仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

エネミー・オブ・アメリカ

2017年06月14日 | ムービー
『エネミー・オブ・アメリカ(原題Enemy of the State)』(1998年/トニー・スコット監督/アメリカ)を見た。
物語は、「テロ対策との説明ではあるものの、法の執行機関の監視権限を拡大し、市民のプライバシーを大幅に侵害する恐れがある"通信の保安とプライバシー法"が連邦議会で審議されていた。国家安全保障局(NSA)の高官トーマス・ブライアン・レイノルズ(ジョン・ヴォイト)は、法案を可決させるために、反対派の下院議長フィリップ・ハマースリー(ジェイソン・ロバーズ)を暗殺する。ところが、殺害の一部始終は無人カメラで録画されていた。突然の大事件に遭遇してしまった動物研究学者ダニエル・ザビッツ(ジェイソン・リー)は映像のコピーを知り合いのジャーナリストに渡そうと逃走するが、偶然に出くわした大学時代の同級生、弁護士ロバート・クレイトン・ディーン(ウィル・スミス)の持っていた紙袋に・・・」という内容。
事件を公けにされては困る連中から必死に逃げるザビッツだが、偵察衛星やヘリコプターによって瞬時に位置を把握され、次第に追い詰められていく。
その挙句に交通事故で死んでしまうだなんて、何ひとつとして悪いことをしていないのに残念な最期だ。
そして、その後はディーンがレイノルズ率いるNSAのチームに追われることになるのだが、何ら思い当たるフシがないのに、盗聴され、仕事を失い、理由もなくクレジットカードを不使用にされ、鞄を奪われ、名誉を棄損される。
何といっても彼が一番の被害者だろう。
しかし、彼が大事件に巻き込まれた一般市民と違ってラッキーだったのは、仕事でつながりのあるエドワード・ライル(ブリル/ジーン・ハックマン)という情報屋の協力を得ることができたことだ。
彼の存在なしに、その後の展開は考えられない。
日本映画『デスノート』(2006年/金子修介監督)では、理想の実現を邪魔しようとする警察官、FBI捜査員、探偵を次々に殺害していこうとする主人公の姿が描かれていたが、強大な力を保有している者というのは、自身がテロリストに成り下がっていることなどには一切気づくことができず、物事の善悪の区別もつかなくなってしまうものなのだろうか。
さて、現実のアメリカ社会では、2001年9月の同時多発テロ事件の後、"Patriot Act"というテロを未然に防ぐために必要だとされる法律が制定されたそうなのだが、日本ではどうなっていくのだろう。

未来は今

2016年04月17日 | ムービー
『未来は今(原題The Hudsucker Proxy)』(1994年/ジョエル・コーエン監督/アメリカ)を見た。
物語は、「1958年。大学を卒業したばかりのノーヴィル・バーンズ(ティム・ロビンス)は長距離バスでインディアナ州マンシーからニューヨークへとやって来た。希望に反してなかなか仕事は見つからなかったが、コーヒーカップの丸い染みで囲まれたハッドサッカー産業の求人広告に引き寄せられるようにして同社を訪ね、思いもよらぬ成り行きから社内メール配達業務に職を得たのだった。その頃開かれていた同社の重役会議の開催中、出席していたウェアリング・ハッドサッカー社長(チャールズ・ダーニング)が突然44階にあるその会議室から窓を破って飛び降り自殺をしてしまった。このままでは法定相続人がいない同社長所有の株式が市場に開放されてしまうことになるため、期限前日までに株価を暴落させておき、底値をつけた状況で重役会のメンバーが買い占めるという作戦を練った。重役シドニー・J・マスバーガー(ポール・ニューマン)は重役会を仕切り、会社の業績を悪化させ株価を大暴落させることを目的に、新入社員のバーンズを社長に抜擢するのだが・・・」という内容。
重役会とはまったく違う思惑ながら、強引にバーンズに近づいて秘書になってしまった新聞記者エイミー・アーチャー(ジェニファー・ジェイソン・リー)が書いた記事で、マスバーガーが書いたシナリオが順調に進んでしまう所や、嘘をついてバーンズの信頼を得たアーチャーが良心の呵責に苛まれていくといったエピソードは、マッタク見る者の予想の範囲内で、どぎつい様子もないことから、さほど嫌な感じを受けずに見ていられる。
基本的には"コメディ"であり、"ファンタジー"なので、全体に何ともいえないふわふわ感が漂っているのだ。
(^_^;)
アメリカ映画なのでキリスト教的な宗教観や市場経済原理主義といったものが背景に見えたりもするのだが、イーサン&ジョエル・コーエンの作品にしては珍しく、前向きなメッセージが込められた映画のようだった。