ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

08/11/30 伊旅行のフライト便変更で大慌て!

2008-11-30 23:59:13 | おでかけ、旅行

11/29はシアターコクーンで「表裏源内蛙合戦」を夜の部で観劇。ご一緒したsakuramaruさんと娘さんと御飯を食べて帰ったら終電になってしまった。平賀源内が薩摩源五兵衛に見える場面もあり、そこで目頭も熱くなり、最後も胸が熱くなってのカーテンコール。4時間の舞台は長かったが、私たち3人は堪能できたので幸せ!!
それと、平賀源内のマルチな才能ぶりはなんだかレオナルド・ダビンチのようだなぁと思いながら観ていたら、やっぱり井上ひさしがプログラムにそう書いていた。おおっ、イタリアにつながったぞ!

寝るのが遅くなって明ける11/30。いよいよイタリア旅行という前日の朝、HISの担当者から電話が入り、アリタリア航空のローマ→フィレンツェ便がフライトキャンセルになり、それと連動して成田からの便も変更になったという電話で起こされた。

成田からはJAL便になり、フランクフルトでルフトハンザに乗り継いでフィレンツェに入るという変更。出発は1時間早くなり、到着が10分遅くなるという。
フランクフルト空港のレイアウト図をFAXしてもらったところ、なんとインクリボン切れ。
インターネットで検索してANAのサイトのレイアウト図がわかりやすかったのでプリントアウトしたらトナー不足で変な色になってしまった。黒文字は読めるから我慢。そのレイアウトを見ながらHISのお兄さんにこちらから電話を入れて補足情報を聞き取った。

それから予約を入れていた成田への高速バスと自宅にきてもらうことにしていたタクシーの時間を変更。

それから娘をたたき起こして、いよいよ荷物のパッキングを始める。
それぞれの常用薬、必要な頓服薬を袋につめるだけでも大仕事。怪しい二人連れと思われないためには「お薬手帳」を持っていくといいと妹2の助言あり。
それから娘のシャンプー・リンスやお化粧品の用意だけでももう大変。
夕方、「篤姫」を録画予約して足りないものの買い物に出かけ、お弁当類を買ってきて食事をすませる。冷蔵庫に残ったレタスも野菜スープに入れて食べ終わる。

明日は「風のガーデン」だけでも録画予約して出かけたいが、忘れないでいられるだろうか?
3~4時間で終るんじゃないかとの予想を大きく覆し、寝る時間もあまりとれそうにない感じ......。

いただいているコメントへの返事の余裕もなく、大変恐縮次第だが、おゆるしいただきたい。
顔見世歌舞伎の「寺子屋」の感想も書きかけのままだが、なんとか無事に行って帰ってきたいと祈るばかり。

08/11/29 喪中欠礼葉書の手配

2008-11-29 23:58:55 | 医療・介護・福祉など

イタリア旅行前に父の喪中欠礼ハガキをと思ったが、手配までしかできなかった。
実家の母の分は、妹2が自分の分と一緒に自宅のPCとプリンターで作って出してくれた。感謝m(_ _)m
私の方は、高校時代の友人が社会福祉法人に勤務しているのでそちらの事業で印刷をお願いしようと連絡。今はやっていないそうで、代わりにネットワークしている事業所を紹介してくれた。日頃、福祉の団体にあまり協力できていないが、こういう時には少しでもと思ってお願いした。同じ市内の精神障害者の共同作業所で、早速そちらにお願いして申込書を郵送してもらい、FAXで原稿を送り校正もさせてもらった。そして本日届けていただいたようで帰宅したらポストに入っていた。

帰宅後に代金を振込み、ハガキを出せるようにしよう。

写真は、昨日の昼休みに職場の近くの自治労会館にあるろうきんのATMに行った際、ロビーに積んであった「福祉人材確保全国署名」用紙の山。わが職場でも回覧されたのでしっかり署名しておいた。
それにしても障害者福祉でも高齢者福祉でも、とにかく福祉関係で働く職員が重労働低賃金というのでは、まともな社会とは思えない。介護保険の枠の中だけで考えると解決の展望はない。国の予算の使い方を抜本的に見直してほしいと思う。

