長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

ぬぐいきれない「まつりのあと」感……だが、そこがいい!? ~映画『五人ライダー対キングダーク』・本文~

2022年01月29日 10時22分45秒 | 特撮あたり
≪毎度おなじみ、7年も前の資料編は、こちらだ!≫

 お天気が良くてもさみー!! みなさま、どうもこんにちは。そうだいでございます。
 早くも1月が終わろうとしておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。こちら山形は、まだ冬の終わりは見えないやねぇ。この冬は雪が多かったな~! 主に年が明けてからでしたが、雪かきいちばん多くやったんじゃないかしら。早起きがきつい……
 コロナ、コロナ言ってもう2年になりますから、仕事場でのうんぬんは慣れっこになっていたつもりなのですが、いよいよ山形市が「まん防」に入ってしまいまして、仕事の後の「夜ラーメン」という背徳の時間が無くなってしまい、これにはさすがにショックを受けています。わたしの至福のひとときが……
 毎日のように「感染者数過去最多を更新」のニュースが流れる時期が、また来ちゃったねぇ。家で楽しく過ごす方法はいくらでもある時代なんですが、気分がくさくさしていけねぇや。来月にも庄内地方の温泉にでも行こうかと考えていたのですが、それもまた夢のまた夢のようで。待ってろよ、春!! 「米沢上杉まつり」、今年はどうかな……こちとら、身体の準備だけは万端なつもりなんですけどね。

 さてさて、今回もまた、そんな有り余るおうち時間を我が『長岡京エイリアン』の宿題消化に充てようという、なんとも不毛きわまりないマッチポンプの「やっと本文コーナー」でございます。今回も「7年ぶり」よ! 古酒でも造ってんのか!?

 お題は、ついにここまでやってきました、映画『五人ライダー対キングダーク』(1974年7月公開)! ある意味、悠久の仮面ライダーシリーズの、最初の一区切りを象徴する作品であると思います。
 映画のタイトルにはないのですが、この作品は当時放送されていた「仮面ライダーシリーズ」第3作『仮面ライダーX 』のオリジナル映画作品であります。タイトルの「五人ライダー」とは、言うまでもなく主人公の Xライダーと、その時点までのオールライダーである1号、2号、V3、そして本作で初めて復活するライダーマンのことですね。
 正直、主役なんだからタイトルに Xライダーの名前くらい出してあげてもいいじゃないかと思ってしまうのですが、映画のセールスポイントが「五人ライダー」の集合なんだもんね。しかたねぇかぁ。

 この作品、シリーズ恒例の再生改造人間軍団あり、過去ライダーのゲスト出演あり、大爆破&アクションありの天湖森夜な展開を、TV本編ではなかなか見られないド派手な規模で送る豪華作なのですが、な~んか、全体的に雰囲気がヘンなんですよね! 別に主人公が大ケガで降板したとか失踪しちゃったとかいう緊急事態はなかったはずなのですが、作品としての完成度がおかしい! ストーリーの展開が急すぎて、子ども向け作品とは思えない「筋の省略」が多いのです。
 端的に言っちゃえば「説明不足で意味不明な部分が多い」ということになるのですが、これは明らかに「制作スタッフが意図的にはしょってる」わけなので、そもそも説明する必要がないという判断があったのでしょう。つまり、「説明できなかった」じゃなくて「説明しなかった」と! プロがいらないと思って捨ててるんですから、そこを批判するのは野暮のような気もするんですよね。デイヴィッド=リンチ監督の映画を「わけわかんない!」と批判したり、ブラックコーヒーを飲んで「なにこれ、にが~い!!」と言うようなもんだと思うんです。そういうもんなの!ということで。

 でもさぁ……これ、直球どストレートの子ども向け作品ですからね。子どもにモネとかルノワールみたいな印象派の絵画を見せて、理解できるかどうか……いや、印象派だったらまだわかるかもしんないけど、この映画、カンディンスキーくらいのレベルなとこもあるしなぁ。おもしろけりゃいいのかな?

 簡単に言ってしまいますと、本作はたった29分というなかなかタイトな尺の中に「1、歴代ライダー集合」、「2、GOD機関の東京カラカラ作戦」、「3、Xライダー打倒の最強改造人間の登場」という3つのトピックを詰め込んでいます。まぁ、そこは料理のしようによってどうとでも収まるはずなのですが、本作の場合は、1に必然性を持たせるために2を Xライダーひとりではカバーできない規模の広範囲にわたって展開させます。それはいいのですが、それと同時進行で3のために Xライダーの能力を『ウルトラセブン』のガッツ星人方式にえっちらおっちら観測しているのが、ややこしい! つまり、観客はシーンが変わるたびに1&2の話を見ているのか3の話を見ているのかをいちいち推測しなければならなくなるので、途中からもうどうでもいいやモードになってしまうのです。最終的に1に従事した再生改造人間軍団のみなさんも3のコウモリフランケンも、都合よく集合してやられるので結果オーライなんですが。
 こういった感じの、特撮ヒーロー番組における悪の秘密組織が「組織としての作戦」と「邪魔なヒーローの打倒」を同時進行でやってしまおうとするクセは、映画『仮面ライダー対じごく大使』の先例を見てもおわかりの通り、秘密で進めるべき作戦が、よりにもよって一番知られたくないヒーローにバレるという最悪の「あぶはち取らず」に終わってしまうオチがほとんどの、「悪の秘密組織あるある」ですね。なにごとも、欲ばりはよくない!!
 それ自体はよくあるパターンなのですが、今回の場合、そこらへんの混線具合が異様に不親切に感じられます。作品の中で、だぁれも物語全体の大枠を語ってくれないので、まじめに見ている人ほどストレスがたまる内容になっているんですね。せいぜい、仮面ライダー2号がクライマックスの手前で語る、

「『東京カラカラ作戦』とは、東京中の水を涸らしてしまう作戦だ!」

 くらいが関の山だし、2号がそんな超絶推測にいたった経緯もぜんぜん描写されないし……そう聞いて、作中で事件に巻き込まれたマサル少年も、「うん……よくわかんないけど、たぶんそう。」という表情で、うつろな目で虚空を見つめ小さくうなずくばかりなのですが、老若男女を問わず、この作品を観ている者はそんな表情になってしまうことでしょう。マサルくん、トレンディエンジェルの斎藤さんに似てるし、滑舌も絶妙にギリギリで非常にいい感じです。
 ここらへんのストレスって、本作と先ほどの『仮面ライダー対じごく大使』とを比較してしまうと一目瞭然なのですが、要するに本作では、物語の大枠を簡単に説明してくれたり、物語全体の流れに関わっていたりする地獄大使のような「トリックスター」がいないんですよね。いないというか、いるんだけどほとんど仕事してない! 誰が本作のトリックスターなのかと言いますと、それは言うまでもなく、地獄大使と同じ立場にいる、東京カラカラ作戦と Xライダー打倒を一緒にやっちゃおうという愚挙に出た GOD機関大幹部・キングダークその人です。アジトの奥で寝そべってヴエーとかうなってないで、もうちょっとしゃべれやー!!

 っつうことで、今作のいちばんの戦犯である、大幹部キングダークについて。

大幹部? 最高幹部? それとも……? 謎の巨大ロボット・キングダークとは( Wikipediaより)
 キングダークは、GOD機関の大幹部にして巨大ロボット。仮面ライダーシリーズ初の巨大キャラクターである。身長26m、体重5t。
 『仮面ライダーX 』第22話(1974年7月13日放送)から登場(第21話では声のみの登場)。前任の GOD機関大幹部・再生アポロガイストの殉職後に着任した2代目大幹部。
 鋼の全身を黒いマントで包んだ巨人型ロボット。普段はアジトの奥で、涅槃仏のように寝転がって頬杖をついている。口からの毒ガスや目からの破壊光線、指先からのロケット弾など、多彩な武器を持つ。
 南原光一博士が開発した、すべての物質をエネルギーに変換する「RS装置」を体内に組み込んで起動する予定であったが、すでに RS装置を完成させていた南原博士は、その悪用を恐れて装置の設計図を9枚に裂き、分散させてしまう。分割された設計図を奪還すべく、キングダークは悪人改造人間軍団を次々と投入して Xライダーとの設計図争奪戦を繰り広げる。

 キングダークの巨体は、横になった姿の実物大セットが作られ圧倒的な存在感を示した。セットの制作は佐久間正光が指揮を執った。目と口には開閉ギミックを備えている。立ち上がった姿は着ぐるみで表現されたが、実物大の造形物とは印象の異なるものであった。

日本支部大幹部赴任期間1974年7~10月、全15作戦 ※(複)表記は X以外の仮面ライダーとも交戦した改造人間
ジンギスカンコンドル、ガマゴエモン、コウモリフランケン(複)、サソリジェロニモ、カブト虫ルパン、ヒトデヒットラー、再生改造人間軍団(複)、クモナポレオン(複)、カメレオンファントマ、ヒルドラキュラ、トカゲバイキング、アリカポネ、ムカデヨウキヒ(複)、タイガーネロ(複)、サソリジェロニモJr.


 ということで、今回の「東京カラカラ作戦」はキングダークにとって3回目の作戦ということになります。まだ駆け出しなのね! これまでの悪の大幹部と違ってだいぶ図体のデカい彼なのですが、やっぱり作戦は14~5回くらいの失敗で限界が来ているようですね。
 駆け出しとは言いましても、この、前任のアポロガイスト時代の改造人間たちもほぼ全員フル動員した GOD機関の再生改造人間オールスター感謝祭状態は、これまでのオリジナル映画に比べても規格外のもので、たいていこういう場合は、自分の直接指揮する「悪の偉人改造人間」が中心となって、前任者の管轄にあった「神話改造人間」のみなさんは数名チョイスされるだけで肩身が狭いという人選が通例なのですが(死神博士しかり地獄大使しかり)、今回のキングダークはかなり寛大に、ボーダレスに作戦参加者を募っているということになります。
 それだけ GOD機関内での人事権を自由に行使できるということは、キングダークはこれまでの大幹部とはちょっと違う次元の権力を持っているということになり、ということはつまり……ってなわけで、『仮面ライダーX 』本編の最終話に明らかになるキングダークの正体につながる伏線が、すでにこの映画の時点でほのめかされているのは、さすがですね! いや、ただ単に GOD機関の改造人間が少ないから見境なくかき集めただけなんじゃ……というツッコミは、なしだ!!

 ところで、Wikipediaの記事にもある、悪名高い「実物大の造形物とは印象の異なる」着ぐるみなのですが、これはやっぱり、先に出た実物大セットがカッコよすぎたのが原因ですよね。セットのどこがカッコいいのかと言うと、たぶんあの「肩幅の広さ」なんじゃなかろうかと。逆に言えば「小顔」なわけで、着ぐるみの場合、中にアクターさんが入ることを考えると、顔と身体の比率が実物大セットのあれほど離れたものにはなりえないと思うんですよ。大谷翔平さんみたいなとんでもない体型のアクターさんでもいないかぎり。もちろん、着ぐるみの質感の問題もあったのでしょうが、なにげに着ぐるみでは表現できないデザインに、あのセットは挑戦していたのではないかと。やっぱりスタイルって大事ですよね。


 話をキングダークから物語に戻しますが、結局本作は、コウモリフランケンによる Xライダー打倒というひとつの目的は失敗したものの、GOD機関の「東京カラカラ作戦」が成功したのか失敗したのかがはっきりしないまま終わります。まぁ、作戦に従事していた再生改造人間軍団のみなさんがもれなく殉職したし、その後東京がカラカラになったという話も聞かないので「頓挫したんだろうな。」みたいなふわっとしたエンディングになっているのが、いくらなんでもどんなもんなのか……
 これが、30分弱の枠ということで時間が短すぎたからこうなってしまったのか。でも問題は、脚本を担当したのがあの伊上勝先生だってことなんですよね。当然、仮面ライダーシリーズの第一功労者であるわけなんですが、92分もあった映画『恐竜・怪鳥の伝説』(1977年)のとっちらかりようを思い出すだに、単に時間だけの問題ともいえない気もするような……そもそも、あれ伊上さんの脚本じゃないらしいんですけどね。

 ここは非常に難しい問題なのですが、本作に限らず、作品全体に「もうホラ、ここらへんは雰囲気で。」とか、「いちいち言わなくても、わかるよね?」みたいな空気が蔓延しているのって、やっぱり作り手の驕りなんじゃないかと思うんですよね。いかにも初心者お断り、わかる人だけついてこい!って感じで。
 それだけ、多くの観客にそのジャンルのルールが浸透しているという恵まれた前提があってこその話なんでしょうが、それは『仮面ライダーX 』じゃなくて、そこにいたるまでの先輩作品の開拓のおかげだもんねぇ。こうなってくると、単体作品の魅力で戦っていないというか、ブームの「まとめ」に入ってきたというか、円熟期を通り過ぎた「まつりのあと」感がにじみ出てきてしまうと思うんだな。それは、他の『マジンガーZ 』だなんだという外的要因に追われてのことではなく、自身の中から自然と発生してきてしまう「終わりの始まり」なのでしょう。プロだとしても、人間、続ければ馴れは生まれますよね。

 よそのウルトラシリーズにしろゴジラシリーズにしろ、非日常なはずのスーパーヒーローや怪獣、宇宙人たちが毎回毎週出てきて当たり前、となった時からどう勝負していくか。ここが作り手の本当の修羅場であり、腕の見せ所でもあるんでしょうねぇ。
 当然、『仮面ライダーX 』も恐ろしいぐらいのプレッシャーの大きさに耐えながら、多くの新機軸への挑戦に彩られた作品であるわけです。特に本作でも堪能できる、主演の速水亮さんのスピーディなアクションとドスのきいた声の迫力はすばらしい! 前作の宮内洋さんのハデさの陰に隠れがちですが、やっぱり危険なシーンを変身してない本人がこなせるのって、カッコいいですよね。
 また変身した後も、特にクライマックスの奇岩城基地での五人ライダーと再生改造人間軍団との殺陣は、『仮面ライダー』時代から格段のレベルアップをとげていると思います。 Xライダーは棒術も当然すごいんですが、足技もまた華麗なんだよなぁ。日々研鑚のたまものよね!
 悪の組織のほうの挑戦もキングダークだけにとどまらず、まず「外国の神さま」を悪の側にしたてているというのが、色々問題はあるにしてもものすごいことです。アポロガイストなんか、正義のヒーローでもいいようなビジュアルだし。どストレートに組織の名前が「 GOD機関」というのも、いかにも石ノ森章太郎先生ごのみなアイロニーにあふれていて最高ですよ! 改造人間たちのデザインも、もうこれでもかってくらいに左右非対称で不気味! 本作の目玉のコウモリフランケンも、左の口角が下がっている絶妙に左右非対称な顔面の造形がすばらしいです。つぎはぎだらけの青白くふやけた肉体も気持ち悪~!
 ちょっと、子どもにとっつきにくい怖さがあるというデメリットも大きいんですが、本作でも跳梁跋扈する神話改造人間のみなさんは、な~んか記憶に残るインパクトに満ちています。ユリシーズこわい~! よく見るとアクターさんの生の目が奥に見えるという、シリーズ伝統の「こわっ。」イズムが生きていますね。

 最終的に『仮面ライダーX 』の挑戦が成功したかどうかは判断が難しいところですが、まさに「冒険者に失敗など存在しないッ!!」ということで、その果敢なチャレンジ魂は、その後に生きる私たちにとって、絶対に忘れてはいけない先人の教訓となるのではないでしょうか。まぁいいんだ、なんてったってシリーズは半世紀も続いてくんだから! セーフセーフ!!

 とにもかくにも、今回もまた、本編には観るべきポイントや「?」な笑いどころがたくさんあるのですが、今回も今回とて、だいぶ字数がかさんできてしまいましたので、そのごくごく一部を、かいつまんでのメモにとどめておきたいと思います。ホント、本作も超濃厚な30分弱ですよ!


