もうこう暑い日が続くとそろそろどこか涼しいところに行って
のんびりしたくなります。
ここのところのお休みの時に読んでいるのがこの本です。
ひさびさに寄った書店で見かけた本で、書評のところにビルゲイツ年間本と
いうコピーを見つけてパラパラ読んだら買ってしまったというものです。
というのも、そもそも遺伝子という学問はなかったということから始まり、
ずっと親から子供にその特質が受け継がれるのは精子の中にホムンクルスと
いう小型の人間が入っていてそれを母親は大きくしているというとんでもない
内容で、それを古代からずっと信じられていたという衝撃の話です。
そして文化花開く大航海時代にダーウィンの進化論がでて、世の中大騒ぎになり、
メンデルのそら豆の実験と確実な証拠と分析により格段の進化をとげるのですが、
これが全く世間には理解され世界を変えるに至らないという所が世の中の不思議な
ところで、作者の独特の辛口な皮肉口調は明らかに辛らつに文明批判のように
語られて行きます。
それは自身の出自に関係しているのかと考えたくなるような西洋列強の国々が
たどる道は耳に痛いような話です。日本も例外なく先進国に倣うようにその思想と
政策をまねるのですが、それが今世を騒がしている優生保護法下で行われた強制手術です。
遺伝子というと20世紀すべての暗号を読み解き、これからはそれを利用していけるという
明るいものとして我々は考えていました。その最たるものとしてiPs細胞の発見であり、
遺伝子利用の最先端を日本人が走っているという大変誇らしい分野に思われていますが、
これは実のところ何をする分野なのかということを我々に問う実に苦みと苦痛をともなう
読書体験となる本なのです。下巻が楽しみです。