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資源価格の上昇がもたらす交易条件の悪化

2011-09-02 | 日記
水野和夫・萱野稔人 『超マクロ展望 世界経済の真実』 ( p.19 )

水野 やはりそこを指摘なさいますね。おそらく萱野さんであれば、国家間の「力」の問題を指摘なさるのではないかと思っていましたので、今日は萱野さんにどうしても見ていただきたくて、その変化を説明する「交易条件」の推移をまとめたデータをもってきました。

萱野 「交易条件」というのは、先進国と周辺国のあいだの交易条件ということですか?

水野 はい、そうです。定義を簡単に説明すると、「交易条件」とはどれだけ効率よく貿易ができているかをあらわす指標です。たとえば資源を安く手に入れて、効率的に生産した工業製品を高い値段で輸出すれば儲かりますよね。逆に、高い値段で資源を手に入れた場合、製品に価格転嫁できなければ儲けは薄くなります。

萱野 会社でいうと仕入れと販売の関係ですね。企業が儲けるためには、安く仕入れて高く売る。

水野 そうです。それを国単位で見るのが交易条件で、輸出物価を輸入物価で割ることで計算できます。これは国家として見た場合に、一製品あたりどれくらい利ざやを得ているかをあらわしています。
 というわけで、図1を見てもらえますか。これは、二〇世紀後半から現在まで先進国と途上国でどのように交易条件が変化してきているかを示したものです。

萱野 七〇年代あたりから先進国の交易条件は下落傾向に、途上国は改善傾向にありますよね。

水野 そうなんです。統計の制約上一九五八年以降しかグラフには入っていませんが、新興国や途上国などの周辺国では、東インド会社の時代から一九六〇年代まで交易条件は下がりつづけました。

(中略)

水野 とりわけ第一次オイル・ショック(一九七三年)を契機として、新興国、資源国の交易条件は急速に改善していきました。反対に先進国の交易条件は悪化しました。そしてご指摘のように、先進国の企業が儲からなくなったということです。


 七〇年代あたりから先進国の交易条件は悪化し続け、新興国、資源国の交易条件は急速に改善し続けた、と書かれています。



 原油等、資源の価格が高くなりつつあることが背景となって、先進国の交易条件は悪化し、(先進国の)企業は儲からなくなったとすれば、今後の資源価格がどう推移するかが問題になります。

 これについては、今後も上昇し続けるという予測もあれば、そろそろ下落に転じるという予測もあり、正直、どうなるかわかりません。今後の資源価格は、それが「今後の」ことであるだけに、「誰にもわからない」というのが本当のところだと思います。

 しかし資源国の交易条件が改善することはともかく、なぜ、新興国の交易条件が改善するのでしょうか? 著者が「新興国、資源国の交易条件は急速に改善していきました」と述べている以上、当然そこには、「資源国ではない新興国の交易条件も改善した」という内容を含んでいると考えられます。資源価格の上昇が原因で先進国の交易条件が悪化したというのであれば、「資源国ではない新興国の交易条件も悪化するはず」ですから、なぜ、新興国の交易条件が改善したのか、それが問題となります。



 おそらく、すべてを「資源価格の上昇」のみで説明することには無理があるのではないかと思います。

 実際、「軽薄短小」のハイテク機器であれば、「資源をほとんど使わない」はずです。ところが先日、私が電器屋さんに行ったところ、コンピュータ関連機器のコーナーには、中国や韓国・台湾企業の製品がたくさんありました。これらの分野においても、日本など、先進国の企業は儲からなくなりつつあるのではないかと思われます。

 つまり、「資源国の交易条件の改善」は資源高が原因だが、「資源国ではない新興国の経済発展」は資源高が原因ではないということです。



 とはいえ、先進国の経済状況(景気等)を考える際には、資源価格の上昇は重要な要素だと考えてよいと思います。

 今後の経済状況を考えるために、以後、この本を読み進めます。



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