噛みつき評論 ブログ版

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114名が束になってたった一人に敗北

2018-11-25 22:07:43 | マスメディア
 114名の弁護士が束になって挑んだが、たった一人の弁護士に敗れてしまったという格好悪い話。11月9日の札幌地裁の判決である。元朝日新聞の記者、植村隆氏が記事を「捏造」と書かれ名誉を傷つけられたとして、ジャーナリストの櫻井よしこ氏と新潮社などを相手に損害賠償と謝罪記事の掲載などを求めた訴訟で、同地裁は植村氏の請求を棄却した。

 ボランティアで参加の原告側弁護士はなんと114名、大弁護団といわれた光市母子殺害事件の21名の5倍以上の超大弁護団である。北海道教職員組合の支援もあったという。報道に関する名誉棄損裁判になんで教職員組合が出てくるのかという不可解さもある。櫻井氏と一人の優れた弁護士が114名もの弁護団に勝ったという事実は痛快である。また100倍もの数の力を恃んでたったひとりの相手を攻撃するのは見苦しい。もともと質より量の世界ではないけれど。

 それにしても114名もの弁護士を動員する力には驚く。判決後、植村氏と櫻井氏は別々に日本外国特派員協会で記者会見を開いた。その模様はユーチューブで見ることができるが、興味深いのはその会見動画に寄せられたコメントである。11/24日現在、櫻井氏会見動画には677件、植村氏には495件があり、それぞれ上から40件まで読んでみたが、そのすべてが櫻井氏支持のコメントである。弁護士の数は1:114と圧倒的な差がついたが、コメントの賛否では逆に80:0で櫻井氏側が圧倒している。ここには法律論以外に、かつて植村氏が朝日と共に慰安婦の強制連行という虚偽を世界に広め、日本人の名誉を棄損したくせに、自分の名誉だけ守ろうとする植村氏の姿勢が許せないという気持ちがあるのだと思う。

 これはネットの世界であり、またユーチューブのリンクの張り方にも影響されるので偏りのない判断材料とは言えないが、それでもある程度の傾向を示す材料にはなる。弁護士114名の動員という事実は法曹界に於ける左派勢力の大きさと強い組織力を物語る。対してネットのコメントはおそらく組織とは無縁のごく一般の人々によるものであろう。大雑把に図式化すれば、全体から見れば少数だが組織化され徒党を組む人々と、多数ではあるがバラバラの一般国民との対立とみることができる。

 全体から見ると少数の左派であるが、影響力では大変大きい。メディアの多くを影響下に置いているのが主な理由だが、その結果として国民の分断化を招いている。我が国のメディアはトランプ大統領が米国民の分断を図っていると批判するが、実のところ日本国民の分断化を数十年間、目指し続けている。国内が分断されてよいことはない。最悪の場合は不幸な内戦になる危険すらもある。そこまでいかなくても国論の統一が困難で、さまざまな不利益を受けやすい。また70年間、国民は一度も憲法改正の投票権を行使できていない。消費税を持ち出すと内閣が潰れるといわれるほど強く反対を煽った。左派勢力は政府の手枷足枷となっている。もはや時代遅れの感がある左派だが、この有害さは益を優に上回ると思う。しかしメディアはそれを知らせない。

野党に存在価値があるか

2018-11-18 22:47:06 | マスメディア
 携帯電話の料金引き下げが実現しそうになった。NTTドコモは20~40%の値下げをするという。各社も追随するだろう。しかしこのきっかけを作ったのが野党でもなくマスメディアでもなく、与党の菅官房長官の発言であったことに驚く。政府を監視・批判を自認する野党やメディアは何もしていない。携帯大手3社の年間営業利益は2018年度で2兆6000億円、これは来年予定されている消費税1%分に匹敵する巨額である。また電力・ガスなどの社会インフラを担う企業としては異常に高い利益率である。

 もし野党がモリカケなどに熱中せず携帯料金の値下げに貢献していたならばずいぶん高得点が稼げたに違いない。一世帯当たり年間数万円の負担が減ることになるからである。また他にも専門ツアーを使って国民健康保険を利用する外国人、海外の家族に対する保険の適用など、健康保険が本来の目的から外れた利用がようやく問題にされ始めたが、重大な問題なのに野党や大手メディアは全く関心がないようだ。