・オープニングののっけからの五人ライダー集結は威勢が良いのだが、ロケ地の天気が悪い……そして、ライダーマンがなんか変! 中身が山口暁さんだったら最高だったのだが……ザボーガーで忙しいんじゃ、しょうがない!
・開始して3分00秒後に再生改造人間(ジンギスカンコンドルとガマゴエモン)が登場、3分30秒後に Xライダーに変身。展開がかなり早い!
・「地下から声が聞こえる」って言って様子を見に外に出るマサルくんが、2階の外階段から降りてくるのって、おかしくない? 単に駐車ガレージに人がいるだけなんじゃ……
・開始7分25秒後にさっそく仮面ライダー1号が登場! 声がちゃんと本郷猛なのが、頼もしい!
・仮面ライダー2号の本気めの「2号ライダーキック」をくらっても余裕で撤退するユリシーズ。新旧改造人間のシビアな性能差がわかる珍しいシーン。
・ネプチューン「見たな小僧……お前の命はもらった。」いや、何も見てねぇよ! 言いがかりも甚だしい。海の神が濁った用水路から出てくんな!
・トランポリン撮影の背景がぜんぶ灰色のホリゾントなのが、どうしようもなくテンションの上昇を阻害する。
・生まれた瞬間に上司(キングダーク)にたてつくコウモリフランケン。とりあえずイキればいいと思って……これが若さか!
・喫茶店に紳士的に入ったのに、店長の藤兵衛にフォークで右目をえぐられるキャッティウスの悲哀。やってらんねぇ~!
・人類の存亡をかけた闘いよりも、自分の喫茶店の内装にキズがつくかつかないかを気にする藤兵衛。歴戦をかいくぐってきた男の余裕!
・コウモリフランケンの空撮ふう爆破アクションが、けっこう新鮮。
・Xライダーの「クルーザーアタック」を受けても平気なコウモリフランケンだが、「大丈夫か?」と心配して駆け寄ってくる再生改造人間喫茶店チームの気遣いがあたたかい。「うるさい!」じゃないだろう……
・開始してちょうど折り返しの15分00秒で五人ライダーが勢ぞろい。それに対する藤兵衛の笑顔が実にいい。あと、やけにかっぷくのいい「43」シャツのおさげの娘さん(セリフ無し)も、なんかおもしろい。
・忘れている人に「東京カラカラ作戦」の存在をわざわざ思い出させた上で拉致するという鳥人イカルスの行動の意味不明さが、人間体の容姿もあいまって最高に気持ち悪い。これで邪魔なマサルくんを殺していたら、ジョーカー並みにいい感じのキャラクターなんだが……そんなこと仮面ライダーシリーズで許されるわけないんだよなぁ。
・黒マントをはおって女性の血を飲むコウモリフランケンのキャラクターの不安定さ。それフランケンじゃないよ~!! まぁ「コウモリドラキュラ」じゃなんのひねりもないからなぁ。ところで、「美女」の血じゃないんですね……制作スタッフさん、『 V3』で小野ひずるさんを起用した目はどこに落とした?
・GOD のスパイコウモリを追って住宅街をバイクで駆け抜ける五人ライダー……の後ろに、車両規制をかけている制作スタッフが思いっきり見切れているのがキビしい。隠れろ!! あと、車止め切れてないよ!
・Xライダーのクルーザーの右プロペラしか回ってないのが、なんとも言えない哀愁をさそう。撮影お疲れさまです!!
・今回の再生改造人間軍団の名乗りシーンは、19分35秒後! 神話改造人間10体の名乗りの時点ですでにジンギスカンコンドル、ガマゴエモン、キャッティウス、メドウサが Xライダーと対峙しているので、コウモリフランケンと合わせてその場には15体が出撃しているという陣容。
・ネプチューンの名乗りだけ、両手を前に「ドーン!」と出すしぐさが TVショッピングの司会者みたいでちょっとおもしろい。
・通常の撮影シーンではきれいなのだが、トランポリン撮影のカットだけ、Xライダーのおしりと両ひざが土で汚れている……ちゃんと洗濯してね!
・再生改造人間軍団の中でも、比較的新型(悪の偉人系)のジンギスカンコンドルとガマゴエモンが真っ先に殉職するのはどうなんだろう。他の旧型神話改造人間のみなさんの士気が心配!
・ライダー4人連続の「過去映像使いまわし」変身はちょっと……1号ベルトの風車が回る時の効果音も、オリジナル版じゃなく、なんだかメルヘン少女みたいな「しゃらららら~ん♡」になってるし……おかしいと思わんか!? でも、『仮面ライダーV3対デストロン怪人』での錦晴殿を背景にした志郎の変身の掛け声が撮り直されて「ブイスリャー!」になってるのは、うれしい。
・大乱戦シーンで子門真人の『レッツゴー!!ライダーキック』が流れるのはファンとしてはうれしいのだが、Xライダーとしてはどうなんだろうか……ショッカーせまってねぇし! GODだし!! あと、V3の主題歌『戦え!仮面ライダーV3』が水木一郎バージョンになっているのが、なんと言いますか……宮内さんじゃ、ダメ?
・ヒロインのエツ子さんの、ミニスカートの生足に刺さっている採血用チューブがエロい。
・最後に五人ライダーと手を組む時の、藤兵衛の腕がほれぼれする程ごつい。これこそ、昭和の男の腕だ!!
・エンディングテーマの、子門真人の『かえってくるライダー』は確かに名曲なのだが……Xライダーの存在感が……
・それぞれの愛機を駆りいずこへともなく去っていく五人ライダーと、岡本太郎デザインの飛行船(なぜ!?)から実に感慨深げな表情で見送る藤兵衛の対比が見事なエンディング映像なのだが、どことなく寂しい雰囲気でもある。まさか、仮面ライダーシリーズのオリジナル映画作品が6年おあずけになることを予見しているはずもないだろうが……


 ね、見どころはいっぱいあるでしょ? 個人的には、ほんとにそうする必然なんかどこにもないも無いのに、エツ子さんとマサルくん姉弟を怖がらせるためだけに人間体になって近づく鳥人イカルスのくだりが最高に好きです。あれ、GOD機関からは単に「エツ子をさらって来い」って言われてるだけですよね? そこをふくらませて、あそこまで気持ち悪い挙動に走るとは……その、マサルくんを始末しなかったという詰めの甘さが本作最大のミスとなっているだけに(まさしく『仮面ライダー対じごく大使』での再生ザンジオーの役割!)、非常においしいキャラになっていました。

 続けて、本作での改造人間のみなさんの努力の軌跡も、どうぞ。


登場した19体中、本作で実際に仮面ライダーたちと戦闘した改造人間は……(殉職 or 画面フェイドアウト順に)
開始から6分35秒後 …… マッハアキレス、Xライダーに普通に殴られ殉職
開始から20分00秒後、奇岩城基地での最終決戦のスタートから
25秒後(1分55秒後)…… ジンギスカンコンドルとガマゴエモン、Xライダーの名前は言わないけど必殺技っぽい同時2点キックで殉職
2分12秒後 …… アルセイデス、Xライダーに奇岩城基地の空中通路から普通に地上に投げ飛ばされ殉職
2分37秒後(4分07秒後)…… キャッティウス、1号に奇岩城の外壁から普通に地上に投げ飛ばされ殉職(ネコのくせに!)
※ジンギスカンコンドルとガマゴエモンとキャッティウスは他の再生改造人間軍団の名乗りシーンの1分30秒前から、奇岩城にたどり着いた Xライダーを包囲してロープで縛りあげているため、()内の時間が正確な戦闘時間である。
3分38秒後 …… 鉄腕アトラス、1号に普通に投げ飛ばされ殉職
3分45秒後 …… 死神クロノス、ライダーマンに普通に投げ飛ばされ殉職
3分55秒後 …… ヘラクレス、V3に普通に投げ飛ばされ殉職
4分02秒後 …… 火焔プロメテス、Xライダーにライドルスティックで普通に投げ飛ばされ殉職
4分13秒後 …… ヒュドラー、2号に普通に投げ飛ばされ殉職
4分15秒後 …… ケルベロス、1号に普通に蹴り飛ばされ殉職
4分22秒後 …… ネプチューン、V3に普通に投げ飛ばされ殉職
同     …… キクロプス、ライダーマンに普通に投げ飛ばされ殉職
4分33秒後 …… パニック、2号に普通に投げ飛ばされ殉職
4分35秒後 …… キマイラ、鳥人イカルス、ユリシーズ、誰に投げ飛ばされたのか不明だがとにかく殉職
※キマイラは奇岩城の名乗りシーンでもお台場の並びカットでもいなかったのだが、なぜか殉職する瞬間だけ出てくる。遅れて到着したのか?
※ユリシーズもお台場の並びカットにはいなかったが、なぜか殉職する瞬間だけ出てくる。間に合ってよかったね。
4分40秒後(6分10秒後)…… メドウサ、Xライダーに普通にライドルスティックでぶん殴られ殉職
※メドウサは、他の再生改造人間軍団の名乗りシーンの1分30秒前から、奇岩城にたどり着いた Xライダーを包囲してロープで縛りあげているため、()内の時間が正確な戦闘時間である。コウモリフランケンよりも長く闘ってるよ! お疲れさまでした!!
6分08秒後 …… コウモリフランケン、1号の「ライダーキック」で右の翼をもがれ、2号の「2号ライダーキック」で左の翼をもがれ、5人ライダー連携の必殺技「 Xライダースーパーファイブキック」により殉職


 ちょっと殴られたくらいで画面から消えていくマッハアキレスの扱いが雑すぎて涙が出てくるのですが、仮面ライダー的文法で言えば、あれは殉職したっていう解釈でいいんじゃなかろうかと。同じ場所にいたキマイラは、最後の最後で出てくるのにねぇ。遺体で。

 結局本作は、新型のコウモリフランケンの魅力が埋もれちゃってるのがけっこう痛いんだよなぁ。
 まず、目新しい要素が少ないというがツラいですね。「女性の生き血がエネルギー源」の設定からして、ショッカーの元祖最強改造人間ゲバコンドルがオーバーラップするんですが、初戦で仮面ライダー1号にしっかり圧勝しているゲバコンドルに対して、コウモリは Xライダーを圧倒できないままクルーザーアタックを受けて撤退してますから。死なないだけマシといえばそうなんですが、その強さがあんまりピンとこないんですよね。口でいくら最強だ最強だとのたまっていても、勝てなきゃねぇ。クライマックスでの、奇岩城基地を放棄してお台場の草原に戦場を移した判断も逃走にしか見えないし、五人ライダーからも一方的にいたぶられているようにしか見えないしで……これは五人ライダーを相手にして優勢に持っていけという方が無理な話なわけなんですが、やっぱり、特別強そうには見えないんだよなぁ。最後も翼をもがれて無様だったし。
 人間、改造されてもデカい口は叩くなという教訓ですな。実るほど こうべを垂れる 稲穂かな!!


 今回取り上げた映画『五人ライダー対キングダーク』は、決してあるシリーズの最終作として作られたものではなく、本編シリーズも『仮面ライダーX 』から『アマゾン』、『ストロンガー』へと続いていきます。そうではあるのですが、オリジナル映画作品としてはいったんの区切りとなった本作は、そうなっただけの「理由」を随所ににおわせた、実に味わい深い作品になっているのでした。これを「つまんない」の一言で片づけるのは、いかにももったいない! そこから何が学ばれ、どんな打開策が生まれていったのかを後続作品の中に探すのも、ひとつの楽しみなのではないでしょうか。ただ、個人的に私は「昭和仮面ライダー第2期」にうといところもあるので、昭和ライダーに関するあれやこれやをつづるのは、ここでひとまずおしまいにしたいと思います。

 さぁ、いよいよ今年は庵野秀明監督による『シン・仮面ライダー』の公開年でもあります! やたらとくすんだ緑のライダー、うなじで後ろ髪がなびいているライダー、そして、日本を代表する名優・池松壮亮のライダー!! 楽しみですね~。
 ちらっと出てくるシン・蜘蛛男のお姿から見て、ショッカーの改造人間側のデザインがだいぶ『仮面ライダー THE FIRST』よりになっているのがちと心配なのですが、ぜひとも、この令和の御代に悪の秘密結社の威厳と恐怖を蘇らせていただきたいと思います! くれぐれも、デジタル出演とか関智一さんのモノマネとか、「イカでビール」とかは、やめてね!!
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仮面ライダー極私的改造人間メモ ~『仮面ライダーストロンガー』から『仮面ライダーJ』まで~

2022年01月23日 15時59分59秒 | 特撮あたり
※本記事は、私そうだいが完全に自分のために作った、「仮面ライダー」シリーズに登場する改造人間に関するメモです。
※クモ、コウモリといったモチーフ生物が既出の後続改造人間は記述を簡略化しています。まぁだいたい、最初に出たバージョンが最高ですよね。
※改造人間名の後にカッコ書きで記してある「+〇」の数字は、勝手に想像した改造人間の強さです。
※話数の頭に「×」とついているのは、失礼ながら「あんまりおもしろくは、ないかな……」と思ってしまったエピソードです。判断するにあたり、勝手に私が敬愛してやまない特撮系レビューブログ『美女・特撮・ドラマ』(zura1980さま)における珠玉の記事群を参考にさせていただきました。最近、下ネタがきつめになってきましたね。

『仮面ライダーストロンガー』
〇ブラックサタン編
第1話(1975年4月)『おれは電気人間ストロンガー!!』
 ・奇械人ガンガル ・ブラックサタン戦闘員
第2話       ……奇械人オオカミン(1971年12月 黄金狼男+5)
第3話       ……サソリ奇械人(1971年4月 さそり男)
×第4話       ……奇械人ゴロンガメ(1972年3月 カメストーン+1)
×第5話(1975年5月)『ブラックサタンの学校給食!?』
 ・奇械人トラフグン ・ブラックサタン戦闘員
第6話       ……クラゲ奇械人(1971年10月 クラゲダール)
第7話       ……奇械人ワニーダ(1974年12月 ワニ獣人)
×第8話『溶けるなライダー!とどめの電キック!!』
 ・奇械人モウセンゴケ ・ブラックサタン戦闘員
第9話       ……カマキリ奇械人(1971年5月 かまきり男)
第10話(1975年6月)『恐怖のガンマー虫!人間を狙う!!』
 ・奇械人ハゲタカン ・ブラックサタン戦闘員
第11話       ……奇械人カメレオーン(1971年5月 死神カメレオン+1)
×第12話      ……クモ奇械人(1971年4月 蜘蛛男)
第13話      ……奇械人エレキイカ(1972年7月 イカデビル+8)
第14話(1975年7月)『謎の大幹部シャドウの出現!』
 ・奇械人メカゴリラ ・ブラックサタン戦闘員
×第15話      ……クワガタ奇械人(1973年8月 ワナゲクワガタ+3)
×第16話      ……奇械人ブブンガー(1972年8月 モスキラス+1)
第17話      ……コウモリ奇械人(1971年4月 蝙蝠男)
第18話(1975年8月)……奇械人電気エイ(1971年12月 エイキング+1)
×第19話      ……奇械人毒ガマ(1971年11月 ガマギラー)
第20話      ……奇械人アリジゴク(1971年9月 地獄サンダー)
×第21話      ……サメ奇械人(1972年7月 ギリザメス+1)
第22・23話    ……奇械人ケムンガ、奇械人ドクガラン(1971年8月 ドクガンダー+1)
×第24話(1975年9月)……奇械人ハサミガニ(1971年8月 カニバブラー)
×第25話      ……奇械人アルマジロン(1971年11月 アルマジロング+1)
第26話『見た!!大首領の正体!!』
 ・大幹部デッドライオン(+2) ・ブラックサタン戦闘員 ・ブラックサタン首領

〇デルザー軍団編
第27・28話(1975年10月)……荒ワシ師団長(1972年11月 ワシカマギリ+1)
第29話         ……鋼鉄参謀
第30話         ……ドクターケイト
第31話(1975年11月)  ……ドクロ少佐
×第32話         ……岩石男爵
×第33話         ……狼長官(1971年12月 黄金狼男+5)
×第34話         ……隊長ブランク
第35話         ……ヘビ女(1971年5月 コブラ男+1)
第36~39話(1975年12月)……ヨロイ騎士、磁石団長、マシーン大元帥、岩石大首領

『スカイライダー』
〇ゼネラルモンスター編
第1話(1979年10月)……ガメレオジン(1971年5月 死神カメレオン+1)
第2話       ……クモンジン(1971年4月 蜘蛛男)
第3話       ……コウモルジン(1971年4月 蝙蝠男)
第4話       ……サソランジン(1971年4月 さそり男)
第5話(1979年11月)……ドクバチジン(1971年5月 蜂女)
第6話       ……キノコジン(1971年9月 キノコモルグ+1)
第7話       ……カマギリジン(1971年5月 かまきり男)
第8話       ……ムカデンジン(1971年10月 ムカデラス+3)
第9話       ……コブランジン(1971年5月 コブラ男+1)
第10話(1979年12月)……カニンガージン(1971年8月 カニバブラー)
第11話       ……サンショウジン(1972年3月 ザンジオー+6)
第12話       ……ナメクジン(1972年2月 ナメクジラ+1)
第13話       ……アリジゴクジン(1971年9月 地獄サンダー)
第14話(1980年1月)……ハエジゴクジン(1973年1月 ハエトリバチ+2)
第15話       ……アオカビジン(1972年1月 カビビンガ)
第16・17話     ……ゴキブリジン(1972年4月 ゴキブリ男)、ヤモリジン(1971年6月 ヤモゲラス)

