ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/02/25 歌舞伎座千穐楽夜の部「仮名手本忠臣蔵」七段目・前編

2007-03-12 22:21:56 | 観劇
「仮名手本忠臣蔵」七段目。遊女お軽登場の前後で分けて2回で書くとしよう。
【七段目 祇園一力茶屋の場】前編
この場の主な配役は以下の通り(同じ役名で出ていれば省略)。
大星由良之助=吉右衛門 大星力弥=児太郎
寺岡平右衛門=仁左衛門 遊女お軽=玉三郎            
赤垣源蔵=友右衛門  竹森喜多八=松江
矢間重太郎=吉之助  鷺坂伴内=亀鶴
          
五・六段目の暗い舞台から一転、祇園一力茶屋の明るい舞台になると気分も一新。こういうメリハリが嬉しい。鬼追い事のお遊びで「ゆらおにゃ こちゃへ、手の鳴る方へ」と囃し声。吉右衛門の大星由良之助が紫色の着流しで登場し、目隠しをとると客席にじわ。紫の着流し姿ってやはり色っぽい!
*NHKスペシャルで歌麿が使っていた“江戸紫”に迫った番組が興味深かったことを思い出す。かしまし娘さんがレポアップされているのでご紹介しておく(→こちら)。

幇間や仲居たちの「見立て」では千穐楽らしく扇子を落として「せんすらく」というのもあったが、ここは面白くないとダレルなぁと思う。遊興に明け暮れている由良之介の心底をはかりにきた三人侍について、仁左衛門の足軽・寺岡平右衛門登場。こちらもすごい拍手。仁左衛門の台詞が歯切れ良く気持ちがいい。「足軽ではなく口軽じゃな」と由良之介にからかわれるのが自然ではないといけないらしいが、はずむような明るさでリズムを刻むのが心地いい。
吉右衛門が寝たふりをしているところに世話を焼く平右衛門がいい。仲居に布団と枕を持ってこさせて足の方からそぉーっとかけようとつんのめりそうになりながらの仕草を一生懸命やっている仁左衛門にジーンときてしまった。
主君の敵討ちに加えてもらいたいと書いた平右衛門が枕元に差し出す願書をはねのける由良之介の扇は天地金(役者の好みによって違うらしい)。二度もはねられて平右衛門は三人侍の履物をしょって下手に退場。この退場方法は気障な五代目菊五郎の工夫らしいが、仁左衛門がやればぴったりだ。

山科から顔世御前からの密書を届けに来た力弥は児太郎。昼の部の梅枝に比べるとかなり小さい。花道の木戸口の外まで控えての口上もあまりに幼い台詞回しで興ざめ。この配役は今ひとつだ。御曹司の中での配役のバランスをとりたかったのだろうが、もう少し年長者をあてて欲しかった。
その書状を読もうとするところに斧九太夫も由良之介の心底をさぐりにやってくる。九太夫の芦燕は芝居が全く物足りないが足が達者。松嶋屋の最長老というだけでなく出演者中で一番の高齢(1926年生まれ?)と思われるのでまぁ仕方がないというところだろうか。それにしても蛸肴のくだりがくっきりしないのは最後にひびくのでもう少しなんとかして欲しかった。

塩谷を裏切っている九太夫のところへ高師直の家臣の伴内がやってくる。由良之介の置き忘れた刀の中味を二人であらため、錆びだらけなのをみて「敵討ちの気持ちがもうない」と決めてかかる。亀鶴の三枚目は初めて観たがちゃんとやってくれた。若手なのにオールマイティ。関西での出演が中心だがこちらでももう少し活躍を観たいと思った。
一緒に帰ったと見せかけて九太夫だけ床下に残って・・・・・・。
以下、後編へ

写真は歌舞伎座正面入り口にある看板。
以下、この公演の別の段の感想
2/18歌舞伎座昼の部「仮名手本忠臣蔵」大序
2/18歌舞伎座昼の部「仮名手本忠臣蔵」三・四段目
2/18歌舞伎座昼の部「仮名手本忠臣蔵」道行旅路の花聟
2/25歌舞伎座千穐楽夜の部「仮名手本忠臣蔵」五段目
2/25歌舞伎座千穐楽夜の部「仮名手本忠臣蔵」六段目
2/25歌舞伎座千穐楽夜の部「仮名手本忠臣蔵」11段目


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