 自由主義社会において競争が不当に制限されることは実に重大な問題である。携帯料金の高止まりは私でさえ数年前から指摘してきたくらいで、広く知られたことであるにもかかわらず、野党も大手メディアも問題にしなかった。野党の指摘がきっかけになって料金が大幅に下がれば、野党は支持されることになるのがわからないのだろうか。あるいはモリカケ問題などを執拗につつくことで政権を倒すことが最重要だと考えていたのだろうか。

 どちらにしても、失礼ながら理解不能である。前者は国民の負担を軽減することであり、バラマキと同じ効果があるので感謝されることは間違いないのに、興味を示さない。一方、後者の政権交代は実現が極めて困難であるだけでなく、前の民主党政権の無能ぶりを想起させるから逆効果である。民主党政権時代は国際関係が安定していたが、現在の難しい状況下で、無能な政権が生まれたら国が滅ぶ可能性もある。

 また野党は必要な法案の成立の邪魔し、建設的な議論に消極的であり、国会の機能を大きく損ねている。野党の努力はすべて与党の足を引っ張ることに向けられているようである。たからからこそ野党の支持率は徐々に下がってきているのだろう。野党をこんな体たらくにしている大きな理由が野党を応援する左派メディアの存在であろう。

 朝日などの左派メディアはモリカケに極めて熱心であり、野党と歩調を合わせて政権批判を繰り返した。野党は仲間であるから、野党を批判することはなく、無条件に野党を擁護し、支持したように見える。この結果、野党は批判されることが少なくなり、自らの行動を見直す機会が失ったのではないか。そして左派メディアの好意的な評価が反省する機会を奪ったのではないか。

 また左派メディアは安倍政権を倒すことに目標を置いていたように思うが、万一打倒が実現した後のビジョンまで持っていたのだろうか。とてもそうは思えない。実に非現実的かつ無責任である。野党と左派メディア、益より害の方が多いように感じる。

 それにしても野党には見識に問題がある人が多いと思う。鳩山由紀夫氏は韓国まで出かけて、韓国側に沿う発言をされている。かつての民主党を代表する人物がこれである。組織のあり方が個々人の頭をおかしくさせるのか、あるいは頭のおかしい人が集まった組織なのか、とても興味ある問題である。

嫌韓論は証明されたか?

2018-11-11 22:30:58 | マスメディア
「あいつと付き合うとロクなことないぞ」
これはむかし観た映画の中のセリフだが、この度の韓国の大法院の判決を聞いて思い出した。韓国というのはまことに付き合い難い国である。検索するために「嫌韓」と入力すると嫌韓ちゃんねる、嫌韓世界、嫌韓まとめ、嫌韓流、嫌韓ユーチューブなど検索候補がずらずらと出てくる。「嫌韓人気」がいかに高いかがうかがえる。

 多くのメディアは元徴用工に対する判決としているが、それは間違いでこの4名は募集に応じた応募工だそうである。知っていて徴用工としているのかもしれない。しかしさすがに朝日などの韓国寄りメディアにもこの判決を支持する動きはない。ただ赤旗だけは例外で、10月31日付の電子版で「日本企業・政府は誠実に向き合え」とし、日本がした過去の過酷な事実を説明したうえで、「いま何よりも求められているのは被害者の救済であり、日本企業と政府は、被害の事実に誠実に向き合い、解決への努力をはらうべきです」している。1965年の日韓基本条約と日韓請求権協定などには一切触れていない。都合の悪い部分は容赦なく切り捨てるなど、なかなか大した度胸である。赤旗はどこかの外国の支配下にあるのか、と思わずにはいられない。

 余計な話が長くなったが、我が国は韓国と北朝鮮には昔から手を焼いてきた歴史がある。北朝鮮に手を焼いたのは友好国であった旧ソ連も同じらしい。旧ソ連の高官の昔話があった。韓国との約束には「最終的かつ不可逆的」といった念押しするような文言が入るが、これは過去に何度も約束を反故にされた実績の反映である。北朝鮮も核開発に関して何度も約束を破り、拉致問題にも話が通じない。世界広しといえどもこれほど信用のできない国は他に類を見ないのではないか。

 嫌韓論がこれほど広がるにはそれなりの根拠があると思うのだが、この度の大法院の判決はより確実な根拠を与えた形となった。日本でも、個人レベルで信用できない人間は数多くいる。しかし国民の集合と言える国家レベルでは平均化されるため、国家が嘘をついたり約束を破ったりすることは皆無ではないが、通常はあり得ない。それを安易にやると他国からの信用を失い、それの不利益が大きいからである。従って対外的な約束を簡単に破る政府は国民の支持を失う。道義の問題でもあり、実利の問題でもある。それを敢て破る国の判断はとても理解できない。