08/11/16 歌舞伎座夜の部②菊五郎の「船弁慶」

2008-11-27 23:59:07 | 観劇

この演目は、玉三郎→菊之助→染五郎と観てきて、今回で4回目。菊五郎は昨年の顔見世歌舞伎では「土蜘」を踊り、今年は「船弁慶」。一世一代の舞台が続く感じである。しっかり見せてもらおう。
2006年の菊之助の「船弁慶」 2007年の染五郎の「船弁慶」

【新歌舞伎十八番の内 船弁慶(ふなべんけい)】義太夫狂言
あらすじは省略。今回の配役は以下の通り。
静御前/平知盛の霊=菊五郎 源義経=富十郎
武蔵坊弁慶=左團次 亀井六郎=松江
片岡八郎=種太郎 伊勢三郎=萬太郎
駿河次郎=尾上右近
舟長三保太夫=芝翫 舟子岩作=東蔵
舟子浪蔵=歌六 舟子梶六=團蔵

とにかく配役が豪華!顔見世歌舞伎ということもあるが、やはり菊五郎一世一代の舞台ということで大顔合わせにしているような気がする。
左團次の弁慶が揚幕から登場して名乗りを上げ、花道から義経主従が登場。富十郎の源義経のところに菊五郎の静が呼び出されるのだが、ベテランが揃い、観ている方もどっしりと構えて観ていられる。
菊五郎の静はこれまで3回の静の役者に比べればどうしたって若々しさや美しさという点では比べようもないが、やたらと可愛いので驚いた。衣裳は菊之助の衣裳の記憶をたどったがそれに比べるとまぁ地味だが、相応という感じかな。
前シテの壺折の衣裳での踊りのところで、能っぽい動きというよりはしっかり歌舞伎舞踊っぽい感じがして、ここはこれまでもこんな踊り方だったっけとふと思ってしまった。やっぱり動きが頭に入りにくい私はなんとなく印象で記憶してしまうのでちゃんと比較するのが難しい。

間狂言にあたる舟長と舟子たちの踊りの場面はいつもよりもぐっとベテランが揃うので、芝翫・東蔵・歌六・團蔵と顔ぶれを観るだけでつくづく贅沢だぁと思ってしまった(^^ゞ
後シテで隈取をして平知盛の霊として登場する菊五郎が今まで観た中で一番立派。兼ねる役者として大成されている姿を見せてもらった。義経主従に襲いかかって左團次の弁慶と対峙すると迫力たっぷり見応え十分~。花道まで知盛が退散するのを舞台で見送る義経主従に幕が引かれ、知盛だけの幕外の引っ込み。これを観たさにわざわざ東列の席をとったのだ。薙刀を振り回しながら渦巻く波に飲み込まれていく様がイメージできる!やっぱり東列にして正解~。堪能させてもらった。

写真は顔見世大歌舞伎と書かれた正面の垂れ幕の写真。
11/23昼の部①藤十郎の「廓文章」
11/23昼の部②「通し狂言 盟三五大切」
11/16夜の部①三代目時蔵追善狂言「嫗山姥」

08/11/16 歌舞伎座夜の部①三代目時蔵追善狂言「嫗山姥」

2008-11-26 23:59:54 | 観劇

この演目はこれまで2回観ているが、一度もしゃべりの場面で満足していない。さて今回はどうだろうか。
2004年の福助の八重桐の時の感想 
2006年の菊之助の八重桐の時の感想

三代目中村時蔵五十回忌追善狂言【八重桐廓噺(やえぎりくるわばなし) 嫗山姥(こもちやまんば)】義太夫狂言
あらすじは省略。今回の配役は以下の通り。
八重桐=時蔵 沢瀉姫=梅枝
煙草屋源七実は坂田蔵人時行=梅玉
腰元お歌=歌昇 白菊=孝太郎
太田十郎=錦之助

