仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

金環蝕

2017年06月17日 | ムービー
『金環蝕』(1975年/山本薩夫監督)を見た。
物語は、「昭和39(1964)年5月12日の第14回民政党臨時大会において、党首を選出する選挙が行われた。民政党は衆議院・参議院共に単独過半数を占める政党であり、民政党の党首イコール内閣総理大臣となる。選挙は最大派閥の酒井派から酒井和明(神田隆)が立候補し、現職総理大臣の寺田政臣(久米明)と争ったが、小野(鈴木瑞穂)や島田(前田武彦)といった大手新聞社の記者や民政党議員の間では、酒井派は20億、寺田派は17億をばらまいたらしいとのまことしやかな噂が流れていた。そして、選挙の結果は現職総理大臣・寺田の勝利に終わり、5月30日には第3次寺田内閣が認証された。そして、その数日後、金融業・石原商事の石原参吉(宇野重吉)の所へ、星野康雄官房長官(仲代達矢)の名刺を携えた内閣官房秘書官・西尾貞一郎(山本學)が訪れ・・・」という内容。
裏の世界を渡り歩く"金融王"・石原は、星野の「秘密裏に資金を用立てて欲しい」との依頼を断ったのだが、何らかの疑惑があると直感し、星野の周辺を洗い出し始める。
妾で芸者の萩乃(中村玉緒)、日本政治新聞社・古垣常太郎(高橋悦史)といった協力者や、社員の脇田(早川雄三)、荒井(矢野宣)からの情報を総合し、寺田総理の郷里・九州の福流川ダム建設を目論む竹田建設と発注元の電力開発株式会社・若松圭吉副総裁(神山繁)の一派の談合と、汚職の存在が浮かび上がるのだが、電力開発株式会社は株式の95%を日本政府が保有しており、年間400億の補助金も受け取っているというほぼ国有の会社なので、これが世間に明らかになると政界を揺るがす大スキャンダルになるのは間違いない。
これは、池田勇人(1899~1965年)首相への政治献金を約束した鹿島建設と電源開発間で談合が行われた可能性があるとして国会で追及されたものの、首相秘書官とジャーナリストが不自然な死を遂げたことからうやむやになったという"九頭竜川ダム汚職事件"ををモデルとした小説『金環蝕』(1966年/石川達三著)が原作で、随分とどろどろした物語だ。
金環蝕についての「まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真黒に腐っている」との説明が、すべてを言い表しているようだった。

妖怪大戦争

2016年11月10日 | ムービー
『妖怪大戦争』(1968年/黒田義之監督)を見た。
物語は、「1751(宝暦元)年、古代バビロニアのウル遺跡が荒らされ、凶悪な吸血妖怪である"ダイモン"が4000年の眠りから目覚めた。南蛮船に取り憑いたダイモンは日本の伊豆半島に上陸し、偶然浜辺を見回っていた伊豆代官所の代官・磯辺兵庫(神田隆)を殺害して憑依したのだった。神棚・仏壇をすべて壊して処分させ、家来の川野左平次(木村玄)にもダイモンの分身が憑依した。一方、代官所の庭にある池には古くから1匹の河童が住み着いていたが、河童には代官に憑依しているダイモンの本当が姿が見えた。ダイモンに戦いを挑む河童。しかし、あっけなく敗れ去った河童は・・・」という内容。
代官のあまりの豹変ぶりに戸惑い、不審に思ったのは、やはり家族で、家来達は言われるままに神棚や仏壇を取り払ったが、娘の千絵(川崎あかね)は真山新八郎(青山良彦)に協力を求める。
新八郎の叔父が修験者ということで、大日坊(内田朝雄)による怨敵退散の祈祷と夜を徹しての護摩焚きをしてもらうのだがダイモンには通じず、大日坊は殺されてしまう。
人間ではどうしようもないとなると、日本の妖怪達の活躍を期待するしかないだろう。
ところが、愛すべき日本の妖怪達はひたすら弱い。
基本的にはやっつけるのではなくて、相手をへこますだけなので、戦いにならないし、ろくろ首(毛利郁子)などは予想通りその長い首を結ばれてしまう始末だ。
(^_^;)
二面女(にめんじょ/行友圭子)という妖怪は初めて聞いたが、暗闇だとあれは怖いだろうなぁ・・・。
妖怪ものとはいえ、これは水木しげる原作というわけではないようで、テレビアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』(1968~1969年/第1シリーズ)が起こしただろう"妖怪ブーム"に上手くのっかった作品のようだ。