〇魔神提督編
第18話(1980年2月)……シビレイジン(1971年12月 エイキング+1)
第19話       ……オオカミジン(1971年12月 黄金狼男+5)
第20・21話     ……サイダンプ(1972年6月 サイギャング+1)、クラゲロン(1971年10月 クラゲダール)
第22話       ……コゴエンスキー(1972年1月 スノーマン+1)
第23話(1980年3月)……ムササベーダー兄弟(1971年9月 ムササビードル)
第24話       ……マダラカジン(1972年8月 モスキラス+1)
映画『8人ライダー VS 銀河王』……サドンダス(1972年1月 プラノドン)、ジャガーバン(1972年4月 ジャガーマン)、アルマジーグ(1971年11月 アルマジロング+1)、改造人間二世部隊、銀河王
第25話       ……ゾウガメロン(1972年3月 カメストーン+1)
第26話       ……ドクガンバ(1971年8月 ドクガンダー+1)
第27(1980年4月)『戦車と怪人二世部隊!8人ライダー勢ぞろい』・28話『8人ライダー 友情の大特訓』
 ・グランバザーミー(+10) ・ヒルビラン(1972年2月 ヒルゲリラ)、改造人間二世部隊
第29話       ……ヒカラビーノ(1971年12月 エジプタス)
第30話『夢を食べる?アマゾンから来た不思議な少年』
 ・オオバクロン
第31話(1980年5月)『走れXライダー!筑波洋よ死ぬな!!』・32話『ありがとう神敬介!とどめは俺にまかせろ!!』
 ・黄金ジャガー(+3)、トリカブトロン(1971年12月 トリカブト+4)
第33話       ……ドブネズゴン(1973年6月 スプレーネズミ+3)
第34話『危うしスカイライダー!やって来たぞ風見志郎!!』・35話『風見先輩!タコギャングはオレがやる!!』
 ・タコギャング(+2) ・マントコング(1975年7月 奇械人メカゴリラ)
第36話『急げ一文字隼人!樹にされる人々を救え!!』(1980年6月)・37話『百鬼村の怪!洋も樹にされるのか?』
 ・キギンガー(+2) ・ドラゴンキング(+2)
第38話       ……ガマギラス(1971年11月 ガマギラー)
第39話『助けて!2人のライダー!!母ちゃんが鬼になる』、40話『追え隼人!カッパの皿が空をとぶ』(1980年7月)
 ・オカッパ法師(+2) ・ウニデーモン(1972年9月 ウニドグマ)
第41話       ……クチユウレイ(1972年7月 ギリザメス+1)
第42話『怪談シリーズ ゾンビー!お化けが生きかえる』
 ・ゾンビーダ ・ゾンビ
第43話『怪談シリーズ 耳なし芳一 99の耳』
 ・ミミンガー
第44話(1980年8月)……ドロニャンゴー(1972年12月 ネコヤモリ+1)
第45・46・47話  ……アブンガー(1972年8月 アブゴメス+1)、ヘビンガー(1971年5月 コブラ男+1)、カガミトカゲ(1971年6月 トカゲロン+3)
第48話『4人のスカイライダー 本物はだれだ?』
 ・ドロリンゴ(+1)
第49話(1980年9月)……ザンヨウジュー(1971年10月 ザンブロンゾ)
第50話『君もアリコマンド少年隊に入隊せよ!?』
 ・タガメラス
第51話       ……リングベア(1972年2月 ベアーコンガー+1)
第52・53・54話   ……魔神提督、ネオショッカー首領

『仮面ライダースーパー1』
〇ドグマ編
第1・2話(1980年10月)……ファイヤーコング(1975年7月 奇械人メカゴリラ)
第3話         ……エレキバス(1980年5月 タコギャング+2)
第4話(1980年11月) ……カマギリガン(1971年5月 かまきり男)
第5話        ……カメレキング(1971年5月 死神カメレオン+1)
第6話        ……スパイダーババン(1971年4月 蜘蛛男)
第7話        ……アリギサンダー(1971年11月 アリキメデス)
第8話(1980年12月) ……スネークコブラン(1971年5月 コブラ男+1)
第9話        ……ガニガンニー(1971年8月 カニバブラー)
第10話       ……バクロンガー(1980年4月 オオバクロン)
第11話       ……ジョーズワニ一世、二世(1974年12月 ワニ獣人)
第12話『強敵あらわる!赤心少林拳敗れたり』、13話『見つけたり!必殺梅花の技』(1981年1月)
 ・ライギョン ・ギョストマ(+2)
第14話       ……ムカデリヤ(1971年10月 ムカデラス+3)
第15話       ……ライオンサンダー(1972年11月 クモライオン+1)
第16話『助けて!一ツ目怪人が襲ってくるよ』(1981年2月)
 ・オニメンゴ
第17話       ……ロンリーウルフ(1971年12月 黄金狼男+5)
第18話       ……ヤッタラダマス(1980年6月 ドラゴンキング+2)
第19話       ……カセットゴウモル(1971年4月 蝙蝠男)
第20話(1981年3月)……ツタデンマ(1971年4月 サラセニアン)
第21話       ……バチンガル(1971年5月 蜂女)
第22話       ……死神バッファロー(1973年7月 タイホウバッファロー+5)
第23話       ……カイザーグロウ(1972年3月 ギルガラス+1)

〇ジンドグマ編
第24~48話(1981年4~9月)……生物モチーフの改造人間ではないためカット!

『仮面ライダーZX 10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』(1982年7月~84年1月展開)
 ・サザンクロス(+8) ・バダン帝国総統 ・クモロイド(1971年4月 蜘蛛男) ・ドクガロイド(1971年8月 ドクガンダー+1) ・カメレオロイド(1971年5月 死神カメレオン+1) ・ジゴクロイド(1971年9月 地獄サンダー) ・トカゲロイド(1971年6月 トカゲロン+3) ・カマキロイド(1971年5月 かまきり男) ・タカロイド(1972年11月 ワシカマギリ+1) ・アメンバロイド(+1) ・バラロイド(1972年9月 バラランガ) ・ヤマアラシロイド(1974年11月 獣人ヤマアラシ+1) ・タイガーロイド(1972年12月 ムカデタイガー+1)

『仮面ライダーBLACK』
第1話(1987年10月) ……クモ怪人(1971年4月 蜘蛛男)
第2話        ……ヒョウ怪人(1972年4月 ジャガーマン)
第3話        ……クワゴ怪人(1971年8月 ドクガンダー+1)
第4話『悪魔の実験室』
 ・ノミ怪人 ・コウモリ怪人(1971年4月 蝙蝠男)
第5話『迷路を走る光太郎』(1987年11月)
 ・ヤギ怪人
×第6話        ……オオワシ怪人(1972年11月 ワシカマギリ+1)
×第7話        ……サイ怪人(1972年6月 サイギャング+1)
×第8話        ……セミ怪人(1972年6月 セミミンガ+1)
×第9話        ……ハチ怪人(1971年5月 蜂女)
第10話(1987年12月)……トカゲ怪人(1971年6月 トカゲロン+3)
第11話       ……サボテン怪人(1971年7月 サボテグロン+1)
第12話       ……カミキリ怪人(1972年7月 カミキリキッド+7)
第13話       ……カニ怪人(1971年8月 カニバブラー)
第14話(1988年1月)……マンモス怪人(1973年10月 吸血マンモス+4)
第15話       ……イワガメ怪人(1972年3月 カメストーン+1)
第16話       ……ハサミムシ怪人(1980年4月 グランバザーミー+10)
第17話       ……バク怪人(1980年4月 オオバクロン)
第18話(1988年2月)……クロネコ怪人(1972年12月 ネコヤモリ+1)
第19話『息づまる地獄の罠』
 ・オニザル怪人
第20話『ライダーの墓場』
 ・アネモネ怪人
第21話『激突!二大マシン』
 ・タマムシ怪人
第22話(1988年3月)……ツルギバチ怪人(1971年5月 蜂女)
映画『鬼ヶ島へ急行せよ』……カメレオン怪人(1971年5月 死神カメレオン+1)
第23話『マルモの魔法の力』
 ・アンモナイト怪人
第24話       ……シーラカンス怪人(1974年1月 シーラカンスキッド+3)
第25話       ……カマキリ怪人(1971年5月 かまきり男)
第26話(1988年4月)……バッファロー怪人(1973年7月 タイホウバッファロー+5)
第27話『火を噴く危険道路』
 ・イラガ怪人(+1)
第28話『地獄へ誘う黄金虫』
 ・コガネムシ怪人(+1)
第29話(1988年5月)……アルマジロ怪人(1971年11月 アルマジロング+1)
×第30話      ……イカ怪人(1972年7月 イカデビル+8)
第31話      ……ヤマアラシ怪人(1974年11月 獣人ヤマアラシ+1)
第32話      ……キノコ怪人(1971年9月 キノコモルグ+1)
第33話『父と子の愛の河』
 ・ベニザケ怪人
第34・35・36話(1988年6月)……怪人なし
第37話『想い出は夕張の空』
 ・ケラ怪人(+1)
第38話(1988年7月)……ネズミ怪人(1973年6月 スプレーネズミ+3)
映画『恐怖!悪魔峠の怪人館』……ツノザメ怪人(1972年7月 ギリザメス+1)
×第39話      ……ムカデ怪人(1971年10月 ムカデラス+3)
×第40話      ……サンショウウオ怪人(1972年3月 ザンジオー+6)
第41話      ……コブラ怪人(1971年5月 コブラ男+1)
第42話      ……ハエ怪人(1972年1月 ハエ男)
第43話(1988年8月)……クワガタ怪人(1973年8月 ワナゲクワガタ+3)
第44・45話    ……大神官ビシュム(1972年1月 プラノドン)
第46話『壮絶 バラオムの死』
 ・クジラ怪人(+1) ・コウモリ怪人(1971年4月 蝙蝠男) ・大神官バラオム(1973年10月 原始タイガー+3)
第47・48・49話(1988年9月)……大神官ダロム(1971年10月 ザンブロンゾ)
第50話『創世王の正体は?』・51話『ゴルゴム最期の日』(1988年10月)
 ・トゲウオ怪人(+2) ・創世王

『仮面ノリダー』(1988年3月~97年3月 一部不定期放送)
〇ジョッカー編
第1話『恐怖ラッコ男』(1988年3月)
 ・ラッコ男(+1) ・ジョッカー戦闘員 ・ジョッカー将軍
第2話『恐怖カルガモ男』(1988年10月)
 ・カルガモ男 ・ジョッカー戦闘員 ・ファンファン大佐
第3話『恐怖コアラ男』
 ・コアラ男 ・ジョッカー戦闘員
第4話『恐怖チョコ玉男』
 ・チョコボール男 ・ジョッカー戦闘員
第5話『恐怖プードル男』(1988年11月)
 ・プードル男 ・ジョッカー戦闘員
第6話『恐怖レンタルビデオ男』
 ・レンタルビデオ男 ・ジョッカー戦闘員
第7話『恐怖うさぎ男』
 ・うさぎ男 ・ジョッカー戦闘員
第8話       ……カンガルー男(1975年4月 奇械人ガンガル)
第9話(1988年12月)……象男(1980年7月 ミミンガー)
第10話『恐怖うす男』
 ・うす男 ・ジョッカー戦闘員
第11話『恐怖オランウータン男』
 ・オランウータン男(+1) ・ジョッカー戦闘員
第12話『恐怖トナカイ男』
 ・トナカイ男 ・ジョッカー戦闘員
第13話      ……カニ男(1971年8月 カニバブラー)
第14話(1989年1月)……新巻ジャケ男(1988年5月 ベニザケ怪人)
第15話『恐怖ホルスタイン男』
 ・ホルスタイン男 ・ジョッカー戦闘員
第16話『恐怖大仏男』(1989年2月)
 ・大仏男(+1) ・ジョッカー戦闘員
第17話『恐怖うま男』
 ・うま女 ・ジョッカー戦闘員
第18話『恐怖雪ダルマ男』
 ・雪ダルマ男 ・ジョッカー戦闘員
第19話      ……月の輪ぐま男(1972年2月 ベアーコンガー+1)
第20話『恐怖おひな様男』(1989年3月)
 ・おひな様男(+1) ・ジョッカー戦闘員
第21話『恐怖ペンギン男』
 ・ペンギン男 ・ジョッカー戦闘員
第22話『恐怖ヒヨコ男』
 ・ヒヨコ男(ニワトリ男 +1) ・ジョッカー戦闘員
第23話『恐怖すっぽん男』
 ・すっぽん男 ・ジョッカー戦闘員
第24話『恐怖ピザ男 タケシ労働の喜びを知るの巻』(1989年4月)
 ・ピザ男(+1) ・ジョッカー戦闘員
第25話『恐怖留守番電話男 よみがえるメッセージの巻』
 ・留守番電話男 ・ジョッカー戦闘員
第26話『恐怖スチームアイロン男 ノリダー怒りの鉄拳の巻』
 ・スチームアイロン男(+2) ・ジョッカー戦闘員
第27話『恐怖こいのぼり男 マリナの恋敵現れるの巻』(1989年5月)
 ・こいのぼり男(+1) ・ジョッカー戦闘員
第28話『恐怖カーネーション男 マリナお母さんになるの巻』
 ・カーネーション男(+2) ・ジョッカー戦闘員
第29話『恐怖ハブ男 長いものにはまかれろの巻』
 ・ハブ男 ・ジョッカー戦闘員
第30話      ……サメ男(1972年7月 ギリザメス+1)
第31話(1989年6月)……ハリネズミ男(1972年6月 ハリネズラス+1)
第32話『恐怖カミナリ男 イナズマと共にやってきた男の巻』
 ・カミナリ男(+1) ・ジョッカー戦闘員
第33話『恐怖カメラ男 甘ずっぱ〜い初恋の罠の巻』
 ・カメラ男 ・ジョッカー戦闘員
第34話      ……おたまじゃくし男(1971年11月 ガマギラー)
第35話『恐怖アサガオ男』
 ・アサガオ男 ・ジョッカー戦闘員
第36話『恐怖七夕男 ジョッカーの恋の巻』(1989年7月)
 ・七夕男 ・ジョッカー戦闘員
第37話『恐怖花火男 ひとときの命の巻』
 ・花火男(+1) ・ジョッカー戦闘員
第38話『恐怖コウノトリ男 大変!!ノリダーが死んじゃうよの巻』
 ・コウノトリ男 ・ジョッカー戦闘員
第39話『恐怖蚊取り線香男 めざせ!!完全燃焼の巻』
 ・蚊取り線香男 ・ジョッカー戦闘員
第40話『恐怖シャワー男 プールサイドは走らないでねの巻』(1989年8月)
 ・シャワー男 ・ジョッカー戦闘員
第41話『恐怖北海道男 彼女がぬいぐるみにきがえたら 北海道に連れてっての巻』
 ・北海道男(+2) ・ジョッカー戦闘員
第42話『恐怖キタキツネ男 北の国から '89決闘…の巻』
 ・キタキツネ男 ・ジョッカー戦闘員
第43話『恐怖トーア・カマタ男 地獄のマイク・パフォーマンスの巻』
 ・トーア・カマタ男 ・ジョッカー戦闘員
第44話『恐怖デューティーフリー男 私恨んでますの巻』
 ・デューティーフリー女(+1) ・ジョッカー戦闘員
第45話『恐怖プラネタリウム男 星に願いを込めての巻』(1989年9月)
 ・プラネタリウム男 ・ジョッカー戦闘員
第46話『恐怖台風の目男 嵐を呼ぶ男の巻』
 ・台風の目男 ・ジョッカー戦闘員
第47話『恐怖帝都大戦男 東京大破壊計画の巻』
 ・帝都大戦男 ・ジョッカー戦闘員
第48話『恐怖ユーミン男 悪はユーミンにのっての巻』
 ・ユーミン男(+1) ・ジョッカー戦闘員
第49話『恐怖ゴルフ男 ファーちみつレモンの巻』(1989年10月)
 ・ゴルフ男 ・ジョッカー戦闘員
第50話『恐怖プロ野球男 地獄の一球入魂の巻』
 ・プロ野球男 ・ジョッカー戦闘員
第51話『恐怖カップラーメン男 悲しくも美しい親子愛の巻』(1989年11月)
 ・カップラーメン男(+1) ・ジョッカー戦闘員
第52話『恐怖バレーボール女 世界へソーレッ 若さでアタックの巻』
 ・バレーボール女 ・ジョッカー戦闘員
第53話『恐怖マラドーナ男 振り向くな君は美しいの巻』
 ・マラドーナ男 ・ジョッカー戦闘員
第54・55話『恐怖ボウリング女 美しきチャレンジャーの巻』
 ・ボウリング女(+1) ・ジョッカー戦闘員
第56話『恐怖寒中水泳大会男 いいぞ!いいぞ!ノリダー! わ〜〜ッパフパフ!!の巻』(1989年12月)
 ・寒中水泳男 ・ジョッカー戦闘員
第57・58話『ヒゲゴジラ VS 仮面ノリダー』
 ・ヒゲゴジラ男(+1)
第59話『恐怖マイケル・チャン男 コートに賭ける青春の巻』、60話『血戦!有明コロシアムの巻』(1990年1月)
 ・マイケル・チャン男(+1) ・ジョッカー戦闘員
第61・62話『恐怖アイスホッケー男 愛は信じあうことの巻』
 ・アイスホッケー男(+1) ・ジョッカー戦闘員
第63・64・65話『恐怖大運動会男 立ち上がれノリダー!!アミーゴ大爆発!の巻』(1990年2月)
 ・大運動会男(+2) ・ジョッカー戦闘員
第66・67話(1990年3月)……ミッキーキャット男(1972年12月 ネコヤモリ+1)
第68・69話『恐怖ツバメ男 早すぎた北上 悲しみのツバメ前線の巻』
 ・ツバメ男(+2) ・ジョッカー戦闘員
第70・71話      ……キング・ジョッカー男(1972年11月 ワシカマギリ+1)

〇ゲロジョッカー編
第72話『誕生!仮面ノリダーV2 デモンバズーカ登場』(1990年12月)
 ・モグラドリル(1971年10月 モグラング) ・デモンバズーカ(+1) ・最高司令官猩猩右近 ・バンバンビガロ大佐 ・ジョッカー総帥 ・ゲロジョッカー戦闘員
第73話(1991年1月)……マンモスカッター(1973年10月 吸血マンモス+4)
第74話(1991年2月)……ドクバリコブラ(1971年5月 コブラ男+1)
第75話       ……ゲロコウモリ(1971年4月 蝙蝠男)
第76話(1991年3月)……サンダーキャット(1972年12月 ネコヤモリ+1)
第77話(1991年4月)……スプレーラビット(1988年11月 うさぎ男)
第78話『ま、まさかこんな死に方で セキセイインコ男登場の巻』(1991年5月)
 ・セキセイインコ男 ・ゲロジョッカー戦闘員
第79話『水尾さん爆薬の怨念 変身タヌキ男登場の巻』
 ・タヌキ男 ・ゲロジョッカー戦闘員
第80話(1991年7月)……帝京蜂男(1971年5月 蜂女)

〇復活ジョッカー特別編
第81話『仮面ノリダー IN マウイ キング・ジョッカーの息子 恐怖ヤシの実男 ハワイだマウイだワーイワーイの巻』(1992年7月)
 ・ヤシの実男(+3) ・ピラミッド男(1971年12月 エジプタス) ・ジョッカー戦闘員
第82話(1993年11月)……ゴキブリ男(1972年4月 ゴキブリ男) ・ジョッカー総帥二世 ・ジョッカー戦闘員
第83話(1997年3月)……ラッコ男2号(+3) ・ファンファン大佐 ・ジョッカー戦闘員


『仮面ライダーBLACK RX』(1988年10月~1989年9月)……明確な生物モチーフの改造人間ではないためカット!
『真・仮面ライダー 序章』(1992年2月)……生物モチーフの改造人間ではないためカット!
映画『仮面ライダーZO』(1993年4月)……ドラス(1972年12月 ショッカーライダー+6) ・クモ女(1971年4月 蜘蛛男) ・コウモリ男(1971年4月 蝙蝠男)
映画『仮面ライダーJ』(1994年4月)……コブラ男ガライ(1971年5月 コブラ男+1) ・ハチ女ズー(1971年5月 蜂女) ・トカゲ男アギト(1971年6月 トカゲロン+3)

※1998年の原作者・石ノ森章太郎先生没後の作品は、きりがないのでぜ~んぶカット!!
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爆発しすぎ!! 四国の山川にアナログ特撮の極北を見た 映画『仮面ライダーV3対デストロン怪人』 ~本文~

2022年01月23日 10時04分06秒 | 特撮あたり
≪資料編はこちら~

 みなさん、どうもこんにちは! そうだいでございます~。
 まぁ相も変わらず世の中は、どうにもカオスな様相を呈しておりまして……私のいる山形も、一日のコロナ感染者数は過去最多を更新する勢いが続いております。つい先月まで、そろそろ県外に出てもいいかな~?なんて気分になっていたのが夢のようですよ。来月の連休に市外の温泉に泊まりにでも、なんて計画していたんですが……どうなることやら。3回目のワクチン接種の順番が回ってくるまでの数ヶ月間、どうやって過ごしましょうかねぇ。困ったもんですわ!

