昼の部の最後は「道行旅路の花聟」。歌舞伎では元々の三段目の「裏門の段」にあたる部分をこの清元の明るい舞踊劇にしての上演が多いとのこと。
文楽の「仮名手本忠臣蔵」第一部の感想はこちら
【浄瑠璃 道行旅路の花聟】
この場面の主な配役は以下の通り。
早野勘平=梅玉 腰元お軽=時蔵
鷺坂伴内=翫雀
梅玉・時蔵コンビの舞踊は昨年1月の「鶴寿千歳」がよかった。今回もそのコンビによるお軽勘平の道行ということで安心して観ることができる。幕開きは浅葱幕を切って落とすと二人がひとつの道中合羽に入っていて勘平の笠から顔を出す演出。富士山を背景に桜と菜の花いっぱいの舞台でまさに絵になっていて美しい~。四段目の沈鬱ムードをいったん消去するような明るさだ。ちょうどこの場面が文庫本の『芸づくし忠臣蔵』の表紙の絵になっている(→こちら)。
しかしながら勘平とお軽は逃避行中の身。人目をしのんで夜道を急ぐ最中で本当は夜の場面という設定。だんまりと同じでそのつもりということだ。
鎌倉を出て戸塚にさしかかった頃、勘平が松の蔭で一休みしようというと喜ぶお軽。これはここでしっぽりということなのだが、舞台では裏門でのやりとりの回想のようになる。お軽との逢瀬で主君の一大事に駆けつけられなかった落度を恥じた勘平が切腹するというのをお軽はなだめる。忠義を示せる機会を待つ間、山城国山崎のお軽の実家へ身を寄せようと説得。「機も織り候賃仕事~」と好きな男のためにつくすからとクドキ。必死のお軽にほだされて勘平も折れてふたりで出発しようとすると、そこに追っ手がやってくる。お軽に横恋慕するは鷺坂伴内が手勢をつれてきたのだ。手勢の四天と勘平の所作立て。
勘平はあっという間に四天どもをやっつけて、伴内を斬ろうとするがお軽にとめられる。「こいつ殺さばお詫びの邪魔、もうよいわいなあ」。伴内も必死に命乞いするが、やはりお軽を連れていかれるのは惜しいと引き止めるが、すぐにあきらめる。定式幕が下手から閉まってきて伴内を追い立てると、くるっと表に回って自分で幕引きをする。「逆幕」というのだそうだ。
最後は幕外で道行のふたりの引っ込み。勘平がお軽の手をとって「おかる、おじゃ」と山崎さして立っていく。
梅玉・時蔵のコンビはやはり地味ではある。華やか~というのを期待しすぎなければバランスもよくて味わいはある。しかし、四段目までの緊張がとけてしまって睡魔が襲ってきた~。目は開いているのに脳内のスクリーンにまでは飛び飛びにしか届いていなかった。残念。
伴内の翫雀の登場に実は私は怒っていた。「あれ?仁左衛門さんが御馳走でやるんじゃなかったっけ??同じ上方勢の翫雀に譲ったのかなぁ」今月はこの一役だけということもあって勝手にそう思っていたのだった。でも少しは痩せて顔の丸みが少なくなってるなぁと思いながら見ていた。半分がっかりして昼の部終了。
ところが後から「昼の部の御馳走」とは3月の「義経千本桜」の道行だとわかった。ということは私は勘違いして翫雀に怒っていたわけだ。ごめんなさ~いm(_ _)m
写真は「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」と書かれた歌舞伎座正面の垂れ幕。開演前は雨だったのに昼の部を打ち出されたらこんなに青空だった。
以下、この公演の別の段の感想
2/18歌舞伎座昼の部「仮名手本忠臣蔵」大序
2/18歌舞伎座昼の部「仮名手本忠臣蔵」三・四段目
2/25歌舞伎座千穐楽夜の部「仮名手本忠臣蔵」11段目
文楽の「仮名手本忠臣蔵」第一部の感想はこちら
【浄瑠璃 道行旅路の花聟】
この場面の主な配役は以下の通り。
早野勘平=梅玉 腰元お軽=時蔵
鷺坂伴内=翫雀
梅玉・時蔵コンビの舞踊は昨年1月の「鶴寿千歳」がよかった。今回もそのコンビによるお軽勘平の道行ということで安心して観ることができる。幕開きは浅葱幕を切って落とすと二人がひとつの道中合羽に入っていて勘平の笠から顔を出す演出。富士山を背景に桜と菜の花いっぱいの舞台でまさに絵になっていて美しい~。四段目の沈鬱ムードをいったん消去するような明るさだ。ちょうどこの場面が文庫本の『芸づくし忠臣蔵』の表紙の絵になっている(→こちら)。
しかしながら勘平とお軽は逃避行中の身。人目をしのんで夜道を急ぐ最中で本当は夜の場面という設定。だんまりと同じでそのつもりということだ。
鎌倉を出て戸塚にさしかかった頃、勘平が松の蔭で一休みしようというと喜ぶお軽。これはここでしっぽりということなのだが、舞台では裏門でのやりとりの回想のようになる。お軽との逢瀬で主君の一大事に駆けつけられなかった落度を恥じた勘平が切腹するというのをお軽はなだめる。忠義を示せる機会を待つ間、山城国山崎のお軽の実家へ身を寄せようと説得。「機も織り候賃仕事~」と好きな男のためにつくすからとクドキ。必死のお軽にほだされて勘平も折れてふたりで出発しようとすると、そこに追っ手がやってくる。お軽に横恋慕するは鷺坂伴内が手勢をつれてきたのだ。手勢の四天と勘平の所作立て。
勘平はあっという間に四天どもをやっつけて、伴内を斬ろうとするがお軽にとめられる。「こいつ殺さばお詫びの邪魔、もうよいわいなあ」。伴内も必死に命乞いするが、やはりお軽を連れていかれるのは惜しいと引き止めるが、すぐにあきらめる。定式幕が下手から閉まってきて伴内を追い立てると、くるっと表に回って自分で幕引きをする。「逆幕」というのだそうだ。
最後は幕外で道行のふたりの引っ込み。勘平がお軽の手をとって「おかる、おじゃ」と山崎さして立っていく。
梅玉・時蔵のコンビはやはり地味ではある。華やか~というのを期待しすぎなければバランスもよくて味わいはある。しかし、四段目までの緊張がとけてしまって睡魔が襲ってきた~。目は開いているのに脳内のスクリーンにまでは飛び飛びにしか届いていなかった。残念。
伴内の翫雀の登場に実は私は怒っていた。「あれ?仁左衛門さんが御馳走でやるんじゃなかったっけ??同じ上方勢の翫雀に譲ったのかなぁ」今月はこの一役だけということもあって勝手にそう思っていたのだった。でも少しは痩せて顔の丸みが少なくなってるなぁと思いながら見ていた。半分がっかりして昼の部終了。
ところが後から「昼の部の御馳走」とは3月の「義経千本桜」の道行だとわかった。ということは私は勘違いして翫雀に怒っていたわけだ。ごめんなさ~いm(_ _)m
写真は「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」と書かれた歌舞伎座正面の垂れ幕。開演前は雨だったのに昼の部を打ち出されたらこんなに青空だった。
以下、この公演の別の段の感想
2/18歌舞伎座昼の部「仮名手本忠臣蔵」大序
2/18歌舞伎座昼の部「仮名手本忠臣蔵」三・四段目
2/25歌舞伎座千穐楽夜の部「仮名手本忠臣蔵」11段目
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