噛みつき評論 ブログ版

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死者8470人のメルケルは支持80%、死者874人の安倍支持は27%

2020-05-31 22:38:38 | マスメディア
 5月29日正午時点での数値である。死者は日本の9.69倍である。日本の人口はドイツの約1.5倍なので人口当たりでは約14.5倍となる。日本は死者数、感染者数、ともに最優秀のレベルなのに、なぜか安倍政権の支持率はあまりにも低い。支持率は単なる人気ではない。選挙の投票に強く影響し、それは政治を決定する重大な問題である。つまり国民が政府を正しく評価できなければ選挙は適切な結果を得ることはできない。

 そのような観点に立てば、今回の政府のコロナ対策が果たして正当に評価されたのだろうかと検討する必要がある。もし間違った評価がなされたのであれば、その理由を探すことに意味があると思う。現在の安倍政権の最新の支持率27%(5/23毎日新聞 不支持64%-左派系メディアの調査は支持率が低く出る傾向がある)には検察庁人事の問題も含むので、すべてがコロナ対策の結果ではないが、支持率の低迷は検察庁問題の前から見られたから、評価の多くはコロナ対策の結果だと見てよい。

 当然のことながら、まず疑うべきはマスコミであろう。支持する、しないを決める最大の要素はマスコミの情報であるから。中でもニュースショーの比重が大きい。例を挙げると、各局のニュースショーで好んで取り上げられたのはPCR検査の不足である。これが政権批判のネタとして重宝された。緊急事態宣言が効果を発揮し、収束が明らかになった時点ではPCR検査の数など、どうでもよいことなのだが、テレ朝などのニュースショーは執拗に取り上げた。「グッド!モーニング」では心臓外科医の澁谷泰介氏に出演を依頼したが、渋谷氏は「無作為な大規模検査は現場としては全く必要としていない事をコメントしたが完全にカットされていましました」と述べている。さらに「次のコメンテーターの方の映像に変わっていき、だからPCR検査を大至急増やすべきだ!というメッセージの一部として僕の映像が編集され真逆の意見として見えるように放送されてしまった」そうである。今回は渋谷氏がSNSに書き込んだため表沙汰になったが(数日後、テレ朝は同番組で釈明)、このような手口はテレ朝ではごく普通なのであろう。

 PCR検査は単純に多ければよいというものではない。PCR検査は精度に限界があり、感染者を正しく陽性と診断できる確率(感度)は70%程度、逆に非感染者を正しく陰性と診断できる確率(特異度)は99%-99.9%程度とされている。1000万人の都市で感染率が1%であった場合、感染者数は10万人、非感染者数は990万人となる。全員にPCR検査を行った場合、7万人は陽性とされるが、3万人は陰性と診断され堂々と野放しされる。逆に陰性なのに陽性となる人は特異度99%の場合99万3千人、特異度99.9%の場合でも9万9千人を感染者として隔離することが必要となる。まるで冤罪事件である。残念ながらとても現実的とは言えない。この程度の解説はネットを探せばいっぱいある。また新型コロナウイルスに特効薬はないので、感染者の早期発見が治療に有効とは言えない。

 ニュースショーのキャスターやコメンテーターがこの程度のことを理解できない頭の持ち主ばかりだとは思いたくないが、事実はその可能性を示している。別の可能性として理解したまま、つまり嘘を自覚しながら主張している場合があるが、テレビの影響力を考えると、極めて無責任である。嘘が日常茶飯事の国では許されるかもしれないが、日本はそうではない。PCR検査などで誤った言説や誇張を用いて無理やり政府批判を繰り返した感が否めない。

 安倍政権のコロナ対策は結果として十分な評価に値する。入国管理の遅れなど、いろいろ批判はあるし、未知の幸運に恵まれたこともある。しかし結果がすべてである。新型コロナウイルスの感染という初めての経験では、予測をして対策をとるという通常の手法が極めて困難である。感染状況の予測が難しいのである。さらに規制は感染拡大を抑制するが経済にも打撃を与える。両者はトレードオフの関係であり、最適解の判断が難しい。現在のところ、失業率など経済への悪影響に於いても他の諸国に比べ劣っているとは思えない。これはもう少し時間が経つと明らかになるだろう。