 そんなこんなで、ただ家でのんべんだらりと過ごしているのもナンなので、今回はせめて気分だけでも晴天の南国へ!ということで、例によって我が『長岡京エイリアン』定番の流れで7年ものあいだ塩漬けになっておりました、映画『仮面ライダーV3対デストロン怪人』についてのあれやこれやをつづってみたいと思います。やっと、やっとよ! 南国って言っても、今あんまり太平洋の南に行っても噴火だなんだでタイミング的にアレですので、近場の高知県にいたしましょう。いや~、ほんとにいつか行ってみたいな、四国、土佐!

 1971~73年の約2年にわたって放送された、「変身ブーム」の起爆点にして、その後50年も続く特撮ヒーローシリーズの大いなる始まりでもあった『仮面ライダー』は終了しましたが、仮面ライダー1・2号が悪の組織ショッカー&ゲルショッカーから勝ち取った「人間の自由」は、あっという間に新たなる秘密結社「デストロン」の台頭によって風前の灯火となってしまいます。早すぎでしょ!
 そのデストロンに立ち向かうのは、愛する両親と妹をデストロンの新型改造人間ハサミジャガーに殺され、自身も瀕死の重傷を負った青年・風見志郎。デストロンへの復讐を胸に誓う志郎の鋼の意思を認めたダブルライダーは、自分達の知識、技術、経験の全てをつぎ込んで志郎に改造手術を施し、正義の改造人間・仮面ライダーV3として生まれ変わらせることで、死の淵から救ったのでした。

 ということで、栄光の仮面ライダーシリーズ第2作『仮面ライダーV3』は、前作『仮面ライダー』のストレートな続編として始まるのですが、本郷猛と一文字隼人のダブルライダーは、放送してすぐ第2話『ダブルライダーの遺言状』(1973年2月)において、デストロンの改造人間カメバズーカの体内に内蔵された原子爆弾が東京で炸裂することを避けるために、カメバズーカを2人で太平洋上に運び去り、原爆の爆発に巻き込まれ生死不明となります。『ダークナイト・ライゼズ』の元ネタかな?
 そうしてダブルライダーが去った後、日本の平和をひとりで守り抜こうと決意する V3と、「生物と機械の融合」によって、かつてのショッカー、ゲルショッカー以上の高い戦闘能力を持つデストロンの改造人間たちとの、前作を超える死闘の日々が始まるのでありました。あっ、ライダーの心強い理解者にして支援者、立花藤兵衛の続投も忘れちゃダメよ!

 物語が始まった当初、ろくな取扱説明書もない状況だったために、自身の改造人間としての能力を使いこなせないでいた V3も、幾多の戦闘を経て徐々にスーパーヒーローとしての実力と風格を備えるようになり、デストロンにとってダブルライダーに匹敵する、いやそれ以上の脅威となっていくのでありました。
 その結果、1973年5月からはデストロン生え抜きの大幹部であるドクトルG(ゲー)が日本支部長に就任。さらに今作の直前の TV本編第21話(7月7日放送)において、音声のみではあるものの、生死不明となっていたダブルライダーが海外で生き延びていたことが判明する衝撃の展開を迎え、「3人の仮面ライダーが、また結集するのか!?」という最高潮の期待感をはらんだまま、待望の『 V3』オリジナル映画として今作が世に出たのでありました。これ以上にアツいお膳立てがあるでしょ~か!?

 ちなみに、『 V3』の映画版としては、番組放送開始直後の1973年3月の「東映まんがまつり」内のプログラムとして、先ほどのダブルライダーの(いったんは)最後の雄姿が見られる第2話のブローアップ上映版『仮面ライダーV3』があるので、今回の『仮面ライダーV3対デストロン怪人』は仮面ライダーシリーズの映画作品としては「第5作」ですが、「オリジナル映画作品としては第3作」に当たります。このズレ、実に昭和っぽいね!

 いよいよ映画本編の内容に入る前に、今回の実質的なラスボスとなるデストロン日本支部長・ドクトルG に関するあれこれを。


デストロンにこの人あり! 恐怖の大幹部ドクトルG とは( Wikipediaより)
 「G作戦」によってデストロン・ドイツ支部から日本支部に招聘されたデストロン初代日本支部長で、TV本編に登場した唯一のデストロン生え抜き大幹部。悪魔の頭脳を持つ男と呼ばれる。元ナチス・ドイツ軍人。
 性格は冷酷かつ尊大だが、独自の騎士道精神と哲学を持っており、戦闘と破壊が進歩を生むという倫理観が行動原理となっている。戦闘能力が高く、人間の姿でも通常改造人間の3倍の力を持つため、そのままの姿でも V3と互角以上に渡り合える。また、人喰いカニを操ることもできる。サソリ毒の塗られた斧、猛毒「ルガー」を噴射できる盾、50万ボルトの電流を放つ剣などといった多様な使用武具には、デストロンのシンボルであるサソリの紋様が刻まれている。
 その正体は、デストロン改造人間カニレーザーである。
 4世紀から続くドイツ名門貴族の生まれ。1919年生まれの54歳(ショッカー大幹部の死神博士と同い年)。一族は優秀な人物を多く輩出してきたが、ときどきマッドサイエンティストが生まれたこともあったという。若いころはライン河沿いの「サソリ屋敷」と呼ばれる古城に住み、サソリとともに暮らしながら毒の研究をしていた。また妻帯者でもあったが、サソリの研究のために殺害した。城の周囲には同様にサソリ毒で命を奪った人々の骨が散乱していたという。
 第二次世界大戦中はナチス・ドイツに軍人として所属し、エルヴィン=ロンメル将軍のもとで活躍し残虐さで勇名を轟かせたという。
 ナチス・ドイツ崩壊後にデストロンの一員となり、チベットの幹部養成所で訓練を受け、チベット産の猛毒「ルガー」を生み出した。顔以外の肉体部分をすでに改造している。

 V3のことを「仮面ラァーイダV3」と独特の言い回しで呼ぶが、これは演じた千波丈太郎が、役に個性を持たせるために歌舞伎の見得を元に考案した癖である。当時の児童誌では、「日本に来たばかりであるため、日本語が上手に話せない」と解説されていた。目の周りを黒く塗るメイクも千波の意向によるものである。

日本支部長赴任期間1973年5~9月、全16作戦 ※(3)表記は1・2号・V3トリプルライダーと交戦した改造人間
ジシャクイノシシ、ガマボイラー、バーナーコウモリ、ミサイルヤモリ、スプレーネズミ&クサリガマテントウ、ハリフグアパッチ、ギロチンザウルス&ドクバリグモ、ウォーターガントド、タイホウバッファロー(3)、プロペラカブト、ゴキブリスパイク、カマキリメラン、ヒーターゼミ、ワナゲクワガタ、カメラモスキート、カニレーザー(本人)


 はい~、こんな感じでございますね。設定上、『 V3』に登場したただ一人のデストロン直属生え抜き大幹部となります。後続の大幹部お3方は、それぞれ自分達の組織を引き連れた状態でデストロンに招聘されたフランチャイズみたいな関係でしたもんね。悪の組織の業態もいろいろあるんだな~。
 あの死神博士と同い歳とはとうてい思えない貫禄を持ったドクトルG なんですが、自身は死神博士に近い冷酷非情さを持ちながらも、肉体は地獄大使のようにすでに改造人間手術を行っており、自ら陣頭指揮を執ることも辞さないという、両者の怖い部分を併せ持ったようなキャラクターになっています。
 今作でも登場してすぐに、サタンニウムの人体実験と称して、拉致されたと思われる若者3名を次々と放射能の餌食にしてしまう残酷さと、それをさも日常茶飯事でもあるかのように顔色一つ変えずに淡々と進めていくドクトルG の恐ろしさをアピールするくだりがあります。
 今回のデストロンの「サタンニウム強奪作戦」は、よくよく考えれば映画『仮面ライダー対ショッカー』と同工異曲、天才科学者の世界的発明を横取りしようとする企てなのですが、具体的なディティールの点で、デストロンとドクトルG の恐怖を強く印象付ける人体実験のくだりだったり、豪華フェリー「さんふらわあ」号や愛媛県のリゾートホテル「ホテル奥道後」とその周辺の観光施設、大手造船メーカー「くるしまドック」の工場敷地内から果ては高知県の高知城までといった風光明媚なロケ撮影の数々と、前作には無かった脚本・演出上の工夫が数多く見られます。当時のイケイケで予算マシマシな勢いがうかがえますし、とにかくどこの撮影でもピーカンでお天気が良かったのが最高ですね! 風見志郎と V3には、晴天の海と爆破が良く似合う!

 まぁ、沖田博士の「妹は、四国のホテル奥道後で働いています……」から始まる、妙にのんびりとした志郎・藤兵衛・珠姉弟の四国タイアップツアーや、到着したホテル奥道後のレビューホールで繰り広げられる、沖田博士の妹ひろ子が所属する専属ダンシングチームによる『恋のメキシカン・ロック』の約1分のダンスシーンなど、「なにしに来てんだっけ?」と思わず意識がもうろうとするお約束もあるわけですが、そこはそれ、日々地獄のような闘いに身を投じている方々のことですし、たまにゃそんなひとときがあってもいいんじゃないでしょうか。なんか、ごくごく最近に別の案件で同じように四国に来たよ~な気もするのだが……ま、いっか! みたいな。ギロチンザウルスもドクバリグモも、このデ・ジャヴを感じていたことでしょう。

 余談ですが、「悪の大首領の声といえば、このお方!」と、仮面ライダーシリーズにおいてほぼレギュラーとして出演されている(例外あり)、声優の納谷悟朗さんなのですが、オリジナル映画版としては初めて今作でしゃべります。でも、いてもいなくてもいいような作戦の内容確認を一言だけ……なんでしょう、TV 本編の作戦失敗以上のストレス案件には関わりたくないのでしょうか。その気持ち、わかる~!!

 それじゃま、作品の内容に入っていきましょう。いやほんと、観ていただくのがいちばんなんですけどね!


1、一に爆破、二に爆破。三、四が無くて、五に爆破。

 まぁ~、実際に撮影現場で爆破させる火薬量が、もうむちゃくちゃ。

・伝説その1、高知県室戸岬沖の無人島(設定上は紀伊半島勝浦沖のデストロン無人島基地)大爆破!(開始9分17秒後)こりゃ戦争かと思いますよ……
・伝説その2、同じく室戸岬海岸(設定上は紀伊半島の那智勝浦町・那智丹敷浦あたりの海岸)での、映画版オリジナルの新型改造人間タイホウバッファローの大人げない大砲斉射6発! そりゃ海岸線も変形しますわ。
・志郎、藤兵衛、沖田博士のかなり近くで爆破する火薬。これには瀕死の沖田博士も軽快に逃げ出します。
・伝説その3、ホテル奥道後の観光施設・錦晴殿周辺の決戦で、川に落ちて爆死するギロチンザウルスの水煙がハンパない。何十メートル上がってんの!?
・伝説その4、敵味方入り乱れた16名(ライダー3名、再生改造人間9名、戦闘員4名)をきれいに囲んでの10発連続大爆破! 爆煙でほんとになんにも見えなくなる迫力!! ただし、なぜか着弾地に一番近い距離にいるのがライダーでも改造人間でもなく、ことごとく戦闘員の方々であるところに、縁の下の力持ちとしての戦闘員の底力が垣間見える。

 これを、30分ちょいのひとつの作品で全部やってしまう豪気さよ!! めぐまれてるなぁ~、予算的にも、コンプライアンス的にも。今じゃ絶対に許可おりないでしょ!
 ロケ各地での、「そんなにやるとは思わなかったよ……」と青ざめる地元関係者の冷や汗で『仮面ライダーV3対デストロン怪人』は成り立っています!!
 『 V3』の次作『仮面ライダーX 』の時点でだいぶおとなしくなっている感もあるし、やっぱり『 V3』のあの時だけが、テンションと予算と撮影スケジュールが合致した、奇跡的なタイミングだったんだろうなぁ。ある時代の、貴重な記録ですよね。

 ところで、TV 本編の第20・21話のエピソードと今作が、同じ四国ロケの中で並行撮影されていたのは周知の事実なんですが、伝説その3のギロチンザウルス爆死カットが、まったく同じアングルと火薬量で第21話でも使用されているのです。なので、てっきり同じ撮影を2回使いまわしているのかと思ったのですが、TV 第21話で橋の上に立っているのはギロチンザウルスで、今作の橋の上に立っているのは V3なんですよね。ということは、わざわざ2回もこの大爆発をやらかしたってことなのかい!! とんでもねぇ~。
 それにしても、同じ橋の闘いでも、志郎( V3)とギロチンザウルスとで落ちる立場がエピソードによって全く逆って、両者にとって悪夢のようなシーンですよね……
 私、ふと思うんですが、この TV第20・21話と映画版の関係って、デストロン首領あたりが一回こっきりしか作動しないタイムマシンみたいなものを開発して、TV の作戦が失敗したから、みんなに内緒で時間を巻き戻して映画版をやり直した、けどやっぱ失敗でした~みたいな流れなんじゃないのかな? そう思わないと筋が通らないくらい、乗り物とか決戦場所とか、ゲストヒロインの顔立ちとかがおんなじなんだよなぁ~。21世紀に大流行りするパラレルワールド、並行世界設定をすでに先取りしていたのか、デストロン首領さま! すっご~い。すごいんだけど、そこら辺の底の知れなさが作戦の成功にいっさい寄与していないところが、実に首領らしいやね。


2、ドクトルG とタイホウバッファローの、血で血を洗う哀しき漫才地獄!!

 カミキリキッドのような TV本編バレもなく、順風満帆に映画オリジナルの目玉として登場した新型改造人間タイホウバッファロー!
 いかつい顔に両肩のどでかい大砲2門と、強そうなことこの上ないルックス。初登場時の、海岸で志郎を殺しにかかる斉射攻撃も大迫力で、役者さんへの着弾距離が近い近い! まずキャラクターとしては合格間違いなしの強豪ですよね。

 ただこのタイちゃん、誤射が多すぎないか……? ていうか、映像の中での射撃はぜんぶ外れてるんですが……

 いや、これはしょうがないですよ! だって、命中したら相手が死んじゃうんですから。それで狙ってるのが仮面ライダーなんだから、当てるわけにはいかないっていうのが特撮ヒーローものの敵役のつらいところでして……そこは触れるだけヤボってもんですよ。それはわかる!
 わかるんだけど、ライダーを狙ったはずの砲撃が、後ろのドクバリグモに3発すべて命中するか!? タイちゃん……わざと? なんか恨みでもあった?
 だいたい最初の海岸シーンからして、6発も撃ってるのに人間体の志郎をぜんぜん仕留められないのは、やっぱり照準機能に問題ありですよね。

 そんでもって極め付きは、クライマックスでの3人ライダー対再生改造人間軍団の大乱闘への10連発斉射なのですが、これは指示をしたドクトルG に大いに責任があります。

G   「一斉射撃で撃てい!」
タイホウ「今砲撃したら、味方もやられてしまいます!」
G   「構わん、撃て、撃つのだ! 味方がやられても、仮面ラァーイダを倒せばよいのだ、撃てぇい!!」
タイホウ「……バーフォウ……(斉射)」

 最後の「バーフォウ」が、どう聴いても溜め息にしか聞こえないのが哀しすぎるのですが、結局、自身の功に焦りすぎたドクトルG のせいで、9体もの再生改造人間の同志たち(と4名の戦闘員さん)を一瞬で皆殺しにしてしまったタイちゃん……上司にちゃんと意見しているあたり、真面目で責任感のある改造人間のようですので、それゆえの精神的後遺症が非常に心配です。その後の言動も、「こうなったら、貴様たち(ライダー3人)と一緒に自爆してやる!」などと、最初から勝つ気のない自暴自棄な様子が痛々しい! 労災、おりるといいですね。
 結局、ラストの肉弾戦では大して善戦もできずライダー1・2号のライダーダブルキックと V3の V3キックのコンボで爆死するのですが、とどめを刺した V3が、「 V3反転キック」でなく、いくぶん手心を加えた「 V3キック」で引導を渡したあたりに、V3なりの思いやりを見た気がしました。武士の情けか……

 ドクトルG ……映画冒頭での、あのクールな落ち着きは一体どこへ!? 『鬼滅の刃』の鬼柱もかくやの大虐殺!! そんな大失策、地獄大使でもやってないよ!?
 それなのに、手持ちの戦力が全滅した後に「ええい、だらしのない怪人軍団め!」とかのたまってるんだもんね。自分で半分以上殺しておいて、最低すぎるよ、この上司! 再生改造人間の生還率を劇的に上げていた、『仮面ライダー対じごく大使』の地獄大使の爪の垢を煎じて飲めい!

