リタイヤした者の特権は、好きな時に好きな旅ができること。
と思っている夫は、いつも突然、旅行に行こうと言い出す。
が、二人の予定を突き合わせると…12日に出かけるしかない!と決まったのが10日の昼。
10日は3時間の睡眠、11日はほぼ徹夜で急ぎの用事を何とか片付け、
12日朝から旅行の準備、12:30からの歯科治療を済ませ、
やっと午後2時に佐世保をしゅっぱーつ!
車に乗ると元気な夫は、ノンストップで九州を脱出し、中国自動車道をひた走る。
運転のできない私は、助手席でひたすら眠気を我慢。
まっすぐ埼玉に向かう予定だったが、急きょ、長野に寄ることに。
名神自動車道から中央自動車道に入った頃は、もう記憶も定かではなく、
目覚めると、そこは、恵那峡SA。
朝の空気は美味しくて、空の青さがまぶしくて・・
元気もりもり!
一路、奈良井宿へ!のはずが、
途中見かけた「天竜川下り」の看板につられて、つい寄り道。
ぎょぎょ!
この色は何?どうしたことでしょう?
青い絵の具に灰色の絵の具を混ぜたような…
川底は全く見えません。
天竜川っていつもこんな色?
天竜川にはダムが多いって聞くけど、もしや、その影響でしょうか?
すぐそばに川下りの船が3隻もやってありましたが、濁った川下りなんてやるのかな・・
と思っていたら、3人の船頭さんたちがやってきて、
ゴザを敷いたり、座布団を置いたり、テキパキと手際良く準備を始めました。
まだ8時少し前だけど、きっと団体さんの予約でも入っているのでしょう。
もと来た道を戻って駐車場へ。
さあ、奈良井宿へ~
道路に沿った並木の緑も美しいけれど、反対側のリンゴ畑もいい感じ
で、車を止めて、またまたちょっと寄り道。
近づいてみると、樹木の1本1本に名札が…
この木になる実は、大阪の松原中3年生の皆さんのお口に入る予定のようです。
今は緑の小さなリンゴたち。
大きく真っ赤に育って、育ち盛りの子どもたちにガブリとかじられてね~
と思いつつ、よくよく見ると、実も葉っぱも、白い斑点が・・
農薬?消毒液?の乾いた後でした。
やっぱり、ガブリとかじるのはよして、皮をむいてカットして食べたほうがいいみたいですねぇ
木陰の下草が、サンダル履きの私の足を濡らします。
その朝露に木漏れ日が当って、まるで宝石のよう…。
もう1ヶ所寄り道をして、11時少し前、やっと奈良井宿に到着!
朝から何も食べてなかったので、まずはお蕎麦屋さんへ直行。
蕎麦アレルギーの私は、もちろんうどんを頼みました。
ちょっと濃いめの味でしたが、うどんも美味しかったです。
お腹を満たしてから、ゆっくりウインドショッピング。
実は、そこが名高い宿場町だということ、ほんの数分前に知ったばかり。
夫が「ナライジュクへ行く」と言うので、
何かの習い事をする塾のことかと勘違いしてた私。
歴史にも地理にも疎い無知ぶりを、思いっきり笑われてしまいました。
それにしても、素敵な町並みです。
こちらのお蕎麦屋さんは定休日でしたが、次回来ることがあったなら、寄ってみたいな~
なんてレトロな郵便受け!
ここは公衆トイレです。
この看板に見とれていたら、中から女主人登場。
玄関先の植木に水をやり始めました。
その植物を見ると・・
葉っぱの上に丸い玉が・・
これは何ですか?
これが花筏ですよ。面白いでしょう?
葉の上に花が咲いて、それが筏に乗った船頭さんのように見えるので、花筏って名付けられたんですね。
この実は熟すとまっ黒に色づくんですよ。
へぇー、知らなかった。この植物も、花筏という言葉も。
店内に入ると、漆器や焼物、ガラスや石の工芸品などのおしゃれな小物がいろいろ。
これからどちらへ?
今夜は松本に泊まり、明日は安曇野に行きます。
安曇野はいいところですよ。
私もよく行きました。
ずっと介護に追われていた時、安曇野に行ってぼーっとするのが心の洗濯でした。
この竹も、安曇野で取ってきたものなんですよ。
そう言って、頭の上に渡されている棒のようなものを指さして教えてくれた。
奈良井宿を出て、近くの道の駅でゲットしたパンフレットの中にあった小さな滝の写真。
とても涼しげで、私に、おいでおいでしていた。
「こんなの、行ってみたらチンケなもんだよ、だいたいは」という夫の予言は無視して、
行くことに決めた。
パンフの地図はいいかげんで、
車のナビには出てなくて、
迷いに迷って辿り着いたのがここ。
ここから先は車は通れない。
でも、0.9kmと書かれているので、歩いても大した距離ではない。
車を置いて中に入る。
木立の中に続く緩やかな上り坂。
あ、さっき道を教えてくれたおじさんが言ってた「ヒラダル」だ!
こんな字を書くのか…
登っていくと、砂利道がなんだか濡れている。
おかしいな?カンカン照りで雨など降った気配もないのに…
黒く湿った部分を辿っていくと、地面からじわ~っと水が沁み出ていました。
あ、ここも、ここも・・
道の端の崖からは滴り落ちていたり、小さな滝状になっていたり、
山全体がたっぷり水を含んでいて、それが飽和状態になってあふれ出ているんですね。
そう言えば、あのゲートのところにあった標識には「水源かん養保安林」と書かれていたっけ…
やはり森を守ることは水を育むことなんだなぁ~
やっと着きました!これが「床並の滝」です。
白い流れと木々の緑が、互いに引き立て合って、本当に美しい世界です。
この川の名前は知らないけれど、
こんな川が集まって、やがて大河の木曽川となるんですね。
そう、ここは木曽川源流の里、木曽村でした。
私の体内を緑の風が吹き渡り、
細胞の1つ1つがリフレッシュされていく、
これがマイナスイオンってやつなのか・・
森よ、川よ、ありがとう。
少し若返ったかしら?