パピとママ映画のblog

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寄生獣 ★★★.5

2014年12月01日 | アクション映画ーカ行
1990年代に一世を風靡(ふうび)した岩明均の人気コミックを実写化したSFサスペンス。人体に寄生しながらほかの人間を食らう生物パラサイトたちを相手に、そのうちの1匹を右手に宿した高校生が壮絶な戦いを繰り広げる。メガホンを取るのは、『永遠の0』などの山崎貴。主演を務める『ヒミズ』などの染谷将太を筆頭に、『悪人』などの深津絵里や橋本愛、東出昌大ら実力派俳優が結集する。VFXを駆使したパラサイトの変形や人間捕食の描写、スリリングな物語に引き込まれる。
あらすじ:海辺に漂着した小さな寄生生物、パラサイト。彼らは人間に寄生しては宿主に擬態し、ほかの人間を食料としてむさぼっていく。そのうちの1匹が至って普通の高校生・泉新一(染谷将太)に寄生するが、脳を乗っ取ることができずに右手に宿る。自身の肉体にパラサイトが寄生して驚がくする新一だったが、彼をミギーと呼んで共生するうちに奇妙な絆を育むように。やがて、彼の通う高校に教師・田宮良子(深津絵里)に寄生したパラサイトやって来る。それを発端にほかのパラサイトが次々と出現し、新一とミギーに襲い掛かる。

<感想>原作コミックは読んでいませんが、「遊星からの物体Xファーストコンタクト」を見て、SFホラー・モンスターアクション映画が面白かったので、日本版のもそれに類似してるのか比べてみようと思いました。

今回は二部作として映画化されるこの作品には、脚本を山崎貴監督の「ALWAYS三丁目の夕日」シリーズで知られる古沢良太が手掛け、撮影には「告白」や「渇き。」で斬新な映像を見せてくれた阿籐正一が担当。
出演者は主人公の新一に染谷将太、その幼馴染・里美に橋本愛、人間とパラサイトを繋ぐキーマンの田宮良子に深津絵里、新一の高校へ転校してくる謎の青年・島田に東出昌太、新一の母親に余貴美子、正体不明の政治家・広川に北村一輝、そのボディガード・後藤に浅野忠信と、刑事の國村隼ベテランから若手まで主演級俳優が顔を揃えている。

物語は、寄生生物の出現からスタート。人間たちを捕食していく中、高校生の新一にも危機が訪れます。だが、新一をターゲットにした寄生生物はおっちょこちょいで、脳を乗っ取るはずが右腕に寄生するハメに。かくして新一と右腕の寄生生物・ミギーの凸凹二人三脚が始まる。
スリリングなパニック映画のようでもありながら、描かれるのは主人公新一の心の旅でもある。ごく平凡な新一がミギー(寄生生物)と出会い、狂暴な寄生生物との戦いを繰り広げることで、価値観が揺さぶられていくのです。

寄生生物と友情を築きながら、寄生生物がもたらす悲劇に苦悩する新一の旅の終着点にあるものは何なのか?・・・。一筋縄ではいかない深い物語が興味を引きます。お調子者の寄生生物・ミギーの声と動きを担当しているのが、阿部サダヲ。頭部にヘッドマウントカメラを装着し、全身にモーションキャプチャースーツを着込んだ彼の表情や動作が、CGキャラのミギーに反映されているのだ。ハリウッドではおなじみだが、日本では初めてだとか。ミギーの活躍が面白くてこれは漫画ですよね。

そして、人間に攻撃を仕掛けてくる寄生生物たちは、狂暴で不気味なものばかり。その表情はどこか硬質で恐ろしく、顔が割れるVFXシーンに至っては、絶句させられるほどであった。顔が割れて伸びて人間を襲い、首を刎ねる、心臓を突く、そして人間を捕食する惨さ。
始めに中華屋に入っての、ラーメン屋の主人との戦いも壮絶ですぞ。次が、魚市場での新一&ミギーとパラサイト・警官Aとの対決。ブルーの街頭のせいか映像全体が冷え冷えとした雰囲気。警官Aの頭がパックリと割れて刃物状態の硬い触手が新一を襲ってくる。これに対して右手を振って応戦。ミギーが刃物状に変化して、Aの触手を受け止めるのである。この触手同士の猛スピードで行われるぶつかり合いは、CGで仕上げられているのだろう。

特に凄いのが、ミギーを自在に操る染谷くんの一人パントマイムである。映画の展開のなかで、一度、新一は寄生獣に心臓を突かれて死んでしまう場面があるのですが、右手の寄生獣が新一の背中に穴が開いているところから入り込み、新一を甦らせるんです。それによって、身体に入り込んだ寄生獣のために、新一自体が人間の脳に寄生したパラサイトたちと戦うのです。
ですが、弱点が一つあって、ミギーが新一の身体に入り込んだために、今まで24時間動いていたのが、眠ってしまう時間が出てくるんですね。これには新一もどうすることも出来ず、一人で考えながら闘うという。だから、染谷くんが想像しながらCGとリンクするようにと、自分の身体もCGの一部になったつもりでやっているというから、凄いもんです。
その魚市場で警官Aを倒したと思ったら、新一の母親が仕事の帰りに警官が倒れているのを見つけて近づき、母親の体をAが乗っ取ります。そして、新一は、母親と対峙しなければならなくなるのです。つらい選択ですよね。

それに、高校の教師に深津絵里が出て来て、仮面でも被っているような冷たい表情。どうらや人間の子供を妊娠しているというのだ。頭の脳は寄生生物に乗っ取られても、身体は人間だから生まれてくる子供は人間なのだ。生まれて直ぐに、母親の深津絵里が赤ん坊の脳に寄生するのかもしれませんね。
映画はSFファンタジーではなく、パラサイトが人間を襲って捕食するというホラー&残酷描写が満載の、ホラージャンルであることは間違いありません。ですが、面白いのが妙なユーモア感覚があるんですね。グロテスクとユーモアが一枚の画で一体となっている感覚がポイントで、ちゃんと映像化されているところでしょうか。
ですが、人間たちを食い散らかしながらも、だんだんと人間性を理解しようと試みる者が現れるという展開が、山崎監督のヒューマニズムが現れていると思われます。

一方では、人間たちは人間性の意味などに気付くことはなく、ひたすら天敵を駆除しようとする。そこで葛藤する唯一の人間がパラサイトと人間の真ん中に立ってしまった主人公の新一なのだ。その葛藤の先にあるものは、これから後篇にかけて余すことなく描かれていくことになるのだろう。またもや高校生役で出ている東出昌太君との戦いなど、でも、日本の警察が余り役にたってないところは不満ですよね。
この映画の本当のヤバさは、主題が濃密なヒューマニズムを持っているからこそ、エンターテインメントに豪快に振り切れていく山崎監督の資質が、全開になっていくところが、見どころの一つではないかと思うんです。来年の4月に公開される後篇が今から楽しみですね。
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