 このタイホウバッファローの誤射多すぎ問題なんですが、これってもしかして、タイちゃんを開発したというデストロン科学部門幹部(当時)の結城丈二の、作戦失敗を企図した裏切り工作なのでは? のちのちの展開を見越した伏線、すごいな……
 でも、あくまでも「この時点」での結城丈二なんですから、おそらく仮面ライダーの勝利のために工作したというよりは、「ドクトルG の失敗」のためにやったのかも知れませんね。醜い足の引っ張り合いは、ここでも起きていた!?

 最後に恒例として、本作で登場し、華やかに散っていった改造人間のみなさまのご最期をまとめてみましょう。合唱。

登場した12体中、本作で実際に仮面ライダーたちと戦闘した改造人間は……(殉職順に)
・ギロチンザウルス( V3の「 V3反転キック」を受けて橋から転落、爆死)
・ドクバリグモ( V3の「 V3反転キック」を受けてもこらえていたが、タイホウバッファローの大砲の誤射3発を浴びて爆死)
・ピッケルシャーク、ジシャクイノシシ、スプレーネズミ、ミサイルヤモリ、ドリルモグラ、クサリガマテントウ、バーナーコウモリ、レンズアリ、ガマボイラー(タイホウバッファローの大砲10連続誤射を浴びて全員殉職)
・タイホウバッファロー(仮面ライダー1・2号の必殺技「ライダーダブルキック」を受けてもこらえていたが、V3の「 V3キック」でとどめを刺され爆死)

 今回の再生改造人間軍団伝統の名乗りシーンは総勢9体か……まぁ新興デストロンだし、少数精鋭ってことで!
 余談ですが、1973年2月の活動開始以来、デストロンで実施された再生改造人間投入作戦は、今作『仮面ライダーV3対デストロン怪人』と、1973年8月の第27・28話のショッカー&ゲルショッカー大幹部復活作戦、そして1974年2月の最終話『デストロン最後の日』の3回のみです。『仮面ライダー』のショッカー時代に比べてだいぶ少なくなったなぁ……首領も心境の変化があったのかな?

 ところで、ゾル大佐や死神博士の日本支部長時代に触れた「作戦失敗14回目がヤバい」のジンクスなんですが、今回のドクトルG に当てはめてみますと、本作の「サタンニウム強奪作戦」はまだ9回目の失敗です。「まだ」?
 そんでもって、ドクトルG の14回目は、あの「ショッカー&ゲルショッカー大幹部復活作戦」なんですよねェ~。ジンクスは、ここでも生きていた! こっちの方も映画なみの豪華作ですよね。


3、前作の失敗を大いに活かした緊張感のある物語構成&余裕のある演出

 ともかく本作は、『仮面ライダー対じごく大使』が悔しがるんじゃないかと思われるくらいに作りに余裕があり、開始して約8分で志郎がデストロン基地に潜入するサスペンスシーンに入り、再生改造人間(ジシャクイノシシとピッケルシャーク)が登場するやいなや、対する志郎も V3に変身するというスピーディな展開は、志郎を演じる宮内さんのアクションもあいまって、子ども心をガッチリつかむテンポと緊迫感に溢れています。いいぞ~。
 ところで、本作では紀伊半島で失踪してから本編経過時間にして3分12秒後という結構早いタイミングで、愛媛県のホテル奥道後に現れ藤兵衛たちと再会する志郎なんですが、あまりにも復活が早すぎて主人公不在の不安感を持つヒマもないこの展開、なんで差し込んだの? 宮内さんの撮影スケジュールの都合?
 これ実は、TV 本編第20・21話のほうで、本州から愛媛に移動する際に乗っていた豪華フェリー「さんふらわあ」号の中で、志郎がデストロンとハデに闘うシーンがあったからなんでしょう。映画でも船上で闘うわけにはいかないもんねぇ。

 作品の絵的な美しさで言うと、ホテル奥道後隣接の遊園地での追跡シーンの、湧ヶ淵から錦晴殿までのロケーションもかなりいいですよね。錦晴殿も現存していないし、今となっては史料映像です。金色の殿堂の前で変身のポーズを決める志郎のカッコよさ!! あと、ホテル奥道後でのダンサー衣装のまんまで白昼堂々逃走する沖田ひろ子さんの下半身が、昭和の子ども向け番組としてはかなりきわどいのも、ギャップがあって刺激的ですね!
 その一方で、ただ単にロケ時の天気が良かったからいいというだけでなく、ホテル一室での志郎や藤兵衛たちが作戦会議を開くシーンで、座っている藤兵衛たちに対して、ひとり立ち歩く志郎だけがツルッツルの鏡面になったテーブルに映り込んだ姿で会話しているという、仮面ライダーシリーズらしからぬオシャレな画面構成もあったりして、油断しているとドキッとする演出もあるんですよね。こういうのが、作品作りの余裕なんだろうなぁ。円熟の証です。

 その他、気になった点だけをつらつらと挙げていけば、冒頭にスッと現れて沖田博士を拉致する、黒帽子に黒スーツに黒サングラスという怪しさ全開の謎の男役の中村文弥さんが、実にふてぶてしくていい! 高知城での藤兵衛たちとのやり取りも悪の色気があって最高です。さすがは未来のデストロン大幹部(雇われ)。ドクバリグモに戻らないで~!
 同じく高知城ロケにて、お城の石段を愛機ハリケーンで盛大に「ズダダダダ!」と駆け降りる V3。いやーん、国史跡&日本百名城!! 山内一豊もビックリよ。

 その他、愛媛県のくるしまドックの造船所内ロケで、遠景のドック屋上から V3を見下ろしていたドクトルG なんですが、演じる千波丈太郎さんは四国には行かなかったらしいんですね。つまりこれは、関東で別撮りした千波さん本人のアップショットと、ドックでドクトルG の衣装を着たスタントマンによる遠景ショットをうまく組み合わせて、あたかもドックにいるかのように構成した妙技! さっすが、主人公本人が大ケガやら失踪やらで現場からいなくなっても番組放送に穴を開けなかった制作スタッフは、腕が違うな~!!

 最後に、さすがにこれを外すわけにはいきません。変身前の人間での姿が見られないのは残念ですが、やぁ~っぱり、仮面ライダー1・2号の再登場はアツい!! 本人の声による吹替えなのもいいですよね。
 確かに、ひとりのライダーの孤高の闘いを描く『ゴーゴー仮面ライダー』や『仮面ライダー対じごく大使』もすばらしいのですが、オープニング映像での3人ライダーのバイク集結&後ろドッカーンからして、ハートをガッチリつかみ取られてしまいます。特に私は、ファミコンの『仮面ライダー倶楽部』をやってたから、あのお3方にバイクで一斉ジャンプされちゃうと、もうね……テンションMAX ですよ。
 その後何度となく繰り返される歴代ライダー集合のくだりなんですが、まぁ繰り返すには繰り返すだけの理由があるんですよね。でも、前にも言ったことがあるかもしれませんが、ヒーローの集合は「5~6人くらいまで」が限界じゃないですか。それ以上増えると効果は薄まる一方なんじゃないかなぁ。各自のキャラクターや見せ場は少なくなるし、敵の方がかわいそうに見えてきちゃうしねぇ。


4、ひずる、ひずる、ひずる~!!

 珠純子役の小野ひずるさんがとにかく綺麗! これだ! 今までの「仮面ライダーシリーズ」に足りなかったのは!!
 ……って言うと歴代ライダーガールズのみなさんに対してあまりにも失礼なわけなんですが、本来のヒロインになるはずだった緑川ルリ子さんの、本郷猛渡欧の巻き添えを食ったような降板いらい、物語に立花藤兵衛レベルでがっつり絡んでくるヒロインは絶えていなかったと思うんですよね。そこで満を持して登場したのが、シリーズ初の全編を通してのメインヒロイン・珠純子であるわけなのですが、演じる小野さんが美人! ただそれだけで、いい!!
 昭和特撮の伝説のヒロインといえば、なんてったって仮面ライダーと双璧をなす、円谷プロのウルトラシリーズにおける『ウルトラセブン』のアンヌ隊員(演・ひし美ゆり子)が真っ先に挙げられるかと思われるのですが、なんだかんだ言ってもいっぱしの戦闘要員であるアンヌ隊員に対して、純子さんは非力&可憐! す~ぐにデストロンのみなさんにとっつかまっちゃう! だが、そこがいいんだなぁ~!! それでも、めげずに志郎について行こうとするたくましさにこそ、純子さんの唯一無二の魅力があると思うんですよね。

 なにはなくとも、ヒロインが外見、内面ともに美しいということは、実に大切なことです。このことは、図らずも『 V3』の次作が、逆の意味で証め……いえ、なんでもないです、速水さん……

 それにしても、全ての闘いが終わった後、同じく「さんふらわあ」号で本州へ帰る一行のくだり。屋外プールのシーンで純子姉さんのビキニ姿をちょっとしか映さない制作スタッフのいけず~!! そりゃあ、プールサイドにいる志郎も藤兵衛も、そろって目線の読めないサングラスをかけますよね。
 ただここでビキニ以上に見逃せないのは、純子姉さんが超小声でささやく、「わたしは平(泳ぎ)よ……」という、アフレコで差し込んだアドリブゼリフの妙なおもしろさなんですよね。これ、バタ足で泳ぎ出した弟のシゲルや沖田博士の弟・正夫をうけてのものなのでしょうが、そんなこと言いながらプールで泳ぐひといないでしょ! ギャグセンスありますね、ひずるさん!!


 ま、そんなこんなで、前作『仮面ライダー』の映画版での苦労のあれこれが報われたかのように、まさに神の子のごとく祝福された歴史的快作『仮面ライダーV3対デストロン怪人』だったのですが、やはりこのような「無敵モード」がいつまでも続くわけではなく。早くも次作において、昭和ライダーシリーズの大いなる「終わりの始まり」は、静か~に静か~に忍び寄ってくるのでありました。ま、終わりったって、50年続くんだけどね!

 いや~『 V3』の世界って、いつ観ても元気が出ますよね! でも、火薬多めの爆破は危険だから、みんなは真似しないでね!!
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なんで馬に乗ってるセミがこんなにかっこいいのだろう 映画『仮面ライダー対じごく大使』 ~本文~

2022年01月16日 01時52分35秒 | 特撮あたり
≪資料編は、こちら~。≫

 どもども、みなさんこんばんは! そうだいでございます~。2022年も本格始動してまいりましたが、みなさん景気よくスタートはきれていますでしょうか? 私は思った通りのばったばたで、さっそく息も絶え絶えよ……嗚呼、安寧に日々よ、いずこに!?
 ぜんぜん関係の無い話から始めてしまうのですが、フランスのジャンジャック=ベネックス監督が亡くなられましたね。享年75だとか。
 ベネックス監督といえば、なんてったって『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』(1986年)なわけなんですが、1990年代に高校生だった私は、「タイトルからしてエロそうだぞ!」といった芸術性のかけらもない下心から、衛星放送での深夜放送を録画してこの作品を観てしまい(よりにもよって178分の『インテグラル』のほうね!)、やらしいとかやらしくないとかいう上っ面な先入観を粉々に破壊するものすんごい男女の「業の炎」を垣間見た思いがしたもんです。おかげで、自分のそれ以降のいろんな価値観をベッコベコのぐにゃんぐにゃんにねじ曲げられた思い出の作品であるんですが、ほんと、ものすごいよ『ベティ・ブルー』は……それまで『おそ松くん』のイヤミとボーダー柄シャツくらいしかイメージの無かった自分の中のフランス感に革命が巻き起こりましたもんね。気がついたら、足がしびれるのも忘れて正座して観てました。高校生にゃ早かったか~!! ガブリエル=ヤレドの絶妙に気の抜けた音楽サントラは、私が人生で最初に買った CDアルバムでした。今でも持ってますよ。最高。

 さてさて、今回のお題は、同じ映画は映画でも、本場ヨーロッパのエスプレッソコーヒーと千葉県名物 MAXコーヒーほどに違いのある、映画『仮面ライダー対じごく大使』(1972年)のお話でございます。どっちもいいじゃん。みんな違って、みんないい!!

 んまぁ~これも、仮面ライダーシリーズの映画作品としての前作にあたる『仮面ライダー対ショッカー』と同じく、我が『長岡京エイリアン』にて8年も前にあげた記事の続きなわけなんですが、前回の記事で触れているように、いろんな事情があってバタバタした状況の中で制作された作品なのでありました。さすがに『ゴーゴー仮面ライダー』ほどじゃないにしても、ただでさえ TV本編の撮影と同時進行で忙しいのに、主役がまたいなくなっちゃうんだものねぇ。ふつうの撮影現場では考えられない異常事態が出来してしまったわけです。
 なので、この『仮面ライダー対じごく大使』は、前作以上に『仮面ライダー』放送の巻き起こした「へんしんブーム」が沸騰している中で、満を持して世に出たオリジナル映画作品であるのにもかかわらず、よくよく観てみると、前作ほどの完成度がないというか、いまひとつ盛り上がらないまま34分が過ぎてしまうような印象があるように思えます。いや、映画作品として豪華な部分はちゃんと豪華なんですけれどもね。

 今回の記事では、なぜこの『仮面ライダー対じごく大使』がそんなにパッとしないのかをじっくりと考えてみたいのですが、決して明らかな失敗作というわけでもないというところが、またこの作品の実に興味深いところなんですよね! もちろんです、こんなところでコケてしまったら、50年も続く伝統にはなりませんから! 前作からちゃんと進化している要素もありますので、そこもチェックしていきましょう。


 まずは、この作品での注目すべき「 good!」ポイントから。

〇本郷猛、というか藤岡弘(現・弘、)が、いよいよらしくなってきたぞ!
 前作でも、ショッカー骨戦闘員を気絶させておいて隠れ、戸惑う再生改造人間のみなさんを高みの見物で眺めてほくそ笑むという強者感を出していた本郷なのですが、単独主演となった今作ではさらに、手榴弾を投げて爆殺したはずの本郷の遺体を確認しようとヘリから降りてきた骨戦闘員をまた高みから見下ろして、「探し物かね!?(ギロッ)」とドスのきいた声でにらみつけるというドッキリをしかけています。こわすぎ……
 しかし、それに対して失禁もせずに「まだ生きていたのか!?」と応じる骨戦闘員の姿に、後年にはとんと見られなくなった、ただでは死なないという気概を見たような気がして涙が出ました。勇気ありすぎでしょ! なんで歳を取ると、ヒーローよりも下っ端戦闘員さんのほうに感情移入しちゃうんでしょうかね……私だけか。
 諸事情により出演シーンがちょっぴり少なめな本郷猛なのですが、主人公感がここにきてピークを迎えた感があり、スマートながらも非常に男っぽくかっこいい本郷が堪能できます。悲劇の青年でなく、巨大組織に勇気と自信を持って立ち向かう文字通りのヒーローになったわけですね。相棒の滝和也の殺陣もノリにノッているし、アクションシーンがかなり爽快!

