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図解構造主義!?①:松山情報発見庫#329

2005-11-13 00:00:00 | 松山情報発見庫(読書からタウン情報まで)
寝ながら学べる構造主義

文藝春秋

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この本での構造主義哲学の定義とは、
「私たちは常にある時代、ある地域、ある社会集団に属しており、その条件が私たちのものの見方、感じ方、考え方を基本的なところで決定している。だから、私たちは自分が思っているほど、自由に、あるいは主体的にものを見ているわけではない、むしろ私たちは、ほとんどの場合、自分の属する社会集団が受け入れたものだけを選択的に『見せられ』『感じさせられ』『考えさせられている』。そして自分の属する社会集団が無意識的に排除してしまったものは、そもそも私たちの視界にはいることがなく、それゆえ、私たちの感受性に触れることも、私たちの思索の主題となることもない。
私たち、自分では判断や行動の『自律的な主体』であると信じているけれども、実は、その自由や自立性はかなり限定的なものである、という事実を徹底的に掘り下げたものが構造主義という方法」
というようにしている。

以下、本書で構造主義とそれにいたるまでの道筋を概観しいこう。
第1章 先陣はこうして「地ならし」をした-構造主義以前
【マルクス】
マルクスは、社会集団は歴史的に変動しており、そのファクターとなるのは、「階級」であるということを提唱した。
また人間は、どの社会階級に属するかによって、「ものの見え方」が変わってくる。(階級意識)
また人間個別性は、「生産=労働のネットワークのどの地点にいて、何を創り出し、どのような能力を発揮しており、どのような資源を使用しているか」(31-32項)によって決定されるとしている。
つまり、人は労働によって始めて存在意義を獲得できるという考えである。
「働かざるもの食うべからず」という寒気のする言葉もこのマルクスの言葉に融和せいのあるものであろう。

【フロイト】
フロイトは、私たちの思考は無意識の部屋と言うものがありそれにより制約を受けているということも気づかずに制約を受けているという点で不自由であるということを発見した。
無意識の部屋と意識の部屋の間には「番人」がおり、意識することが苦痛なことを考えないようにするメカニズム(抑圧)があるということを発見した。
つまり私たちは2重の意味で無知であるということを訴えているということである。一つは、そこに番人がいるということを知らない「無知」、もうひとつは番人がどういう基準で抑圧することを選んでいるかということを知らないという「無知」である。
ここでの議論は、脳科学への議論へと飛躍することができそうだ。(後に検討)

【ニーチェ】
ニーチェは私たちはある外圧的な規範の「奴隷」であるということを考案した。
今私たちが抱く自明であると思えることはある時代や地域に固有の偏見であるというようにも考えた。
ニーチェを特徴付けるのは、その大衆社会への強烈なまでの批判である。
彼は、大衆は、「畜群」であるというように捉える。
「蓄群」とは、大衆に特有の同質な行動を成員が群を為して行う状態のことで、この同質性に喜びを感じる人のことを「奴隷」であるというように論じている。
この「蓄群」、もしくは相互模倣の虜囚としての「奴隷」の対極として「貴族」という概念を置いている。
この貴族というのは、身分的なことではなく、行動を起こすために外的な刺激を必要とせずに、自立した存在ということだ。
著者は、「貴族とは何よりも無垢に、直接的に、自然発生的に、彼自身の『内部』からこみ上げてくる衝動に完全に身を任せる」(55項)ものであるというように特徴をあげている。

これを見てみると、私自身が以前から、世の起業家たち、もしくは俳優、歌手たちは夢を持ちそれを語り自己実現させていく、それを真似しようとして結局無残な精神状態、経済状態へと陥ってしまう圧倒的多くの大衆という構図を思い浮かべていたが、このことはニーチェの想起していることに通じるようだ。

さて、ニーチェは、この貴族と言う概念に関連してかの有名な超人という概念を持ってくる。超人とは自立的存在である貴族を更に推し進めた概念で、ニーチェ自身ではこれであるというようには定義しておらず、
「私はあなた方に超人を教える。人間とは乗り越えられるべきものである。あなた方は人間を乗り越えるために何をしたか。人間にとって猿とは何か哄笑の種、または苦痛に満ちた恥辱である。超人にとって人間とはまさにこういうものであらねばならない」(55項)と述べるのみである。

2章以降は次に譲る。
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