パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

はなちゃんのみそ汁★★.5

2016年01月14日 | は行の映画
乳がんで33歳の若さで亡くなった母が、5歳の娘と夫との家族の日々を綴ったブログを基にした同名ベストセラー・ノンフィクションを広末涼子と滝藤賢一の共演で映画化。娘役はオーディションで選ばれた新人、赤松えみな。監督は「ペコロスの母に会いに行く」の脚本を手がけた阿久根知昭。恋人・安武信吾との結婚を意識した矢先、乳がんが判明した千恵。それでも2人は結婚する。その後、抗がん剤治療の影響で難しいと思われていた妊娠が分かった千恵は、再発リスクを覚悟の上で産むことを選択する。こうして無事、はなが生まれ、家族3人の生活がスタートするが…。

<感想>このドラマは実話だそうで、がんとの闘いを通して、食べることの大切さを実感し、命を見つめた家族愛の物語です。とは言うものの、かなり医学的に疑わしい部分があった模様ですし、幼い子供に家事をさせるという、確かに母親は自分の命の短いことを悟り、我が子にせめて母親の想いというか、食事の作りかたを教え、洗濯物や掃除など家事全般を教え込みます。

まだ幼い5歳の女の子に、包丁を持つ手も怖いくらいで観ていてハラハラしました。それに、みそ汁は娘が作るのだとばかりに、母親が声高らかに命令します。彼女は自分の想いをすべて娘に伝授して死にたいと思ったのでしょう。

それにしても、途中で抗がん剤治療や検査を止める母親。そして食事療法に熱中して医療を拒否した母親が、玄米食と野菜中心の食事療法に徹します。ダメだとは言いませんが、がんにかかると残念ながら余命は決まっています。完治することはなく、おのずと死が身近に迫ってくるわけで、藁にもすがる思いで聞いてきた夫が、治療の途中で妻を連れて謎の医者・古谷一行の所へ連れて行きます。

彼の協力もあり、再発したがんはいったんは消滅するのですが、お金が1回につき10万円とか高額で支払ができません。玄米食と菜食に傾倒していく千恵と伊藤源十医師とは、金儲けだけの偽医者のようでもあり、がんが全身転移してしまうのです。確かに、治る見込みのない病気にかかると、誰でも藁にもすがる思いで、新興宗教や贋医者にかかってお金を吸い取られるということもあります。後で騙されたと後悔しても終わりですから。

この映画を見て、泣けるシーンは多いです。でも、幼い子供に料理をさせて自分のことを忘れないようにと、母親のエゴですよね。これは亡くなった後5年後くらいに、まだ若い夫には再婚という話もあるわけで、娘のはなちゃんにとっても母親のことは絶対に忘れることはないと思うので、一番友達と遊びたいのに、習い事もさせないで、母親の病気で学校から家へ帰り、家事をする幼い娘に涙が止まりませんでした。昔の貧しい家庭には、こういう子供に何でもさせる風習があったようですがね。
それでも、コメディふうにした映画では、乳癌患者の母親が、病気をいわば同伴者のようにしながら、家族と共にしぶとく生きた数年間を笑いを交えて描いているのもいいですね。クライマックの母親が、元コーラス部にいて歌が好きで、オリジナルの主題歌を熱唱する広末涼子に、演技が上手くなったなぁと感心しきり。
以前に観た夫婦フーフー日記にしろ、お涙頂戴の映画だとは言いませんが、リスクを承知の出産、子育て、女性の方がキモが座っているもの共通している。何故だか、食をめぐる映画でもあるはずなのだが、画面からは美味しそうな料理や、味付け匂い、みそ汁の熱さが伝わってこないのが惜しいですね。

2016年劇場鑑賞作品・・・8映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング