mairiの趣味日記

バレエ鑑賞記、フィギュアスケート観戦記、その他趣味の記録など

英国ロイヤルバレエ『ラ・バヤデール』(Live Cinema)(1/20)~鑑賞メモ

2019年01月25日 | 舞台鑑賞日記
このキャストはぜひとも観たい!と映画館へ。期待通りの神キャストでした^^

<主要キャスト(公式サイト)>
NIKIYA: MARIANELA NUÑEZ
SOLOR: VADIM MUNTAGIROV
GAMZATTI: NATALIA OSIPOVA
THE HIGH BRAHMIN: GARY AVIS
RAJAH: CHRISTOPHER SAUNDERS
THE SHADES: YUHUI CHOE/ YASMINE NAGHDI/ AKANE TAKADA
THE BRONZE IDOL: ALEXANDER CAMPBELL

CONDUCTOR: BORIS GRUZIN
MUSIC: ORCHESTRA OF THE ROYAL OPERA HOUSE
CONCERT MASTER: SERGEY LEVITIN


とにかく、主役陣が素晴らしかった!マカロワ版のラ・バヤデールは、ちょっと長すぎる(割に1幕が駆け足でバランスが悪い)ところがあまり好きではないのですが、主役3人のドラマが濃厚で、飽きさせませんでした。

マリアネラは基本的に「陽」のバレリーナだと思うのですが、今回は粘着質な(笑)マカロワ版ニキヤをきっちり演じていました。可憐と言うよりは、研ぎ澄まされたような美しさ。ガムザッティに刃物を向けるシーンの迫力や、ハイブラーミンの解毒剤を拒んで死を選ぶシーンの神々しさは、息を飲むほどでした。ムンタギロフとのパートナリングもばっちり。

対するオシポワのガムザッティは、インタビュー(ロシア語。今も英語は苦手なんですかね?)でも語っていましたが、美しくて傲慢で、そして哀しい女性。愛した人に、心を許した恋人がいるという状況は、彼女ほどの美と富に恵まれた女性にとっては、気持ち的にもプライド的にも、絶対に許せないことでしょう。そんな心の辛さが痛いほど伝わってくるガムザッティで、どちらかと言うと、ニキヤよりも彼女に感情移入してしまいました。ニキヤを喪った後の腑抜けたようなソロルに、必死に視線を送り続ける様も泣けました。
それにしても、ドラマティックな役作りの一方で、相変わらずの超絶技巧(フェッテのダブルの軽やかなこと!)をさらっとこなすオシポワですが、今回、セパレート衣装でお腹がぽちゃめであることが発覚(@_@)あれだけ動ける人の腹筋が締まっていない訳はないので、そういう作り(?)の身体なんでしょうね。

濃ゆい女性陣2人を、(役柄的にではなく技術的に)しっかり受け止めるムンタギロフのソロルも、素晴らしかったです。彼、テクニック的にピークと言うか、絶好調なんじゃないでしょうか。優柔不断でアホなのは設定上仕方がないとして(苦笑)、ニキヤを喪って後悔する様子に思わず同情してしまいました。

面白かったのが、ギャリーさんのハイブラーミン。良い意味で、漫画ちっくな描き方。ニキヤがソロルと恋人同士だということを知ってギリギリ嫉妬したり、ラジャに告げ口したら想定以上にラジャが怒ってしまって慌てたりする様が、ドロドロで重い主役陣の演技に対して、良いコントラストになっていたと思います。

2幕の影の王国のソリストで、印象的だったのはユフィさん。丁寧で美しい踊りでした。ただ、他2人がプリンシパルだったので、どうしても「なんでユフィさん昇格できないのかな…」と言う思いが頭をよぎってしまったり(-_-)(好みの問題かもしれませんが、高田さんの踊りは、ポワント音など気になる点が多いのですよね…。)
インタビューによれば、コールドは24人中20人が初役だそう。ロイヤルのコールドは、人種や体格が様々なので、そういう意味でも合わせるのは難しそうなのですが、頑張っていたと思います。(因みに、アラベスクは全部で39回らしい。)

ヨランダ・ソナベントの衣装はさすがのクオリティ。特に、ガムザッティの婚約衣装がキレイでした。
ただ、設定はインドとなっていますが、昨今の「アジアの描き方@くるみ割り人形」議論などを考えると、今後はいろいろな意見が出てくるかもしれませんね。いっそ、最初から「どこかのファンタジーワールド」と明言してしまった方が良いのかも、と思ったりもしました。

今回の主役3人は、ニキヤとガムザッティが逆キャストの上演日もあったそうで、ぜひそちらも映像化してほしいなあと思いました。