信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

ミヤマシロチョウ保全

2020年11月28日 | 自然

東御市でミヤマシロチョウの保全についてのシンポジュウムが開催されました。


昆虫写真家の海野和男先生の特別公演があり、貴重な写真と話に釘付けでした。
「東信」とは、4つに地域分けされる長野県(信州)の東部地域を指します。


このチョウがミヤマシロチョウ、好物のノアザミの蜜を吸っています(吸蜜)。
翅は白色で外縁と翅脈が黒く、後翅の裏面の基部にある黄色班が特徴的です。
山野に咲くノアザミなどの蜜源植物は、成虫にとって重要な餌資源です。


幼虫の餌となる食樹は、メギ科のヒロハヘビノボラズとメギです。
いづれの樹種とも、日当たりの良い場所を好む落葉低木です。


食樹の葉に卵が産み付けられ、孵化した幼虫は葉を食べて(摂食)育ちます。
巣作りにも励み、越冬巣内で冬を越し、葉が出る頃に再び摂食を始めます。
6月には蛹となり、2週間程度の蛹期を経て羽化した成虫が舞い立ちます。


日本での分布域ですが、浅間山系を除いては観察が難しくなっているようです。


保全に係る各地の皆様から、活動状況と生息状況などの現況報告がありました。
大変なご苦労をされておられるようですが、なかなか厳しい状況のようです。
パネルディスカッションでは、今後の保全対策について討議されました。


シンポジュウムの様子が翌日の信濃毎日新聞に掲載されておりました。


今も空を飛ぶチョウの姿が観察される浅間山系もいくつかの心配があります。
一つは、麓から山頂に向かってカラマツなどの森林化が進んでいることです。
木が地表を覆うと、お花畑はなくなり、低木のメギなどは隠れてしまいます。


そして最近、浅間山系にもシカの姿を見かけるようになったことです。
シカも栄養価が高く蜜を含む甘い花が大好物、今年は食べ跡が目立ちました。
幸いにも、ミヤマシロチョウが好むとされる花はたくさん咲きました。
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ヤマゼリとセリモドキ

2020年11月21日 | 山野草

7月下旬に里山の林縁でたくさんの白い花を咲かせる植物に出会いました。


花序の様子から、セリ科の植物ということは直ぐに分かりました。
ヤマゼリに似ているのですが、どことなく雰囲気が違います。


こちらがヤマゼリで、緑色の昆虫のコアオハナムグラはご愛きょうです。


セリモドキと仮置きし、種子が成熟するまでヤマゼリと比較し調べてみました。
開花期は、ヤマゼリより1か月ほど早い7月に咲き始めました。
草姿も異なり、ヤマゼリより分枝が少なく、大きい花序をつけていました。


葉は一見すると同様に見えたのですが、拡大すると明らかに異なります。
小葉には深い切れ込みがあり、縁は短毛のある不規則な鋭鋸歯です。
ヤマゼリの小葉は深い切れ込みがなく、鋸歯は規則的で丸みを帯びます。


大花柄の数は、ヤマゼリで10本以下、セリモドキとした株は10本以上でした。


小総苞片も異なり、ヤマゼリは狭披針形、縁は膜質で毛がありません。
セリモドキとした株は線形で針状の毛をつけます。


双方とも花後に萼歯を残します(宿存萼歯)が、萼歯の形に特徴があります。
ヤマゼリは正三角形、セリモドキとした株は長三角形でした。


セリ科の果実は2個の分果からなり、分果には1個の種子があります。
2個の分果は合成面でつながっていますが、成熟すると分かれます。
分果の形や表面の毛の有無、隆状の幅などは種類によって異なります。
果皮には維管束と油管あり、この油管の数も見分けのポイントです。
分果を見て、セリモドキと仮置きした株は本種であると確信しました。


家庭菜園の除草中に見つけた株がタカサブロウ似、畑にタカサブロウ?
図鑑やネットで調べ、アメリカタカサブロウにたどりつきました。
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秋の立山黒部・黒部峡

2020年11月14日 | 自然

日本一深いV字峡谷といわれる黒部峡谷です。


黒部峡谷を走るトロッコ電車の路線と見どころなどです。


宇奈月駅から5分ほど歩くと「やまびこ展望台」からの眺望が楽しめます。
乗った電車は、トロッコ車両ではなく、屋根付きの車両でした(ちょっと残念)。


発車してすぐ、先ほど眺めた新山彦橋の中央にさしかかり、黒部川を渡ります。
進行方向左手には山彦橋(S63年まで電車の橋梁)と宇奈月温泉の街並みです。
車内には室井滋さんの音声案内が流れ、電車旅の見どころを教えてくれます。


