールド」崩壊後もイスラ・ヌブラル島で生き残っていた。ラグーンに沈んだインドミナスの遺体を探すためにイスラ・ヌブラル島にロックウッド財団が派遣した傭兵グループを襲う。その後、オーウェンらを襲うカルノタウルスを倒して火山から逃げる最中に傭兵隊に捕獲され、檻に入れられて島からアメリカ本土にある「ロックウッド・エステート」に運び出された。

ヴェロキラプトル
ブルー
 機敏な小型肉食恐竜。本作では「人間に次ぐの賢さを持つ」と言われて、物語の中心となり活躍する。体長4メートル。
 前作に登場したヴェロキラプトル4姉妹の生き残りで、長女にして元リーダー。救出にやってきたオーウェンと再会を果たすが、武装した傭兵達に麻酔銃で撃たれた上に凶弾に倒れた。輸送中は昏睡状態となっていたが、ティラノサウルスの血を輸血しジアが銃弾を除去したことで一命を取り留めた。

カルノタウルス
 本作でシリーズ初登場となる中型肉食恐竜。体長9メートル。イスラ・ヌブラル島の噴火の際にオーウェンらを襲う。
 カルノタウルスは原作小説第2作で、カメレオンのような擬態能力を持つ恐竜として登場したが、本作でそのような能力は描写されていない。

バリオニクス
 シリーズ第3作に登場したスピノサウルスの近縁にあたる恐竜。体長10メートル。
 クレアとフランクリンが地下の研究施設にいた時に放水路を通って現れ、2人を襲撃する。

アロサウルス
 本作でシリーズ初登場となる中型の肉食恐竜。体長9メートル。
 火山噴火から逃れる途中に火山弾に弾き飛ばされる。

インドラプトル
 本作に登場する新しい遺伝子組み換えのハイブリッド恐竜第2号。正式名称はインドミナス・ラプトル。全長7.3メートル、体重1トン。インドミナスより小柄だが、ラプトルより大きい中型肉食恐竜並の体躯を持つ。体の所々にトサカが生えている。体色は黒で、胴体側面に1本の金色の線が走る。
 ウー曰く「最強の新種」らしく、性格は非常に凶暴かつ残虐。ウィートリーを騙すために眠ったふりをした際は、笑みを浮かべながら彼の死角で尻尾を振るなど遊んでいる場面も見られた。「ロックウッド・エステート」の実験室でインドミナスの DNAをベースに、様々な生物の遺伝子を組み合わせ、最強の生体兵器として造られた。恐竜オークションに集まっていた投資家たちに目玉として紹介され注目を浴びた。インドミナスとラプトル同様高い知能を持つ。
 パワー型のインドミナスに対して、本種は攻撃力・スピードの特化型であり、高い追跡能力と鋭い嗅覚・暗視能力を持つ。インドミナスが侵入しにくい室内や高い所に自由自在に侵入でき、犬のように匂いを追跡することもでき、暗いところに身を隠すこともできる。猛獣用の麻酔銃を3発受けても眠らないタフネス性を有する。
 前脚は遺伝子操作の影響によって非常に長くなっており、四足歩行も行い、四肢の長い爪を使って屋根の上に立つことも可能。インドミナスと同じく指の本数は4本だが更に器用であり、単純な攻撃だけではなく物の運搬や窓の操作も可能である。後脚はラプトルの遺伝子に由来した後肢の鉤爪を持ち、敏捷性も大幅に上昇している。
 パーク展示用のインドミナスと違い、軍事用の恐竜として開発されたため、人間の銃から発せられる赤色レーザー信号の先にある目標を優先的に観察し、音波信号が聞いた後に攻撃を開始するという習性を持つ。

インドミナス・レックス
 前作に登場した遺伝子組み換えの架空の恐竜で、制御不能の大型肉食恐竜。全長12メートル。
 もともと展示用としてデザインされたにも関わらず、多彩な特殊能力を持ち、戦闘能力も極めて高いハイブリッド恐竜。前作でティラノサウルスとブルーとの死闘の末、「ジュラシック・ワールド」のラグーンでモササウルスに襲われ溺死した。湖底に沈んでいた肋骨の一部が傭兵部隊により回収され、この骨から採取されたDNAを基にインドラプトルが作られた。

