仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

憑神(つきがみ)

2014年08月03日 | ムービー
『憑神(つきがみ)』(2007年/降旗康男監督)を見た。
物語は、「幕末の江戸。下級武士ながらも代々将軍の影武者を務めてきた由緒ある家系の別所家。次男の彦四郎(妻夫木聡)は幼い頃から文武に秀でていたが、婿養子に入った井上家からは軍兵衛(石橋蓮司)の策略のため離縁され、怠け者の兄・左兵衛(佐々木蔵之介)のもとで肩身の狭い生活を送っていた。ある日、軍艦頭取にまで出世した昌平坂学問所でのライバル榎本武揚(本田大輔)と出くわし、自分のふがいなさに落ち込んでいると、蕎麦屋の店主・甚平(香川照之)から、榎本の出世のキッカケとなった向島の"三囲(みめぐり)稲荷"詣でを勧められる。帰り道、酔って転げ落ちた土手の下に偶然あった寂れた祠・"三巡(みめぐり)稲荷"を見つけ、これは分社に違いないと早速出世を神頼みしたのだが・・・」という内容。
"みめぐり神社"はそば屋との会話で聞いたことであり、文字で確認したわけではないので、"三囲"と"三巡"の違いに気がつかないのも仕方がないことだとは思うが、土手の草むらに放置されていたあの祠はやはり見るからに怪しい。
(^。^)
すぐに気づきそうなものとも思うのだが、ツキのない時というのは更なる不運を呼び込んでしまうものなのかもしれない。
いかに生真面目な努力家であったとしても、人生とはそういうものなのだろうか・・・。
(-_-;)
しかし、貧乏神(西田敏行)に本来の仕事をさせない彦四郎の愚直なまでの正直さはその上の次元を行ってしまうのだから、何事も諦めず突き詰めるということは大切なことかもしれない等とも思った。
原作は『鉄道員(ぽっぽや)』、『壬生義士伝』、『地下鉄に乗って』等の浅田次郎(1951年~)氏の小説。
これは、なかなかに面白い物語だった。

壬生義士伝

2010年01月10日 | ムービー
『壬生義士伝(みぶぎしでん)』(2003年/滝田洋二郎監督)を見た。
物語は、「夜間診療をしてもらうべく孫を背負って大野医院にやって来た老人(佐藤浩市)は、院内にあった1枚の写真を見て驚く。それは若い時分に自らも参加した壬生狼こと新撰組の隊士・吉村貫一郎(中井貴一)の写真だった。その老人は孫の受診中に、隊士の中でも一際異彩を放っていた吉村のことを回想し・・・」という物語。
南部盛岡藩最下級の藩士・吉村貫一郎は、腕が立つので剣術の指南役も務めてはいたが、その待遇は"4俵2人扶持"とのことだった。
米俵4俵が240kgだとは解るものの、"扶持"がよく解らなかったので調べてみると、「江戸時代には、1人1日玄米5合を標準とし、この1年分を米または金で給与した」と『コトバンク(ネット百科事典)』にあったので、"2人扶持"というのは、"0.75kg(5合)×365日×2人=547.5kg"となり、4俵と合わせると全部で"米787.5kg"になるようだった。
これで一家4人が生計を立てていたようだが、妻・しづ(夏川結衣)が口減らしのために自ら入水自殺を図るほど相当に生活は厳しく、吉村が「この冬を越せないのはよく解った」と脱藩して新撰組に入ろうとしたくだりはとても悲しい場面だ。
この吉村貫一郎という人は実在したそうだが、親友の大野次郎右衛門(三宅裕司)が出来た男だったら、貫一郎もその家族も悲惨な生涯を送らなくても済んだのではないかと考えられるので、そこが残念。
これは一見の価値がある良い映画だと思うが、浅田次郎作の歴史小説『壬生義士伝』が原作なようで、これも一度読んでみたいものである。