パピとママ映画のblog

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プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命★★★★

2013年07月30日 | アクション映画ーハ行
数々の映画祭で高い評価を得た『ブルーバレンタイン』のデレク・シアンフランス監督とライアン・ゴズリングが再タッグを果たした人間ドラマ。妻子を養うため犯罪に手を染めるバイクレーサーと彼を追う野心的な警官をめぐる因果が、15年後の彼らの息子たちへと世代を超えて引き継がれていくさまが描かれる。『世界にひとつのプレイブック』などのブラッドリー・クーパー、『最後の恋のはじめ方』などのエヴァ・メンデス、ベテランのレイ・リオッタら実力派キャストの競演も見逃せない。

あらすじ:ニューヨーク州の田舎町。天才ライダーのルーク(ライアン・ゴズリング)は移動遊園地でバイクショーを行う刹那的な日々を送っていた。
1年ぶりに町へ帰ってきたある日、元恋人ロミーナ(エヴァ・メンデス)と再会。彼女がルークとの子どもを内緒で生んでいたことを知ると、二人の生活のためにバイクテクニックを生かして銀行強盗をするようになる。ある日銀行を襲撃したルークは逃走する際、昇進を目指す野心的な新米警官エイヴリー(ブラッドリー・クーパー)に追い込まれるが……。
<感想>何とも古めかしい因縁話なのだが、これが意外といいのだ。独創的な展開だし、質的にも高い。デレク・シアンフランス監督の長編劇映画三作目だが、主演俳優のライアン・ゴズリングと再びタッグを組んだ本作では、ゴズリングのヤサグレっぷり全開の序盤を見る限りでは、バイク版「ドライヴ」にしか見えない。
しかし、恋人ロミーナとの絡みのシーンも見せないまま、彼女の家へ行くと、「あんたの子供だよ」なんて言われても、観ているこっちも口があんぐり状態である。恋人ロミーナ役のエヴァ・メンデスとは、これが御縁でゴズリングとは恋人関係になったそうです。

それでも、自分の息子だと信じて、いい暮らしをさせてやろうと手っ取りばやい銀行強盗をやらかすとは、軽率な行動である。ライダーマンが軽率すぎてイラつくほどだったが、その軽率ぶりの素晴らしさ、軽率だからこそ後に続く因縁への見事な伏線となっていることに驚かされる。
ただし、銀行強盗のシーンで、時間をすっ飛ばすのはいただけない。役柄を逸脱しないように内的凶暴性とか、卑劣さとか、脚本の性格どおり演じさせるものだから、まったく共感できない人物像になってしまっている。
だが、ゴズリング、クーパーという今が旬の役者をうまく使いこなして、手に汗を握る対決を見せ、追い詰められたゴズリングが、ロミーナに電話で息子には絶対に父親が強盗をしたことを言わないようにと、捕まるよりも死を選んだ彼の生き様も凄いと思う。
そして、ここからは突如、英雄となったクーパー視点の物語へとチェンジする。カメラは、ニューヨーク州最高裁知事を父に持つ彼が、秘密を抱えたまま出世街道を歩んでゆく姿を追っていく。

しかし、彼の周りにはその出世が気に入らない悪徳警官もいる。彼が発砲をして銀行強盗のゴズリングを捕えたものの、ゴズリングの彼女の家へ押し込み、強盗で得た金が何処かに隠してあると睨み家探しをする。ベビーベットの下から1万7千ドルが出て来て収穫ありとばかりに、クーパーへも半分分け前を与える。いつも悪徳警官とか、ワル専門役が多いレイ・リオッタがボス的存在を引き受けている。何とも言い難い悪徳警官たち、正義感の強いクーパーが、そのことを検事に告白してしまう。悪徳警官たちは捕えられ刑務所行き。その後は、自分は検事局へと移動願いをするのだ。

舞台は一気に15年後に飛び、ゴズリングとクーパー、それぞれの息子が高校で遭遇するという展開になっていく。本作は、父から子へと受け継がれる宿命を、複数の視点から描いている。今どきの息子たちの話も面白い。
ゴズリングはもちろん最高だけど、いつもニヤケ顔を見せないブラッドリー・クーパーがいい感じで受けている。本作で見せるように、誠実で線の細いキャラこそが彼にとっては、一番のハマリ役なんじゃないかと思うほど。

そして、注目すべきは、ゴズリングの息子ジェイソンを演じるデイン・デハーンの活躍である。「リンカーン」の冒頭で兵士役で顔を出すシーンしかない彼だが、アメリカでは“エスパー版「クローバーフィールド」”なSF映画「クロニカル」で、狂気の高校生エスパーを演じてブレイク済みだそう。
というわけで、彼らの次の世代の新人たちから、爽やかな演技を引き出しているのも見上げたものだ。ここには、血の繋がりという古いテーマとアメリカ社会の現実とが混在しているようでもある。
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