パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞、未公開DVD、お気に入り自己所有のビデオ・DVDの感想などネタバレ有りで記録しています。

喰女−クイメ− ★★★.5

2014年08月26日 | アクション映画ーカ行
『一命』の三池崇史監督と市川海老蔵が再びタッグを組み、有名な歌舞伎狂言「東海道四谷怪談」を題材に描く衝撃作。柴咲コウがヒロインを演じ、虚構と現実の世界が交錯しながらもつれ合う男女の愛と狂気を浮き彫りにする。『悪の教典』などの伊藤英明や『ミロクローゼ』などのマイコ、『永遠の0』などの中西美帆らが共演。身の毛もよだつような戦慄(せんりつ)の物語に背筋が凍る。
あらすじ:舞台「真四谷怪談」の看板女優である後藤美雪(柴咲コウ)の推薦により、彼女と付き合っている長谷川浩介(市川海老蔵)が相手役に選ばれる。二人はお岩と伊右衛門にふんすることになり、鈴木順(伊藤英明)と朝比奈莉緒(中西美帆)らの共演も決定する。こうして舞台の稽古がスタートするのだが。

<感想>この作品を観て男が女に感じる根源的な怖さが、すべて描かれているといっていいでしょう。男の嘘をすぐに見破る勘の鋭さ、嘘だと知りながらも顔では笑って見せる二面性、そして男が絶対に体験できない妊娠と出産、・・・。
オカルト的な恐怖とは異なる、リアルな怖さに女の情念というか、怨念のようなものが、男に虐げられ、裏切られた女の逆襲劇のような感じもしました。
劇中劇というアイデアが功を奏している。同棲中である人気女優の美雪と遊び癖のある男優の浩介が、舞台の「真四谷怪談」で共演することになり、稽古が進むにつれて、二人がどこまでが役作りなのか、本音なのか定かではない虚構と、現実が入り交じった迷宮の世界へとハマっていく。

浩介のトラブルメーカーぶりは、世間の注目を常に集める海老蔵自身のキャラクターをどこか彷彿とさせ、歌舞伎でも演目の一つである「四谷怪談」の伊右衛門の役どころなんて、海老蔵の十八番であり演技というよりも素で演じているように見えました。

また「バトル・ロワイヤル」以来ともいえる強烈なキャラクターである、美雪とお岩を演じた柴咲コウが、嬉々として熱演している姿も見ものです。それは、役者として完全に存在感をしっかりと放っていて海老蔵を喰っていましたね。
それに、浮気相手のお嬢様、梅の乳母役の根岸季衣さんの怖い顔、お歯黒しているので余計に怖かった。もう一人、生臭坊主の役がハマっている伊藤英明の、怪演が光るサイコロジカルな恐怖譚、あの真面目な役ばかり演じていた伊藤英明さん。そういえば「悪の教典」では悪党を演じていた。今回も楽しんでいるように感じられたので、いいとしましょう。

観客はいわば三重構造の劇中劇を楽しむことになります。楽屋口に置いてある「着到板」も怖さを引き立てる小道具として有効に使えていると思う。仕事を口実に梅役の若い女優と火遊びに興じる浩介、食事の用意をして貞淑な妻を装う美雪。ベビーカーを押すカップルを見ながら「子供がいると幸せかな」と何気の無い会話でお互いの腹を探り合う二人。一緒に暮らす男女の虚実なやりとりが、後半の血みどろなシーンをいっそう引き立てます。

女性の執念深さって、同性からみても凄いなって思いますね。そういった感情は江戸時代も現代も、きっと変わらないものなんでしょう。
浩介が浮気をしている女優の朝比奈莉緒との、ベッドの中で会話する「伊右衛門ってどうすれば幸せになれたのかな」と、それに対して浩介は「伊右衛門は幸せになんかなれないよ」なんて、恐怖シーン以外での男女の対愛のないやりとりが妙に印象に残ります。

インパクトのあるシーンでは、美雪がお腹の子供を風呂場で一人で堕ろすシーン。浩介が帰って来てベッドに寝ている美雪を起こす。すると下半身が血で真っ赤に染まって、顔が半分崩れてお岩のような顔。そして「私がいたらぬばかりで申しわけないことでございます」の台詞が、舞台のお岩とシンクロしているのだ。

それから、美雪の首を絞め殺す浩介。黒いビニールシートが張りめぐされ、白いベットには真っ赤な血が、それに水槽の真っ赤な金魚。舞台稽古では、梅が白い着物で何かを喰っている。それがへその緒が付いた嬰児で、観るとお岩が食っているではないか。この恐怖はなんとしたことか。
それに、浩介が撮影所へ車で入ろうとすると、フロントガラスに鉄板が飛んできて浩介の首をちょん切ってしまう。その首が、楽屋で美雪の足もとに転がっているという三池流のスプラッターは、過激で血の気が引きそうになりますから。
それにしても、この映画の中でのリハーサルが行われている舞台稽古のシーンでの、大胆なセットと回転舞台の使い方の鮮やかさは見事でしたね。三池監督作品にしては、珍しいほど説明を俳したシックな造りの妄想譚です。舞台稽古にお岩と美雪の混濁した、愛の狂気と化していく境目の曖昧さは何とも魅力的でした。
結局一番怖いのは人間である、もしくは人間の心である。というのは、ホラーやサイコスリラーの定番というか、そこに着地すれば、とりあえずは収まりがいい感じになるという結論であるから。
2014年劇場鑑賞作品・・・274  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

