仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

龍三と七人の子分たち

2017年09月30日 | ムービー
『龍三と七人の子分たち』(2015年/北野武監督)を見た。
物語は、「ヤクザの組長だった高橋龍三(藤竜也)。隠居してからは息子・龍平(勝村政信)の家で暮らしていた。龍平家族が嫁の実家に帰省中、オレオレ詐欺の電話にまんまと騙されたものの、500万円の現金を用意できなかった龍三は、家にある金目の物をかき集め、指定の場所へと向かった。金を受け取りに現れた田村(山崎樹範)は、龍三が持ってきた物の中にあった暴力団の金バッジや、合流してきた山本故夫(マサ/近藤正臣)の姿に驚き、金を用意できなかった詫びにと指を詰めようとした龍三の様子を目の当りにし、怖くなって逃げ出す。その夜、昔の仲間・武田茂吉(はばかりのモキチ/中尾彬)が若い奴らに絡まれている所へ出くわした2人だったが、マル暴の村上刑事(ビートたけし)が現れ、大きなトラブルに発展することなく、その場は収まった。龍三はそこで西(安田顕)が支配する"京浜連合"という半グレ集団の存在を知り・・・」という内容。
暇を持て余している龍三達は、かつてのヤクザ仲間達と集まろうとハガキを出し、西郷さんの銅像前への集合を呼び掛ける。
そこへ集まってきたのが、スティーブ・マックイーンに憧れ常に拳銃を持ち歩いているという"早撃ちのマック"(品川徹)、仕込杖のステッキを持ち歩き、若い頃は何人もの極道を血祭りに挙げてきたという"ステッキのイチゾウ"(樋浦勉)、いつも五寸釘を持ち歩き、手裏剣のように投げつける"五寸釘のヒデ"(伊藤幸純)、カミソリで相手の喉を切るという"カミソリのタカ"(吉澤健)ら、充分すぎるほどに個性的なメンバーだ。
(^。^)
7人で立ち上げた"一龍会"に、自称・元少年特攻志願兵の"神風のヤス"(小野寺昭)も合流し、京浜連合と構想を繰り広げる。
何とも昔気質で実直なヤクザ達と今時のずる賢い半グレ集団達の比較が面白い。
妙に笑える小ネタの連続は、『アウトレイジ』(2010年/北野武監督)、『アウトレイジ ビヨンド』(2012年/北野武監督)といったハードなやくざ映画とは一線を画すが、こういった何だか力の抜けたようなエピソードの連続も北野作品の特徴の一つであり、他の監督が真似できない展開の面白さがあるように思う。
焼鳥や競馬場のエピソードなど、「そういうことになるんじゃないかな?」という予想の通りになったとしても、それでも笑えてしまうというのが凄いのだ。
(^_^)

タワーリング・インフェルノ

2010年06月15日 | ムービー
『タワーリング・インフェルノ(原題The Towering Inferno)』(1974年/ジョン・ギラーミン監督/アメリカ)を見た。
物語は、「138階建ての超高層ビル"グラスタワー"の落成式が行われる日。地下の予備発電機を始動させた途端に回路がショートし、その影響で81階の配線盤から発火した。ビルのオーナー、ジェームズ・ダンカン(ウィリアム・ホールデン)の娘婿ロジャー・シモンズ(リチャード・チェンバレン)が私腹を肥やすため予算を着服。ダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)の設計を無視し、手抜き工事を行っていたことが原因だった。火は延焼し、そして最初の犠牲者が出た。通報によって駆け付けた消防隊のマイケル・オハラハン隊長(スティーブ・マックイーン)は、約300人の来賓がいる135階の会場にオーナーを訪ね、落成式の会場変更を進言するのだが・・・」という内容。
ハーリー・クレイボーン(フレッド・アステア)という詐欺師が、燃えて黒焦げになっている人に上着を被せる場面があるのだが、そのタキシードはレンタル衣装。
詐欺師といえど最低限の人間性は持ち合わせているように描かれている。
様々な人々の人生が短い時間内に濃縮されて描かれているが、どうやら根っからの悪人はロジャーだけのようだ。
(^_^;)
ただ、悪意が無かったとはいえ、ダグ・ロバーツは大火災が起きている中で(折角使えなくなっていた)エレベーターを起動させてしまう。
災害時だというのに「非常ブレーキを使えば1回だけ降ろすことができる」と、エレベーターを使おうとするだなんて、机上の計算で生きている"設計屋"らしい発想だが、しかしその結果は・・・。
序盤に「パーティーが終わったら礼服を焼いてみせる」というブラックなジョークもあったりして、この物語は悲劇というより喜劇なのかもしれない。

シンシナティ・キッド

2006年10月03日 | ムービー
『シンシナティ・キッド(原題The Cincinnati Kid)』(1965年/ノーマン・ジュイソン監督/アメリカ)を見た。
2006年現在、17歳以下の青少年の夜間外出禁止措置が取られているというアメリカ合衆国のルイジアナ州ニューオリンズが舞台。
この作品で描かれている時代はそれとは違うのだが、今も実際にディープな地域とあってギャンブルの物語の舞台としてはピッタリなのだろう。
また、ここはJAZZ発祥の地ということもあってか、映画は(まるでパレードのような)葬式行列のシーンから始まるのだが、楽しいような寂しいような音楽がこの映画の先行きを物語っていたような気がした。
主人公シンシナティ・キッド(スティーブ・マックイーン)は、ファイブカードスタッドポーカーで金を稼いでいるギャンブラー。
安定した生活を望む彼女メルバ(アン=マーグレット)とはうまくいってないのだが、彼女と寄りを戻したいと思う反面、大物ギャンブラーと大勝負をしたり友人の妻の誘いにのったりして、その世界から足を洗う気持ちはさらさらない男だ。
(^_^;)
物語のクライマックスはやはりポーカーの勝負なのだが、密室での勝負が延々と続く中、取り巻きの人達の顔が段々と脂ぎって、どんどんワル顔になっていくのが面白い。
(^_^)
この作品は撮影4日目にサム・ペキンパー監督が解任され、ノーマン・ジュイソン監督があとを引き継いだとのことなのだが、編集の時には配給側からラストシーンについての注文がついたりと、何かといわく付きの映画だったらしい。
それにしても、最後に流れるレイ・チャールズの曲は良かった。
この作品で描かれているような、社会に対して何ら生産も貢献もしていない人達は現実の社会でも少なからず存在するのだろうが、そういった出来事が小説化されたり映画化されたりすることによってビジネスになり、社会や経済に何らかの影響を与えていることを考えると、人間社会とはなんて面白いのだろうと思う。
1本の映画の公開から40年以上も経った2006(平成18)年の今、こんなことをBLOGに書いて楽しんでいるのだから。
(^。^)