マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

ヤマダトミオ展 2015

2015-10-02 12:57:29 | スペイン日記

ヤマダトミオ展

コメント「地中海の底にはあまたの神が潜み、地中海の水は神々の涙で潤う、と伝え聞きます。マドリード 秋 2015 ヤマダトミオ」



会期:20151026日(月)~117日(土)

時間:11001900 最終日は1700まで。会期中は無休です。

場所:ギャラリーQ

    104-0061 東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3F

    Tel & FAX03-3535-2524

    www.galleryq.info           contact@galleryq.info

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地中海の浜辺で

2015-10-02 12:30:00 | スペイン日記

ヤマダトミオの作品群

 とうとう10月になってしまいました。荷造りをして帰国するまで20日間もありません。作品は仕上がりましたが、作品タイトルや作品の並べ方が決まりません。個展ごとに作品のカタチが変わる僕の場合は前例がないので、制作をしながらその都度作品の展示の構想を練ります。小さい作品を壁に300点以上取り付けるので、時間と人手が要ります。個展オープンの前日は日曜日ですが画廊の好意で開けてもらい、丸一日かけて作品を壁に取り付けます。数人の友人が手伝ってくれます。メインストリートを外れた日曜日の銀座はシャッターを降ろした店ばかりです。ネコが路上で昼寝をできるくらい静かで、寂しいです。

 でも、日食のようなシチュエーション-普段の雑踏が消えた銀座の日陰のアスファルト-が僕は好きです。今回の個展タイトルは「地中海の浜辺で」です。ヨーロッパ文明の源は地中海のエジプト文明やギリシャ文明ですが、ローマ帝国の足跡もこのスペインにはガッチリと残っています。日本文明の歴史も杉の木のように美しいのですが、西洋文明の歴史は上に伸びる杉の木ではなく坂を転げ落ちる強大なロックのようです。その地中海文明をテーマにした作品の個展がしたいと、かなり前から思っていました。

 でも制作を始め時は漠然としたイメージでした。古代遺跡のかけらが浜辺に打ち上げられた貝殻のような作品群にしようと思いました。それをギリシャのモザイク画のように白い壁に散りばめるアイデアが決まり、制作の活動モーターが作動を始めました。昨年の夏過ぎでした。作品のメインカラーは地中海ブルーと決めましたが、空のブルーとは違うのでペアを組む色に苦労をしました。海のブルーは沈むに連れてどんどんと暗くなります。空のブルーは上がるに連れてどんどんと明るくなります。

赤の作品

 クレタ島を旅した時に見た漆喰に塗られた赤が蘇りました。それは時間の光で焼かれて赤黒くなってしまいました。アルタミラの洞窟でみた野牛は真っ赤な野獣の血で描かれていたのに、光の入らない洞窟では朱色になっていました。でも綺麗な朱色でした。黒い赤と朱色を混ぜた赤で地中海ブルーを囲むことにしました。かなりの小作品が出来た頃、ギリシャの経済破綻やシリア内戦の袋小路化やイスラム国のまたたく間の戦闘圏拡大がヨーロッパを遠くから揺さぶり始めました。

浜に打ち上げられた溺れた幼児

 その後、シリア難民にアフガニスタン難民が加わった大難民団が陸を、アフリカ人は地中海を渡り、国籍はまちまちの難民団がドッとヨーロッパへ逃げこんできました。遠くの出来事ではなくヨーロッパ内の問題となりました。難民の数が夏の一時期に集中したので、ヨーロッパのどの国も対応が遅れました。写真のような悲劇は日曜茶飯事になりました。陸続きの国境だけではなく瀬戸内海を大きくしたような地中海でも小規模の民族移動は歴史上の出来事としては日常茶飯事です。この程度の移民問題を21世紀のEU(ヨーロッパ連合)が吸収出来ないとローマ帝国のようなオーラを築くのは無理です。

バイオレットの作品

 作品は遺跡の破片から始まりましたが、地中海で溺れ死んだ難民を悲しむ神の作品となりました。気がついたら赤の他に紫とブルーのペアの作品をつくっていました。なぜ、バイオレットなのかは分かりませんが、黒い赤にブルーを混ぜたのが今回のバイオレットです。作品の展示もかわりました。モザイク画のような並べ方から波打ち際の一筋のラインのようにしました。自分でも嫌になりますが、最後の段階での変更は僕も画廊の方もうんざりします。個展コメントも「地中海の底にはあまたの神が潜み、地中海の水は神々の涙で潤う、と伝え聞きます」と書き換えました。仕上がった300を超える作品中、108点にはタイトルを付けます。その仕事がまだ残っているので、ワインを片手に作品の前で「う~ん」と唸りながら頭の中では汗をかいています。


 話は全くかわりますが、先週のカタルーニャ州選挙の結果は独立反対でした。この言い方「結果は独立反対」自体が選挙結果としてはおかしいのです。スペイン全国紙・エル・ムンドに投稿された、ある政治評論家のコメントが印象的でした。彼曰く、「今回の州選挙はカタルーニャの政治を決めるのではなく、カタルーニャ人の身元を決める選挙だった」。

 現代のカタルーニャ人で四世代続けてカタルーニャ人は数少なく、ほとんどが他の州のスペイン人との混血です。カタルーニャ人であってスペイン人なのです。選挙は独立賛否や身元確認をするためではありません。もし、それをするなら国民投票です。まだどの党がカタルーニャ州議会の政権をとるのか分かりませんが、もうお芝居は終わりにしてくれ、がまともなスペイン人の意見です。

ヤマダトミオ展

コメント

「地中海の底にはあまたの神が潜み、地中海の水は神々の涙で潤う、と伝え聞きます。マドリード 秋 2015 ヤマダトミオ」

会期:20151026日(月)~117日(土)

時間:11001900 最終日は1700まで。会期中は無休です。

場所:ギャラリーQ

    104-0061 東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3F

    Tel & FAX03-3535-2524

    www.galleryq.info           contact@galleryq.info

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