『映画』 ジャンルのランキング
トラックバック (15)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« イントゥ・ザ・ストーム ★★★ | トップ | 朽ちた手押し車 ★★★★ »
最近の画像もっと見る

あわせて読む

15 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
『喰女』 2014年8月20日 丸の内東映 (気ままな映画生活(適当なコメントですが、よければどうぞ!))
『喰女』 を完成披露試写会で鑑賞しました。 上映前の舞台挨拶はトークショー形式で海老蔵がよく喋ること 柴咲コウのコメントがもっと聞きたかったぞ  登壇者 三池崇史監督、市川海老蔵、柴咲コウ、中西美帆、根岸季衣   マイコは妻夫木聡の件で欠席か あっ、これ...
劇場鑑賞「喰女 クイメ」 (日々“是”精進! ver.F)
恨みは、絶対に晴らす… 詳細レビューはφ(.. ) http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201408230000/ [DVD] 嗤う伊右衛門価格:3,833円(税込、送料別)
喰女-クイメ-/市川海老蔵 (カノンな日々)
『一命』の主演俳優・市川海老蔵さんと監督・三池崇史さんに脚本家の山岸きくみさんが再タッグを組んで歌舞伎狂言「東海道四谷怪談」をモチーフに男女の愛と狂気の世界を描いたサ ...
喰女-クイメ- (ダイターンクラッシュ!!)
2014年8月23日(土) 14:15~ チネ5 料金:1100円(チネチッタデー) パンフレット:未確認 何だこれ。 『喰女-クイメ-』公式サイト 四谷怪談をベースにしている。 劇中劇で四谷怪談の稽古をしていて、その影響が役者の実生活に及んだとのことのようなのだが。 ...
喰女-クイメ- (だらだら無気力ブログ!)
面白くも怖くもねぇな。
『喰女-クイメ-』 (こねたみっくす)
現実と虚構がリンクする。 「東海道四谷怪談」を現代劇としてリメイクしたホラー作品ではなく、「真四谷怪談」という舞台稽古に勤しむ俳優たちの現実と芝居の境目が徐々に消えて ...
『 喰女-クイメ- 』ゲキ×シネ「四谷怪談」 (映画@見取り八段)
喰女-クイメ-      監督: 三池崇史    キャスト: 市川海老蔵、柴咲コウ、中西美帆、マイコ、根岸季衣、勝野洋、古谷一行、伊藤英明 公開: 2014年8月23日 2014年8月27日。劇場観賞 難しいね…。 きっと、好みが凄く分れるだろうなと思った。 ものすごく変わ...
喰女-クイメ- (映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ~)
評価:★★★【3点】(11) 劇中舞台劇と実生活が交錯するアイディアはチョット新鮮。
喰女-クイメ- (映画好きパパの鑑賞日記)
 四谷怪談をベースにしたホラーなんですけど、スタイリッシュに描こうという部分が強いためか、肝心のホラーの部分がいま一つ。いっそのこと現代パートをなくして、四谷怪談そのものの映画のほうが良かったかも。  作品情報 2013年日本映画 監督:三池崇史 出演:市...
『喰女 クイメ』 (京の昼寝~♪)
□作品オフィシャルサイト 「喰女 クイメ」□監督 三池崇史□脚本・原作 山岸きくみ□キャスト 市川海老蔵、柴咲コウ、伊藤英明、中西美帆、マイコ■鑑賞日 8月24日(日)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★(5★満点、☆は0.5)<感想...
喰女 -クイメ-  監督/三池 崇史 (西京極 紫の館)
【出演】  市川 海老蔵  柴咲 コウ  伊藤 英明 【ストーリー】 舞台「真四谷怪談」の看板女優である後藤美雪の推薦により、彼女と付き合っている長谷川浩介が相手役に選ばれる。二人はお岩と伊右衛門にふんすることになり、鈴木順と朝比奈莉緒らの共演も決定する。こ....
喰女 クイメ (映画と本の『たんぽぽ館』)
怖いもの見たさで・・・ * * * * * * * * * * おなじみ四谷怪談に由来するストーリー。 普段ホラーはあまり見ませんが、 本作、市川海老蔵さんに柴咲コウさん出演、 おまけに三池崇史監督・・・ とくれば、俄然興味が出てしまいます。 実のところ....
『喰女 クイメ』 (ラムの大通り)
ちょっと辛口? 三池崇史ファンの人は怒っちゃうかも…」 ----「クイメ」? タイトルからして、やな感じだよね。 確か、あの「四谷怪談」をモチーフにしてるんでしょ? 「うん。 監督が三池崇史だし、 もう、これは目を開けていられないんじゃないかと…」 ----あれれっ...
喰女-クイメ- (銀幕大帝α)
2013年 日本 94分 ホラー/ロマンス PG12 劇場公開(2014/08/23) 監督: 三池崇史 『藁の楯 わらのたて』 企画: 市川海老蔵 出演: 市川海老蔵:伊右衛門/長谷川浩介 柴咲コウ:民谷岩/後藤美雪 伊藤英明:宅悦/鈴木順 中西美帆:伊藤梅/朝比奈莉緒 マイ....
映画評「喰女-クイメ-」 (プロフェッサー・オカピーの部屋[別館])
☆☆★(5点/10点満点中) 2013年日本映画 監督・三池崇史 ネタバレあり