信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

ハクサンチドリの季節

2016年06月25日 | 山野草

三方ヶ峰や烏帽子岳の登山道は、野生ランのハクサンチドリが花の盛りになりました。
この時期、山を訪れる山野草ファンからの質問の多くは、テガタチドリとの見分け方です。
ことばだけの説明では受け取り方は様々ですが、画像で見比べれば一目瞭然です。
テガタチドリは、開花の盛期が7月上中旬ですので、画像は昨年のものを用いています。


この山系では登山道のわきにも株が多く、間近での観察や撮影をすることができます。
遠目では違いが?・・、でも、近づいて見ると、花の形や斑紋の違いがよく分かります。
ハクサンチドリは、花弁や萼片の先端が鋭く尖り、唇弁に濃紅紫色の斑紋があります。
テガタチドリは、花弁や萼片の先端が丸っこく、唇弁には目立った斑紋がありません。
唇弁は両方とも3裂しますが、テガタチドリは3つの裂片とも同じ長さで先は円頭です。


ハクサンチドリの唇弁は、株によって形や斑紋がわずかに異なることがあります。
ですが、中裂片の先はどの株も鋭く尖りますので、テガタチドリとの見分けはつきます。


ランには、蜜を蓄える『距(きょ)』という器官を持つ種類が多くあります。
距も見分けには重要なポイント、ハクサンチドリは太く、テガタチドリは細長がです。


ヒラタアブが右手(?)をかけているところが、距の入口で、この奥に蜜があります。
距の入口の上には、雄しべと雌しべが合体した『ずい柱』が昆虫を待ち受けています。


花が咲いていない時期は、葉の折れ具合である程度の見当がつきます。
テガタチドリは葉の中心から縦に二つに折れる傾向が強く、ハクサンチドリには稀です。
開花期は、ハクサンチドリが6月中旬~7月中旬、テガタチドリが6月下旬~7月下旬です。
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ウマ、アカギどっち

2016年06月18日 | 山野草

湯の丸スキー場周辺に咲く黄色い花は、朱色のレンゲツツジとともに高原の風物詩です。
これまで、この黄色い花は「ウカノアシガタ」(別名:キンポウゲ)と思っていました。
3月の湯ノ丸山の植物に関する発表会で、これは「アカギキンポウゲ」とお聞きしました。
見分けは、茎や葉柄の毛が開出するか(ウマ)、ねているか(アカギ)とのことです。


そこで、近所のウマノアシガタの開花を待って、茎に生える毛の様子を見に行きました。
参道いっぱいに黄色い花を咲かせ、花弁からは特有の金属質の輝き放っていました。
この輝きは、デンプン質を含んだ花弁の細胞層が太陽の光を反射しているのだそうです。


根元から出ている葉は長い柄があり、掌状に3~5裂して不ぞろいな鈍鋸歯があます。
茎から出ている上葉はごく短い柄があり、3深裂で裂片は細い線形、鋸歯はありません。
花弁は、近縁のキツネノボタンの仲間とちがって、開出せずに碗状に展開しています。
そして、茎と葉柄の基部を覗くと、開出した白毛が肉眼でもはっきりと見えます。



こちらは、今の湯の丸高原に咲く黄色い花、葉も花もウマノアシガタそのものです。
しかし、覗き込んでみたところ、なんと、茎や葉柄の毛がねています。
これが赤城山で発見されたことから山の名をもらった、アカギキンポウゲでしょうか。


一方で、隣に咲く黄色い花の株は、茎や葉柄の基部に白い開出毛が密生しています。
するとこちらはウマノアシガタ、湯の丸高原では両種が入り混じっているのでしょうか。
中間の株もあり、なんとなくしっくりきませんが、あとは自分で納得するしかありません。


安らぎを演出してくれる高原の花、毛の様子による見分けはどうでもよさそうな気分です。
明日の日曜日(19日)は湯の丸レンゲツツジ祭で各種のイベントが実施されます。
数人のボランティアで、レンゲツツジなど自然のご案内をさせていただきます。

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高原に侵入した外来種

2016年06月11日 | 山野草

昨年、県道94号東御嬬恋線の地蔵峠から鹿沢に下る道路が整備されました。
細くてカーブの多い峠道だったのですが、快適に走行できるようになりました。
その道は、国の天然記念物に指定されている湯の丸高原レンゲツツジ群の脇を通ります。
工事から1年目の春、道路の土手に外来種のハルザキヤマガラシが花を咲かせました。


環境省の万座自然保護管事務所などの素早い対応で、きれいに除去されました。
道路の土手を築く際に運び込んだ土壌に、本種の株や種子が混入していたのでしょう。
野生植物の種子は一度に発芽しませんので、これからも注意が必要です。


こちらは、嬬恋村バラギ高原のパルコール嬬恋スキー場に通じる道路の土手です。
外来種のオオハンゴンソウが土手一面にはびこり、すさまじい限りです。
湯の丸同様、道路工事が行われた際に運びこまれた土壌が原因らしいとのこと。


侵略的に入り込む外来種の対策は、入れない、捨てない、拡げない、だそうです。
特定外来生物に指定されているオオキンケイギクとオオハンゴンソウの対策日です。


オオキンケイギクは鮮やかな花、土手の草刈りでも残されることが多い植物です。
庭でもよく見かけ、各地とも特定外来生物の認識はほとんどなさそうです。


オオハンゴンソウは、在来種のハンゴンソウに全体の雰囲気が似た植物です。
見分けは、葉の鋸歯の違い、葉柄の毛の有無、葉柄基部の耳状突起の有無などです。


林内を占有するオオハンゴンソウ、他の植物に植生の場を与えません。


抜き取った株は、もらすことなく全てをごみ袋にいれます。


ゴミ袋に入れられたオオハンゴンソウは、公営の焼却場に運び、焼却処分されます。
地域に入ってしまった外来種、捨てない、拡げない対策の今日の活動が終わりました。


しかし・・・、今年発芽したオオハンゴンソウの若芽がびっしり、恐るべし侵入者。
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湯の丸高原花便り6上

2016年06月04日 | 山野草

池の平湿原の鏡池周辺に咲く人気の花「ヒメシャクナゲ」が花をふくらませ始めました。


池の平駐車場上の「カラマツ」に「ツバメオモト」、見晴岳の「イワハタザオ」です。


キンポウゲ科 オウレン属の「ミツバオウレン」、白い花弁のように見えるのは萼片です。


この辺りのミネカエデは、本種の変種で「オオバミネカエデ」だと教えていただきました。
葉の裂片のうち中央の3個が尾状鋭尖頭、葉柄には果時にも毛が残るそうです。
花弁の長さは2-3mm(ミネカエデは4-6mm)で、分布は関東、中部地方とのことです。


烏帽子岳の登山道沿いには「ムラサキヤシオツツジ」が満開です。
ヤシオツツジとは、紫色の染料で8回も染めたような美しいツツジということだとか。


湯の丸スキー場脇の芝生や岩陰には、春の花々が鮮やかな花を咲かせています。


長野、群馬両県で天然記念物に指定されているミヤマシロチョウの食樹「メギ」です。
花弁は6枚で、各花弁のもとには蜜腺が2個ずつつき、そこから蜜があふれています。


今年は、レンゲツツジを始め、多くの植物とも開花が早く、40以上の花が咲いています。


遅れた仲間を励ます級友、湯の丸山で見た『クラスの和』、全員の無事登頂を目指します。



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