1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

10月9日・サン=サーンスの白鳥

2020-10-09 | 音楽
10月9日は、ロックバンド「ザ・ビートルズ」のジョン・レノンが生まれた日(1940年)だが、作曲家サン=サーンスの誕生日でもある

シャルル・カミーユ・サン=サーンスは、1835年、フランスのパリで生まれた。父親は政府の役人だったが、シャルルが生まれて3カ月後に没した。母親とそのおばにそだてられたシャルルは、早くからその音楽の才能を認められていて、2歳のときにピアノを習いだして、すぐに絶対音感があることがわかり、3歳半ではじめて作曲をした。
5歳ではじめて公衆の前で演奏し、10歳のときデビュー・リサイタルを開いた。そのとき、アンコールを受けた彼は、ベートーヴェンの32曲のピアノソナタのうち、ご希望のものを記憶を頼りに演奏しましょうと聴衆に申し出た。
13歳でパリの音楽学校に入ったサン=サーンスは、そこで10歳だったビゼーと仲良くなり、数々の賞を受賞し、すでに巨匠だったリストとも親交を結んだ。
16歳ではじめて交響曲を作曲したサン=サーンスは、22歳のとき、マドレーヌ教会のオルガニストとなり、オペラ、交響曲、管弦楽などにわたるさまざまな曲を書き、51歳のとき、代表作の組曲「動物の謝肉祭」と、交響曲第3番ハ短調・作品78「オルガン付き」を書いた。
73歳のときには、映画のために局を書き、映画音楽を作曲した最初の作曲家のひとりとなった。
サン=サーンスは、アルジェリア旅行中だった 1921年12月、肺炎のため没した。86歳だった。葬儀は国葬で執り行われた。

サン=サーンスはあまり聴かない。たまに聴くのは「動物の謝肉祭」と交響曲第3番と、あと、美しいバスーン・ソナタくらいである。でも、小学校のころは毎日のように彼の音楽を聴いていた。
かつて通っていた小学校では毎日、放課後の午後5時になると「動物の謝肉祭」の「白鳥」のメロディーが校内にあるあちこちのスピーカーから流れだし、
「5時になりました。教室にいる児童も、校庭にいる児童も、みんな帰りましょう」
と呼びかけるアナウンスが聞こえてきた。
だから、あの「白鳥」の甘美なメロディーを聴くと、条件反射的に、もう、家に帰らなくては、という気持ちになる。美しい、流麗な旋律の作曲家である。
(2020年10月9日)



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