当代の父の四代目については先代の勘三郎と組んでいて早世されたというエピソードを読んだことがあった。その父の今回追善の三代目時蔵については歌舞伎座のロビーの展示を見たり、筋書を読んだりしてそういう方だったのかぁと認識。初代播磨屋の弟で古風な女方だったというが、写真で見ると本当にそうだった。

だから脇役も梅枝、錦之助と直系で固めている。錦之助は煙草屋源七の方がいいと思うのだが赤っ面の太田十郎を錦之助にしたのは、幕切れに八重桐の時蔵が赤い台に乗って絵面に極まる時に脇にきちっとつけるからねと納得。梅枝の沢潟姫も可愛くてよかった。
萬屋ということで歌昇がお歌で外見は立役の加役的だったが、愛嬌があまり感じられずに残念。これは猿弥の方がよかったなぁ。
孝太郎の女武道姿の白菊はきりっとしていてなかなかよかった。

時蔵の八重桐は前半の紙衣姿で館に入り込んで元夫にあてつける場面も後半、坂田蔵人の魂を体内に宿してからのぶっかえり、立ち回りも見応え十分。

しかし、しゃべりの場面が・・・・・・。時蔵の台詞のところはしっかり聞き取れるのだが、竹本が引き取って時蔵が踊りに専念するところが何を言っているのか聞き取れずにイライラ!
今までも満足できなかったのは竹本の語りが聞き取れなかったことによるものだとはっきり自覚できた。文楽も並行して観ているとやはり歌舞伎の竹本の太夫でしっかり聞き取れる人が少ないと思う。しっかり人材を育成してもらわないと義太夫狂言がますます楽しめないものになってしまうと危機感を持ってしまった。

是非、人材育成をお願いしたいものだ。
(11/27追記)第19期の歌舞伎音楽(竹本)研修生募集が2009年度募集ということであるようだ→独立行政法人日本芸術文化振興会のサイトの記事。若い世代に頑張っていただきたい。

写真は歌舞伎座1階のロビーに設置された三世時蔵五十回忌追善の写真。
11/23昼の部①藤十郎の「廓文章」
11/23昼の部②「通し狂言 盟三五大切」

08/11/25 伊旅行前の不安症候群と建て直し!(旅行準備)

2008-11-25 23:56:37 | おでかけ、旅行

24日は連休最後の日だというのに娘が一緒に買い物に出る約束をすっぽかす。連日出かけたので疲れたのだと思うが、土曜日はメンタルクリニックで欝症状を訴えていたからそのせいもあるようだ。
相変わらず昼夜逆転してネットゲームをしていて日中は私がいても寝てばかりだし、これで一週間以上の旅行にいけるのかと心配になる。

先週に届いていたHISからのEチケットやいろいろな資料に目を通しているうちに私もだんだん不安になってきて寝付けなくなってしまった。20年前の添乗員のつかないT観光のローマ・パリのツアーで迎えがもれていたトラウマがあるのだ。

ダメだ、建て直しが必要ともう一日休みをとってしっかり寝なおした。

起きてからHISの担当者に連絡し、気になったことを質問。今回も添乗員のつかない個人旅行の設定なので、とにかく二人で頑張るしかない。迎えにくる詐欺というのもあるらしいので、騙されないための見分け方等々、いろいろとアドバイスも受けて次々と行動開始!

何かあった場合に緊急連絡がとれるように携帯をイタリアでも使える状態になっているかどうか、ソフトバンクショップに行き、使えることを確認。使い方も教えてもらってきた。
クレジットカードの暗証番号がわからなくなっている(空き巣に合って再発行した時以来わからない状態(^^ゞ)のでサインですませてきた。しかしながら、やはり旅行先で現金が足りなくなってキャッシングする必要が出てきた時はやはり暗証番号が必要なので、カードカウンターのある店に行って問い合わせもしてきた。
髪も切ってきた!