 安倍政権にはプラス面もマイナス面もあるが、好意的に報道すれば高い支持率を実現できる可能性は十分にある。現在の報道姿勢は強い悪意があるようで、あまりにひどいと思われる。マスコミの頭は病気にかかっているように見える。第二次安倍政権7年半の評価も悪くないうえ、コロナ対策で成功しても、27%ではちょっと気の毒である。批判すべきものは批判してもよいが評価すべきものは評価するという態度、是々非々の態度がなければ政治家を志す人がいなくなるだろう。

 公正・中立を欠いた批判を繰り返した結果、生まれたのが民主党政権であるが、それがどんな「悪夢」であったかは記憶に新しい。安倍政権が嫌でもよいが、安倍政権を倒し、それにとって代わる政権をマスコミは想定してるのだろうか。それが朝日が推す立憲民主党だとすればもう「悪夢」ではなく「地獄」を見ることになろう。報道の中立性が有名無実となっていることに我々は慣れてしまっているが、中立性は民主主義の重要な機能であり、改めて厳しい目を向ける必要があると思う。報道の偏りは放置できるレベルではない。

10万円給付 無責任な巨大バラマキ

2020-05-24 20:50:42 | マスメディア
 4月7日、安倍首相は次のように述べた。
「今回、緊急事態宣言を全国に広げ、すべての国民に協力をお願いする。長期戦も予想される中でウイルスとの戦いを乗り切るためには、何よりも国民との一体感が大切だ。その思いで、全国すべての国民を対象に、一律に1人当たり10万円の給付を行うことを決断した」

 これが収入が減少した世帯への30万円の給付から方針を転換した理由である。閣議で決定した30万円給付案は評判がよくなかったのが理由のひとつらしい。もうひとつは給付のスピード感と言われているが、「スピード感」ではなく「スピード」という表現する方がよい。受給者に必要なのは「感」よりも実際のスピードなのだから。

 それにしても一律に1人10万円の給付は問題が多い。約13兆円もの巨費が必要になる。財源は赤字国債という。30万円案なら対象は収入が減少した世帯1300万世帯だけであり、約4兆円で済む。しかしこの13兆円という金額は消費税4%でも足りないくらいの大きさである。防衛予算の2年半分にもなる。大まかにいうと差額の約9兆円は必要のない所帯向けであり、あまり意味のない支出となる。

 最大の問題は全所帯数5340万(2015年)所帯のうち1300万を引いた4040万の所帯は収入が減少していないにもかかわらず10万円を受け取ることである。政府債務残高対GDP比が231.13%と世界ランキングで堂々トップの日本がやっていいことなのか。需要喚起を狙った面もあるというが、多くが貯蓄に回る可能性が高い。リーマンのときの1万2千円の一律給付では消費につながったのは25%であとは貯蓄に回ったと言われている。

 閣議で決定した30万円案がひっくり返されたのは連立離脱までちらつかせた公明党のごり押しがあったようだが、それよりも問題なのはほとんどのメディアも野党も反対しなかったことである。圧力に屈した自民党も情けないが、メディアにも野党にも国の財政を長期的に考える頭がないように見える。国民からも目立った反対意見はなかったから、同罪である。増税となれば皆で反対、給付となれば皆で賛成、子供同然である。

 一律10万円となったもうひとつの理由はスピードだが、これも知恵を絞ればいろいろと解決策はある。例えば一律に10万円を給付することにし、所得が一定基準を超える人、あるいは所得が減っていない人には辞退していただくという方法がある。受給者のうち受給基準を超える疑いのある人に対しては税務調査を行い、結果によっては返還を求める。とすれば辞退者は俄然多くなる。誰しも10万円くらいで腹を探られたくないからである。叩いて埃が出ない人は少ない。また公務員は最初から対象から除外してもよい。

 これはメディア、評論家、政治家、政党など国をリードする立場のものがそろって無責任にも赤字国債による巨額のバラマキ、その75%は意味が見いだせないバラマキを支持したということである。国の長期的な財政のことなど真面目に考えるつもりがあるのだろうか。いつも政権批判をしている人たちも目の前の10万円には沈黙のようだ。どさくさに紛れての、この無責任さは歴史に残るかもしれない、衆愚政治の見本として。

 逆に言えば、長期的な視点を欠き、目先のことを重視するメディアや政党の性格が主要国中で最悪の政府債務を築いたのだと言える。債務の膨張はいつまでも続けられるものではない。

