噛みつき評論 ブログ版

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ワクチン最下位国の理由

2021-05-02 22:11:13 | マスメディア
 日本の新型コロナワクチン接種は現在も遅々として進まない。イスラエルやイギリス、アメリカなどのワクチン先進国における劇的な回復が報じられるようになり、日本の遅れに対する批判がメディアにも少しづつ見られるようになった。しかしことの重大さに比べればトゥーレイト・トゥーリトルである。

 ともかく、結果的にワクチン接種の進捗状況において日本はOECD37ヵ国中、37位であった。政府は感染を早期に収束させることがどれだけ重要であるかは十分わかっていた筈である。逆に言えば余程のバカでなければわからない筈がない。さらに一度延期したオリンピック・パラリンピック開催が予定されており、感染収束はいっそう要求される状況である。それなのに何故最下位という情けない状況になったのだろうか。

 最低の落第点を取ったのだから、それなりの理由があると考えるのが普通である。前に述べたように、理由は重要な目的を遂行できないという政府の統治能力の低さにあることは間違いない。そして問題はなぜ統治能力が低いのかという点である。日本は戦後の急速な経済成長を成し遂げ、GDP2位になった先進国である。統治能力全般が低ければできることではない。しかし今回のワクチンに関しての政府の無能さは見事である。これは私の評価ではない。ドンケツの37位という客観的な数字が雄弁に物語っている。37ヵ国のどの国より劣っているのである。

 主犯はむろん菅政権であろう。政府の認識能力、見通し能力などが不十分であった結果と見ることができる。しかし日本は民主主義の国である。政府は民意の反映であり、民意はメディアの影響を強く受ける。日本では左派メディアが強力であり、野党はそれに同調している。左派メディアと野党の主要目的は現政権を壊すことであり、現政権の下でより良い方向を目指すことには関心がないように見える。

 新型コロナ対策に大失敗すれば政権の存亡にかかわる事態となるだろう。菅政権の足を引っ張りたいと思えば新型コロナの感染拡大はよい機会となる。ワクチンの接種スピードを速めるような提案などはしない。承認されたのはファイザーだけで他のワクチンは特例措置などで劇的に早まる気配はないが、メディアも野党も批判はしない。英国のように法を改正してボランティアに接種をさせるようなことも提案しない。一部のメディアは菅政権の弱体化を願い、密かに感染の広がりを期待しているかもしれない。

 つまり菅政権の無能に加え、それを補強・是正すべき役割の左派メディアと野党が政府の足を引っ張っているという構造である。これらはドンケツの37位を十分説明するものとは言えないが、その一部の説明にはなるだろう。ともあれ、この37位の意味を噛みしめていただきたいものである。事態によっては、統治能力の低さは命取りになる。イスラエルやイギリスは既に紹介したが、米国は大統領就任後100日で2億2千万回の接種を達成した。素晴らしい国家の能力である。なんという違いか。