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ハウス・オブ・カード シーズン6 【感想。。。】

2018-11-13 08:00:00 | 海外ドラマ


ハウス・オブ・カードの最終シーズンとなるシーズン6を見終わったので感想を残す。

一言、ひどい。

Netflixのブランドを築いたといっても過言ではない、看板ドラマに自らの手で泥を塗った。

終わり方以上に失望したのは、製作陣のやる気のなさが透けて見えること。神ドラマ「ブレイキング・バッド」の後継として、「ゲーム・オブ・スローンズ」と双璧をなす、スーパーA級ドラマとして位置づけていたドラマシリーズだったが、それはもはや過去の思い出。こんな無残な終焉は見たくなかった。やはり「ハウス・オブ・カード」はシーズン4で終わるべきだったのだ。

最高傑作だったシーズン4から、脚本家が変わったことでドラマの空気が変わってしまった前シーズン。有終の美として、本シーズンで盛り返すことを期待したが、むしろ急転直下で転がり落ちてしまった。

これまでドラマを牽引してきた主演のケビン・スペイシーが、過去のスキャンダル問題で降板。予告編で既にネタバレを周知していたとおり、彼が演じたフランシスは「突然死」という形で物語から消えた前提で幕を開ける。フランシスの個性が本作の魅力の1つであったため、実に残念な状況であったが、これは仕方のないこと。奇しくも、前シーズンの最終話で妻のクレアに、大統領の座を明け渡すことを示唆していたので、決してあり得ない展開ではない。クレアもフランシスと同じくらいの存在感があったことを考えれば全然アリな話だ。

問題は、ケビン・スペイシーが抜けた穴を埋める努力をすることなく、完全に流し走行でドラマが作られていること。ドラマのスケールを縮小し、粗く仕上がった脚本をそのまま使っている。

シーズン5でご乱心気味だったクレアは、引き続き、迷走する。冷徹さと慈悲深さを併せ持ち、クールで迫力あるクレアはどこへ行ったか。本シーズンで大統領となったクレアはあたふたしてばかり。新たなキャラとして加わった富豪兄妹に振り回され、無力なフリして逆襲のタイミングを待つという彼女らしからぬ小細工戦法に出る。その顛末もしっくり来ず、消化不良、全く痛快でない。フランシスと違うことが面白かったのに結局、同じ道を辿ることになる。困ったら邪魔者を消去するやり方だ。まるでセンスがない。

初の女性大統領という華々しい門出にも関わらず、これまでのシーズンで何度も見たことのある、邪魔者を排除することに多くの時間を割く。見ているこっちは、彼女が政権で大鉈を振るう様子が見たいのだ。ホワイトハウスの小さな箱のなかで、限られたキャラクターで会話劇を繰り返すばかり。そもそもホワイトハウスにキャラクターが簡単に立ち寄りすぎだ。権力の象徴である特別な空間は、製作予算をケチるための舞台に変わってしまった。

クレアの敵となる富豪のシェパード兄妹は、グレッグ・キニアとダイアン・レインが演じる。そのキャスティングは大いに興味をそそられたが、彼らがなぜ、大統領を支配しようとするのか具体的に描かれない。クレアの戦いを見せるため、妨害要因として設定されただけのように見える。知性ある政治的攻防は皆無で、ひたすら弱みの握り合い。それが計8話の大部分を占めてしまう。フランシス政権時、報道官として活躍したセスは、シェパード側につき、何をするでなく伝令役のパシリになる。フランシスがいなくなったことで、腹心のダグが主役クラスに格上げされるが、亡きフランシスの残像にすがるばかりで、物語を前に進める推進力になってくれない。ジャッキーやレミーら、魅力的だった過去のキャラクターたちが懐かしい。

このドラマシリーズの魅力であった「語録」はゼロ。視聴者への投げかけシーンは、前シーズンに続き、使い方を間違っている。状況説明のために使わないでほしいし、自身の心情をわざわざ視聴者に解説しなくていい。ダサい。

迫力とスリル、緊張感が漲っていたシーズン4までの本作。洗練された脚本と演出の賜物だったが、シーズン4で製作のボー・ウィリモンが外れたことで、ここまで作品のクオリティに影響が出るなんて。。。

現実世界ではトランプの勝利により、初の女性大統領の誕生は叶わなかった。だからこそ、このドラマの世界でクレアが女性大統領として活躍する画が面白いのだ。このドラマがさらに進化するチャンスだったともいえる。

フランシスの死の真相がクライマックスで明かされるが、結局「フランシスの存在が大きかった」という答えだ。『やっぱ、ケビン・スペイシーがいないとダメだわ』と製作陣の白旗が目に浮かぶ。「ハウス・オブ・カード」のファンとしては受け入れがたく、裏切られた気分でいっぱいになった。

【40点】

ハウス・オブ・カード シーズン5 【感想】
ハウス・オブ・カード シーズン4 【感想】
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