仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

壬生義士伝

2010年01月10日 | ムービー
『壬生義士伝(みぶぎしでん)』(2003年/滝田洋二郎監督)を見た。
物語は、「夜間診療をしてもらうべく孫を背負って大野医院にやって来た老人(佐藤浩市)は、院内にあった1枚の写真を見て驚く。それは若い時分に自らも参加した壬生狼こと新撰組の隊士・吉村貫一郎(中井貴一)の写真だった。その老人は孫の受診中に、隊士の中でも一際異彩を放っていた吉村のことを回想し・・・」という物語。
南部盛岡藩最下級の藩士・吉村貫一郎は、腕が立つので剣術の指南役も務めてはいたが、その待遇は"4俵2人扶持"とのことだった。
米俵4俵が240kgだとは解るものの、"扶持"がよく解らなかったので調べてみると、「江戸時代には、1人1日玄米5合を標準とし、この1年分を米または金で給与した」と『コトバンク(ネット百科事典)』にあったので、"2人扶持"というのは、"0.75kg(5合)×365日×2人=547.5kg"となり、4俵と合わせると全部で"米787.5kg"になるようだった。
これで一家4人が生計を立てていたようだが、妻・しづ(夏川結衣)が口減らしのために自ら入水自殺を図るほど相当に生活は厳しく、吉村が「この冬を越せないのはよく解った」と脱藩して新撰組に入ろうとしたくだりはとても悲しい場面だ。
この吉村貫一郎という人は実在したそうだが、親友の大野次郎右衛門(三宅裕司)が出来た男だったら、貫一郎もその家族も悲惨な生涯を送らなくても済んだのではないかと考えられるので、そこが残念。
これは一見の価値がある良い映画だと思うが、浅田次郎作の歴史小説『壬生義士伝』が原作なようで、これも一度読んでみたいものである。