〇なにはなくとも地獄大使! 上司にしたい悪の大幹部ナンバー1!!
 いや~、映画のタイトル通り、やっぱりこの作品の魅力の大半は彼に負うところが多いですよ。っていうか、今回の作戦もショッカー大首領さまはノーコメントかい! もうこのころには、日本支部には愛想を尽かしきっていたのかしら……
 ここで、魅惑の地獄大使に関する情報のあれこれを。

 地獄大使とは( Wikipediaより)
 ゾル大佐、死神博士に続いてショッカー日本支部長に着任したショッカー大幹部。シリーズ第1作『仮面ライダー』の敵幹部としては登場期間が最も長い。前任の2名とは異なる改造人間然とした容姿や、演じた潮健児による怪演が視聴者にインパクトを与え、人気を博した。
 第52話でショッカー南米支部へ異動した死神博士に代わり、東南アジア支部から日本に着任した。世界各地に156にも及ぶ秘密基地を作った功績を持つ。首領への忠誠心が非常に強い。古代エジプトのファラオの仮面をモチーフにしたような特異なヘルメットや凝ったコスチューム、特注のショッカーベルトを常に身にまとっている。顔の毒々しいメイクは改造手術によるものらしい。戦闘時の武器は、電磁鞭と左手のアイアンクロー(鉤爪)。
 陣頭指揮能力が高く、他の日本支部幹部よりもアジトから出て前線におもむく機会が多い。大規模基地の建設や全国規模のテロなど大がかりな作戦を得意とし、さらに従来の幹部以上に細菌兵器を用いたりと、数多くの作戦を指揮する。しかし、感情の起伏が激しく冷静さや緻密さに欠けるため、作戦の詰めが甘くなりがちな一面を持つ。
 現場で部下に気さくに激励の声をかけるなどの鷹揚さや、人質とした人間にもショッカーを代表して礼を尽くすなどの人間性も合わせ持つ。しかし、前任の死神博士とは折り合いが悪く、自分の在任中に彼が来日した際には、協力的な素振りを見せつつ互いに牽制し合っていた。
 本名はダモン。アメリカはサンフランシスコのバークランド街出身。スラムで育ち、アルカトラズ刑務所から脱獄した経歴も持つ。
 ガラガラヘビの研究家として北アメリカ西部の砂漠地帯で研究を続けていたが、その後、新興国家のゲリラ軍大佐に任命されて革命を指揮する。その地で仲間の裏切りによる銃創を負い死亡した後、ショッカーによる改造手術を経て改造人間として復活し、ショッカーに所属することとなった。
 「地獄大使」という名は、「ショッカー本部(地獄)の外交官(大使)」という意味合いで名乗るようになったものである。
 地獄大使の原型は、原作者の石ノ森章太郎が提案した敵キャラクター「ビッグゼロ」で、人間的な容姿だった先の2大幹部との差別化のために機械的な要素を強調していた。だが、実際の地獄大使の衣装はビッグゼロのシルエットを踏襲しつつも、番組プロデューサーである平山亨の案により、演じる潮の顔が見えるデザインになった。平山によれば、特徴的なデザインに負けない役者は潮しかいないと考えたという。ビッグゼロの「コンピューターの怪物」というアイデアは、石ノ森のコミカライズ版『仮面ライダー』に登場するショッカー大幹部「ビッグマシン」という形で活かされている。

日本支部長赴任期間1972年4~9月、全27作戦 ※( W)表記は1・2号ダブルライダーと交戦した改造人間
ジャガーマン、海蛇男、ゴキブリ男、ギリーラ、ドクモンド、毒トカゲ男、ミミズ男、フクロウ男、ナマズギラー(一時来日した死神博士と共同)、ハリネズラス、サイギャング、セミミンガ、カブトロング、カミキリキッド、ギリザメス、カミキリキッド(映画版)、ギラーコオロギ、エレキボタル、アブゴメス、モスキラス( W)、シオマネキング( W)、シラキュラス、バラランガ、シードラゴン1~3世、イモリゲス、ウニドグマ、ガラガランダ(本人)

 出ました、ショッカー最後の日本支部長・地獄大使! まさにショッカーと共に生き、ショッカーと共に死んだ男。
 非常にざっくりした解釈をしますと、前任の死神博士が「理論派」、「ショッカー大首領哲学の共鳴者」、「天才肌」であるのに対して、地獄大使は「武闘派」、「現場のまとめ役」、「たたき上げ」という感じになるでしょうか。ショッカー大首領が織田信長ならば、死神博士は明智光秀で地獄大使は羽柴秀吉ってことになるでしょうか。ゾル大佐は……丹羽長秀ぐらいかな。
 ある組織が拡大する時、トップの理想をちゃんとわかっている幹部も、一方で末端で実際に働く構成員の意見や不満を聞く幹部も両方ともなければ、いつか上と下との間に認識の食い違いが生じて、それがひび割れのように組織全体を崩壊させてしまうことになると思うんですよ。ですから、『仮面ライダー』における死神博士と地獄大使の対立関係は、実は本郷猛ら反乱分子の存在以上に、ショッカーの命運に重大な影響をもたらす問題だったのではないのでしょうか。ほら、やっぱりああなっちゃったし。

 孤高のカリスマ性と氷のように恐ろしい雰囲気で日本支部を統括していた死神博士に対して、地獄大使はいかにも山賊みたいなゲリラ軍の親分と言ったていで、直接の部下に当たる改造人間にはもちろん、名もなき戦闘員のみなさんに対しても非常にフランクな態度をとっています。ただし、もちろん支配せんとする一般市民や失敗した部下は一転して残虐無比、冷酷非道な仕打ちで臨みます。また、その特徴的すぎるお顔の、笑った時と真顔になった時の表情の温度差がすごすぎるんだよなぁ! まさに稀代の役者・潮健児さんの独擅場でした。後年、平成を代表する名優・大杉漣さんも地獄大使を演じましたが、正直言ってあの大杉さんでさえ、コスチューム負けしてましたもんね、シックな黒にしたのに。ハデハデ金色のあのスーツを着てても顔がいちばん目立つ役者さんって、世界広しといえどもそうそうはいないよね!?
 作戦がうまくいきそうな時には、仇敵に対してもモニター越しにおどけた敬礼をして、「グッドバイ、仮面ライダー、滝和也。ふぁっふぁっふぁっふぁっふぁっ!」とおふざけをする地獄大使の人間味。そして笑う時は大爆笑、しかしちゃんと周囲にいる戦闘員の表情をひとつひとつ確かめて、「おもしろいよなぁ、みんな!」と意思疎通を図る細心ぶり。ここらへんの豪快さと繊細さとが一体になったカリスマ性と危うさは、映画『アンタッチャブル』(1987年)のロバート=デニーロもかくやというリアルさがありますね。野球バットこわいよ~!!

 今回ショッカーがしょうこりもなく企てた「スーパー破壊光線作戦」は、地獄大使の日本支部長として「16番目」の作戦になります。この時点ですでにゾル大佐と死神博士の作戦失敗数を超えちゃってるんですが、大使はそんなことは気にしないし、めげる素振りもない! まだまだこのくらいで殉職するタマじゃないんだよなぁ。そのメンタルがうらやましいよ!
 この作戦は、ショッカーが秘密裏に富士山頂に建設した大要塞から放つ破壊光線で、首都・東京をはじめとした日本の主要都市を直接焼き払うという実に分かりやすいものなのですが、どうやら欲ばりな地獄大使は、それをダシににっくき本郷猛と滝和也をおびき寄せてついでに殺してしまおうという一石二鳥の妙案を思い立ちます。思い立ってしまいます……
 映画の冒頭、破壊光線の完成に気づきもしないでのんきにバイクレースに参加する2人に自分からちょっかいをかけ、わざとらしくショッカーのマークをでかでかと描いて覆面の戦闘員がふつうに運転するトラック輸送隊をこれ見よがしに走らせ、大使おんみずからもまんまる漆黒のおしゃれなクラシックカーに乗って同道し、富士山大要塞へとご案内~。これで作戦が成功したらいいんですけれども、ね。この大胆不敵さが、地獄大使の魅力であると同時に、最終的に27回もライダーに敗れまくってしまう原因でもあるんだよなぁ! ショッカー大首領もその処遇にはそうとう苦慮したことでしょう。

 案の定、今回もライダーたちの活躍によって富士山大要塞はみごとに光線砲ごと破壊され、地団太を踏んで悔しがる地獄大使でしたが、崩壊するガレキが2回も自分の頭に直撃する(ふつうの人間なら即死×2です)という切迫した状況の中でも、「おのれ仮面ライダーめ……全員退避ぃい!!」と、冷静に部下の安全確保を忘れない態度には、昨今なかなか見られない上司の鑑をみた思いがしました。こういうところもあるから、地獄大使は嫌いになれないんだよなぁ! 紀伊半島の南端にでもドラム缶の陰にでも、どこにでもついていきま~っす!!

〇動員人数こそ少なくなっているが、再生改造人間の地位が向上している。人員配置が非常に効率的!
 このポイントは良い点か良くない点か、見方によってどちらともとることができるのですが、作中に登場するショッカーの改造人間軍団が、前作よりもかなり「少数精鋭」になっています。この「少数」と「精鋭」、どっちを評価基準にするかなんだよなぁ。
 今作で登場する改造人間軍団は、新型(じゃないけど)のカミキリキッドも含めて総勢19体。そのうち、前作のひそみに倣ってか中盤の大乱戦シーンの直前に富士山の中腹に並び立って名乗りを上げた戦闘部隊は11名となっております。
 もうこのくらいで十二分に総動員なはずなんですけれども、まぁ前作が「総勢40体、名乗りシーン28体」でしたからねぇ……変身ブームのさなかで目の肥えた子ども達にとっては「あれ? このくらいなの……?」と見えちゃったかも知れません。

 ただ、ここで声を大にして言いたいのは、前作に比べて、人数が少なくなったぶん再生改造人間の見せ場や個性がかなり丁寧に描かれるようになり、実際に作戦への加わり方としても非常に堅実かつ計画的な運用がなされているという、実にショッカーらしくない「成長」が見られることなのです。これはすごい!

 再生改造人間の個性という点で言うと、本郷と滝を空中から爆撃するショッカー飛行部隊の構成員として登場するセミミンガとゴキブリ男を見逃すわけにはいきません。ところでゴキブリ男って、そんなに飛行部隊っていうほど長距離飛べるか?
 まずゴキブリ男は、その名の通り非常においしい汚れ役を演じていまして、ライダーに捕らえられショッカー大要塞の場所を詰問され苦し紛れに「富士のぉ……」と白状しかけたところを、カミキリキッドのレーザー光線を浴びて粛清されます。「富士」って言っちゃったから口封じになってないよ~!!
 その末期の、カミキリキッドとの会話が実にふるっています。

ゴキブリ男  「どうしておれがやられるんだ!?」
カミキリキッド「貴様が間抜けだからだ!!」
ゴキブリ男  「くやしい~!! ゴリゴリゴリゴリ……(爆死)」

 さすがはゴキブリ男、非常に味わい深いキャラクターです。ゴキブリ男もそうなんですが、地獄大使時代の改造人間ってスーツ造形もかなりいいですよね。予算が潤沢だったろうし。
 もう一方のセミミンガは、これこそ映像を観てもらうより他はないのですが、朝霧高原での騎馬戦闘シーンでの乗馬した姿が異常にサマになってるんですよね! なんか、肩から頭にかけてのシルエットが戦国武将の当世具足みたいでか~っこいいのなんのって!! 硬質な翅が乗馬で上下するごとにいい感じにはためくし、頭部なんか完全に兜そのものですよ。ダークブラウンな体色も抑えめで曇天の朝霧高原に絶妙にフィットしていて、大河ドラマ『葵 徳川三代』の関ヶ原合戦シーンに紛れ込んでいてもぜんぜん遜色ない風格になっています。セミよ、セミ!? セミが騎馬部隊を指揮してライダーをロープでがんじがらめにして「引きずりまわせぇい!!」って言ったり、「退けい! 退けぇえい!!」って配下に下知したりするわけですよ。妙に時代劇がかってテンションの高いセミ……これには地獄大使もにっこりでしょう。こういうノリノリで仕事をするタイプ、大使は絶対好きですよね。この騎馬アクションシーン、全体的に覆面の戦闘員やらセミやらバッタやらに乗られている馬のみなさんの表情が、「今日はヘンなお客さんが乗ってるなぁ……」というあきれ顔になっているようで非常に味わい深いです。

 他にも、今回は自分の名前をちゃんと正しく発音しているムササビードルとか、陽動作戦の指揮を執って「ライダー! おれたちショッカーの勝ちだ!!」というショッカー日本支部全職員が希求してやまなかったセリフを大喝するザンジオーなど、随所で再生改造人間が光る場面が多いのですが、いちばん注目したいのは、登場した改造人間19体中、ノーダメージで生還したのがなんと9体という奇跡の数字なのです。前作『仮面ライダー対ショッカー』では、名乗るだけで退場とかでなく実際に作戦に参加した14体はもれなく全員ダブルライダーに屠られるか、ダメージを受けて画面から消え「やっつけられたこと」になるかしていたのですが、今回は「自分の役割が済んだら速やかに撤退する」という現場ルールが徹底されており、無駄死にが激減しているのでした。これはすごい!

 登場した19体の改造人間、その動向(殉職かその可能性のあるものは×、生還は〇)
×カブトロング(1号のふつうのパンチで倒れ込み生死不明)
〇ハリネズラス(本郷猛の動きを確認して戦闘員に配置を指示し、撤退)
×ギリーラ(1号のふつうのチョップを受けて崖を転がり落ち生死不明)
×ゴキブリ男(苦しまぎれにショッカー大要塞の場所を漏らしかけたところをカミキリキッドのレーザーで粛清される)
〇ジャガーマン(ショッカー戦闘員バイク部隊の全滅を受けて撤退)
〇サイギャング(ショッカー戦闘員バイク部隊の全滅を受けて撤退)
〇セミミンガ(ショッカー戦闘員騎馬部隊の劣勢を受けて撤退)
〇ゴースター(1号との混戦の中、坂の上をウロウロしてその後は生死不明)
〇キノコモルグ(1号を包囲した後は生死不明)
〇ムササビードル(1号を包囲した後は生死不明)
×プラノドン(1号のふつうのパンチを受けて倒れ込んだ後は生死不明)
×海蛇男(1号のふつうのチョップを受けて坂を転がり落ちた後は生死不明)
×ドクモンド(1号のふつうのパンチを受けて倒れ込んだ後は生死不明)
×ザンブロンゾ(1号の「ライダーパンチ」を受けて爆死)
×毒トカゲ男(1号に投げ飛ばされ爆死)
×ミミズ男(1号に投げ飛ばされた毒トカゲ男の爆発に巻き込まれ爆死)
〇エイキング(1号の撤退により生還)
〇ザンジオー(1号の撤退により生還)
×カミキリキッド(1号の「ライダー返し」、「ライダーパンチ」、「ライダーキック」を受けて爆死)

 うむむ、これも改造人間の処遇に手厚い地獄大使のなせる業か! 効率が非常に良い人員配置です。まぁ、結局全部失敗するんですけど。
 よくよく考えてみますと、とにかく数多く再生させときゃいいだろみたいな印象のあった死神博士の作戦展開に比べて、地獄大使時代のショッカー日本支部は再生改造人間の作戦投入がかなり少なく、この『仮面ライダー対じごく大使』までの時点では、

第66話『ショッカー墓場 よみがえる怪人たち』(1972年7月)、第68話『死神博士 恐怖の正体?』(1972年7月)、映画『仮面ライダー対じごく大使』(1972年7月)

 これだけなんですよね。2件目は完全に死神博士主導の作戦だし。
 おそらく地獄大使は、過去の改造人間の大量再生産よりも、新型で強力な改造人間の開発を優先させる方針だったのではないでしょうか。それはやっぱり、自身も普段から顔以外は改造人間としての本性(果たしてそうかな?)を隠さずにいた大使なりの「改造人間の人権」と人類の革新を考えた哲学だったのでしょう。適材適所、適性最優先の合理的感覚ですよね! 雪のまだ残る富士山にエイを投入してたのは……まぁなにかの手違いでしょう。
 また、ジャガーマン以降の自分の「手塩にかけた部下」を集中的に再生している感じも、実に地獄大使らしいですよね。今回も、死神博士が派遣したナマズギラーは再生させてませんからね。逆に、そんな中でも特別に再生されたムササビードル、キノコモルグ(日本支部長不在時代に初登場)、ザンブロンゾ、エイキング(ゾル大佐時代に初登場)、ゴースター、プラノドン、ザンジオー(死神博士時代に初登場)あたりの面々が、どうして大使のお眼鏡にかなったのかが気になる~!! さすがに旧1号時代の改造人間はキツかったか……タイツじゃ寒かったろうしね。

〇天候は良くないが、朝霧高原と富士山ロケはやっぱり壮観。
 これはもう、映画作品ならではの魅力ですよね。基本的に曇り空だったのが、かえすがえすも残念! でも、朝霧高原は曇天の方が雰囲気が出ていて良かったかも。
 作戦規模はまさに映画らしく壮大で、作中でもジープの爆破やショッカー東京支部(東京都町田市のお化けマンション)の大爆発シーン、目玉となるショッカー富士山大要塞とその周辺の兵器施設の威容、人質になって磔にされた立花藤兵衛たちの遠景といったカットでミニチュア撮影が多用されるのですが、ちょっと円谷プロだったらとうてい許されないような「ほんわかした。」手作り感に満ちているのが逆にすばらしいですね。トカゲロンのその他の爆殺シーンからぜんぜん成長してないよ~! でも、そこらへんが『仮面ライダー』なんだよなぁ。ライダー変身シーンの手書きアニメエフェクトと同じ温かみがありますよね。


 字数もだいぶかさんできたのですが、それらの「 good!」に対して、決して無視できない「ビミョ~」なポイントもあるんですよね~。これらに触れないわけにはいかないのです。

●なかなか改造人間が登場しない……つかみは大切だ!
 始まって10分も経とうかというタイミングで(9分20秒後)やっとカブトロングが登場。しかも、その役割が「毒ガス室の天井の非常口のおもし」とは……なんという、しみったれた改造人間の使い方! 「選ばれし超人類」の理想って一体……
 参考にすると、前作『仮面ライダー対ショッカー』では、始まって6分45秒後にハエ男が登場し、しかも味方のはずの人間(阿野くん)が実はハエ男の擬態だったという驚きの展開もあり、仮面ライダーとの虚々実々の「変身合戦」の開幕を飾る印象的な演出となっていました。
 でも今作では、ショッカーの改造人間も人間に擬態するシーンはなく、本郷猛さえも最初は変身シーンをカットして唐突にライダーになってしまいます(変身シーンは16分45秒後までおあずけ)。これは撮影時に主人公が不在とかいうありえない事情があったからなのでしょうが、「へんしん大会」のメインプログラムなのに最大の盛り上がりどころが遅くなってしまうのは、作劇的にちょっと痛いですよね。ましてや、お客さんは大人以上に我慢のきかない子ども達が中心ですから。

