マドリーの恋人

ヤマダトミオ。 画家。 在スペイン52年。

いっときの幸せ

2013-05-08 00:00:00 | スペイン日記

この青空


 ぼぉ~としていたら5月なってしまいました。3月末にはセマナ・サンタ(聖週間)がありましたが、去年も書いたし(人もお天気も泣くのがセマナ・サンタです)、その時一緒に載せた食べ物はバカラオ・アル・ピルピルだったので、今年はポタへ(potaje)でも書こうと思っていました。

 ところが4月に入ったら連日の雨で書くのも鬱陶しくなりサボっていたら、セビージャの春祭りが始まってしまった。これも書いたよなぁ(飲んで踊るフェリア・デ・アブリィル)と家の中から雨を眺めているうちに、マドリードは急に夏のように暑くなり、太陽が輝いてしまった。

 夜、おもては4月末とも思えない暖かさ、でも家の中はそれほど暖かくもないのに体が熱っていたせいか、布団を蹴っ飛ばして寝てしまった。案の定、寝冷えをして、一足早く夏風邪を引いてしまった。熱が下がらない毎日が続いたので医者へ行ったら、再び、冬の寒さに戻ってしまった。日中は30度近かったのが6度まで下がった。4月の陽気に戻ったお陰か医者の処方のお陰か、僕の熱も下がり夏風邪は治った。


咲き乱れるライラック

 マドリードは内陸気候、おまけに標高も高めなので、春と秋は猫の目のように寒さ暑さが入れ替わる。だから、結構、体調も崩れます。でも、日本の友達に「マドリードを訪れるのは何月がいい?」と聞かれると、必ず、「5月」と答えます。兎も角、爽やかです。緑に溢れ、花も咲き、太陽は心地よく輝き、日陰も寒くない。砂漠のオアシスが5月のマドリードです。それにマドリードの守護聖人・サン・イシドロの祭りがある(どことなく田舎臭い、サン・イシドロ祭りです)。

 これが、6月に入ると日増しに温度は上がり、7月、8月、9月の間はギラギラ太陽の真夏の「熱さ」です。サハラ砂漠の熱風・シロッコが来るとオーブンの中での蒸し焼き状態なので、最悪です。日中は40度を超え、夜は熱帯夜です。だからこの5月のひと月は一年で一番過ごしやすいマドリードなのです。

 ただ、諺にあるように、「5月40日までは厚着は仕舞うな」で急に冬に戻ることもあります。6月10日までは油断は禁物なのです。スペイン人は男も女も頑丈な体を持っている、と言うとトラックを引っ張る力があるように聞こえるかもしれませんが、そうではなく体力的に強い。

 多少の病気をしてもその回復は早いし、一緒に酒を飲んでグデングデンになっても、立ち直りの速さには驚く。だから、少しでも夏の陽気になると、町中はTシャツ一枚のスペイン人だらけで、おいおいここは浜辺か!?となる。


緑が一杯

 元気なスペイン人ですが、世間は元気ではありません。4月の世論調査は、スペイン人が信頼しているのは治安警察(Guardia Civil)、警察(Policia)、軍隊(Fuerzas Armados)で、信頼していないのは政党、政府、労働組合との結果でした。

 僕がスペインへ来た頃は、まだフランコ独裁政治の時代でした。フランコ死後、民主化へと政治体制は過渡期を経てスペインは民主主義国家になり、政党が生まれ議会が復活しました。クーデターも国王の力で不発に終わり、当時の国民は政党、王政を称え、フランコ時代の悪い印象を引きずる治安警察や軍隊を嫌いました。

 今回の世論調査では、この民主主義30年間で上下がひっくり返ってしまった訳です。安い給料で国の治安をまもる警察や世界平和のために海外派遣も厭わないスペイン軍隊に国民は誇りを感じ、反対に汚職や権限乱用のスキャンダルだらけの政党や政治家にはうんざりしたのです。

 王家への信頼ももはや地に落ちてしまいました。スペインキリスト教教会も同様です。失業者の増加には歯止めが効かず、とうとう、その数は就労人口の30%近い600万人を超えてしまった。こうなると頼みの綱は観光です。大勢のガイジンツーリストが夏のヴァカンスをスペインの浜辺で過ごしてくれることです。

 何か、日照りの時の雨乞いみたいなものですが、ホテルやレストランが人手不足になるほど繁盛すれば夏場だけでも人を雇えます。その後はどうするかって?失業手当てで食っていきます。根本的な解決にはなりませんが仕方ないです。その時どうにかなり幸せなら明日は来ます。何しろ、棺桶に片足を突っ込んでいる爺さんが若い子と結婚するのがスペイン人ですから、その時さえ幸せならいいのです。


左の美女は右に立つレアルのスター・ロナルドの彼女ではありません。車椅子の爺さんの嫁さんです。シンジラレナイ。

 サッカーの名門・レアル・マドリード、そこの名誉会長・デ・ステファノ(Di Stefano)は86歳ですが再婚します。結婚相手のジ-ナ・ゴンサレス(Gina Gonzalez)が36歳と聞いて、開いた口が塞がらないのは僕だけではないと思う。爺さんよりも36歳のジ-ナの下心を疑ってしまうが、ジ-ナはスペイン人ではなく、コスタリカ人です。古いけど、「世界は二人のためにあるの」でもいいけど、常識はどこにあるの?
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1 コメント

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伝言メモ (はま)
2013-05-18 17:39:32
メールのアドレス変更したの?浜
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