仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

鉄道員(ぽっぽや)

2014年04月11日 | ムービー
『鉄道員(ぽっぽや)』(1999年/降旗康男監督)を見た。
物語は、「美寄駅から分岐して敷設されているローカル線・幌舞線。その終着・幌舞駅で駅長として勤務している佐藤乙松(高倉健)は数ヵ月後に定年退職を控えており、これまで何よりも職務を優先させてきた彼は生後2ヶ月で死んでしまった一人娘や長年連れ添った妻(大竹しのぶ)の最期を看取ることができなかったことを悔いていた。また、すでに再就職先が内定している友人の杉浦仙次(小林稔侍)美寄駅長からこれからも一緒に働こうと誘われているものの、どうにもその気になれずにもいたのだった。そんな時、見慣れない女の子が乙松の前に現れ、"見たことがある人形だ"と不思議な思いをする。そして、JR北海道本社勤務の杉浦秀男(吉岡秀隆)からは幌舞線の廃線の予定が早まったことを告げられるのだが・・・」という内容。
"定年退職"、"ローカル線の廃線"といった身近にありがちな少し寂しい出来事が話の中心になってはいるのだが、"幌舞駅"という舞台も架空だし、物語全体としてもこれは紛れもなく"ファンタジー"である。
(^_^)
それならもっと楽しい物語にしてほしいところではあるのだが、寂れた町の廃止になる鉄道路線の定年退職する男達が、閉山する前の賑やかだった頃に死んでしまった人達のこと等を回想しているのだから、それは無理な話か。
(^_^;)
秀男からの廃線を予告する電話を切ったあと、投げ捨てるように帽子を机に置く乙松だったが、少しして帽子をきちんとかぶり直す。
何か『武士の家計簿』(2010年/森田芳光監督)と通じるような世界で、それは人生のすべてをその職業に捧げてきた男の性(さが)であり、それ故、退職後にリゾートホテルの仕事というまったくの別世界で生きていくことへの抵抗があったのだろう。
大竹しのぶの演技はやはり素晴らしい。
妙にうつむいて相手と目を合わせない、あの感じは見事だ。
たった2ヶ月で死んでしまった娘・雪子(広末涼子)の姿だと気がつき、彼女を何のためらいもなく"ゆっこ"と呼ぶ乙松。
彼のそういう思いがこの数日の不思議な体験を生んだのだろう。