佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

「のうなんかしょう」の和田さん

2014-04-29 | 雑感

珍しく本屋で買ったこの本を、3分の1くらいまで読んでいたときに、

偶然にも、シンポジウム「里山資本主義を深読みする」へのお誘いが…!

九州農文協主催とのことで、会場は福大、コーディネーターは熊大教授。

何やら難しそうでしたが、基調講演は和田芳治さんと聞き、行ってみることにしました。

 

和田さんは、新書大賞を受賞した「里山資本主義」に出てくる名物おじさんで、

「私はね、ノウナンカショウなんですよ」と自己紹介する人。

脳軟化症と思いきや、そうではない。

いつも「のう、何かしよう!」と言っては新しいことを始めるから、

「のう、なんかしよう」のおじさん、「ノウナンカショウおじさん」ということらしい。

 

例えば、灯油缶を使ったエコストーブを作って普及させたり、

逆手塾(過疎を逆手にとって里山暮らしの良さをアピールする活動)を進めたり、

70歳とは思えぬ元気なおじさんらしい。

その和田さんのナマの話が聞けるということで、興味津々。。

 

さて、当日。(4月26日)

主催者とコーディネーターによる少し難し目のお話の後に登壇した和田さん、

いきなり歌を歌いだしました。

「草を刈れ」という自作詞の歌。

 

草を刈れ 刈った草で牛を飼え

牛のウンコで 米作ろう

一粒三千倍の 米ぢから

食糧危機も 怖くない

  コツコツがんじょう 花が咲く

  コツコツがんじょう 夢も咲く

草を刈れ 刈れば雑草も山菜に

原価0円の山菜を

料理すれば ご馳走さ

笑顔にします 山の幸

  コツコツがんじょう 花が咲く

  コツコツがんじょう 夢も咲く

 

歌で講演が始まるのも驚きですが、その声量にびっくり!

マイクがなくても、400人収容のホールの端から端まで響き渡りました。

歌詞も聴いててすぐに納得のわかりやすさ。

「がんじょう」の意味だけは、聞き逃してしまいましたが…

 

和田さんがNHK番組の「里山資本主義」に出るきっかけとなったのは、 

意外なことに原発問題だったようです。

NHK広島の「ネット中国」という番組で原発問題について意見交換していたとき、

和田さんがこう言ったそうです。

「もしそんなに安全ならば、あの東京の、水があって広場がある場所に原発を造ればいいんではないですかね~」

(どことは言いませんが拍手喝采でしたよ、と和田さん)

ところが、40代くらいの男性が「いや、原発は必要だ。今や生活のすべてが電気で成り立っている。昔のように、薪でご飯を炊く時代ではない」と反論し、

「ちょっと待て。私は毎日エコストーブで、薪でご飯を炊いているが、不便と思ったことはない」と和田さんが言うと、彼は黙ってしまったそうです。

 

このシーンがディレクターの目に留まり、

「里山資本主義」という番組の取材をうけることに繋がっていったとのこと。

 

「里山資本主義」とは、

里山に眠る大きな資源…きれいな水であったり、山菜や果実やイノシシなどの食材がタダで入手でき、もちろん田んぼや畑で米や野菜が栽培できるし、木くずなどの森林資源からエネルギーも賄える等々、お金を出さなくても暮らしていける資本が存在する…

そんな意味かと思っていましたが、そんなことではなかったんですね~

 

里山にはお金に換算できない宝がある。

「マネー資本主義」の世界では、命を粗末にしたり、起業の歯車や家畜のような暮らしに甘んじたり、合利主義(合理主義ではない)が押し付けられがちなのではないか?

そんな非人間的な社会は嫌だ。

里山では暮らしを支える資源が眠っているだけではなく、物々交換したり、得意な分野で力を貸し合ったり、知恵を出し合ったりして、自分らしく生き生きと暮らしている。

それこそがマネーをはるかに超えた新しい資本主義の考え方であり、それを「里山資本主義」というのだと、私は初めて理解しました。

 

和田さんが大切にしている言葉に「志産志消」というのがあります。

「地産地消」だけでは、里山は元気になれない。

地域でつくって地域で消費する。

人口の少ない過疎地では、それでは少しのものしか作れない。

例えば、無農薬の野菜を作るには手間がかかるし見た目が悪い。

しかし、その価値を知り、それに見合った価格で買ってくれる志の高い消費者がいれば、頑張って作ろうとする生産者も増える。

つまり、志の高い生産者と消費者が繋がれば、里山はますます元気になる。

 

この言葉は、三重大学の児玉克哉副学長が提唱されたようですが、

和田さんも造語がお得意です。

高齢者ではなく、光齢者

市民ではなく、志民

共演ではなく、響演

商業ではなく、笑業

などなど、笑ってるうちに時間が来てしまいました。

 

講演会が終わって、主催者による親睦会に誘われ参加させて頂いたのですが、

その時いただいた名刺には「人間幸学研究所」所長との肩書があり、

そんな所長らしく、手作りのペンダントをお土産に持参。

参加女性にプレゼントして下さいました。

木の枝で創ったフクロウです。

フクロウは「不苦労(苦労せず)」や「福朗(幸福で明るい)」「福老(幸福な老後)」などの当て字を書き、縁起のいいものとして贈り物にされますよね。

しかし、和田さんの当て字は一味違います。

富苦労→苦労したことは結局自分の財産、富となるんだよ。

という意味でしょうか。

それとも、富は苦労して手に入れるもの、汗水たらして得たものこそ本当の富。

という意味でしょうか。

これも聞きそびれてしまいました。。

 

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