マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

スペイン王家とイギリス王家の話

2022-09-23 14:00:00 | スペイン日記

① マジョルカ島での両王室のヴァカンス

 イギリス王家のエリザベス女王が埋葬されました。亡くなられてから葬式が済むまでの間、スペインはエリザベス女王の葬儀(スコットランドでのお通夜やイギリスに移送など)とチャールズ三世即位のイギリス王室ニュースの毎日でした。それだけウクライナ戦争のニュースが削られた感じがしました。スペイン王家とイギリス王家は血がつながっています。親戚です(写真②)。

②スペイン王家とイギリス王家の家系図

 イギリス王室のウインザー家とスペイン王室のボルボン家は1906年のスペイン国王アルフォンソ十三世とヴィクトリア・エウヘニア王女の結婚で繋がりました。ヴィクトリア・エウヘニア王女はイギリス王家のヴィクトリア女王(1819-1901)の孫です。アルフォンソ十三世国王はスペイン現国王のフェリペ六世の曾祖父です。そのようないきさつで、即位されたチャールズ三世国王はフェリペ六世国王夫妻とファン・カルロス前国王(名誉王)夫妻をエリザベス女王の葬儀に招きました。これに慌てたのがスペイン宮内庁です。フェリペ六世国王と父親のファン・カルロス前国王とはこの2年間以上も口を交わさない仲です。父親の女性問題や公金着服に嫌気がさした息子フェリペ六世国王は王位を譲渡された後、父親を遠ざけるようになりました。二人の姉たちとも距離を置くようになりました。

 

 冷や飯(下品な言葉ですが)にうんざりしたファン・カルロス前国王は妻ソフィア前女王をマドリードに置いて一人でアラブ首長国連邦(UAE)へ行ってしまいました。今もそこに一人で住んでいます(雲隠れをしたスペイン前国王/2020/8をご覧ください)。フェリペ六世国王夫妻のみの招待なら問題がないのですが、ファン・カルロス前国王も招待したのはそれだけチャールズ三世国王はスペイン王室とは良い思い出があるのでしょう。招待はイギリス王家が決めることなのでスペイン宮内庁は口をはさめません。

 

 ざっと書きましたが、このような話なので写真を見て頂ければ面白いと思います。の写真はイギリス王家とスペイン王家の家系図で、名前はスペイン語です。スペイン王家は赤丸で、ALFONSO XIIIがアルフォンソ13世でVICTORIA EUGENIAがヴィクトリア・エウヘニア王女です。次のDON JUAN/ ドン・ファン(バルセロナ伯)氏に王冠マークがないのは当時のスペインはフランコ独裁時代でした。次のJUAN CARLOS I がファン・カルロス名誉王です。次のFELIPE VIがスペイン現国王のフェリペ六世です。イギリス王家の家系図(青丸)は顔写真でお分かりと思いますが、ISABEL II は亡くなられたエリザベス二世女王、CARLOS III が即位されたチャールズ三世国王です。

 

 さて、冒頭は地中海に浮かぶマジョルカ島のパルマにあるスペイン王家の別荘(Marivent/ マリヴェンツ)での両王室のヴァカンスの一コマです。左上の二人が今のフェリペ六世スペイン国王とチャールズ三世イギリス国王です。真ん中がダイアナ妃とまだ幼かったウィリアム王子とヘンリー王子です。両サイドに座るのがファン・カルロス前国王(白い服)とソフィア前女王(赤い服)です。1986年でした。チャールズ皇太子とダイアナ妃(当時)はマジョルカ島が気にいったようで、それからたびたびヴァカンスを過ごしに訪れました。

③エリザベス女王の葬儀

 ③はエリザベス女王の葬儀です。棺の二列目の右からです。フェリペ六世国王、レティシア女王、ファン・カルロス名誉王、ソフィア前女王です。スペイン王家の前国王夫妻と現国王夫妻の四人が一緒にいる公式場面はこれが最後になるかもしれない、とスペインの全国紙エル・ムンド(写真拝借)は伝えています。私語を控える葬儀中とは言え親子の会話は無かったようです。ロンドンへのフライトも別々で宿泊も別々でした。ちなみに棺の一列目に座っているのはデンマーク王室、スウェーデン王室、オランダ(現ネーデルランド)王室です。

コメント (1)
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