仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

スラップ・ショット

2019年01月12日 | ムービー
『スラップ・ショット(原題Slap Shot)』(1977年/ジョージ・ロイ・ヒル監督/アメリカ)を見た。
物語は、「プロのアイスホッケーリーグに所属しているチャールズタウン・チーフスはマイナーリーグの弱小チーム。マネージャーのジョー・マグラス(ストローザー・マーティン)は、コーチ兼任のレジー・ダンロップ(ポール・ニューマン)やネッド・ブレイドン(マイケル・オントキーン)等の選手をテレビ局やラジオ局の番組に出演させたり、モデルとしてファッションショーに無理矢理引っ張り出したり、ファン獲得に余念がないのだが、選手たちには不評だった。そんな折、地元企業が従業員1万人を解雇し、工場を閉鎖するとした。観客動員が見込めなくなったチームも今シーズン限りでの解散を発表し・・・」という内容。
地元の工場閉鎖は晴天の霹靂だった。
オーナーの意向を聞いたジョーは備品購入の注文を取り消し、反対にスケートの研磨機、マッサージ台、移動用のバス等の処分を始めなければならなかったし、選手も、移籍が出来ればいいが、出来なければ引退して就職先を探さなければならない。
それは選手もマネージャーも一緒だ。
しかし、そんな中に新しく加わったハンソン兄弟は強烈なインパクトを与えた。
まるで三つ児のようなその三人の荒々しいプレースタイルが観客を沸かせ、チームの人気が急上昇するのだが、それは、将来が見えなくなったチャールズタウンの人々の鬱憤を彼らが代わりに晴らしてくれていたからなのだろう。
(^_^;)
冒頭の場面で、「美味しい天然水をご自宅までお届けします」とのテレビCMの音声が流れていたが、水道水以外の水を買うだなんて、アメリカはともかく、本作公開当時の日本では考えられないことだったのではないかと思う。
お笑いコンビ、タカアンドトシの「欧米か!!」ではないが、何十年もかけて、日本はどんどん欧米化していってるんだろうなぁと、本筋と無関係なところで妙に感心してしまったのだった。
それにしても、ハンソン兄弟の存在感は圧倒的だった。
彼等のような、子供じみているのだけれど、実はとてつもない過激な行動をしてしまう存在というのも、リアル社会に登場して久しいのかもしれない。
妙な所がいろいろ気になった作品で、面白かった。

未来は今

2016年04月17日 | ムービー
『未来は今(原題The Hudsucker Proxy)』(1994年/ジョエル・コーエン監督/アメリカ)を見た。
物語は、「1958年。大学を卒業したばかりのノーヴィル・バーンズ(ティム・ロビンス)は長距離バスでインディアナ州マンシーからニューヨークへとやって来た。希望に反してなかなか仕事は見つからなかったが、コーヒーカップの丸い染みで囲まれたハッドサッカー産業の求人広告に引き寄せられるようにして同社を訪ね、思いもよらぬ成り行きから社内メール配達業務に職を得たのだった。その頃開かれていた同社の重役会議の開催中、出席していたウェアリング・ハッドサッカー社長(チャールズ・ダーニング)が突然44階にあるその会議室から窓を破って飛び降り自殺をしてしまった。このままでは法定相続人がいない同社長所有の株式が市場に開放されてしまうことになるため、期限前日までに株価を暴落させておき、底値をつけた状況で重役会のメンバーが買い占めるという作戦を練った。重役シドニー・J・マスバーガー(ポール・ニューマン)は重役会を仕切り、会社の業績を悪化させ株価を大暴落させることを目的に、新入社員のバーンズを社長に抜擢するのだが・・・」という内容。
重役会とはまったく違う思惑ながら、強引にバーンズに近づいて秘書になってしまった新聞記者エイミー・アーチャー(ジェニファー・ジェイソン・リー)が書いた記事で、マスバーガーが書いたシナリオが順調に進んでしまう所や、嘘をついてバーンズの信頼を得たアーチャーが良心の呵責に苛まれていくといったエピソードは、マッタク見る者の予想の範囲内で、どぎつい様子もないことから、さほど嫌な感じを受けずに見ていられる。
基本的には"コメディ"であり、"ファンタジー"なので、全体に何ともいえないふわふわ感が漂っているのだ。
(^_^;)
アメリカ映画なのでキリスト教的な宗教観や市場経済原理主義といったものが背景に見えたりもするのだが、イーサン&ジョエル・コーエンの作品にしては珍しく、前向きなメッセージが込められた映画のようだった。

