「男と女」(1966年・仏)クロード・ルルーシュ監督 出演アヌーク・エメ、
ジャン・ルイ・トランティニアン、ピエール・バルー 音楽フランシス・
レイ
先日、民放で放映してたのをチラ見してたのですが、この映画くらい日
本語吹き替えが「水と油」みたいに合わないのもないんじゃないかと思い
ました、まるでフランス料理のディナーを割り箸で食べてるみたい。
何故、そんな感覚になるのか考えると、この映画、日本人の持つフラン
ス映画のイメージを凝縮したような作品だからなのかなもしれません。
そう、この映画はイメージの塊のような作品、感覚的なシーンを、筋に
合わせてキルトのように繋ぎ合わせて1本の映画にしています。
だから台詞は極端に少なく、映像の力で最初から最後まで見せていく、
ある意味「相当な力技」で創り上げてる作品だとも思います。
こういう映画は出来れば「映画館」で観る事をお勧めします、「筋」重視
でなく「感覚を積み重ねて」いく作品は、途中で邪魔が入ると台無しにな
るんです、「1,2,3,4」と積み上げてきた所で集中を切らすと、その次
が「5,6,7」とならないで、また「1」からの積み重ねになって結局「10」
へ行くはずが「6」や「7」で終わってしまう、まあ、ちょっとTVやDVD向き
の作品ではないのかもしれません。
ストーリーは、地方の同じ寄宿舎に子供を預けてる男と女が出会う、男
は妻を亡くしたレーサー、女はスタントマンの夫を事故で亡くしてる。
そんな二人が惹かれ合い・・・。
さっき「力技」と書きましたが、さすがに1時間を越えてからはキツくなっ
たのか、終盤は「歌」と「音楽」で流してる感じがしないでもない、それが画
面とマッチしていいのだけど、今観ると「ミュージック・クリップ」の繋ぎ合わ
せに見えてしまう、この辺が「新しい感覚」の難しい所で、「新しい」ものは
「古く」なっちゃうんですね。
それでも、F・レイ作曲の有名なスキャット入りボサノバが流れる中、パ
リからドービルに居る女(アンヌ)の元へ、猛スピードのレーシングカーが
突っ走ってくシーン、寄宿舎から砂浜に居たアンヌや子供達と再会する一
連のシーンは、やはり良かったです。
ただ、これも有名なベットシーンからラストへの流れは、ちょっと長い気も
しました。
「身も心も」という言葉がありますが、映画では、その言葉をなぞるように
二段階で進みます、最初が「身」で、それがベットシーン。
今回、DVDを見て初めて気付いたのですが、このシーンで執拗に映し出
されるのはアンヌの左手のマリッジ・リング、つまり、このシーンはアンヌに
とって、まだ精神的には「不倫」だと強調してるんですね、これが、ラストへ
の伏線となってるんだと、恥ずかしながら初めて知りました。(思い込み?
(笑))
この映画を最後に見たのは30年以上前で、その時はヒロインのA・エメ
がオバさんにしか見えなくて・・・、でも、年喰ってから見直すと、これが実に
「いい女」(笑)。
大柄な身体に大きな顔、目、鼻、口、全てのパーツが大きくて、その上、
凛々しい、僕の好みとは正反対なはずなんだけど、颯爽としていて、何でも
ない立ち姿に純な「大人の色気」を漂わせている、新発見でした。
それと、もう一つ。
監督のC・ルルーシュと共に、この作品で世に出たF・レイの名曲「ダバダ
バダ、ダバダバダ~」、このテーマ曲、散々、聴いてるせいかスキャット入り
よりも、タイトル・バックに使われてる(別のシーンでも使われてる)、スキャ
ットなしのスローテンポのバージョンが凄く新鮮で、それでいてアンニュイ感
が滲み出ていて気に入りました。
最後に、作品中のトランティニアンの台詞、これが如何にもフランス映画。
(場所はホテルのレストラン、メニューの注文が済んだと思ってる二人、「ま
だある」と思ってた給仕、やっと「もう無い」のを理解してテーブルから去って
いく)
女「何か、もっと頼まなくていいの?」
男「そうか、じゃあ頼もう・・・、ギャルソン!」
ギャ「はい、ご注文でしょうか?」
男「部屋を」
