言語空間+備忘録

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天然資源は成長の限界となるか

2011-08-02 | 日記
N・グレゴリー・マンキュー 『マンキュー入門経済学』 ( p.288 )

 世界の人口は100年前よりも今日のほうがはるかに多く、そして多くの人々がはるかに高い生活水準を享受している。この人口と生活水準の成長が将来も続くかどうかは、絶えざる論争の的になっている。
 天然資源は世界経済の成長の可能性に限界を与えると多くの評論家が論じてきた。一見、この議論は無視できないようにみえる。世界の枯渇性天然資源の供給がある一定量しかなければ、人口、生産、そして生活水準はどうして時間を通じて成長できるのだろうか。石油や鉱物の供給はいつかは枯渇しはじめるのではないだろうか。それらの資源が不足しはじめると、経済成長は止まり、おそらく生活水準も低下せざるをえないのではないだろうか。
 このような議論は、一見人々に訴える力をもっているようにみえるが、大部分の経済学者は、一般に考えられているほど成長の限界を気にかけていない。経済学者の議論によれば、技術進歩はしばしばそのような限界を回避する方法を生み出す。現在の経済と過去の経済を比較すると、さまざまな方法で天然資源の利用が改善されてきたことがわかる。最近の自動車は昔の自動車よりも燃費がよくなっている。新しい家屋は断熱性が高まっているので、暖房や冷房のために必要なエネルギーが少なくてすむ。石油掘削装置が効率的になったので、抽出の過程で浪費される石油は少なくなっている。リサイクルによって一部の枯渇性資源が再利用されるようになっている。ガソリンの代わりとなるエタノールのような代替燃料が開発されたため、枯渇性資源を再生可能資源で代替することが可能になっている。
 50年前には、自然保護主義者は錫や銅の過剰な使用を心配していた。当時これらは重要な商品であった。錫は多くの食器に用いられ、銅は電話線に用いられた。一部の人々は、錫と銅の強制的なリサイクルや割当てを実施して、将来の世代にもそれらが供給されるようにすべきだと主張した。しかしながら、現在では、多くの食器の材料は錫からプラスティックに代わった。また、電話は光ファイバー・ケーブルが使われるようになったが、光ファイバー・ケーブルは石英からつくられる。技術進歩によって、かつて重要であった天然資源の必要性は低くなったのである。
 しかし、こうした努力さえあれば、持続的な成長は十分に可能だろうか。この問題に答える一つの方法は、天然資源の価格をみることである。市場経済においては、希少性は市場価格に反映される。世界の天然資源が枯渇しつつあれば、それらの資源の価格は時間を通じて上昇しつつあるはずである。しかし実際には、その反対のほうが真実に近い。(全般的なインフレーションを調整した)大部分の天然資源の価格は、安定的であるか、むしろ下落している。これらの資源を保護する能力は、その供給が減少する速度を上回る速さで成長しているようにみえる。市場価格からは、天然資源が経済成長の限界をもたらすと信じるべき理由は得られない。


 天然資源はいつか枯渇するので、この問題が経済成長の限界になるという意見がある。しかし大部分の経済学者は、この問題を重視していない。なぜなら、技術革新によって天然資源枯渇の問題が解決されてきた歴史があるからである、と書かれています。



 著者の主張は、要は「これまでは」技術革新によって問題が解決されてきたので、「今後も」技術革新によって問題が解決されるだろう、というものにすぎません。したがって、当然、「今回は」これまでとは異なり、問題が解決されない、という可能性が残ります。

 そこで著者が指摘している方法、すなわち「天然資源の価格」が重要になってくるわけですが、

 価格は10年前の3倍程度になっており、原油の価格は上昇しつつあるとみてよいのではないかと思います。



 もちろん、この「3倍」という数字はインフレ調整「前」の数値なので、そのあたりを割引いて考えなければなりませんし、インフレ調整「後」の数字についても、投機筋の買い上げなどの要因も加味して判断する必要がありますが、

 全般的には、原油価格は上昇傾向にある、とみてよいのではないかと思います。



 とすると、「今回は」これまでとは異なり、天然資源(=原油)が枯渇してしまうのでしょうか。

 今回、技術革新によって原油枯渇の問題が解消されるなら、どこかで原油価格の上昇は止まるでしょうが、問題が解消されないなら、このまま原油価格は上昇を続けるでしょう。



 しかし、原油価格が上昇を続ければ、「どこかで」他のエネルギー源、たとえば風力発電のほうが割安になるはずなので、原油枯渇の問題は回避されるのではないかという予想は成り立ちます。

 とすれば、(原油価格上昇による生活水準の低下を考慮しなければ) 著者の述べていることは100%正しい、と考えてよいのではないかと思います。つまり「長期的にみれば」著者の主張は正しい、ということです。



 なお、言うまでもありませんが原油価格が上昇すれば産油国の生活水準は上昇します。上記は日本などの「非産油国の場合」です。
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