[一方的な福田さん自民党批判報道]
福田さんの突然に辞任についてのマスコミ報道は福田さんと自民党への批判ばかりだ。
喧嘩に負けて、家に帰った子供が親に相手のことについて泣き言を言う様な、一国の首相に批判が集まるのは当然だ。
然し公平を旨とすると自身も言い、そして日本の世論形成に大きな力を持つマスコミがそれだけで済ませて良いのだろうか。
「喧嘩両成敗」と言う言葉がある。
喧嘩には負けたほうにも勝った方にも、双方に何らかの問題点があるものだ。
福田さんの「話し合い路線」を飽くまでも突っぱねた小沢さんには全く非は無いのだろうか。
世論調査では小沢さんのやり方に批判が集まり、党内からも多くの批判が出ているのに、昨日のテレビの論議には民主党の問題点は全くと言って良い程出なかった。
喧嘩の最中に福田さんの足を後ろから引っ張った、味方であるはずの公明党に何の落ち度も無いのだろうか。
私は昨日のブログで自民党は今までの「話し合い路線」から転換して、「戦う自民党」になって欲しい事、そして自民、民主の論争もないまま、いきなり選挙戦に突入し、最近の小泉、安倍さんの選挙の時のようにマスコミのキャンペーンに乗る愚だけは避けるべきだ。と書いたが昨日のマスコミの福田さん批判ばかりの報道を見て、マスコミ特にテレビの選挙中の報道に就いてより具体的に書いてみようと思った。
[与党に不利な選挙中の報道]
・今までの選挙中の報道
小泉さんの郵政選挙のときは彼の方針に反対する自民党議員の追放に加えて刺客派遣と言う奇手に乗せられて、選挙中と言うのにマスコミ特にテレビは民主党を抵抗勢力と盛んに攻撃していた小泉さんや刺客の後を追い回した。
テレビは「純ちゃん」と呼びながら熱狂的に手を振る小母さんたちを写した。
結果は小泉さんの大勝に終わったが、これにマスコミが手を貸したのは間違いのない事実だ。(*注1)
小泉さんの後を受けた安倍さんは衆議院の議席3分の2を占めた勢いで、強引に多くの法案を成立させた。
しかし安倍さんは多数の議席に安住したとは思わないが防御の姿勢を忘れていた。
政治と金の問題で、問題閣僚を庇ったことだ。
それと安倍さんにとって不幸だったのは、慰安婦模擬裁判の報道の関与の件で、朝日新聞を敵に回したことだ。(*注2)
小泉さんの戦略に乗せられて意図的またはそれと知らずに選挙中に自民党中心の報道をして、圧倒的に勝利を納めさせたテレビはその自らの影響の大きさを知った。(今朝のテレビ朝日でも鳥越さんがこのことを反省していた。)
それで参院戦のときは(テレ朝の場合は多分)意図的または小泉選挙の反省もなく、選挙中と言うのに赤城さんの絆創膏問題を「政治の金」に搦めて執拗に報道した。
これがボディブローのように選挙結果に効いてきたのは間違いないと思う。
それに対して安倍さんは如何に多くの法案を成立させたかと誇示していたが、テレビはそれを彼の独裁的手法と思わせるような報道をした。
結果は安倍さんの記録的な大敗に終わった。(*注3)
・次期衆院選中の報道
これから次回の衆院選の最中に、テレビがどのような選挙関係の報道をするか、ほぼ容易に想像できる。
・新内閣の閣僚の中で、もし「政治と金」の問題が出れば必ず取り上げる。
・任期半ばで職を辞した安倍さん、福田さんの辞任会見の画面を何度も何度も放映。
・選挙の争点として、年金、後期高齢者医療制度、官僚の天下り、アフガンの海上給油、物価上昇などの状況やそれに対する庶民の意見などなどを繰り返し繰り返し。
・それに対する野党の政府に対する攻撃の詳細な報道、一方では政府が取った対策は多分触れないか簡単に触れるだけ。
・そして政権を取る可能性の高い民主党のその問題への次のような対応は殆ど放映されないだろう。
アフガン給油の場合:反対が対案と言う→実行不可能な具体案提出
後期高齢者医療制度:反対が対案と言う→その以後の具体的に提案はなし
これこそ民主党が政権を担うにたりる責任政党であるか否かの格好の判断材料となるのだが。
