言語空間+備忘録

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「派遣禁止=正社員化」 路線の問題点

2009-08-19 | 日記
小林良暢 『なぜ雇用格差はなくならないのか』 ( p.82 )

 「トヨタ・ショック」から「年越し派遣村」に至る "非正規リストラ" を伝えるテレビ報道や新聞論調には、このような「派遣切り」が横行するのは、九九年の労働者派遣事業法の改正と、〇四年に製造派遣の禁止を解除して、派遣を原則自由化したからだというものが多い、というのはすでに述べた。したがって、派遣法を九九年改正以前に戻し、「製造派遣」を禁止して派遣社員や期間社員などを「正社員にせよ」という主張につながるのだろう。
 また、民主・社民・国民新の野党三党が、〇八年暮れの臨時国会に提出した緊急雇用対策法案の一つの柱である「有期労働契約遵守法案」も、有期雇用を原則禁止にする内容で、同じような考え方である。
 しかし、この問題は少し冷静になって考えればわかることだが、いくら法律で「製造派遣禁止」にしたからといって、製造工程業務の外部委託がなくなるわけではない。元の製造請負に戻るだけである。また「偽装請負」に戻るのかという批判もあろうが、そのあたりは派遣業者側も百も承知で、定年退職者を採用したり、内部で監督職を育成したり、派遣会社と受け入れ企業で合弁会社を設立して両社から人を出向させ、事実上受け入れ企業の社員が請負労働者を指揮命令する「合法請負」を実施したところもある。ただ違うのは、せっかく派遣法で労働者保護の網をかけたのに、元の無権利な請負契約関係に戻ってしまうということだ。これではかえって逆行ではないか。
 しかも、製造派遣禁止で雇用の機会が縮小して困るのは、製造派遣の労働者自身である。ここで製造派遣を禁止してしまうと、この人たちの雇用機会を狭めることになるのではないか。
 こうした「有期雇用の原則禁止」や「正社員化」といったリアリティの乏しいことを考えるよりは、むしろ派遣社員や期間社員、契約社員の処遇の均等化や雇用保障の改善を図ることの方が現実的な解決策ではないか。


 「有期雇用の原則禁止」 や 「正社員化」 ではなく、「非正規労働者の待遇改善」 を図るべきである、と書かれています。また、「禁止」 を回避する脱法行為が書かれています。



 非正規雇用を容認する路線に対しては、「非正規雇用の人々を正社員にすればよい」 といった批判 ( 「派遣禁止」 路線 = 「正社員化」 路線 ) が存在します。

 たしかに、それもひとつの対策ではあるのですが、「非正規労働者の待遇改善を優先すべき」 だと考えます。



 ところで、この 「派遣禁止=正社員化」 路線には、問題があります。脱法行為です。

 上記、引用部分には、「外部委託がなくなるわけではなく、元の製造請負に戻るだけである」 と説き、

  1. 定年退職者を採用したり、
  2. 内部で監督職を育成したり、
  3. 派遣会社と受け入れ企業で合弁会社を設立して両社から人を出向させ、事実上受け入れ企業の社員が請負労働者を指揮命令する

などの方法による 「合法請負」 が指摘されています。

 規制を行うと、それを回避する脱法行為が蔓延り ( はびこり ) 、規制の効果がなくなる。それどころか、「製造派遣禁止で雇用の機会が縮小して困るのは、製造派遣の労働者自身」 であり、現に、彼らは 「派遣の禁止を巡る労・労問題」 でみたように、派遣の禁止に反対している。とすれば、派遣を禁止してはならない、と考えられます。

 法規制強化は労働者保護の目的を達しえない。これについて、じつは、海外に先例があります。「労働者保護、法規制強化は失敗 (韓国)」 の事例です。



 したがって、非正規労働者の保護を図るなら、非正規雇用を容認したうえで、その待遇改善を図ることが有効、と考えられます。

 なお、いかにして非正規労働者の待遇改善を図るか、が問題になりますが、以前述べたように、労働者 ( 正社員 ) と労働者 ( 非正社員 ) とが連帯することが有効だと思います。また、非正規労働者の待遇改善に協力することは、( 長い目でみて ) 既存の正社員にも有利な結果をもたらすのではないかと思います。



■追記
 「所得 100 万円増計画」にも期待したいと思います。
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