出発して10分もすると「トンネルを抜けると・絶景・カメラの用意を」の案内。
エメラルドグリーンのうなずき湖と真紅の湖面橋、周囲の山は紅葉の始まりです。
城をイメージした発電所、自然に配慮した猿専用橋などが次々に案内されます。


黒薙駅を出ると直ぐ、黒薙川に架かる後曳(あとびき)橋にさしかかります。
後曳とは、あまりの深さに後ずさりするほど底深い谷からついた名だそうです。
進行左手には自然に溶け込んだクラシカルな橋、発電用の水を送る水路橋です。


見上げる山の連続、出発後40分ほどで右手に出六峰(だしろっぽう)です。
百貫山からの雪崩が5月まで残る「黒部の万年雪」は、鐘釣駅付近の名所です。
あっという間の1時間20分、終点の欅平(けやきだいら)駅に着きました。
数えてはいませんでしたが、41のトンネルをくぐり、22の橋を渡ったそうです。


駅から奥鐘橋を渡り、人喰岩をくぐって、祖母谷(ばばだに)川沿いを散策です。
奥鐘橋は黒部川に架かり、右手を覗くと黒部川第三発電所が見えます。
見どころいっぱいの周辺ですが、約束の集合時間はまたたく間です。


宇奈月駅に戻ると12時、「レストプラザ柏や」で郷土料理たっぷりの昼食です。
空き時間に何気なく寄った黒部川電気記念館は衝撃的でした。
人跡未踏の黒部の秘境に対峙した苦難と英知が映像などで紹介されています。
泡雪崩により作業員宿舎が川の対岸600mまで吹き飛び、犠牲者多数の痛ましさ。
世紀の大工事「大町トンネル」での破砕帯との格闘映像などなどです。


旅の仕上げは、富山湾に隣接する魚の駅「生地」、地域共通クーポン券で爆買い?
富山湾の宝石といわれる白エビを、今朝もおいしくいただきました。
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秋の立山黒部・室堂平

2020年11月07日 | 自然

立山トンネルトロリーバスで標高2450mの室堂駅に到着しました。
この路線の法規上の区分は鉄道、室堂駅は日本最高所の鉄道駅になるのだそうです。
1階はトロリーバスと高原バス乗り場で郵便局もあり、2階がレストランです。
3階には展望台があり、周辺への散策路の出入り口にもなっています。


駅から出ると、中部山岳国立公園 立山 の碑と、立山の霊峰が迎えてくれます。
「立山」の碑の右隣には、秋篠宮殿下の「お歌碑」が建立されています。
各所にある丸太のポールは除雪の目印のようで、頂端の数字は10でした。


道脇の案内板に立山についての解説があり、立山は三山の総称だそうです。


数日前に降った雪が日陰に残っています。
半月前に訪れているので今頃の室堂は白銀の世界になっているでしょう。


立山三山と浄土山を水面に映すミクリガ池、聖なる眺望です。
周辺のハイマツ帯にはライチョウが生息し、運が良ければ出会えるそうです。


温泉にも恵まれた「地獄谷」は、水蒸気と硫黄の匂いが立ちこめています。
遠くに頂を見せる山は猫又山か毛勝山、明日訪れる「欅平」はこの方向です。


約2時間制限の散策に急ぎ足、立山玉殿の湧水をご馳走になり元気回復です。
この湧水は、立山トンネル掘削作業中に破砕帯から出た地下水だそうです。


室堂から美女平までは立山黒部貫光の立山高原バスで50分の車窓の旅です。
途中は、天狗平、池塘の弥陀ヶ原、落差日本一の称名滝など魅力いっぱいです。
称名滝の眺望場所からは、立山杉の銘木や色づき始めたブナ林が続きます。


アルペンルートの最後は、美女平から立山駅までの立山ケーブルカーです。
乗車時間は約7分、平均勾配は24度、急勾配が実感される階段状の車内です。
途中、材木石と紹介される柱状節理の岩肌と崩れ出した石塊が見ものです。


秋晴れの山旅で2台のカメラは電池切れ、後半はスマホで撮影です。
立山駅からは朝のバスに再び乗り、宿泊地の宇奈月温泉に17時到着です。
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