世論調査の質問項目に購読紙を加えよ

2020-05-17 22:13:09 | マスメディア
 新型コロナウイルスの感染拡大は「ほぼ想定通り」ピークを越え、収束に向かうのが確実な情勢になっている。人と人との接触を抑制するという方法が感染拡大防止の実現可能な、そして有効な手段として実証されたわけである。感染が拡大傾向にあり、どこまで上昇するかわからない時期の不安は非常に大きい。逆に感染をコントロールする手段を得、それが実証されたことが人々に与える安心感はとても大きい。不安が減少するとコロナ報道に対する興味も薄れる。ところがメディアには「制御可能なことが実証され、再発はあり得るがほぼ安心」という論調はほとんどない。メディアの主流は第2波に移っている。不安を煽ることが視聴率を稼ぐ最良の手段であると言われているが、まさにそれを実感する。

 テレビ界ではまだコロナの勢いが止まらないが、不安の減少に加えて、同じテーマを長くされると飽きることもあり、コロナに対する興味が薄れたので話題を他へ移したい。5月7日付の毎日新聞の記事に世論調査の結果が載った。調査項目は多岐にわたるが、その中で、新型コロナウイルス問題への対応で「最も評価している政治家」は、という項目がある。結果は以下の通り。

吉村洋文知事  188人
小池百合子知事  59人
安倍晋三首相   34人 

 同じような調査を「虎ノ門ニュース」でもやっているが、興味深い結果となっている。

吉村洋文知事  420人
小池百合子知事   5人
安倍晋三首相  102人 

 吉村知事の人気は圧倒的で双方とも1位だが、小池知事の人気は「虎ノ門ニュース」の調査では驚くほど低い。恐らくそれは「虎ノ門ニュース」で小池知事が1月に中国に33万着あまりの防護服を送ったことや、豊洲への移転を「安全だけでなく安心も必要」といって数百億円の損害を都民に与えたことを報じていたからであろう。むろんこれらの報道は新聞やテレビでもなされていただろうが、小さな扱いであった。

 「虎ノ門ニュース」はネット専門のメディアであり複数のチャンネルで視聴できる。そのひとつ、ユーチューブでは毎回の視聴数が80万回前後あり、他のチャンネルと合わせるとそれ以上となるので、産経や毎日の購読数に迫る影響力があると思う。上記の調査は「虎ノ門ニュース」の視聴者に対して行われたもので、視聴者の特性を反映したものとなる。これに対して毎日の調査は携帯電話対象で、575人のうち401人の回答である。こちらは無作為で選んだ一般対象ということになっている(携帯電話だけなので全く無作為とは言えない)。

 何が言いたいのかというと視聴しているメディアによって評価は大きく影響されるということである。政治家の評価だけでなく価値観まで影響を受ける。「虎ノ門ニュース」の視聴者と同様、朝日や毎日の読者・視聴者も朝日・毎日の見方、価値観を知らないうちに身につける。読者・視聴者は自分の考えに合っているから新聞やテレビを選ぶのではなく、
新聞・テレビが考えを変えるのである。多くの人は変えさせられたことに気づかず、それがスタンダードだと思ってしまう。

 そこで提案したいことがある。メディアの世論調査の項目に「購読紙は何か」「よく見るテレビはどこか」を加えていただきたいのである。世論調査の集計結果には支持政党ごとの内閣支持率などが載せられるが、それと同じように、購読紙ごとの内閣支持率などを載せていただきたい。例えば朝日の購読者は内閣支持率が10%、産経の購読者は50%というように。

 このような世論調査が出てくればメディアが政治にどれほどの影響を与えているかが明らかになるであろうし、偏向の度合いも明確になる。さらにメディアの政治的責任が意識されるようになると思う。つまりメディアは現実を軽視した、きれいごとを並べるだけでは済まなくなる。発言に少しは責任を持つようになると期待できる。

中国は既存メディアに影響力を持つのか?

