Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

戦略に乗るという快楽

2017-11-09 03:11:46 | コラム
【17年度総括、その四】

~17年の書籍~

本年の総括、第4弾は、雑誌や写真集も含めた「書籍」の10傑。

じつはどのジャンルよりも頭を悩ませた10傑であり、こうして眺めてみると、「物語」を目指している人間なのに「物語」が少ない。
つまり、小説がほとんどない。

映画とはちがって、他者が創りだす物語に触れたいという思いはあまりなく、知的欲求のほうが強い、、、ということかもしれない。


と同時に、「紙」が売れない時代だからこその売り出しかた―戦略―に興味があり、そういう点で1位にした作品は「技あり。」どころか「一本!!」だったと思う。


(1)『夫のちんぽが入らない』(こだま著 扶桑社)

結婚はしたものの性交が出来ない―という内容も興味を引くものだったが、朝日新聞に載った広告に「やられた!」と感心した。



でかでかと載せるわけにはいかない、そんな負のタイトルを逆手に取っていて痛快。

(2)『ブルマーの謎 <女子の身体>と戦後日本』(山本雄二・著 青弓社)

ブルマーの隆盛? と衰退? その文化史。



(ブルマー愛好家として)助平な興味で読み進めたが、衰退していった背景は納得出来る。

あんなもの? は、愛好家だけが愛でればいいのだ。

(3)『INTO THE BLACK LODGE ツイン・ピークス読本』(滝本誠・監修 河出書房新社)

しつこいが、
ピーカーなものでして・・・苦笑

(4)『原点 THE ORIGIN』(安彦良和/斉藤光政・著 岩波書店)

『機動戦士ガンダム』チームのひとり、漫画家・安彦良和が自らのルーツを解き明かす。

とくに、学生運動を回想したエピソードが興味深かった。




(5)『エロ漫画表現史』(稀見理都・著 太田出版)

直接的なタイトルだが、中身もそうだったりする。

だがこれ1冊でひとつのジャンルを深く理解した気にさせてくれる、たいへん優れた研究書だと思う。



とくに『第5章 「アヘ顔」の系譜』『第7章 性器修正の苦闘史』が面白かった。

(6)『蜜蜂と遠雷』(恩田陸・著 幻冬舎)

この10傑のなかで唯一の「純粋なる小説」。

ピアノコンクールを舞台に、才能の輝きと、それに翻弄されるひとびとを描く。

夢中で読み、読み終わった直後にすぐ再読した。

(7)『岡崎に捧ぐ』(山本さほ著 小学館)

「自分は山本さんの人生の脇役として産まれてきた」

そんなことを発して作者を怖がらせた「岡崎さん」を描く、山本さほの自伝的コミック。

「おんなのこ、の友情物語」とされているが、おっさんが読んでも充分面白い。

(8)『BLUE GIANT』(石塚真一・著 小学館)

ジャズの世界を舞台とする青春コミック。

物語はすでに続編『SUPREME』に入っているが、夏にやっと第1巻を手に取った。



「なんとなくの予感」がするのだが、これは、のちに「実写」映画化されるのでは―?

(9)『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(田中圭一・著 KADOKAWA)

手塚作品をも笑いに変えるパロディ漫画の大家、田中圭一が「うつ」に罹っていたことを「うつ」から脱するまで知らなかった。

本作は自身の体験だけでなく、「経験者」への取材を挟むことで、この病気を多角的に捉えることに成功していると思う。

(10)『本仮屋ユイカ 写真集 maururu』(ワニブックス)

解説は要らんでしょう、うつくしい女子をただただ眺めることにだって意味があるのだ。

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(227)』
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« にっぽん女優列伝(34)伊藤歩 | トップ | シネマしりとり「薀蓄篇」(... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
殆どが未読の本でした♪ (夢見)
2017-11-09 09:37:26
重なるのは恩田陸さんくらいかな

私が読むのは殆ど小説とかエッセイ本なので

コメントを投稿

コラム」カテゴリの最新記事