ようやく私の気持ちを建て直しできたぞ~。
いろいろと情報も整理しなくては!

職場で上のフロアでフィレンツェに行ったことがある方に教えてもらった情報サイトで美味しいお店の情報も補って、気分を盛り上げていきたい。
「フィレンツェ情報 ラ・カーサ・ミーア」
写真は『地球の歩き方フィレンツェとトスカーナ’07~’08』の表紙。

08/11/23 歌舞伎座昼の部②「通し狂言 盟三五大切」

2008-11-24 14:12:56 | 観劇

奇しくも同じ月に大量殺人の場面のある「伊勢音頭恋寝刃」が通りを挟んだ演舞場で通し上演されている。最近のアキバ事件などの世相を踏まえているのだろうか。
「盟三五大切」は2005年に歌舞伎座で観たのが初見。その時に三五郎だった仁左衛門が初役で源五兵衛をやるという今回公演も期待大。

【通し狂言 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)】
序幕 佃沖新地鼻の場、深川大和町の場
二幕目 二軒茶屋の場、五人切の場
大詰 四谷鬼横町の場、愛染院門前の場
あらすじは前回の記事にあるので省略。今回の配役は以下の通り。
薩摩源五兵衛=仁左衛門 芸者小万=時蔵
笹野屋三五郎=菊五郎 六七八右衛門=歌昇
富森助右衛門=東蔵 僧了心=田之助
お先の伊之助=錦之助 芸者菊野=梅枝
家主弥助=左團次 出石宅兵衛=翫雀    
ごろつき勘九郎=権十郎 内びん虎蔵=團蔵 
廻し男幸八=友右衛門

冒頭の佃沖に浮かべた舟の上での菊五郎と時蔵の三五郎夫婦のいちゃつきぶりはお江戸の世話物のかるい雰囲気がいい。雲が晴れて見えた近くの舟からイケメン源五兵衛が登場するのでこりゃあ何か起こるなぁの期待度が高まる!
源五兵衛宅。歌昇の下男八右衛門の主人への忠義心の熱さが家財道具を没収する道具屋たちとのやりとりだけで伝わってくる。
押しかけてきた小万たちを何も無くなった家に上げての源五兵衛の歓待。ここで仁左衛門は思いっきりデレデレするのがいい。それを八右衛門が快く思わないのも尤もだ。東蔵の富森助右衛門が百両のことをにおわせてしまうのが惨劇のきっかけとなるのだが、この伯父さんの不用意なひとことがいけないよ~と思ってしまう。
八右衛門が主人に仇討ちの忠義の道から外れさせまいと必死の説得も空しく、三五郎に騙されて小万の元へ行ってしまう源五兵衛。
イケメンで色恋にふらつきやすい源五兵衛という人物像。これなら三五郎夫婦のいいカモである。

カモネギを待ち受けての茶番劇に騙されて身請けの金と百両を投げ出し、女は亭主がいるから請け出せない。源五兵衛は欺した夫婦を殺すことを決意。夜討ちを予期して避難ということで泊まった仲間の家の丸窓が開いて長い足をいっぱいに伸ばして美しく恐ろしく仁左衛門の源五兵衛登場。演舞場では貢が丸窓を破って登場するがこちらはすっと窓が開いたとかにやつく。五人切のこちらは妖刀の力ではなく目に怨みをギラギラさせての殺し場だ。こういう対比も楽しめる。

五人切の下手人訴人を迷惑がる役人が翫雀。八右衛門が身替りになって捕まっているのは見え見えなのに凶悪な源五兵衛を連れて行かなくてすんだといういい加減な捕り方ぶりが可笑しい。かたや歌昇の八右衛門の熱い忠義心ぶりは前半が効いて本当に目頭が熱くなってくる。その八右衛門の忠義心を不憫に思えど復讐心を捨てられない源五兵衛は夫婦の転宅先まで追っていく。

