普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

小池百合子さんの役割

2008-09-24 12:00:03 | 麻生内閣

 自民党総裁選は有効投票総数は525票のうち、麻生さんは351票を獲得、与謝野さんな66票は予想された通りだが、小泉さんの支持を受け善戦を期待された小池さんの得票の僅か46票の意味は大きい。
 46票の殆どは所謂小泉チルドレンと中川秀直さんのグループの投票に限られているのだろう。
 特に小池さんには地方票が一票も入らなかったことは、小泉政治の負の部分の影響が地方にどれだけ、大きかったかを示しているようだ。(追記:この点について多くの批判のコメントがありましたのでコメント欄も見て下さい
9月25日)

[小泉改革の負の遺産]
 小泉さんは三位一体と称して、地方分権を図ったが事実は地方への交付金削減に止まり、生産力の低い地域の疲弊を招いた。
 要するに小泉さんの理想と実行力は優れていたが、荒っぽい大鉈を振るっただけに終わってそのままになっているのだ。
小泉手法の成功例
 小泉さんの立場を擁護して言えば、基本方針を示して、後は部下に任せて何かあったときはサポートする大将の立場を貫いた。
 上手く行った例としては、
・小泉さんの方針を忠実に守った、竹中平蔵さんはバブル崩壊後の金融機関の再生、各種の経済面の改革に大きな業績をのこし郵政民営化でとその最後の仕上げをした。
 今民営化された郵政グループは色々問題があるが、いずれは次第に良くなるだろう。
・道路公団民営化では猪瀬さんが孤軍奮闘してなんとか道をつけた。

小泉手法の失敗例
 ・道路公団は折角民営化したものの、道路建設の絡み合いで、政府との関係が切れないこと、天下り問題など民間の猪瀬さんでは処理しきれなかった問題が多く残っているが、これは明らかに小泉さんの部下の大臣だった扇千景さん、石原伸晃さん、北側一雄さんがその責任を問われるべぎだ。
・当時から問題になり始めた社保庁に、民間から損保ジャパンの副社長であった村瀬清司さんを社会保険庁長官に任命した(これも歴代の首相としては珍しいことだが)が、僅か一人で何も出来ずに退任し、今日の内閣の生命を揺るがす年金問題と言う大問題になっている。
・改革の始まったころは、児童保育設備、高齢者保護施設の充実、中小企業の援助なども言わせて言われていた。
 然し、竹中さんを除く殆どの大臣たちは、おそらく部下の官僚達の抵抗に会って、実質的に何もできず(または何もせず)、しかも一方では財政再建路線に押しまくられて、財源を削減され、その活動の収縮を余儀なくされ、地方の疲弊、年金、保険問題、医療崩壊の危機に繋がってきた。

経済情勢の変化と構造改革路線
 経済問題で言えば、大企業優遇による経済成長の成果を中小企業に波及させ、日本全体の景気を良くする政策が、中国の台頭などもあり、実質的には大企業の中小企業いじめ、競争力強化のための派遣労働者の導入の自由化が、国民の平均賃金の減少(一方では欧米流の考え方の浸透による経営者の収入増大)、社会格差の発生など、小泉改革の大きな歪みとなって今の状態となっているのだ。

安倍さんの失敗
 私は安倍さん時代に何度も、小泉改革の継承でなくて、その見直しまたは脱却をその路線にすべきだと書き、裸の大将にならぬように地方からの情報収集とその分析の強化を図るべきだと投書した。
 然し、安倍さんは小泉さん大勝の勢いをかって改革の続行を続け、見落としていた小泉内閣の負の遺産の地方の疲弊を小沢さんに突かれ、テレビの絆創膏報道などもあり大敗を喫してしまった。

小泉改革の負の遺産の影響拡大
 福田さんに変わっても小泉改革の負の影響が小さくなるどころか道路特定財源問題、後期高齢者医療制度、医療制度崩壊、年金問題等々拡大するばかりだ。
 それに加えて米国のサブプライムローンのバブル崩壊に伴う米国の地位の低下、巨大な投機資金や資源関係の企業の寡占化など経済情勢が大きく悪化し、小泉、竹中路線の市場経済中心、経済のグローバル化への対応ではどうにもならなくなって来ている。

[小池さんの強みとその役割]
小池さんの総裁選得票46票の意味
 詰まり自民党内での小泉路線への反省が、依然として残っていると言われる小泉さんの影響力が小さくなっていること、そしてそのために小池さんの総裁選の得票が与謝野さんの得票より20票少ない46票に終わったのだ。
 小池さんはそれに対して、「総裁選を共にする間に、他の候補がいつの間にか私に抱きついてきて、私と同じような主張をしている。これからは(麻生さんと一線を引いて)自民党としての政策集団を作りたい」と言っているそうだ。
 小池さんも政治家だから、自説を今更曲げる訳にも行かないのだろうが、小泉改革は全体としては良いと主張しても、その負の部分を認める謙虚さがあっても良いと思う。

首を捻る新閣僚のメンバー
 小池さんはその出身からマスコミでの経験と強い発信力と女性らしい鋭い感性を持っている。
 報道される内閣の予想されるメンバーは、今までの福田内閣と余り変わり映えしない人ばかりのようだ。
 これで民主党と戦える?
 これでどれだけマスコミにアピール出来る?
 麻生さんの政治力はこれで限界?
 自民党が期待していた新内閣の支持率は麻生さんの人気で上がるだろうが、その支持率の足を引っ張るのは新閣僚のメンバーの名前のような気がする。 
 このメンバーを見て喜ぶのは民主党と反自民のマスコミだ。
 今自民党は政権陥落の危機に立たされている。
 今こそ小池さんのマスコミの経験と感性を活かして麻生さんに協力し、進言すべきだと思う。
 組閣後に幾ら彼女の言う政策集団を立ち上げても、もし麻生さんが衆院選で負けたら、もうお終いだから。
 そして麻生さんは小池さんをなんとしてでも、内閣または自民党の主要メンバーに加え彼女の強みを活かし、総力戦で事に当たるべきだと思う。

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