トリケラトプス
 中型の草食恐竜で、最大級の角竜。体長9メートル。
 親子が恐竜救出作戦で檻に入れられ、アメリカ本土の「ロックウッド・エステート」に運び出された。

シノケラトプス
 シリーズ初となるトリケラトプス以外の大型角竜。体長7メートル。
 ウィートリーの麻酔銃で昏睡状態だったオーウェンに近づいて彼が目覚めるきっかけを作り、噴火の際はオーウェンたちに襲い掛かろうとしたカルノサウルスとの一騎打ちを披露する。フリルは多くの説と違い、穴の部分に皮膜がない復元となっている。シノケラトプスは2010年に命名された恐竜で、シリーズに登場する恐竜としては一番近年になって命名された種類でもある。

ブラキオサウルス
 最大級の草食恐竜。イスラ・ヌブラル島最高および最重の巨体を誇る。体長25メートル。
 パーク崩壊後、無人化したパークのメイン・ストリートで徘徊していた。噴火によって多くの個体が死亡し、唯一生き残っていた1頭も、命からがら波止場まで逃れるも巨大すぎるため船には乗せられず、そのまま火砕流に飲まれ焼死してしまった。
 イスラ・ヌブラル島のブラキオサウルスは第1作には登場していたが第4作のパークでは飼育されておらず、第1作の頃から野生で独自に生きてきたと考えられる。

アパトサウルス
 最大級の草食恐竜。イスラ・ヌブラル島最長の巨体を誇る草食恐竜。体長26メートル。
 尻尾はブラキオサウルスの2倍の長さを誇るが、ブラキオサウルスに比べて背がずっと低く、巨体ゆえに捕らえやすかったことで、捕獲チームによって2頭が捕らえられ、アメリカ本土にある「ロックウッド・エステート」に運び出された。

アンキロサウルス
 中型の草食恐竜。パークに棲息する唯一の鎧竜。体長11メートル。
 「ロックウッド・エステート」でのオークションでは恐竜第1号として最初に競売にかけられた。

ステゴサウルス
 中型の草食恐竜。体長9メートル。パークに棲息する唯一の剣竜。捕獲された個体がウィートリーに歯を抜かれていた。

スティギモロク
 小型の草食恐竜。体長4メートル。トゲがある固い頭部が特徴の堅頭竜類。
 1頭が捕らえられて「ロックウッド・エステート」に運び出され、オーウェンとクレアがミルズたちに監禁された檻の隣に収容されたが、その石頭に目をつけたオーウェンに誘導されて壁を破壊し、2人が脱走する機会を作った。

ガリミムス
 小型の雑食恐竜。体長6メートル。パーク最速の俊足を誇る。

コンプソグナトゥス
 最小級の雑食恐竜の一つで、パーク最小の恐竜でもある。体長1.4メートル。パーク崩壊後、無人化したパークのメイン・ストリートにある店の建物に徘徊している姿が確認されている。ロックウッド財団により捕獲されており、終盤でも館から脱走する姿が見られる。
 ブラキオサウルスと同様に、第1作の頃から野生で独自に生きてきたと考えられる。

モササウルス
 パーク最大の肉食動物。体長18メートル。生物学的には恐竜よりトカゲに近い海生爬虫類。パーク壊滅後の火山噴火の脅威にも関わらず、ラグーンで生存しており、インドミナスの骨を回収する小型潜水艇を襲った。さらにゲートの開閉のための端末が壊されたため、ラグーンのゲートが閉まり切らず、そのまま海洋に逃げ出した。

プテラノドン
 大型の翼竜。翼長9メートル。アメリカ本土の「ロックウッド・エステート」に運び出される。


主なスタッフ
監督 …… フアン・アントニオ=バヨナ(43歳)
脚本 …… デレク=コノリー(42歳)、コリン=トレヴォロウ(41歳)
製作総指揮 …… スティーヴン=スピルバーグ(71歳)、コリン=トレヴォロウ
音楽 …… マイケル=ジアッキーノ(50歳)
撮影 …… オスカル=ファウラ(43歳)
アニマトロニクス …… ニール=スキャンラン(57歳)
VFX …… ILM
製作費  …… 1億7千万ドル
興行収入 …… 11億7千万ドル
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする