パピとママ映画のblog

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古都 ★★★・5

2016年12月06日 | アクション映画ーカ行
文豪・川端康成の不朽の名作を、現代を舞台に原作のその後の物語として映画化したドラマ。生き別れになった双子の姉妹、千重子と苗子が、それぞれに年頃の娘を持つ母となり、人生の岐路に立つ娘との関係に葛藤する姿を描く。主演は松雪泰子、共演に橋本愛、成海璃子、伊原剛志、奥田瑛二。監督はハリウッドで映画制作を学んだTV「ロボサン」「昼のセント酒」のYuki Saito。

<感想>京都室町に先祖代々続く佐田呉服店の女主人・千重子は、20年前に店を継いで以来ずっと変わらぬ生活を送り続けてきた。千重子の娘・舞は、大学で就職活動に励む友人たちの中で、店を継ぐべきか迷っている。一方、千重子の生き別れた双子の妹・苗子は、京都のはずれにある北山杉の里で林業を営んでいるが経営難に悩まされていた。

ある日苗子は、美術を学ぶためフランスに留学中の娘・結衣に会うためパリを訪れる。同じ頃、舞も日本文化を披露するイベントに参加するためパリへ行くことになり、2組の母娘の人生が初めて交差する。松雪が千重子と苗子の姉妹役を1人2役で演じ、橋本が舞役、成海が結衣役をそれぞれ演じている。
ハリウッドで8年間にわたって映画製作を学び、その後もアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品の現場などに参加した経験を持つ新鋭Yuki Saitoが初メガホンをとった。(作品資料より)

京都とパリ、それぞれに素晴らしい伝統のある古都に住む娘の舞と結衣。お互いの存在を知らなかった2人が、それぞれの母親の生き別れの話を聞かされる。そして、絵を学ぶためにパリへ渡った結衣と、京都で呉服屋の跡継ぎ問題で悩む舞、就職問題にも疲れて悩み、書道教室の先生に誘われてパリへと日本の伝統文化の紹介のために舞がパリを訪れる。

松雪さんが、千重子と苗子の双子姉妹役を1人2役で演じているのも良かったですが、昔のシーンになるとモノクロ映像で別の女優さんが演じていて、現代のシーンでは、北山杉の苗子が製材所で働く姿が映し出され、生計を立てるのが困難なことを、パリの娘に伝えに行く母親の姿。

そんなことなんてつゆ知らず、母親がパリ観光にでも来たのだろうと、絵も挫折を覚え描くことが出来ず、キャンバスを切り刻んでいる。そんな時に、自分の故郷の北山杉を描きたいと思い、絵筆をとるのだが、それがとても斬新でよかった。本当だったら、稼業が経済的に困難なことをいいに来たのに、仕送りしている留学費用もままならないことを。何もそのことに触れずに、母親の苗子が日本へ帰る後ろ姿が、結衣は知ってか知らずか、何故かしょんぼりしているように見えてならなかった。

京都の千重子は、娘の行く末が心配で、やはり自分と同じように呉服店を継いでもらいたいのだが、きつく言い出せないもどかしさ。それに、娘は現代人間だから、親がそう思っていても、窮屈な京都の後継ぎなど敬遠して、しかし、何をしたらいいのか考えてもいないのだ。就職にしても、母親が根回しをして親戚の室町商事に頼んでしまい、結局は、内定が決まっていたのに面接でしどろもどろとした態度で、結局は自分で断ってしまった感じなのだ。
そのことでも、母親の千重子と口論をしてしまう。「喧嘩できるのは親子の印や」と言う、祖父奥田瑛二の言葉がいいですね。父親は「舞の好きなようにすればいい」と、自分の代で呉服屋をたたんでしまうような気配だ。

「古都」監督:市川崑作品で、山口百恵さんが2役を演じたのを昔観たことがあります。山口百恵さんの初々しい着物姿が綺麗で、内容が重厚なのに百恵さんが浮いているような感じがしてならなかった。
最近は行ってませんが、京都には何度か観光旅行で訪れたことがあります。この作品の中で、また京都の雅な佇まいや、嵐山、嵯峨野の竹林に、桂川の渡月橋、お寺など、走馬燈のように懐かしく蘇り、また京都へ行きたいと思いにかられます。この作品は、祇園川端康成の同名小説を現代版として映画化し、松雪泰子、橋本愛、成海璃子共演で描いた人間ドラマになっている。

原作では描かれなかった主人公の双子姉妹のその後にスポットを当て、成長した双子姉妹とそれぞれの娘たちの人生を、京都とパリという2つの古都を舞台に描いているという。時代が代わって日本の着物文化もすたれてしまい、着る人たちもすくなくなり、呉服屋は商売が成り立たない。それに北山杉の製材所でも、杉を加工して木材にするまでが、女の苗子の手で少ない家族の手で商っている苦しさ。その跡継ぎ問題で悩む展開も、京都でなくてもどこにでもある跡継ぎ問題は難しいく頭を悩ませるのだ。
それでも、パリへ行った舞が、書道の先生の下で踊りを踊る艶やかさに、パリ人たちが珍しそうに見入り、少しでも日本も伝統文化が伝わったらと思わずにはいられない。橋本愛が踊る、青い振袖姿の舞が、今までのことを吹っ切れたかのように艶やかに踊る姿に魅入らされた。
その後に、パリの教会で結衣と出会う2人、一度も会ってないのに、母親が姉妹だということも。しかし、教会で並んで座る2人も姉妹に見えてしまった。
中島みゆき作詞・作曲「糸」を歌う新山詩織の歌声が、「縦の糸はあなた、横の糸は私、」じんわりと心に染み入り、姉妹ってどこかで繋がっているから、離れていても、出会った時にはあい通じるものが感じたはずですね。
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