手土産の毒酒を飲むハメになった家主は小万の兄で実は源五兵衛が浪浪の身となった原因を作った盗人でと因果応報。三五郎のいない間に小万も源五兵衛の手にかかる。自分を騙した「五大力」の入黒子が「三五大切」に変えられているのを見つけて究極に切れる。「これには様子のあること」と必死に言い訳し、自分は覚悟を決めたが子どもは許してと乞う小万の手に刀を持たせて赤子の喉に突き立てる。この殺し場の凄惨な様式美。痩せた長身の全身の美しい動きと小万とともにかどかどで極める形の美しさ。憤怒の形相に凄まじい美しさ。言葉もなく双眼鏡で食い入るように見つめるしかない。

小万の生首を帯に巻いて抱え、花道でそっと開いて裸の胸におしつける源五兵衛。生首はまだ温かいだろう。そのぬくもりまでイメージできてしまう。ふっとビアズレーのサロメの絵が思い浮かぶ。継父に踊りの褒美にもらった預言者ヨカナァーンの生首をもらい「お前に口づけするよ」というサロメの痩身。意のままにならない相手の生首への執着。その盲執心・・・・・・。
家来筋の僧了心に匿われている愛染院で小万の生首を据え、一緒に御飯を食べたかったと口元にごはんをはさんだ箸を持っていくと時蔵に変わっている首の目と口がカッと開き、客席はどよめく。南北劇のグロテスクな面白さ。

吉右衛門の時は女への妄執心があまり感じられなかった。仁左衛門は色恋で忠義の道を誤る役がうまい(忠臣蔵五・六段目の勘平)。前半のデレデレした姿があるから後半の妄執に説得力があった。

桶を踏み破って出刃包丁をつきたてた三五郎登場。菊五郎も熱演。仁左衛門と共演する時の菊五郎の熱さも好ましい。三五郎の父でもある了心を田之助というのも贅沢で、顔見世にふさわしい顔合わせだ。
そこに討入りの装束で源五兵衛を迎えにくる塩冶の面々。ここまでの惨劇も主人の討入りへの参加をかなえるためなのだ。南北の討入りをただ賛美しない皮肉がきいた幕切れ。
写真は公式サイトより公演のチラシ画像。
筋書で過去の上演歴を見ると、初演と再演が初代辰之助だった。三五郎が孝夫で小万が玉三郎。辰之助の源五兵衛だったら凄かっただろうと想像がつく。玉三郎のデズデモーナを観に行った「オセロー」で一番印象に残ったのは辰之助のイアゴーだった。つくづく辰之助の早世が惜しまれる。

11/23昼の部①藤十郎の「廓文章」

08/11/23 歌舞伎座昼の部①藤十郎の「廓文章」

2008-11-23 23:42:10 | 観劇

前の演目「盟三五大切」でエネルギーをとられてしまい、「廓文章」はウトウト気味になってしまった。
【玩辞楼十二曲の内 廓文章(くるわぶんしょう) 吉田屋】
あらすじと配役は公式サイトよりの引用に加筆。 
「大坂新町の吉田屋に、勘当を受けて紙衣姿に零落した藤屋伊左衛門(藤十郎)がやって来る。店先で若い者の松吉(亀鶴)が追い払おうとするが、主人の喜左衛門(我當)が見つけてたしなめ、伊左衛門を招きいれる。女房のおきさ(秀太郎)とも旧交をあたためるが、本当に伊左衛門が会いたいのは・・・・・・。
ようやく伊左衛門と二世を誓った傾城夕霧(魁春)が現れるが、伊左衛門はすねて辛くあたるので、夕霧は伊左衛門を心配するあまり病になったことを明かす。ここへ伊左衛門の勘当が許された旨が告げられ、夕霧の身請けの金も運ばれるので、ふたりは喜び合い、店の者も勢揃いしての目出度い幕切れ」