タワーリング・インフェルノ

2010年06月15日 | ムービー
『タワーリング・インフェルノ(原題The Towering Inferno)』(1974年/ジョン・ギラーミン監督/アメリカ)を見た。
物語は、「138階建ての超高層ビル"グラスタワー"の落成式が行われる日。地下の予備発電機を始動させた途端に回路がショートし、その影響で81階の配線盤から発火した。ビルのオーナー、ジェームズ・ダンカン(ウィリアム・ホールデン)の娘婿ロジャー・シモンズ(リチャード・チェンバレン)が私腹を肥やすため予算を着服。ダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)の設計を無視し、手抜き工事を行っていたことが原因だった。火は延焼し、そして最初の犠牲者が出た。通報によって駆け付けた消防隊のマイケル・オハラハン隊長(スティーブ・マックイーン)は、約300人の来賓がいる135階の会場にオーナーを訪ね、落成式の会場変更を進言するのだが・・・」という内容。
ハーリー・クレイボーン(フレッド・アステア)という詐欺師が、燃えて黒焦げになっている人に上着を被せる場面があるのだが、そのタキシードはレンタル衣装。
詐欺師といえど最低限の人間性は持ち合わせているように描かれている。
様々な人々の人生が短い時間内に濃縮されて描かれているが、どうやら根っからの悪人はロジャーだけのようだ。
(^_^;)
ただ、悪意が無かったとはいえ、ダグ・ロバーツは大火災が起きている中で(折角使えなくなっていた)エレベーターを起動させてしまう。
災害時だというのに「非常ブレーキを使えば1回だけ降ろすことができる」と、エレベーターを使おうとするだなんて、机上の計算で生きている"設計屋"らしい発想だが、しかしその結果は・・・。
序盤に「パーティーが終わったら礼服を焼いてみせる」というブラックなジョークもあったりして、この物語は悲劇というより喜劇なのかもしれない。

明日に向って撃て!

2007年02月20日 | ムービー
『明日に向って撃て!(原題Butch Cassidy and The Sundance Kid)』(1969年/ジョージ・ロイ・ヒル監督/アメリカ)を見た。
これはブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)、サンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)という2人の泥棒を主人公とした物語で、彼らは19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカ合衆国に実在した人物とのことである。
しかし、実際にはこの映画の主人公のように憎みきれないキャラクターであったかどうかは疑問だ。
おそらくは『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』(1990年/ロバート・ゼメキス監督/アメリカ)に登場したマッドドッグ・タネン(トーマス・F・ウィルソン)のようなキャラクターではなかったのかと推測するのだ。
1970年のビルボード年間1位を獲得したという♪雨に濡れても♪(B.J.トーマス)が使われる有名な自転車のシーンなどは、登場人物のキャラクター設定を完璧に植え付けた本当に最高のシーンだったのではないかと思う。
(^_^)
時代が変わってアメリカでは銀行強盗や列車強盗がし辛くなったから、南米に行って稼ごうだなんて考えが大したことないなぁと思うが、所詮強盗とはそのようなものか。
終盤、盗んだ馬が見つかって通報されてしまうというのも顛末としては間抜けな話だ。
何だかしょぼいエピソードをここまでの内容に仕上げたのだから、やはり凄いのは脚本家の想像力であり、監督の演出力と思う。
また、この映画も"アメリカンニューシネマ"と分類される映画のひとつらしいのだが、大作とはいえない映画が面白かったということで、そのように分類されているのだろうか。
ラストシーンなど革新的だからと評価されたのだろうか。
いま一つ、"アメリカンニューシネマ"というものが分かってない。
(^_^;)