それ以上に問題なのはテレビでは自民党は勿論、次期政権を取るかも知れない民主党の公約・マニフェストの問題点は余程意識の高い人しか見ない討論番組で議論されても一般のニュースでは殆ど出ず、放送効果の大きい上記のようなセンセーショナルな報道が中心になるのは間違いない。
・ニュース・ソースをテレビに頼る人の増加
私の息子は新聞を取っていない。その情報源は勤務先の新聞かテレビだ。
私の家内の情報源は主にテレビ、然し感心にテレビのニュースは必ず見ている。
日本全体で見ても私の家族と同じにニュース・ソースはテレビだけに頼っている人が多くいると思う。
選挙をするのは国民の義務だから、新聞は勿論のことテレビでもニュースを余り見ない人達や「浮動票」と呼ばれる人達も選挙直前や選挙中にはテレビを見るだろう。
そして彼らが上記の様なテレビを見たらどのように反応するかは、小泉・安倍選挙の結果を見れば自民党が不利の立場になるのは明らかだ。
もっとはっきり言えば、テレビのお蔭で次回の選挙では自民党が大敗する可能性もないとは言えない。
テレビの報道で大きく政局が振れるのは浮動票だ、最終的には国民の責任だ非難しても仕方がない。
テレビに対して政治家が、日本人が政党や政治家を公平に判断して貰うために、選挙中は公平な放送をしろと言うわけにはいかない。
そのいずれも現実として認めるしかない。
テレビなどでは自民党は組閣後直ぐに解散して、選挙中の議論を通じて国民の真意を問えと言う意見が多いが、上記のような偏った報道をしがちなテレビの実情と、多くの人達が判断材料としてテレビの報道に頼る実情を無視した言い方だ。
[自民党のこれから]
以上のことを考えると、対策は自民党は昨日も書いたように「話し合い路線」から「戦う自民党」に大きく方向変換するしかない。
選挙の顔を立てていくら支持率を稼いで、いきなり選挙戦に突入してもテレビが大きく立ちはだかる。
今やテレビは「浮動票」と言われる人達を動かす大きな力をもっているのだから。
私は話し合い路線を通すために、思ったことを言えないより、思ったことをずばずば言う(失言は困るが)人を国民は期待していると思う。
選挙になったら小泉さんの様な奇策が無い限り、与党の意見はテレビの報道から消えてしまう実情を良く知って党の方向を誤らせないことだ。
新内閣は組閣後の国会で今までの防御一本槍から攻撃に転ずるべきだ。
民主党の誰が見ても不完全なマニフェストの問題点を追求すべきだ。
その議論を通して内閣の本当の支持率を挙げて選挙選に突入すべきだ。
そのために重要な討議に必要な会期は充分に確保すべきだ。
その間の討論で内閣の支持率が落ちる様なら新総裁を選んだ自民党が悪いと諦めるしかないと思う。
そして最後にもう一つ、強大な力を持つマスコミのために、如何にあがいても負けることもあるかも知れない事、その場合の対策もしっかり考えて置く事だ。
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*注1:民主党敗因について
小泉さんたちの攻撃に対して岡田さんは明後日を向いたような政策羅列の演説をしていたのを見て、地もとの民主党候補に、小泉さんの反対者を追放するような独裁者的手法を攻撃しろ、そうすれば小泉さんが熱弁を振るうほど、聴衆は彼とヒットラーの姿をダブラせるだろうと投書したが勿論無視された。
*注2:慰安婦模擬裁判の報道の関与の報道は、明らかに朝日側は非があったのだが、この件を裁判に持ち込むと言って、コメントを拒否したまま頬被りし、遂に裁判に持ちむこともせいずにうやむやにしてしまった。
*注3:安倍さんの敗因について
安倍さんはお友達内閣の裸の王様状態で、小泉改革の影の部分である、地方の疲弊を見落とし、そこを小沢さんに上手く突かれたのも敗戦の一因だ。
私は何度も安倍内閣に小泉路線の継承でなくて、見直しか脱却にすべきこと、小泉さんの冷酷さを見習って問題閣僚を切る事、裸の王様にならないように党内の連携を取り、地方からの情報収集・解析機関の設置を投書したのだが。