「情緒纏綿とした和事の代表作」ということだ。今年3月の仁左衛門の伊左衛門も観ているが、感想未アップ。
傾城買いの上方和事の典型の作品なのだろうが、風情を役者で見せる芝居なのだが、あまりにもドラマがなさすぎて私には物足りない。
舞台写真も入って買った筋書の今月の役々にひとことのコーナーで、秀太郎が同じ「廓文章」でも松嶋屋型と成駒屋型があって同じおきさでも台詞も芝居も違うということが書かれていた。確かに少し違っていたように思えた。

夕霧を探して探して他の客の座敷にいるのがわかり、今か今かと待つ間の伊左衛門の一人芝居の可愛さ。部屋の中をちょこちょこ逡巡し炬燵の上を何気なく乗り越えたりもする可笑しみのある動きも柔らか~く見せる。
右手床の三挺三枚の義太夫に乗っていくが、夕霧登場から下手奥の襖が開いて常盤津連中との掛け合いになる。義太夫と常盤津に乗った男女のじゃらじゃらした芝居を味わうっていう文化は徳川との戦に負けた西方ならではのものということだが、世の中の政争には背を向けてそちらに現をぬかしたんだなぁとしみじみ納得。
勝った方のお江戸では「強いっていいこと」という荒事が有難がられたという。まるでハリウッド映画とフランス映画ってことかもしれない(笑)

写真は歌舞伎座前の大入り看板つきの酒樽。顔見世狂言のみ上がる櫓もうまく入った。                  

08/11/16 歌舞伎座さよなら公演への演目リクエスト投票

2008-11-22 00:58:26 | 観劇

歌舞伎公式ウェブサイト「歌舞伎美人」に歌舞伎座さよなら公演への「お客様が選ぶ好きな歌舞伎20選」募集がアップされ、あちこちのブロガーさんで話題になった。11月の筋書にハガキが綴じこまれているということだったが締め切りは11/25らしく、いつも舞台写真入りになってから買う私は別にハガキを出さなければならないかと思っていた矢先・・・・・・。
11/16に演舞場と歌舞伎座のハシゴして歌舞伎座夜の部を観た時に、1階ロビーに応募用紙と投函する箱が設置されているのを発見!早速応募してきた。

2007年の2月と3月に三大狂言のうち2つが通しで上演されているのに「菅原伝授手習鑑」だけが上演されていなかったのでそれを通し上演でと明記してリクエストした。せっかく歌舞伎座さよなら公演なのでいつもの見取り上演でなく通し上演も入れて欲しい。
さらにB5くらいの用紙だったので余白がたっぷりあったのをいいことに(笑)配役の希望まで書き込んでおいた。その部分は集計されなくても誰か目を留めてくれる人がいればいいやという気分。
ちなみに「菅丞相:仁左衛門、源蔵:吉右衛門、苅屋姫:玉三郎、「寺子屋」部分の松王丸:團十郎、等」と書いた。役名に誤字が2箇所あったことにあとから気づいて恥ずかしかった(^^ゞ
さて、どうなるか楽しみである。

08/11/21 フィレンツェの予習が足りない!

2008-11-21 23:55:22 | おでかけ、旅行

老眼鏡もつくって『地球の歩き方’07~08ローマ』に続き、同シリーズのフィレンツェも着手。しかし、星3つの美術館のところを読んでいるうちに名画を描いている画家たちの基礎知識が足りないと痛感。そういえば、古本屋で見つからなかったからとフィレンツェの予習本が何も手元になかった!
『地球の歩き方’07~08フィレンツェ』の参考になる本として紹介されていた3冊をネット検索。

紀伊国屋書店の店別在庫チェックで浦和PARCO店にまず1つ見つけたので、仕事帰りに買いに行ったらちゃんとあった!
高階秀爾著 『フィレンツェ 初期ルネサンス美術の運命』(中公新書)

もう一冊、若桑みどり著『フィレンツェ―世界の都市と物語』(文春文庫)は絶版のようでネットで古本を手配しようにもプレミアつきだった(^^ゞ
しかし、紀伊国屋書店にいるうちにひらめいた!この建物の上に市立図書館の分室がある!!そこにあるんじゃないか?

