マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

スペインの葬儀代

2022-11-08 13:00:00 | スペイン日記

マドリードの墓地

 

 ハローウィンの翌日11月1日はトドス・ロス・サントス(全聖人の日/Todos los santos)で祝日でした。亡くなった身内や親しかった友達の墓参りの日です。日本のお盆を思って頂ければよいです。その日はマドリードの墓地も花を抱えた人々で埋まり、せっせと墓を掃除していました。花屋は年に一度の書き入れ時です。街角にはジプシーのにわか花屋もたち彼らの良い稼ぎになります。

 

 今年の「スペインお盆」は晴天に恵まれました。ところでマドリードで葬儀をすると幾らくらいかかると思いますか? 僕も高齢者なので人ごとの話ではありませんが、5200ユーロです(1ユーロ140円で換算すると72万8000円です)。これは簡素な葬式費用で、家の墓の有無やどれくらい豪華な葬儀を催すかにもよります。スペインの平均では3800ユーロ(53万2000円)ですが、マドリードは土地代が高いのと物価が高いので仕方がありません。多くの人が加入している生命保険に葬儀費用保険も含まれるので面倒な死亡手続きからは免れますが、保険会社が賄う葬式費用は最小限の額のようです。スペインでも日本のように火葬ができますが、火葬代は11万円くらいからです。新しい墓に埋葬する場合は80万円から120万円です。

 

 マドリードで死ぬには少なくとも100万円は必要と思っていた方が無難で、新しい墓を用意するなら200万円は覚悟した方が良いです。日本のようにお香典の習慣はないので喪主には出血のみです。事故死や病死はそれぞれの保険からある程度の額は出ますが、自然死は保険会社との話し合いだそうです。残こした家族に迷惑をかけたくはない、と思うのが70歳を超えた我々世代だと思います。

 

埋葬です

 

 でも、今年はスペインだけではなくEU(ヨーロッパ連合)のすべての国民が物価高で毎日の生活に喘いでいます。マドリードでも生活保護を求めるスペイン人が増え、食料品や生活必需品を求めて救済施設に並ぶ市民が急増しました。電気代ガス代が2倍になった家庭はまだましで、4倍に跳ね上がったマンションやパン屋さんは青息吐息です。仕方がないのでセントラルヒーティングを切るマンションも出て来ました。廃業したパン屋さんの数も増えました。

 

 この冬の暖房は19度で我慢して欲しいとスペイン政府もEU議会(ヨーロッパ連合の執行部)も言いますが今の電気代ガス代では年金老人には19度も無理でしょう。暖房を切って毛布に包まるしかないです。僕は赤ワインを飲んで体を温めますがアル中になったらどうしましょう?こんな状況なのでとてもじゃないですが自分の葬儀代を蓄えられる経済状態にほど遠いです。厳しい冬になりそうです。ヤレヤレ。

 

街の花屋さん

コメント (1)
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