 子ども達待望の再生改造人間とライダー&滝の集団戦がスタートするのも(ショッカー飛行部隊の登場)、始まって15分以上経ってから(15分55秒後)なんですもんね。これも、前作の「始まって8分35秒後」に比べると実に遅く感じます。もったいぶってるんだよなぁ~。

●立花「ショッカーの新怪人!」、本郷「ショッカーの新怪人か!」 誰かさんのせいで、新怪人じゃなくなっちゃったの……
 不運だなぁ、カミキリキッド……本作での大看板の新型改造人間のはずなのに、もう TVで出ちゃってるんだもん! 前作のギルガラス以上にごまかしのきかない見切り発車の被害者ですよね。必殺技の触角からのレーザーが、仮面ライダーシリーズでは非常に珍しい光学処理になっているくらいの強豪なはずなのですが、立花レーシングクラブを襲撃したら、百戦錬磨のおやっさんに、

カミキリ 「おれはカミキリキッドだ。おれと一緒に来い!」
立花   「来いと言われて行くバカがあるか!!」

 って返されちゃうし……カミキリキッド、完全になめられてるよ~。
 先ほど言及したゴキブリ男の粛清のように目立つシーンもあるにはあるんですが、前作で再生ドクガンダー成虫に「やれい!」とこき使われていたザンジオーのほうが強く見えていたのは、なぜなんでしょうか。クライマックスのアクションが、前作の「ザンジオー VS 2人のライダー feat.クマだか犬だかよくわかんないぬいぐるみ」という趣向を凝らしたものだったのに対して、TV本編とそう変わらないライダーとの1対1の淡々とした闘いだったのも、今一つ強さが伝わってこない原因ですよね。

●ライダージャンプのカットとか、明らかにカメラのピントが合っていない撮影がある。
 曇天の野外ロケは大変ですよね。うまくいかなかったカットをスクリーン大写しで流されてしまう制作スタッフも、プロとしてキツいものがあったろうなぁ。でも、そんなことも言ってられないギリギリスケジュールだったということで。

●調子に乗った地獄大使が悪いのか、連絡調整が不十分だったザンジオーが悪いのか……
 滝の「バッチリ、ショッカーのマークつきだ!」という発言や、車両班の運転手戦闘員たちが全員覆面をつけたまんまでいる時点で、完全に自分から本郷を作戦の中核に招き入れている地獄大使の計略なわけなんですが、う~ん……ライダーを確実に抹殺できる戦力、ちゃんと用意してた!?

 戦略の面から見ると、今回の「スーパー破壊光線作戦」失敗の原因は、あえてだったにしろ、本郷たちに作戦の存在を嗅ぎつけさせてしまった地獄大使にあるのですが、細部の戦術の面での最終的な失敗の責任は、まだ破壊光線の射出準備が整っていない段階なのに、自分達が陽動であることを盛大にバラしてライダーの眼を大要塞に向けさせてしまったザンジオーにあるような気がします。

ザンジオー 「仮面ライダー! 貴様がおれたちと闘っている間に、大要塞の破壊光線装置は、完全に備えつけられたのだ!! 今ごろは、東京に向けて発射の秒読みの頃だ。」

 ……これでほんとに秒読みが始まってたら、さすがのライダーも間に合わず少なくとも東京ひとつは壊滅していたということで、まずはショッカーの勝ちと言ってよい成果だったでしょう。その後ブチギレしたライダーに大要塞で何をされるのかはわかりませんが……
 ところが、悲劇だったのは肝心の大要塞のスーパー破壊光線発射「秒読み30秒前」が告知されたのが、ザンジオーの話を聞いたライダーが富士山の五合目から山頂の大要塞目指してライダージャンプで出発した35秒後。そして先に大要塞に潜入していた滝とライダーが合流したのが(ちなみに滝が山頂の大要塞に潜入したのは、「富士山の五合目で」本郷に先に行くようにと促されて別れてから1分38秒後です……え!?)1分05秒後だったのですが、30秒たってるのに、なぜか破壊光線は発射される気配もなく……
 その後、大要塞動力室の中枢コンピュータを、ライダーがこれ見よがしにパネルについていたダイヤルを3ヶ所「きゅっ、きゅっ」とひねっただけで破壊光線装置は大要塞ごと爆破、崩壊。なんでしょう、先ほどの「秒読み」発言は、緊張した秒読み係戦闘員のマイクテストだったのでしょうか。

 私も実際に富士登山をした経験がないので確たることは言えないのですが、富士山の五合目から山頂までって、滝のような一般人類(まぁたいがい強いけど)が1分30秒くらいで行けたり、ライダージャンプで1分ちょいで行けるもんなんですかね……画面で見ると、雪も積もってたし相当遠そうに見えたんだけどなぁ。
 まぁ、これは編集された映像作品から計測した時間なので、ほんとは五合目での戦闘から大要塞への2人の潜入まで、常識的に考えれば5~7時間くらいかかっていてもおかしくはないのですが、だとしたらなおさら、富士五合目でのザンジオーの「秒読みの頃」発言は完全な事実誤認だったということになります。少なくとも1分たっても発射されていないということは事実なのでした。
 ザンジオーさんよぉ……誰から聞いたのかはわかりませんが、確信の無いリップサービスをするのは良くありませんね! ま、なにはなくとも、改造人間をポンポン生産する技術があるのだったら、富士山頂から五合目までの距離くらいの電波が届くインカム程度のものをザンジオーに持たせて、正確な情報を大要塞からこまめに伝えても良かったのではないでしょうか。
 意気揚々としてどこかのショッカー基地に帰還したあとのザンジオーの処遇に胸が痛みます……さすがの地獄大使もこれにはちょっと堪忍袋の緒が……でも、珍しくバレずに完勝できそうだった今作戦を必要の無いギャンブルでフイにしたのは、もとはと言えば大使のせいですからね!


 いろいろと言いましたが、結論としましては、数分で富士山頂と五合目を行ったり来たりできる人類とライダーを相手にしてるショッカーの勝機は、限りなくゼロに近い、ということですな!! それでもめげない地獄大使は、やっぱりすごいよ。
 端的に言えば、この『仮面ライダー対じごく大使』は、TV本編のそれなりなスケール拡大版に留まっているという感じで、主人公失踪という事情からかんがみれば完成しただけで奇跡という見方もできますが、やはり前作のインパクトを超えることは難しかったか、といううらみが残ります。ハードルも高くなってただろうしなぁ。それにやっぱり、ダブルライダーでないのはちょっぴり寂しいですよね。
 あと、この作品をして「石ノ森章太郎のコミカライズに忠実」というのは、さすがに厳しいような気がしますよね。あくまでロケーションが同じというだけで、内容はまったく別物ですよ。コミカライズもおもしろいですけど!

 そんなこんなで、ちょっぴりトーンダウンしたというか、無難におさまっちゃったような感のある仮面ライダー劇場版シリーズだったのですが、この後、あらゆる意味で当時の常識を覆す、真の伝説的作品がついに世に出てしまうのでありました! 正確には、次の次かな。

 次回、『仮面ライダーV3』オリジナル劇場版の、平和な四国をゆるがす驚天動地の一大爆発絵巻に、ご期待ください!!
 さて本文は、いつのことになるのやら……
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これは夢か!? ダブルライダー VS 改造人間い~っぱい!! 映画『仮面ライダー対ショッカー』 ~本文~

2022年01月08日 19時11分22秒 | 特撮あたり
≪資料編は、こちら!≫

 みなさま、新年明けましておめでとうございます! そうだいでございます~。
 いや~、ついに2022年が始まってしまいました。令和ももう四年よ! 今年は、どんな新しいことに挑戦していきましょうかねぇ。
 こちら山形は、この冬もやっぱりいい感じの大雪で年越しをすることになったのですが、正月に初詣をして、自分が去年、本厄だったことを1年ぶりに思い出しました。仕事が忙しすぎて完っ全に忘れてた……
 まぁ、相も変わらず毎日ヒーコラ言ってはいたのですが、いちおう身体的には何事もなくしのぐことはできましたね。無事これ名馬! 今年も後厄ではあるんで、引き続き気をつけていきたいもんです。厄除けするほど信心深くもない。今年もどーんとこいだ!!

 正月もふつうに明け、私も4日からいつも通りの日々に入っているのですが、今いちばん頭を悩ませている問題は、ローソンの「仮面ライダー50周年記念一番くじ」ですね。他の、人生上のもっと深刻なあれこれは捨て置けい!
 いや~、これはひどいですね。何がひどいって、私が欲しいのは E賞の DEFORME-Xミニフィギュアの「仮面ライダーアマゾンオメガ」だけなんですが、これが当たんねぇ当たんねぇ! まずくじで A~E賞の中から E賞を当てるのも一苦労だし、E賞を当てても、そこからさらに22種類あるフィギュアの中でオメガだけを狙わなきゃいけないんだもんね。いやいや、無理だろうよ~!! 本当にくじだけで全種類当てようとしたら、一体どのくらいの金額を投入せねばならんのだ!?
 怖い怖い……まともに関わっちゃいかんギャンブルですよ、これは。早く近所のローソンのくじが全部なくなってくれることを願うしか、貧しいわたくしめにできることはなく……くじ、1回680円だもんね。企画してるのショッカーじゃないの!?
 このライダーくじはまだほんの「第1弾」で、3月には「第2弾」が控えているのだとか。そして、そちらの E賞ミニフィギュアには、当然のごとく仮面ライダーアマゾンアルファのお姿が……ずるい!! 純粋な『仮面ライダーアマゾンズ』ファンのおっさんから身銭を搾り取るのはやめてくれ~い!!

 とまぁ、C賞の「『仮面ライダーアマゾンズ』したじき」でなんとか自分を落ち着けようとしている男のグチはここまでにしておきまして、同じ仮面ライダーは仮面ライダーでも、今回の本題である映画『仮面ライダー対ショッカー』(1972年)のほうに、お話をちゃっちゃと進めてまいりたいと思います。仮面ライダー旧1号と桜島1号の DEFORME-Xも出してくれ~! もう出てるかな?

 映画本編に関する情報のあれこれは≪資料編≫(2014年の記事だってよ……)にまとめておきましたので繰り返しませんが、この作品は、言わずと知れた仮面ライダーシリーズ「初のオリジナル映画作品」となります。「初の映画作品」である前作『ゴーゴー仮面ライダー』(1971年)は TV本編第13話のブローアップ上映でしたからね。
 TV本編の焼き直しであるのにも関わらず、仮面ライダーシリーズ初の「再生改造人間軍団投入エピソード」でもあった前作は、その夏の「東映まんがまつり」のプログラム中人気アンケート第1位に輝き、すぐさま「次作はオリジナル作品で」という話になったのでありました。毎週レギュラー分を製作する上に、並行して映画向けの撮影まで!? 殺人的なスケジュール過密度&TV 本編を凌駕するスケールと面白さにしなければならないプレッシャー……大変だったろうなぁ!
 しかし、ノリにノッている時の勢いというものはすさまじく、製作スタッフはそれらの苦難を「ピィヨォオ~ン」という実に『仮面ライダー』らしい効果音(大道寺珠美の誕生会のシーンで五郎が失神する時のやつ)で軽々と跳び越え、日本特撮史上に残る名作を世に出してしまったのでありました。それこそが、この『仮面ライダー対ショッカー』なわけ!

 例によって、その魅力を語り尽くさんとすれば2~3万字あっても足りなくなってしまうのですが、そこは涙を呑んで、大きく3つのポイントに絞って、映画『仮面ライダー対ショッカー』の名作たるゆえんを考察していきたいと思います。
 3つのポイント。すなはちそれは、

1、死神博士の最終作戦として気合の入りまくった展開&失敗……
2、ついに完全無欠の「バディものヒーロー」へと進化したダブルライダー!
3、出るわ出るわ、総勢40体もの改造人間軍団の「仮面の世界(マスカーワールド)」!!

 これらに尽きるんじゃないかなぁ。ひとつひとつ、ひも解いてまいりましょ。


1、死神博士の最終作戦として気合の入りまくった展開&失敗……

 死神博士のショッカー日本支部長としての最終作戦が、果たしてこの『仮面ライダー対ショッカー』でいうところの「GX 方程式奪取作戦」だったのか、それともオンエア上最後のエピソードとなった第52話(3月25日放映)における「デッドマンガス東京上空散布作戦」だったのかは確定されていないのですが、第52話の作戦実行担当だった改造人間ギルガラスが、映画のほうに「しれっ。」と再生改造人間として投入されている以上、これは第52話よりも映画が後とみなしたほうが通りが良いようです。
 それにしても、つい最近も映画『ゴジラ VS コング』において、映画を観る前から関連おもちゃ情報を見ただけで「えっ! 〇〇ゴジラも出んの!?」という情報漏れが起きて物議を醸しましたが、誰も何も言ってないのに制作側が初登場よりも先に再登場の方を先行公開するって……おおらかにも程があるでしょ、昭和!! 第52話のタイトルも『おれの名は怪鳥人ギルガラスでした!』に変えるべきだったのでは。「おれ、テレビで作戦の単独チーフになるんだ!」と、嬉々とした声で実家のご両親に電話をしたギルガラスは、その1週間も前に公開された映画を観て愕然としたという……いやいや、おれ、プラノドン先輩と頭ぶつけたくらいで死ぬ扱いが初舞台!? ユニコルノスは、映画公開初日と同日のオンエアだったからギリセーフ……? 1・2号とは闘わなかったしね。

 この映画を観て痛感するのは、「ヒーローの輝きは悪役の悪さに比例する」という法則でありまして、よくよく考えてみると、今回のショッカーの作戦もまた、地球を滅ぼしかねないスーパーパワーを発見した博士の方程式を横取りしようという、こっすいことこの上ないしみったれた内容なのですが、何はなくとも日本支部長・死神博士のたたずまいとしゃべり口が非常に悪辣で怖いので、ショッカーが恐怖と暴力の象徴であるというギリギリの線を死守できているのです。悪役が怖いことって、ほんとに大事!! そういえば今回の作戦って、ショッカー大首領がエンブレムからぜんぜん指示を出してないんですよね。さすがの死神博士びいきの大首領も、13回も作戦失敗し通しの博士に愛想を尽かしたのか?
 実は、他ならぬ死神博士ご本人も、今回の「GX 方程式奪取作戦」が自身の日本支部長キャリアとして「14番目」の作戦であることには非常に神経質になっていたのではないでしょうか。
 なぜならば、前任の日本支部長だったゾル大佐(任期1971年9~12月)は、自身の指揮した作戦に13回失敗して、ついに自分自身を作戦実行担当にすえた14番目の作戦である「狼作戦」で、クリスマスの夜に非業の殉職をとげてしまったからなのでした。リア獣大爆発!!