利用者カードは持っていないが、あるかどうかだけ検索してもらおうと行ってみたら、あった!!!そしてカードがなくても名前と電話番号と身分証明書で借りることができた~。平日は夜9時まで開いているというし、なんと便利なんだろう。北浦和の図書館は駅から少し歩かないといけないが、ここは駅から2分くらいだし、これからもっと利用できるじゃないかと気がついた。本も借りられたし、いいことに気づいたし、大収穫だった。

旅行の予習用に読んだ本は以下の通り。
塩野七生著『イタリアからの手紙』 『イタリア遺聞』 『ローマは一日にして成らず(上・下)』
創元社「知の再発見」双書10『ポンペイ・奇跡の町 甦る古代ローマ文明』
ローマとポンペイしかカバーしていない(^^ゞ
老眼鏡かけて頑張りま~す!

08/11/16 花形歌舞伎昼の部②「通し狂言 伊勢音頭恋寝刃」

2008-11-20 23:59:01 | 観劇

これまで2回観た「伊勢音頭恋寝刃」は油屋からの上演。2006年に仁左衛門の貢で観た時に、ようやくこれはこれでありの演目だなぁと思えたが、東京での通し上演は20年ぶりという。作品全体をきちんと把握しておきたかったので大歓迎だ。

【通し狂言 伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)】 
今回の配役は以下の通り。
福岡貢=海老蔵 今田万次郎=門之助
仲居万野=吉弥 料理人喜助=愛之助
油屋お紺=笑三郎 油屋お岸=宗之助
油屋お鹿=猿弥 藤浪左膳=右之助
奴林平=獅童
<序幕>相の山の場、妙見町宿屋の場、追駈け地蔵前の場、二見ヶ浦の場
初見なので公式サイトからあらすじをほぼ引用。
「阿波の国家老、今田九郎右衛門の息子万次郎は、将軍家へ献上する青江下坂の名刀紛失の詮議のため伊勢へ来たが、古市の遊女お岸の色香におぼれて通いつめている。刀を折角探しあてたものの、質入れして遊びの金としてしまい、大切な鑑定書である折紙まですり替えられてしまう(「相の山」)。
宿では、万次郎の後見役藤浪左膳から助力を乞われる家来筋の福岡貢。万次郎を陥れようとする敵方の様子をうかがう奴林平と貢は、御家横領の詮議の手掛かりとなる密書を手に入れる(「宿屋・追駈け地蔵前・二見ヶ浦」)。
<二幕目>油屋店先の場、奥庭の場
ここはあらすじ省略。
以下、感想を書く。まず序幕。
家を出るのが遅くなって「相の山」が終る少し前に着席。悪者が折紙を手に入れちゃったようだというところで幕切れ。まぁ大勢に影響ないかな(^^ゞ
「宿屋・追駈け地蔵前・二見ヶ浦」が予想以上に面白かった。宿屋で藤浪左膳が貢に万次郎への助力を頼むところがあるので貢の忠義の努力がすんなり理解できる。奴林平が一所懸命に悪者方を追いかけるチャリ場も笑えた。獅童は悪者方2人とにらみあっての極まりも一人腰高でちょっとかわいそうに思えたが「レッドクリフで馬に乗っているより速い」と言われるあたりで外部での活躍という話題性も芸のうちかなぁと思えた。井戸から出てきた悪者は「ポニョポニョポニョ深い井戸からやってきた」と茶を入れて、映画ネタ満載なのもよかった(笑)
その3人のドタバタの追いかけっこを見る貢と万次郎が「アレは気違いやなぁ」と醒めた目で繰り返すのもまた可笑しい。海老蔵が二枚目顔で肩の力の抜けた芝居をして笑いもとれるのかと感心しきりだった。

