マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

ワクチン打った?

2021-04-21 15:00:00 | スペイン日記

接種プラン(EL MUNDO

 4月に入って「打った?」が挨拶言葉になりました。スぺイン語では「ジャ、バクナステ?Ya vacunaste?」です。すでにスペインで投与されているコロナウイルスワクチンは米国のファイザーワクチンとモデルノワクチン、英国のアストラゼネカです。いずれも二回投与タイプです。でも僕は一回投与の米国ジャンセンワクチンを打って欲しいな~、と密かに願っていました。二回も打ちに行くのは面倒くさいし痛いのは一回で十分です。

 

 4月の初めにそのワクチンもマドリードに届き、優先接種は70歳代と発表されました。腕をまくり上げて僕は待っていましたがスマホに接種メッセージは届きませんでした。そうこうしているうちにアメリカでジャンセンワクチン接種による血栓症死亡者が出ました。急遽、そのワクチン接種は一時中止となりました。アストラゼネカも血栓症の疑いがあるので、接種は60歳代です。最優先の80歳以上にはファイザー、モデルノ、アストラゼネカをどんどん投与したのでスペイン老人の9割以上が一回目の投与が終わりました。

 

 2回目の投与も始まったので今月の末にはスペイン老人はコロナウイルスから解放されます。60歳代、50歳以下も投与が進んでいるのに僕ら70歳代は取り残されました。マドリードでのワクチン接種会場にはあらゆる場所が使われ、コンサートホールからサッカー場まで接種会場になっています。三密を避けるためです。郊外の街では“車内で接種”です。車の運転席で腕をまくるとワクチンを打ってくれます。接種後15分間その場で待機ですが、何も症状が現れなければ帰宅です。

 

 このようにスペインではかなりのスピードで接種が進んでいますが肝心のワクチンが不足です。EU(27国のヨーロッパ同盟)は一括購入して各国へ分配です。しかし割り当て量とその入荷日が予定通りに進みません。マドリード州は連日ほぼ12時間体制で接種をしていますが週末はワクチン不足です。ワクチンを生産している製薬会社は世界中の国からの注文にフル回転生産で答えています。ファイザーはアメリカだけではなくベルギーでも生産していますが、それでもヨーロッパ同盟は待たされています。

 

 ロシアのスプトニックワクチンも使えればよいのですが、ロシアでの生産量がロシア国民数にも不十分な状態です。仕方ないのでプーチン大統領はヨーロッパの各国の医療会社にスプトニックワクチンの委託生産を打診しています。それをロシアへ再輸入するのです。EUが許可すればそのワクチンを回してもいい、と大統領は言っています。中国製ワクチンは効かないのが分かりました。ペルー、ボリビアでは二割の国民が投与されました。ところが接種済み国民の中からコロナウイルス感染による死亡者が出てきました。ワクチン生産は制約が多いと思いますが世界中で増産を始めないと足りません。

 写真はスペインの接種プランです(全国紙エル・ムンド)。一番上の似顔絵はすでに接種が終わった人々で(20%の国民)、二段目の5Bが僕ら70歳代です。顔のイラストの下に注射器のイラストがあります。朱色の注射器のワクチンは一回目投与と二回目投与を異なるメーカーのワクチンにしてもOKです。グレーのも同様です。そのグレー右のJANSSEN(ジャンセン)の注射器にある5B、1,2~の数字は接種対象世代の優先順位です。それは朱色のも同じです。

 

 このようにスペインではどのタイプのワクチンをどの世代にどのような優先順位で投与するのかを国民に分かりやすく説明しています。接種を受けるかどうかは個人の自由ですが、マドリード州は一回目の接種呼びかけに拒否をした州民にも期間中に二回目の呼びかけをします。優先順位がどうでも良い人やワクチンを選びたい人は最後になるようです。心配はワクチンの有効期間がまだ分かりません。

 

 僕は毎年インフルエンザ予防接種をしています。数年前の話ですが、たまたま日本でインフルエンザ予防接種を受けました。日本の先生は6~8か月が有効期間です、と言っていました。で、日本で打ったインフルエンザ予防ワクチンは外国、例えばスペインでも効きますか、と聞きました。返事は、罹ってみないと分からない、でした。所詮ワクチンはそのような性質の代物です。打って罹らなかったらラッキー、罹ったら運が悪かったです。ただ皆が言うにはワクチンを打っておくと罹っても軽い症状で済み、まずは死なないことです。

 

 だから中国製ワクチンを接種したのにコロナウイルス感染で死亡者が出たのはとんでもないことです。スペインは夏前には国民7割の接種済みを目標にしています。それで、集団免疫を広めるようです。夏前の年齢別接種が済んだら誰にでも打つようになり、9月には接種を希望する国民の投与は全てが終わるそうです。全国民がDNI・身分証明書番号を持っているので連絡、管理は簡単です。接種は無料なので血栓症が心配でも接種を受けるスペイン人は多いです。

 

 全国民がモルモットになるようなものですが、心情的には「赤信号、皆で渡れば怖くない」です(古いですが)。ワクチンの副作用は怖いですが、コロナウイルスの後遺症はもっと怖いです。しかし、なぜ大多数のスペイン人は接種を希望するのでしょうか? スペイン人に何よりも嫌なのが外でハグもキス(挨拶の頬キス)もできないことで、それが一番のストレスなのです。マスクを外して孫と家族と恋人と頬ずりしたい、抱きしめ合いたい!のです。

 

 体の接触を嫌う日本人には理解できない習慣ですがヨーロッパの中でもスペインとイタリアはハグやキスは大事な社交です。日本人の僕も接触はあまり好きではありませんが、ハグやキスを断っていると“仲間はずれ”にされるので嫌々ながらやっています。郷に入れば郷に従えです(これも古い)。

 

コメント (1)
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