 韓国は一応民主主義国であるから国民の意見が政府に反映される。この大法院判決にも多くの国民の支持があるそうで、平均的な民意の反映と見てよい。とすれば約束を守るといった信義の軽視は国民つまり民族の特性と考えられる。理由は知らないがそういう文化を持つと考えてよいだろう。失礼だが、好きになれない国である。そしてこれは将来も韓国には信義を期待できそうにないということを示している。こうした文化は短期間に変わらないからである。

 一方、韓国とは多くの商取引がある。商取引の場で約束を軽んじればたちまちしっぺ返しを食らうから、韓国の経済人は信義を重んじる人たちなのだろう。経済人以外にもそのような人も少なくないと思う。従って韓国人というだけで十羽一絡げに決めつけるのはよくない。ただ平均的には信義を重視しない傾向があり、これが政治に強い影響を与えるわけである。隣国とは友好的であるべきとは思うが、そうした建前論ではとても抑えきれない状態と言える。

子供並み思考の大人たち

2018-11-04 22:01:10 | マスメディア
 11月1日のテレ朝モーニングショーは見ごたえがあった。安田純平英雄論の玉川徹氏と橋下徹氏の論戦が1時間ほどもあったからである。橋下氏を出演させたテレ朝を評価したいが、結果は玉川氏の完敗であったと思う。そうなることは容易に予想できたが、それはテレ朝には不本意な結果であったかもしれない。ただ玉川氏は意識的かどうか知らないが、論点のすり替えが多く、議論が噛み合ってなかった。

 橋下氏と玉川氏、お二人とも同じ日本人であり、ずいぶん広い知識と長い経験をお持ちと思うが、なぜこれほど見解が異なるのか、ということについて考えてみたい。

 玉川氏の論理は前回述べた通りで、権力者は隠したがる→それを暴かなければ民主主義は機能しない→だからジャーナリストは大不可欠の存在である→従って情報提供に命を懸けた安田さんは英雄だと、簡単に言えばこういう筋書きである。確かにこの話はわかりやすい。子供でも分かる。しかし現実的とはとても言えない。

 前回、権力者=(悪)、民主主義(善)、ジャーナリスト(善)などの概念を純粋化していることが思考の単純化につながり、現実離れした結論を導くと述べた。では玉川氏のような人は何故このような思考方法をとるのだろうか。

 子供向けの童話や漫画では善玉と悪玉が明確に描かれる。人間は善と悪が入り混じっているのが普通だが、子供向けの話では子供の理解能力に合わせてわかりやすさが優先される。漫画の主人公はいつも単純な100%正義の人であり、悪者は様々なタイプがあって面白いが、たいてい100%の悪である。「ゲゲゲの鬼太郎」のねずみ男は善悪が入り混じった例外であるが、そのために大人も楽しめる。

 子供は成長するにつれ、純粋な概念では現実を正確に反映しないことを学んでゆく。100%正義の人も100%悪人も現実にはいないことを、民主主義は欠点がいっぱいあることなどを理解できるようになる。しかし成長の過程には当然ながら個人差がある。早い人もあれば遅い人もある。

 少し似たような話なので紹介するが、「20歳で社会主義者でなければ、情熱が足りない。30歳でもそうならば、頭が足りない」 これは仏首相クレマンソーの言葉だそうだが、チャーチルの言葉として有名である。多くのバージョンがあり、引用が重ねられてきたことを示している。出典はともかく、これだけ引用されるにはこの言葉に納得できるものがあると思う人が多いからだろう。30歳を超えてもなお子供並の若々しい頭を持つ人のことを言っている。

 純粋化した概念を使った議論、あるいは思考は現実との乖離を生む危険がある。そしてそのような思考はその人に固有の頭の特性によるのではないだろうか、と想像する。むろん教育などの環境もあるだろうが、要因のひとつとして考えられるのではないだろうか。しかし、これは一般論であり、玉川氏がそうだと断言したわけではない。橋下氏でさえも彼の言葉を「難解」としたように、我々には理解できない高尚な思考をきっとお持ちなのだろう。

 こう考えれば、理想主義と現実主義、左派と右派の対立が一向に解消せず、社会の分断がいつまでも続くことの理由が説明ができるのではないか。もっともこの証明も反証も極めて困難であるので私は無責任でいられる。まあ私自身、説明の信頼度がさほど高いとは思わないが。