「二見ヶ浦」の夜明け前の密書をめぐるだんまりの締め括りに舞台奥の幕が落ちて夫婦岩に朝日が登っての幕切れ。伊勢の名所をしっかり見せるお江戸でも伊勢参りが盛んだったろうから、受ける演出だったのだろうと思い至った。
前半が実に面白く、「相の山」にも間に合いたかったと少々残念だった。
二幕目の油屋店先の場。宗之助のお岸は可愛く、万次郎が入れあげているのも納得。その万次郎がまた本当に頼りない坊ちゃんという雰囲気がよくわかる。こんな若主人のためにみんなそんなに頑張ってるなんて可哀相と思えるが、そういうところも喜劇的なのかもしれないと思った。
猿弥の油屋お鹿が実によかった。以前「八重桐廓噺」のお歌がよかったのでこの役もよかろうと思っていたが、愛嬌の上に貢への愛情の深さがにじんで情の濃い女郎として人気があるという自信の披露の台詞にも説得力があった。
そして吉弥の仲居万野が絶品だった。年増女のお金への執着もよく出ていて、そのために金にならない客へは冷たくする、金になる話にはからんでいく、女郎もだまして金を巻き上げる、と金のために何でもする嫌らしい女の存在感があった。貢は名前を悪用されて潔白を言い立てるが、万野の口の方が上手でやりこめられ、あわてふためき、怒りをカッコをつけて抑えこむ。ここの海老蔵の芝居が予想以上によくて見直した。
笑三郎の油屋お紺は少し硬いが綺麗。もう少し売れっ子女郎としての色気が出るといいと思った。愛之助の喜助は少し抑えすぎかも。もう少し線を太くしてもいいかも。
海老蔵の貢は、白塗りではあるが声域もそれほど高くないために無理しないで出せたのか声が裏返ることもなく、狼狽の場面は可愛く、怒りをこらえる場面も美しく、合格だ。辛抱立役、ぴんとこな、できるじゃないか!

万野の挑発で刀で打ったら鞘走って斬ってしまい、そこから青江下坂の妖力が乗り移っての大量殺人。ふらふらしながら斬っていくという夜の部の仁木弾正がスピード感あふれるものとは正反対のゆっくりした動きの美しさが問われる立ち回り。この両者を昼夜で見せるというのは、観ているこちらも楽しいが、やっている方も実は楽しかろうと思えてしまった。

奥庭の場へ丸窓を蹴破って登場するのは仁左衛門に習ったことの現われだと思う。いろいろな先輩に習いにいけるというのも海老蔵の強みだろう。
笑三郎のお紺を斬りそうになってようやく正気が戻り、自害も喜助がとどめて、青江下坂もその折紙も喜助やお紺の必死の尽力で揃ったことがわかっての幕切れ。仁左衛門のようにニッコリという顔ではなかったが、なんとか主人への忠義はなったという安堵感をにじませる表情での幕切れだった。

通しで観ると、大量殺人のドラマではなく、忠義を貫くための笑う場面あり、偽の縁切りあり、凄惨な場面までありの波乱万丈というか破天荒というか、とにかくいろいろな場面てんこもりのいろいろな役者の見せ場がいっぱい仕組まれた作品だという全貌が明らかになった。

最近の海老蔵は父・團十郎の闘病で気持ちを入れ直したかのような大活躍で、大いに喜ばしい。また、通し上演にこだわっているようだが、歌舞伎に馴染みの薄い観客にもよりわかりやすいだろうし、自身が役を深くつかむためいいと思うし、こういう取り組みは応援したい。
1月の演舞場もしっかり観るつもりである。

写真は演舞場のロビーにあった今回公演の特別ポスター4種から携帯で撮影。
11/14夜の部①「竜虎」
11/14夜の部②「通し狂言 伽羅先代萩」
11/16昼の部①「吉野山」