石油と中東

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五大国際石油企業2017年7-9月期決算速報(付JXTGグループ業績)(5)

2017-11-28 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

 http://mylibrary.maeda1.jp/0426OilMajor2017-3rdQtr.pdf

 

2017.11.28

前田 高行

 

2.2016年第3四半期以降の四半期別業績の推移

 五社の売上高、利益(全体、上流部門および下流部門)、設備投資、原油・天然ガス生産量に関する2016年7-9月期以降今期までの四半期ごとの業績推移は以下の通りである。

 

(1) 売上高の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)

 2016年第3四半期から2017年第3四半期に至る四半期ベースの売上高は昨年末までは原油価格の回復を受けて各社とも増収基調にあったが、今年に入ってからShell、BP及びChevronの売り上げが順調に増加した一方、Total、Chevron及びExxonMobilは停滞し、二つのグループに分極化した。但し第3四半期は全社とも売り上げが伸びている。

 

 各社の推移はShellが619億ドル(2016 3rd Qtr)→648億ドル(4th Qtr)→718億ドル(’17 1st Qtr)→721億ドル(2nd Qtr)→758億ドル(3rd Qtr)と5期連続で売り上げトップを続けている。これに次ぐのがExxonMobilでありその売上高は587億ドル(2016 3rd Qtr)→610億ドル(4th Qtr)→633億ドル(’17 1st Qtr) →629億ドル(2nd Qtr) →662億ドル(3rd Qtr)である。ExxonMobilは2016年第二四半期にそれまでの売上トップの座をShellに譲ったが、それ以降両社の格差は広がる傾向にあり、前期、今期と続けて90億ドル強の差がついている。

 

 この間の四半期平均原油価格(1バレル当たり)は、Shellの決算資料で見ると40.43ドル(2016 3rd Qtr)→44.54ドル(4th Qtr)→48.36ドル(2017 1st Qtr) →45.62ドル(2nd Qtr) →47.06ドル(2017 3rd Qtr)であり、緩やかな回復基調が続いている。この価格の変動が各社の売上高の推移に反映していると言えよう。

 

(2)利益の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-62.pdf 参照)

 全体を通してみると各社とも四半期ごとに増益と減益を繰り返しており今期は5社ともに対前期比で増益となっている。なお昨年第2半期にBPとChevronが損失を計上しているが、過去一年間は各社とも利益を計上している。

 

 5社の中で安定して高い利益を計上しているのはExxonMobilである。同社の利益の推移は27億ドル→17億ドル→40億ドル→34億ドル→40億ドルであり、今期を除いては4期連続してトップである。Shellは2016年第3四半期の利益14億ドルで、それ以降は15億ドル→35億ドル→15億ドルと推移し、今期は過去1年で最高の43億ドルの利益を計上、ExxonMobilを抜いて5社のトップになっている。

 

 TotalはExxonMobilと同じような浮き沈みを繰り返しており各期の利益額は20億ドル(2016 3rd Qtr)→5億ドル(4th Qtr)→28億ドル(’17 1st Qtr)→20億ドル(2nd Qtr)→27億ドル(3rd Qtr)と推移している。Chevronは2016年第一四半期は5社で最も利益が少なく(13億ドル)、続く第四四半期はさらに低い4億ドルの利益にとどまった。その後同社の利益水準は20億ドル前後で安定している。BPは5社の中で最も低い利益水準にとどまっており、特に前期(第2四半期)の利益はわずか1億ドルであった。その後利益は回復し今期は過去5期で最も大きい18億ドルの利益を計上している。

 

(3)売上高利益率の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-63.pdf 参照)

 5社とも過去5期を通じて利益率は大きな振幅を繰り返している。1年前の昨年第3四半期の五社の利益率は最も高いTotalは5.2%、これに次ぐのがExxonMobil4.5%、Chevron 4.3%、BP 3.4%でShellが最も低い2.2%であった。続く第4四半期にはShell以外の4社の利益率は低下し、トップのExxonMobilが2.8%、最も低いBPが1.0%と各社の利益率に大きな差はなかった。しかし今年第1四半期には各社の利益率に大きな格差が生まれ、最高はChevronの8.0%で、Total (6.9%)、ExxonMobil(6.3%)がこれに続きShellは4.9%であり、利益率が最も低かったのはBPの2.6%であった。第2四半期はExxonMobilが利益率5.3%でChevronに替わってトップになったが各社間の格差は開いたままであった。今期はBPを除く4社の利益率は6%前後で大きな格差はなく、BPのみ2.9%と低水準にあえいでいる。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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