地球を、自己調節能力を持ったひとつの生命体(有機体)であるとみなす説。イギリスの科学者(生物物理学、医学)であるジェームズ・ラブロック(1919~)によって提唱された概念。
火星や金星など太陽系の他の惑星と異なり、地球上には20数%の酸素を含む大気が、長い歴史を通じて維持されてきた。この間、巨大隕石の墜落や氷河期-間氷河期の甚大な気候変動など、人為的な影響による環境破壊よりもはるかに多大な影響を及ぼす激しい変動に耐え、「生き延びて」きた。その歴史を、地球というひとつの生命体の自己調節システムによるものとみたて、人為的な地球環境への影響に対して科学技術による即物的な対応を図るよりも地球の大きな生命の流れに沿った判断をすべきとの主張。このような全体論的な地球のイメージは、生態系の固有価値を重視するディープエコロジーに大きな影響を与えた。なお「ガイア」は、ギリシャ神話の大地の女神。