2020-05-10 22:50:47 | マスメディア
 『政府のコロナ対応、海外から批判続出「終結は困難」』
これは5月7日付朝日新聞デジタル版の見出しである。まず取り上げられたのは英紙ガーディアン(電子版)の4日の記事で、「日本は(PCR)検査の少なさで批判されている。日本のやり方は症状が軽い感染者を特定し、追跡することを困難にしている」と。
 次は4月30日付の英BBC(電子版)の記事。PCR検査について「日本の検査数の少なさは疑問だ」と。日本の感染者数は28万~70万人におよぶという試算を紹介しながら「日本は検査数を増やさないと、パンデミックの終結はかなり困難」という専門家の厳しい見方を取り上げたと紹介。
 3つ目は韓国のハンギョレ新聞(電子版)も4月30日に社説。「安倍首相は韓国の防疫の成功を無視し、軽んじていた。日本政府とマスコミは当初、自国の対応を自画自賛した」と批判した。「新型コロナの対応に失敗し、国民を苦痛に陥れた安倍政権は今からでも隣国の成果を謙虚に認め、支援を要請する勇気を見せなければならない」と紹介。

 2つは英国のメディアの反応だが、その英国は感染者数201101人、死者数30076人である(5月7日正午現在)。その悲惨な状況の英国が感染者数15463人、死者数551人の国に対して批判しているわけである。英国の死者数は日本の約55倍である。人口当たりにすると約100倍。「ご親切はありがたいが君だけには言われたくない」「心配ならご自分の国を」と言いたくなる。感染者数は28万~70万人におよぶという試算も全くのデタラメ、大ウソつきである。

 3つ目は韓国のハンギョレ新聞の社説。要するに自画自賛である。確かに韓国の感染者数10810人、死者数256で確かに日本より少ない。だが人口100万人当たりの感染者数で日本の122人に対して韓国は211人、死者数では日本の4.35人に対し韓国は5.00人と韓国の方が多い。しかも日本の緩やかな規制に対して韓国はGPSによる個人の追跡などプライバシー侵害大ありの強権的な規制を敷いた結果である。どちらが見習う方か。

 日本のコロナ対策が功を奏し、新たな感染者数が明確に減少しているときになぜ朝日は世界中から日本批判だけを集めてきて報道するのだろうか。圧倒的に少ない死者数に加えて感染のコントロールにも成功しているのに、である。また、世界には日本を称賛する記事がないとは思えない。朝日がこうまでして日本を貶めようとする裏には何があるのだろうか。

 シンガポールのブラックボックス・リサーチとフランスのトルーナの調査によれば23カ国・地域の人々を対象に、それぞれの指導者の新型コロナウイルス対応の評価を尋ねた国際比較調査で、日本が最下位となった。政治分野では、日本で安倍政権の対応を高く評価した人の割合は全体の5%にとどまり、中国86%、ベトナム82%、ニュージーランド67%などに大きく劣った。日本に次いで低かったのは香港11%で、フランス14%が続いた。世界平均は40%で、感染者・死者ともに世界最多の米国は32%、韓国は21%だったという。

 緩い規制だけで圧倒的に少ない死者数の日本が最下位で中国が1位とはどう考えてもわからない。この成果のすべてが安倍政権によるものだとは思わないが、とにかく最高レベルの結果である。感染者は元に戻るが、死者は戻らない。この国民による無茶苦茶な評価はなぜ起きるのだろうか。国民の評価は当然のことだがメディアからの情報に基づくものである。今、政権批判の焦点はPCR検査数の少なさである。しかし最大の問題は死者数の少なさであってPCR検査数はたいした問題ではない。

 上記の朝日の記事に見られる姿勢は従軍慰安婦の虚偽報道や福島第一の事故時に所員が一斉に逃げたという虚偽報道でも一貫しているが、その動機は朝日の偏った政治思想だけに帰するものだろうか。一方、毎日新聞は2016年8月からチャイナデイリー社の発行する8ページの新聞「チャイナ・ウォッチ」を読者に配布している。このチャイナデイリー社は20年2月、米司法省によって工作宣伝機関と認定されている。プロパガンダ以外にこんなことをする筈がない。また毎日新聞は金をもらって配布しているのだろうが、これで中国に対して中立的な記事が書けるだろうか。尖閣防衛に積極的な記事が書けるだろうか。