「14回失敗したら、死か……免れたとしても、大首領に何を言われるかわからんぞ……」

 ショッカー随一の「改造人間製作の名人」と謳われた、大首領ネコっかわいがりの死神博士といえども、心中かなり穏やかならざるものがあったのではないのでしょうか。ゾル大佐の時と違って、こっちが改造人間を強化しても、ちょくちょく1号が日本に帰ってきてダブルライダーになるし、日本征服の難易度はいや増しに増していく一方。「そもそもこんな状況になったのは本郷猛の脳改造に失敗したおまえのせいじゃねぇか。」という絶対真理を大首領にぶつけるわけにもいかず、死神博士の苦悩たるや、察するに余りあるものがあります。がんばれ、中間管理職!!
 そんでま、例によって今回の映画でもショッカーの作戦はすがすがしいくらいに失敗するわけだったのですが、ここで気になるのが、後に精強な改造人間イカデビルという正体を現わすはずの死神博士が、この日本支部長時代、映画や TV本編では多少の武器(電磁ムチや大鎌や催眠術)は駆使しても、本郷なり一文字を相手にするとからっきしひ弱な50代の一般男性でしかないことなのです。実際に演じた天本英世さんは40代でしたが。
 ここらでちょっと、死神博士に関する情報をば。


2005年に行われた全ライダーシリーズ悪役人気投票では堂々の第1位!! 死神博士とは( Wikipediaより)
 殉職した前任のゾル大佐に代わってショッカー日本支部長に着任した、ショッカー大幹部。暗いアジトの中で下から照明を当てるなど、怪奇性を強調した演出も印象的な天才マッドサイエンティスト。スイス支部からやってきた「怪人作りの名人」という異名を持つ、改造人間製作の最高権威である。
 純白のスーツに裏地が赤い黒のマントという服装がトレードマーク。西洋占星術や催眠術、毒ガスや毒薬の調合にも精通しており、その眼力は睨んだだけで滝和也を朦朧とさせた。武器は1000ボルトの電流を放つ鞭と、アジトに侵入してきた本郷猛に対して振るった大鎌。不意に現れたり消えたりすることから瞬間移動能力を持つとされるが、マントの繊維が鏡のように機能して姿を隠しているとも言われる。アジト内ではたびたび車椅子に乗っていたが、足が不自由というわけではなく、立ち歩くことはできる。のちに改造人間イカデビルに変身するが、少なくとも日本支部長時代は戦闘が得意ではないように見られる。
 配下の改造人間はゾル大佐時代よりも強力で、一文字隼人(仮面ライダー2号)が本郷猛(仮面ライダー1号)の援護を必要としたこともあった事実が、改造人間たちの強さを裏付けている。これら多くの改造人間たちを使って大規模な作戦を展開したが、1号・2号に阻止され続け、第52話と映画『仮面ライダー対ショッカー』での作戦失敗をもって、地獄大使にショッカー日本支部長の座を譲り一時退く。これはショッカー南米支部への左遷という設定だが、劇中では明言されていない。
 本名はイワン=タワノビッチ。父は日本人、母が白系ロシア人で1919年生まれ。戦前の少年時代は東京で育った。3歳下の妹ナターシャがいた。
 ポーランドで大学博士号を取得し臓器移植研究に没頭するが、第二次世界大戦が勃発するとポーランドを占領したナチス・ドイツ軍に徴用されアウシュヴィッツで生体実験に携わり延命研究を続けていた。終戦間近にナターシャが23歳の若さで死亡すると、彼女の遺体を冷凍保存して蘇生術を探し求めた。その歪んだ愛情をショッカー大首領に利用され、ショッカーに導かれることとなった。

日本支部長赴任期間1972年1~3月、全14作戦 ※( W)表記は1・2号ダブルライダーと交戦した改造人間
スノーマン( W)、ゴースター( W)、ハエ男、プラノドン、カビビンガ、ナメクジラ、ベアーコンガー、トドギラー、ヒルゲリラ、イソギンチャック( W)、カメストーン、ユニコルノス( W)、ギルガラス( W)、ザンジオー( W)


 結論から申しますと、おそらく死神博士は、日本支部長時代には自分自身に改造手術を施術してはいなかったのではないのでしょうか。しかし、最初こそ「仕方ない、大首領の尻ぬぐいでもやりますかぁ~。」くらいの軽さでスイスから一番弟子のスノーマンと一緒に着任したクールな死神博士も、異様にしぶとい2号と、幾多の死線を越えて異様に暑苦しくなった1号の奮戦にみずからもはからずしてアツくなり、「わしも、わし自身を最高傑作の改造人間にした~い!!」という狂気にも似た心理におちいっていったのではないのでしょうか。あと何度か1号・2号・滝和也あたりに殺されかける局面もあって、実際に身の危険を感じたろうし。
 そして思案の結果、この映画のちょい前くらいに大首領に、「ちょっと腰をすえてショッカー最高の改造人間になりますんで、南米支部に行かせてほしい。」と自分から提案したのではなかろうかと。だって、あんなにプライドの高い死神博士が、大首領の左遷 or 更迭人事をあまんじて受けるわけがないもんね! ただしそこは大首領もタダではすまさず、よりもよって死神博士と最も相性が悪いと言われるショッカー東南アジア支部長の「あのオヤジ」を後任にすえることで、死神博士にもきつ~い灸をすえたのでしょう。でも、死神博士の行き先はなんてったって「ショッカー南米支部」ですからね。南米といえば、あのアウシュヴィッツで死神博士の上司でもあった元ナチス・ドイツのヨーゼフ=メンゲレ博士が潜伏している地(1949~79年潜伏)……なんなんだ、この子ども向け番組らしからぬ符牒の数々は!?

 いや~、他ならぬ私自身も、小学生の時に初めてこの映画をレンタルビデオで見て、地獄谷のシーンであられもなく本郷猛に羽交い絞めにされる死神博士を見て、「なんでイカデビルに変身しねぇんだよう、博士!!」とじりじりしたものだったのですが、こういうことだったんですね! 30年越しの疑問がスッキリ氷解しました、勝手に。

 ともあれ、この作戦に賭ける死神博士の気合は、かくも悲壮なものだったのです。
 博士の歪んだ愛情は、仮面ライダー1・2号の若き炎の熱風にあおられるかのように自分自身に向けられ、その肉体は流星を駆る悪魔イカデビルへ。そして、それでも留まるところを知らない激情は、「わしも進化した~い! しごいて、しごいて!!」と、なんの関係もない立花藤兵衛に向けられていくのであった……おやっさん、いい迷惑!!


2、ついに完全無欠の「バディものヒーロー」へと進化したダブルライダー!

 映画のちょっと前の1972年1月1日、死神博士の日本支部赴任とほぼ同時のタイミングで日本帰国を果たした仮面ライダー1号こと、本郷猛!!
 死神博士の繰り出す強力な改造人間に劣勢となりかけた一文字隼人を助ける本郷でしたが、この映画を観る限り、あくまでも主人公は一文字隼人つまり仮面ライダー2号であるように見受けられます。だってアクション見てみてよ、殺陣にキレがあるのは、どう見ても2号の方なんだもん!
 あの、ライダーキックやらなんやらの技を繰り出した後に地上にスタッと降り立ち、相手がちゃんと爆死するまで片手を「シャッ!」とかざして見守る「残心」のポーズ……その美しさよ!! かぁ~っこいいんだなぁ。
 今でこそ、「仮面ライダーといえば藤岡弘、!」というイメージがほぼ完全に定着した感がありますが、1971年の7月から半年にわたって『仮面ライダー』の主人公となり、その明朗闊達なキャラクターで子ども達の人気を集めてきたのは、間違いなく「陽」の人、一文字隼人だったのです。映画『仮面ライダー対ショッカー』は、2020年代から振り返ると、ともすれば埋もれてしまいがちな、1972年当時の歴史的事実を克明に描き留めている記録映画でもあるのです。

 確かに復帰した本郷猛は、最初の登場シーンからして、ショッカーの移動車の運転手戦闘員を気絶させて周到に逃走手段を断った上でいったん隠れ、ビックラこいて戸惑うアリガバリとドクガンダー成虫を腕を組んで高台から見下ろしながら「ふっふっふっふ……」とほくそ笑んで現れるという、もうどっちが悪役なんだかわかんない意地悪をしかけるし、明智小五郎みたいな完璧な変装術で大道寺博士に化けるしで、ちょっと子どもにはとっつきにくい「謎の男」なんですよね。
 有名な話ですが、かつてのトカゲロン戦で開発した「ライダーファイト!」ポーズを発展させた1号変身ポーズもこの映画が初出であるわけですが、ちゃんと「変~身!」と叫んでいる2号に対して、1号はいかにもおっかなびっくりといった感じで両手は動いても口は動かず、心の中で「変身。」と唱えているような演出がなされています。変身した後も1号は、スタイルこそ2号よりもスラッとしていてキックでは長い足が映えるのですが、スピーディさではどうしても2号に劣る感じはするんですよね。いや、充分に上手なんですが。

 当然、間もなく TV本編でも主人公が本郷猛に戻るという方針は決定していたのでしょうが、この映画の時点ではあくまで主人公は一文字隼人であり、本郷はそのブレーン&サポート役という立場に徹しているような気がします。ただ、その「陽」と「陰」の関係が非常に分かりやすく、変身後の外見からしても、シルバーのラインがまぶしい2号と、昼でも暗く見えるダークグリーンの桜島1号という対比がそれを象徴しています。これで上映時間が60~90分くらいだったら、方向性の違いとかで2人が対立するような展開もあったのかもしれませんが、尺は30分ちょいですから。一見合いそうにないキャラクターの2人が、互いのいいところを尊重し、力を合わせてサクサク話を進めていくのは、いかにも昭和ヒーローものって感じで気持ちがいいですよね! 当時のことはよくわかりませんが、たぶん幼い子どもたちは陽気な性格の一文字隼人、ちょっとおませな女の子はクールで影のある本郷猛というように、人気のすみわけもハッキリしていたのではないでしょうか。さくらももこ先生は一文字ファンだって書いてましたね。

 余談ですが、この映画のエンディング映像はふつうの公道を2台のサイクロン号で仲良く並走する1・2号の長回し撮影になっているのですが、エキストラなしのゲリラ撮影だったらしく、歩道を歩く人は大人も子どもも関係なく立ち止まって2台を凝視するわ追いかけて走り出すわ、対向車線の車も路肩に次々と停車していくという当時の人気っぷりをカメラに収めています。
 そんな中、もちろん子門真人さんの歌があるので声は録音されていないわけですが、両サイクロン号に乗って運転している2人のうち、2号の方が何度か1号に声をかけるかのように顔を向けるしぐさが見られます。これがまた、思ったことはすぐ口に出す一文字と、それを受け流しながら沈思黙考する本郷の関係をまんま映像化しているようで非常に芸が細かいんですよね。
 まぁ、ぶっちゃけて言えば、アクションの上手さから見て明らかに2号の「中の人」のほうが先輩のように見えるので、おそらく、

「おい、もうちょっとスピード落とせ! 落とせってコノヤロ!」

 とか言ってたのかもしんないけど……大野剣友会のみなさま、ご苦労さまでございます!!


3、出るわ出るわ、総勢40体もの改造人間軍団の「仮面の世界(マスカーワールド)」!!

 いや~、これはもう最高ですよね。最初にあの地獄谷での再生改造人間軍団総登場シーンをレンタルビデオで見た時、小学生だった私は映画館で観なくてよかったと心底思いましたよ。だって、あんなん大スクリーンで見せられたら失禁ブッシャーでしょ!! あのトカゲロン戦での「11体」をはるかに上回る「40体」よ!?

 ショッカー史上初の再生改造人間軍団投入作戦となった、トカゲロンを実行部隊長とする1971年6月の「原子力研究所襲撃計画」いらい、改造人間製造技術のめざましい技術革新&ローコスト化を実現したのか、ショッカー日本支部はちょくちょく再生改造人間を、新型改造人間のサポート役として投入してきました。今回の「 GX方程式奪取作戦」までの時点での遍歴は、ざっとこの通り。

第13話『トカゲロンと怪人大軍団』(1971年6月)、第27話『ムカデラス怪人教室』(1971年10月)、第37話『毒ガス怪人トリカブトの G作戦』(1971年12月)、第41話『マグマ怪人ゴースター 桜島大決戦』(1972年1月)、映画『仮面ライダー対ショッカー』(1972年3月)

 ほんでま、コストが安いのか、なぜかヘビロテで再生される改造人間(『仮面ライダー対ショッカー』までの時点で)もついでに挙げておきましょうか。

・サラセニアン(3回) ・ゲバコンドル(3回) ・カニバブラー(2回) ・ムカデラス(2回) ・モグラング(3回) ・アルマジロング(3回)

 ほほう……なんか、ゲバコンドルとムカデラスとアルマジロングは性能がいいから重用して、サラセニアンとカニバブラーとモグラングは作りやすいからよくお呼ばれするっていう、再生の理由の二極化が透けて見えるような気がしますね。ここも格差社会だな~!

 ちなみにここまで調べたんで、逆に今回のお祭り騒ぎにまったく呼ばれなかった(『仮面ライダー対ショッカー』までの時点で1回も再生されていない)改造人間も挙げてみましょう。ヒマね~!!

・ヒトデンジャー ・アマゾニア ・クラゲダール ・カビビンガ ・ベアーコンガー ・ヒルゲリラ

 これさ、たぶん、アマゾニアとクラゲダールは地獄谷ってことで陸上戦を想定していたから基地待機になっていたのかな? ヒトデンジャーは、そもそも高温多湿な日本列島では絶望的に使い勝手が悪い「水が弱点」っていう特徴があるから、ショッカーのオーストラリア支部かモンゴル支部かサハラ砂漠支部にでもすっ飛ばされたんでしょう。カビビンガ、ベアーコンガー、ヒルゲリラは比較的最新型の高性能改造人間(当時)なんで、高コストで見送られたのかも。
 ところで、かつてトカゲロンの時に再生されていた蜂女と改造コブラ男は、今回『仮面ライダー対ショッカー』では呼ばれておりません……その理由は、当時の作戦状況を見れば一目瞭然かな!? ライダーによけられて地面に落ちただけで殉職とか、棒っきれで腰をぶっ叩かれたから殉職とか……さすがのショッカー経理部も、このお2人を再生させる経費があったら、戦闘員が乗るバイクの買いつけにまわした方が何倍もマシだと気付いたのかな?

 ところで、今回じっくり見直してみて気がついたのですが、地獄谷の遠景撮影ショットで、トカゲロンと見られる改造人間がイソギンチャックとゴースターの間、ピラザウルスと見られる改造人間がムササビードルとドクガンダー幼虫の間、かまきり男と見られる改造人間が地獄サンダーとさそり男の間に確実にいるんですよね。でも、直後にカメラが寄って再生改造人間軍団が名乗りをあげるカットでは、このお3方はなぜか姿を消しているんですよ。ケツカッチンだった? でも、その後の軍団が撤退する遠景ショットでは、また出てきてるんだよなぁ……トイレ行ってたのか?
 なので、諸資料で「予告編にしか出ていない」という情報のあるトカゲロンとピラザウルスとかまきり男は、全員ただ単に「名乗っていないだけ」なのであって、映画本編にもちゃーんと登場しているという事実は明言させていただきたいと思います。映画に出れたよ、おっかさん!!
 ただ、同様に地獄谷で名乗らなかったプラノドン、ギルガラス、キノコモルグがのちに1・2号に奇襲をかけている経緯を見ると、かまきり男、トカゲロン、ピラザウルスもまた、実際には会敵しなかったものの、独立部隊を編成してどこかで潜伏していた可能性はありますよ。さすがは策士・死神博士!!

 最後に、もはや恒例となった、死をも恐れぬ勇気を振り絞って仮面ライダー1・2号に立ち向かい、そして戦場の露と消えていった、名誉あるショッカー再生改造人間のみなさんの最期をまとめてみましょう。敬礼!!

登場した40体中、本作で実際に仮面ライダーと戦闘した改造人間は……(殉職 or 画面フェイドアウト順に)
・サボテグロン(投げたサボテン型爆弾「メキシコの花」を2号に蹴り返され爆死)
・モグラング(サボテグロンと共に「メキシコの花」の爆発の巻き込まれ爆死)
・ハエ男(2号のライダーキックで爆死)
・アリガバリ(1号のふつうのチョップを受けて爆死)
・ドクガンダー成虫(1・2号と交戦するがザンジオー撤退後は生死不明)
・地獄サンダー(2号にふつうに投げ飛ばされた後は生死不明)
・エジプタス(1号のふつうのキックを受けた後は生死不明)
・プラノドン(1・2号の合体技「ライダーハンマー突き」を受けて爆死)
・ギルガラス(1・2号の合体技「ライダーハンマー突き」を受けて爆死)
・サラセニアン(1・2号によってトリカブトと頭をぶつけ合った後は生死不明)
・トリカブト(1・2号によってサラセニアンと頭をぶつけ合った後は生死不明)
・ドクダリアン(1号のライダーキックで爆死)
・キノコモルグ(2号のライダーキックで爆死)
・ザンジオー(1・2号の必殺技「ライダーダブルキック」で爆死)

 みんな、よくがんばった!! 安らかに眠れ……また呼ぶかもしんないけど。

 子どもの頃に見た時は、「40体ぜんぶ闘えよ! 博士、呼び戻してよ~!!」と無責任にいら立っていたものでしたが、こうやってよくよくカウントしてみると、14体もの精鋭が1・2号としっかり交戦してるんですよね。いや、殺陣のバランス的にも、もうこのくらいでいいでしょ! それでトカゲロンの時よりもよっぽどマシな闘い方をしてるんだもん、合格合格、大合格!!
 生死不明っていっても、だいたいみんなその時点でかなりのダメージを食らってフラッフラになってるもんね。「死んだことにしといて☆」っていう制作スタッフの声が聞こえてきませんか?

 ただそれにしても、「 GX方程式奪取作戦」が失敗した後も、ショッカー基地の改造人間寮「いくた荘」では、この時に再生させた改造人間のうち26体がピンピンして待機してるってことになりますよね……その大軍団は、その後どうなったのかしら? いくら性能に難がある再生改造人間といっても、今後の作戦展開のフォローに回したらけっこう役に立つと思うのですが。
 これはおそらく、あの冷酷無比でプライド激高の死神博士のことですから、後任の「あのオヤジ」にみすみす余剰戦力として提供することは大いに癪に感じたのでしょう。26体全員を引き連れてショッカー南米支部にトンズラぶっこいたのではないのでしょうか。「立つ鳥、跡を濁さず。」みたいな言い訳して。やりかねないな~! ヤな感じ!!

 ま、そんなこんなでさまざまな思惑を巻き込んだまま、名作『仮面ライダー対ショッカー』は、その後のさらなる激戦の予感をはらむ TV本編へと、そのタスキを渡していくのでありました。
 あと、子役の演技クオリティがかなり高いとか、ショッカー戦闘員の最終完成形である「骨戦闘員」の初投入とか、新型改造人間ザンジオーの地位が意外と低い理由とかいうポイントも残っているのですが、そんなこんなの魅力がぎゅうぎゅうに詰まった32分間。ホントにすばらしい! 意味もなく2時間30分とか3時間とかほざいてるハリウッド大作なんかどうでもいいから、とにかくこっちの熱さにシビれてほしい! 令和の子ども達も!!

 なにげに、ライダーと改造人間たちが死闘を繰り広げている冬枯れの広場が、ステキに昭和でいいんだよなぁ~。周辺の住宅地にさすがに人影は見えないんだけど、どこのお宅も、天気がいいからベランダで蒲団とかシーツを干してるんだよね……激しい命のやりとりと、それにまるで気づかない一般市民のかりそめの平和! 石ノ森章太郎ワールド特有のアイロニーを見事に表現した神演出だ!! 偶然映り込んだだけじゃないと、あたしゃ信じたいぃィイ!!
コメント (2)
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