プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

笹原恵通郎

2018-11-29 21:49:49 | 日記
1954年

一塁手はまず強打者でなければならない。笹原選手は上州に生まれ高崎高校出身。在学中終始一塁手で二年生のときから不動の四番打者として活躍した。昭和二十五年三月卒業と同時に桐生織物クラブに籍をおき四番打者、同クラブが一年で解散したため翌年九月前橋市の大生相互銀行に転籍している。大生相互は北関東の雄で毎年中央、地方の各大会にコマを進めているが、笹原選手はここでも四番打者となり、二十七年、八の両年は都市対抗本大会に参加している。むろん笹原一塁手の生命はその打撃にあり、四番の重責を背負いながら昨年度は年間四十試合で三割ジャストの高打率をおさめている。しばしば私は彼のプレーに接しているが、インコーナー低目の球を狙って一塁ラインぎわをかすめて行く打球がすばらしい。彼は比較的低い球が得意である。どうも大生相互入社当時から見るたびにそのフォームが変わりつつあるように思うが、これは彼が常に研究努力しているための変化と見たい。聞くところによると昨シーズン初めに約一か月間腰をいため、しばらくスランプの時期がまた進歩への前提ともなる。順調なときより受難の時代が何よりの修養となるものだから。しかし腰はなんとしても野球選手の生命、ことにその打撃では腰の十分入ったスウィングが必要である。最近の彼は腰を入れることを忘れたいわゆる流し打ちでレフト方面への当りが多くなってきたように見受けるたとえ速い球でも腰をくっつけていかぬと弱い当りになってしまう。それともう一つ、スウィングの際、バットの先きが大きく動揺するように見える。これはタイミングを非常に狂わすもとである。しかし全般的には大打者としての素質を十分持っており、以前のような思い切った握りをした方がよりスケールの大きな選手になれると思う。守備もボールのさばき、守備範囲ともいいが難をいえば動きがちょっと大股すぎる。内野手はもっと小股の動きの方がいい、それともう一歩ボールに眼をくっつけて捕るようにしたらいい。だが肩もいいし左投左打の選手として将来が楽しめる。体格も五尺七寸五分、十七貫と立派なもの。欲をいえばもう少し筋肉をつけてやりたい。そうなれば見るからにたのもしい選手となろう。

大生相互銀行監督
塚越正宏氏
笹原は桐生織物、大生相互といつも私の下で働いたスケールの大きな選手。フィールディングはともかく、バッティングは高校時代からバットをいっぱいに長く持ってビュンビュン振り回し、スケールが小さくなってきている最近のノンプロ球界で人目をひいていた。ただ大振りするだけにモロさもありプロへ入ったらまず確実なバッティングを身につけるよう努力すべきだ。成田さんも書いているように去年腰を痛め、それ以来バッティングが変わってきているが腰をなおしてもとの豪快なフォームを取りもどしてもらいたいものだ。
コメント
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