普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

ねじれ国会の成り行きと政党の責任

2007-11-24 10:47:57 | 政策、社会情勢

 福田さんが党首会談を呼びかけたが、予測された通りに野党からの協力拒否にあった。
 23日の読売新聞
によれば小沢さんとの会談について概略次のように報じている。
・福田首相小沢代表に対し、インド洋での海上自衛隊の給油活動再開のため、新テロ対策特別措置法案の会期内成立に協力を求めたが、小沢氏は拒否した。
・首相は党首会談が物別れに終わったことを受け、政府・与党は、12月15日までの会期を再延長する方向で調整に入る。
・首相は「賛成できないなら、法案に反対してほしい」と指摘した。参院で審議を引き延ばさないよう求めたものと見られる。
・(首相は)また、恒久法整備のための政策協議や年金改革のための与野党と各界代表による「国民会議」の設置も提案した。しかし、小沢氏は「政策協議を否定はしないが、国会や委員会の場でまとめるべきだ。他の野党との調整もある」と述べ、慎重な考えを示した。
・首相は22日夜、会談結果について「それなりに有益だった。またこういう機会を設けて、いろいろ説明することもあっていいのではないか」と述べた。
・政府・与党は会期を再延長した上で、参院で否決または審議を引き延ばした場合は、衆院で3分の2の多数で再可決し、成立を図る構えだ。

[今後の成り行き]
 国会は良く言えば与党、野党がっぷり組んだ対決の構図だが、悪く言えば泥沼状態だ。

  それで今後の展開だが、
・与党は何がなんでも給油法案を衆院で3分の2の多数で再可決し、通過させるのは間違いないだろう。
・それに対して野党は参院で首相の問責決議案を提出する可能性はあるが鳩山さんなどの言う様に「世論の動向を見て」など少し腰が引けているようだ。
・もし首相の問責決議案が提出、可決されたときの福田さんの態度だが、そのまま頬被りして首相の座に止まるか(この可能性の方が高い)、議会解散に打ってでるかも、世論の動向如何によるのだろう。
 自民、民主の両党の態度がはっきりしないのは、勿論次の選挙の勝敗かに関わるからだ。

 民主党側に立てば、次の衆院選では負ける可能性が高い。
 何故なら11月半ばの連立問題に関連してで行われた、世論調査の自民党と民主党の関係のあり方では、
 連立政権を作る 12.0   政策協議をする 65.7   協議の必要はない 16.7
の数字に明らかなように、圧倒的多数が政策協議で事態を打開して貰いたいと思っているのに、民主党は国会での徹底的抗戦をやっているのだから。
 福田さんが会談結果について「それなりに有益だった。 」と言うのは、世論の政策協議の待望論に応えたものだ。
 どうせ民主が反対すると判って敢えて会談を提案した自民は民主に対してつぎの選挙戦へのポイントを確実に稼いだ。
 そして小沢さんはまた福田さんの策略に乗ってしまったのだ。

 一方の自民党側としても、例え衆院戦で勝っても、僅差の勝利で前回の様な衆院で3分の2を与党が占めるような大勝利は不可能なのははっきりしている。
 そうなれば衆院選後の政局は野党が参院で政府、与党の提出した案を否決したときの3分の2条項は使えなくなる
 その時民主党が仮に負けたとしてもそのの反省もなく、衆院選以後も徹底的抗戦の態度が続ければ、以後の国会は完全にデッドロックに乗り上げた状況になる。

 それらのことはマスコミでは余り言わないが、自民、民主の両党が政局をどのように持って行くのかに対して腰が引けている理由であるのはほぼ間違いないと思う。

 その一方、米国の外交姿勢の変化や、一時的と思えない経済情勢の悪化、中国、インドの発展とうの世界情勢の変化、少子高齢化、膨大な借金などの影響が益々大きくなって来ているのに、国会が沈滞してしまってよいのだろうか。

[捩れ国会を生れた原因]
 (以下一部 Wikipedia
の資料を引用)
1.参議院議員選出の方法の変更
 1980年以後の議員の選出方法が変更になった。
 各都道府県を選挙区とする選挙区制(大選挙区制)と全国統一での比例代表制(非拘束名簿式)によって行われ、双方への重複立候補はできない。選挙区においては、選挙区ごとに1から4名が選出され(2007年より1から5名)、比例代表においては、非拘束名簿式比例代表制で選出される。
これを見ると明らかに、衆議院議員の選出方法と酷似している。
 違うのは任期は6年。半数が3年ごとに改選されることだけだ。

 参議院の基本理念から反したこの案にに対して(参議院の中でも党の影響力の拡大だけを考えた)与野党からのこれと言った反対もなく決まったのを、私はこれはおかしいと思ったのを今でも覚えている。
 然し当時はインターネットもブログもなく唯一の国民の意見の発表の場は、新聞の読者の投稿欄しかなく、国民の議論と離れだ場所であれよあれよと言うまに、参議院の新選出法が決定されてしまった。

 その結果従来の参議院の特徴だった無所属や緑風会と言った中立のグループに属する議員が激減して、現在のように第二の衆議院と化してしまった。
 そして、参議院は政権選択に囚われることなく有識者によって審議される「良識の府」と呼ばれていたのが、参議院議決が政局になることから「政局の府」とも呼ばれるように政党の政争の場となってしまった。

 ネットで調べて見ると、参院で多数を占めた民主党の小沢さんや鳩山さんでさえ、参院が機能しなくなっているとか、参議院と衆議院が同じ選挙制度の弊害を言っているようだ。

 さらに、参議院憲法調査会から升添さん(の要望に対して)出された報告
によれば同委員会は次のような報告をだしている。、 
・両院の違いを明確にするため、参議院の改革は今後とも必要であり、また、選挙制度の設計が極めて重要である。
・現行憲法の衆議院の優越規定はおおむね妥当である。したがって、両院不一致の場合の再議決要件の緩和には慎重であるべきである。
参議院と政党との関係。(党議拘束の緩和、参議院から閣僚を出すことを含む)
など考えているようである。


 私は既に国会が沈滞状況になっている現在の状態の解決には参院での可決のさいの党議拘束の緩和が必要であり、長期的には選挙制度の見直しをすべきだと思う。

 然し両案とも、政権奪回に血眼になっている民主党がそんな話しに乗るかどうかはまったく判らないと言うより、反対に廻るのは間違いないのは困ったことだ。

 なお、捩れ国会が生じた原因には安倍さん、マスコミ、国民なども何らかの責任があると思いますが、この件の考えについての記述が長くなるので次回に譲りたいと思っております。

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