 絶えず政権批判をして、国民の支持を減らすことは政権の弱体化につながる。憲法9条の改正を何としても抑える、防衛力強化に反対する、これらが実現して利益を受けるのは中国であろう。中国が世界各国で工作活動し、政治的影響力を及ぼそうとしているのは周知の事実である。当然、メディアは重要な活動対象となる。中国のプロパガンダの「努力」はたいしたもので教育分野にも及ぶ。孔子学院は中国語の教育機関として世界の480の大学に存在し、日本にも多数あるが、北米ではスパイの拠点とみなされ、続々と閉鎖されている。むろん想像の域を出ないが、日本のメディアがどのくらい中国の影響を受けているのか、関心を向けるのがいいと思う。ただメディアが既に強く「汚染」されていれば、メディアが中国の影響を探ったり、表面化させることはないだろう。中国に対する姿勢において、地上波テレビ・新聞とネットメディアに大きな差があることも疑念材料のひとつである。

新型コロナウイルス、制御可能へ

2020-05-03 22:45:44 | マスメディア
 新型コロナウィルス感染者の1日毎の発生数は最近ピークを越えたようだ。北大の西浦教授による数理モデルの正しさが証明されつつあるように思う。人と人との接触を8割減らせば感染者数は急速に減少するというわけで8割減を目標に掲げられた。現在は8割に少し及ばないようであるが、この8割は大まかな目安であるのであまり心配はない。測定はターミナルや観光地の人の移動量をもとに計算しているようだが、ただ、同じ8割でも通勤客が8割減になるのとライブハウスや夜の歓楽街の人出が8割減になるのとは全く意味が異なる。

 そんなことを言い出したらマスメディアに、そして国民に理解してもらうのが大変だから一律に8割減と言っているのだろうが、マスメディアは単純に理解しているらしく、ターミナルでの人の移動量ばかり取り上げている。まあ8割減という目標自体、かなり大雑把なものだと考えられるから、それでもいいと思う。しかし、全体として8割減となっているが夜の歓楽街は2割減ということでは意味がなくなるということも少しは触れておいた方がいい。

 ともかく新型コロナウイルスが強制力のない要請だけでコントロール可能であるという見通しがついたことは大変重要なことだ。今後、第2波、第3波が来ても同様に対処できるということである。時期も早いほど短期間の対策で済むということも予想できる。今後はハイリスクの接触、ローリスクの接触がより明確になり、効率的な対策を取ることが可能になるだろう。

 メディアは感染者の減少傾向を報じるものの、将来の展望を楽観的に見せることはないと思う。ひとつには国民を安心させて気を緩ませてしまうことを警戒しているのかもしれない。しかしそれより大きい理由は視聴率を上げるために不安をまき散らすのがメディアの習性になっていることである。さらに安倍政権のやることにプラス評価を与えたくないこともある。これも抜き難い習性と言ってよい。

 ネットで見た情報だが、テレ朝の玉川徹氏は次のように発言したという。
「全国民に週一回検査できたら、陽性者を全員隔離し感染していない人は経済活動ができる。10万円の財政負担も不要になる」

 これは4/26付文春オンラインに載った記事が元ネタである。この記事は「信頼」のWHO事務局長上級顧問の渋谷健司氏によって書かれたものだ。
玉川徹氏はずっとPCR検査の拡充を主張してきた人物らしい。しかし上記の発言はとても現実的なものとは思えない。全国民つまり1億3千万人にPCR検査を週一回するなど実現不可能である。検査のキャパシティもないし莫大な費用もいる。もし実現したとしても、慶応病院の例「無症状の入院患者の約6%が感染」のように仮に陽性者が6%であれば780万人である。どこに収容するのか。自宅に隔離と言うが家族への感染はどうなるのか。またPCR検査の精度も十分高いとは言えない。大量の偽陰性者が出るかもしれないがそれを野放しすることになる。「日本プライマリ・ケア連合学会」は新型コロナ感染症に関する手引で、PCR検査の結果について、感染者が陽性と判定されるのは30〜70%程度と紹介している。渋谷健司氏はさすがテドロスWHO事務局長の顧問を務める人物である。実に非常識なことをおっしゃる。しかしそれを取り上げた文春も玉川氏も同様で、非常識に共感する人たちが存在するようである。

 玉川徹氏を批判するのが目的ではない。このようなとても非現実的で夢見るような人物を視聴率の高い番組に登場させる局の常識を、意図を疑うのである。常に政権の至らない点を針小棒大に取り上げて非難するという政治的な思惑が報道の動機であってはならないのである。