噛みつき評論 ブログ版

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野党は安倍元首相に同じ質問を118回もしたのか

2020-12-29 16:46:32 | マスメディア
 立憲民主党は21日、「桜を見る会」前夜の夕食会費補填疑惑を巡る国会質疑に関し、事実と異なるとみられる安倍晋三前首相の答弁が少なくとも118回あったと明らかにした。問題は夕食会費補填があったかどうかの単純なもので、事実と異なる答弁とは補填がなかったという意味の答弁だと考えられる。つまり118回もの同じ答弁があるということは118回の同じ内容の質問があったと考えられる。この不屈の「しつこさ」は本当に素晴らしい、有用なものに使ったら、であるが。

 同じ質問を何人で分担したかはわからないが仮に12人で質問したとすれば、1人平均10回も同じ質問をしたことになる。集団で安倍元首相をひとりを攻撃したのである。国会は時間が貴重であるだけでない。質疑の内容は公開され、一般の国民はそれを見ている。観衆である国民の側からすれば、同じ質問と答えを118回も聞かされてはたまらない。国会に対する関心が薄れるのは自然の成り行きである。野党の行動は国会の時間を浪費してその機能を弱めるだけでなく、国民の国会への関心、期待をも削ぐものである。

 野党がこれほどアホなことをやっていても、野党を批判する動きがでないのは何故かと思われるだろう。それはメディアの多くが左寄りで、常に野党を正当化することを仕事としているからであろう。当然ながら国会の機能不全には左派メディアにも大きな責任がある。政権を批判するのは結構だが、野党とメディアが国会の機能を阻害するようなことは大きな問題である。このような視点、問題意識が欠けたままである。野党の面々を見ると。このような問題意識を彼らに求めても無理だと思うが、せめて(自称)良識あるメディアには求めたい。

 国の命運を左右するような重大な問題に十分な時間をかけるのならいい。しかしモリカケ問題にしても、桜を見る会の問題にしても問題が小さすぎるのである。野党と左派メディアのやったことは総合するとプラスよりマイナスが多いのではないか。長い時間を使って、一体、どんなプラスがあったというのだろう。118回の虚偽答弁とは118回の同じ質問を意味し、野党の無能ぶりを示したものであろう。

新型コロナ、国の管理能力への不安

2020-12-24 17:58:43 | マスメディア
 新型コロナの感染者数は人の移動と接触の程度に比例する。不明な点はいろいろあるが、この点だけは間違いない。従って感染を抑止するには人の移動と接触を減らすのが基本的な方法である。移動と接触を減らすには経済的な損失を伴う。規制を強化すれば感染の拡大は防げるがと経済的損失は増える。逆も同じである。この二つをどのレベルで均衡させるかが政策目標になる。日本はこの目標を明確にしてこなかったのではないか。「GO TO トラベル」などを見ると感染をかなり高いレベルで許容しようとしているのではないかと思える。あるいは目標など決めずに行き当たりばったりかもしれないが。

 強い規制を実施して感染を最低レベルに抑えたのが台湾である。同国ではこの22日、8ヵ月ぶりに感染者が確認されたと報道された。ニュージーランド人の男性パイロットと接触があったということが判明し、このパイロットは最高で110万円の支払いを命じられる見通しだという。台湾では現在までに感染が確認された770人のうち、域内での感染は56人に過ぎない。まさにコロナ対策の優等生である。好きな国ではないが、中国は強権で強い対策が使える国で、その結果、現在の一日の感染者数は10名程度らしい。経済への影響は少ないとされている。

 対照的なのはスウェーデンである。集団免疫ができるのを期待してごく緩い規制だけしかしてこなかった同国はこれまでに36万7000人が感染し、約8000人の死者を出した。これは周囲のスカンジナビア諸国と比べて圧倒的に高い数値である。死者数は日本の人口比でいえば10万人を超える。強い規制による経済的損失は少なくても、これほどの犠牲を出しては失敗であるし、拡大した感染を抑えるにはより強い規制が必要となるので大きい経済的損失が伴う。火元で消すのは簡単だが、大火になってからの消火作業が大変なのと同じである。

 春の流行時にははっきりわからなかった点が多かったが、新型コロナの性質はかなりわかるようになってきた。感染を抑えるには人の移動と接触をどの程度減らせばよいか、それにはどの程度の規制が必要か、などの知見が得られた筈である。規制の強さと抑制効果の関係がある程度わかってきたと言ってよい。ただ効果が分かるまで2週間程度のタイムラグがあることもあって精度が十分とは言えない。通常、精度が不十分の場合は安全側に寄せる。コロナの場合は必要と考えられる規制の範囲のうちで強い方を実施するのが適切である。これは緩すぎて、大火になってからの抑制はより犠牲が大きいからである。

 12月23日の産経電子版には各紙の「GO TO トラベル」停止をめぐる主な社説が紹介されているが、どれも停止の決断が遅すぎるという論調で一致している。右派も左派も同じ認識である。すべてのメディアが一致したのを見てからそれに合わせた決定をするというのは反対を押し切るという努力が不要である反面、遅きに失する危険がある。また管理能力の無さを知らせることにもなる。

 11月の3連休、京都の嵐山の人出は前年の2倍となった。その半月~一ヵ月後、京都の1日の感染者数は約5~10倍になり、そのまま高止まり状態である。「GO TO トラベル」との因果関係は明らかではないが、人の移動・接触が感染を促進するのは多分間違いないだろう。日本ではロックダウンもできないそうであるし、私権の制限が難しく、規制に限界がある。しかし「GO TO トラベル」のような感染促進効果のある策を続けるのは見通しが甘いと言わざるを得ない。強制力を伴う規制を準備しておく必要があると思う。

 全国旅行業協会会長を務める「観光業界のドン」、親中派の重鎮、二階幹事長が「GO TO トラベル」の推進とどんな関係があったのかは知らない。ただ「GO TO トラベル」で一時的に観光業界を救ったとしても、そのために感染拡大を招けば、次はもっと強い規制が必要になり、観光業界の受けるダメージもより大きくなろう。そしてより多くの犠牲者が出ることになる。

 毎日新聞電子版によると死者数は『「第3波」による感染が拡大した11月中旬以降に急増し、わずか1カ月で1000人以上が亡くなったことになる。最初の死者が確認されてから1000人に達するまで5カ月弱、そこから2000人になるまで約4カ月かかっており、死者の増加ペースはさらに加速している』という。現在のペースは春の約5倍である。現在の状況は第1波、第2波に比べてずっと深刻であり、医療崩壊も危惧されている。この状況をメディアは十分に伝えているだろうか。コロナ慣れのためか、新型コロナに対する危機感は春より逆に弱まっているようにも見える。