日本人で、この台詞を違和感なく言えるとしたら、舞台「ショーガール」の中
の細川俊之と木の実ナナしか居ない気がします。
ジャン・ルイ・トランティニアン、ピエール・バルー 音楽フランシス・
レイ
先日、民放で放映してたのをチラ見してたのですが、この映画くらい日
本語吹き替えが「水と油」みたいに合わないのもないんじゃないかと思い
ました、まるでフランス料理のディナーを割り箸で食べてるみたい。
何故、そんな感覚になるのか考えると、この映画、日本人の持つフラン
ス映画のイメージを凝縮したような作品だからなのかなもしれません。
そう、この映画はイメージの塊のような作品、感覚的なシーンを、筋に
合わせてキルトのように繋ぎ合わせて1本の映画にしています。
だから台詞は極端に少なく、映像の力で最初から最後まで見せていく、
ある意味「相当な力技」で創り上げてる作品だとも思います。
こういう映画は出来れば「映画館」で観る事をお勧めします、「筋」重視
でなく「感覚を積み重ねて」いく作品は、途中で邪魔が入ると台無しにな
るんです、「1,2,3,4」と積み上げてきた所で集中を切らすと、その次
が「5,6,7」とならないで、また「1」からの積み重ねになって結局「10」
へ行くはずが「6」や「7」で終わってしまう、まあ、ちょっとTVやDVD向き
の作品ではないのかもしれません。
ストーリーは、地方の同じ寄宿舎に子供を預けてる男と女が出会う、男
は妻を亡くしたレーサー、女はスタントマンの夫を事故で亡くしてる。
そんな二人が惹かれ合い・・・。
さっき「力技」と書きましたが、さすがに1時間を越えてからはキツくなっ
たのか、終盤は「歌」と「音楽」で流してる感じがしないでもない、それが画
面とマッチしていいのだけど、今観ると「ミュージック・クリップ」の繋ぎ合わ
せに見えてしまう、この辺が「新しい感覚」の難しい所で、「新しい」ものは
「古く」なっちゃうんですね。
それでも、F・レイ作曲の有名なスキャット入りボサノバが流れる中、パ
リからドービルに居る女(アンヌ)の元へ、猛スピードのレーシングカーが
突っ走ってくシーン、寄宿舎から砂浜に居たアンヌや子供達と再会する一
連のシーンは、やはり良かったです。
ただ、これも有名なベットシーンからラストへの流れは、ちょっと長い気も
しました。
「身も心も」という言葉がありますが、映画では、その言葉をなぞるように
二段階で進みます、最初が「身」で、それがベットシーン。
今回、DVDを見て初めて気付いたのですが、このシーンで執拗に映し出
されるのはアンヌの左手のマリッジ・リング、つまり、このシーンはアンヌに
とって、まだ精神的には「不倫」だと強調してるんですね、これが、ラストへ
の伏線となってるんだと、恥ずかしながら初めて知りました。(思い込み?
(笑))
この映画を最後に見たのは30年以上前で、その時はヒロインのA・エメ
がオバさんにしか見えなくて・・・、でも、年喰ってから見直すと、これが実に
「いい女」(笑)。
大柄な身体に大きな顔、目、鼻、口、全てのパーツが大きくて、その上、
凛々しい、僕の好みとは正反対なはずなんだけど、颯爽としていて、何でも
ない立ち姿に純な「大人の色気」を漂わせている、新発見でした。
それと、もう一つ。
監督のC・ルルーシュと共に、この作品で世に出たF・レイの名曲「ダバダ
バダ、ダバダバダ~」、このテーマ曲、散々、聴いてるせいかスキャット入り
よりも、タイトル・バックに使われてる(別のシーンでも使われてる)、スキャ
ットなしのスローテンポのバージョンが凄く新鮮で、それでいてアンニュイ感
が滲み出ていて気に入りました。
最後に、作品中のトランティニアンの台詞、これが如何にもフランス映画。
(場所はホテルのレストラン、メニューの注文が済んだと思ってる二人、「ま
だある」と思ってた給仕、やっと「もう無い」のを理解してテーブルから去って
いく)
女「何か、もっと頼まなくていいの?」
男「そうか、じゃあ頼もう・・・、ギャルソン!」
ギャ「はい、ご注文でしょうか?」
男「部屋を」
日本人で、この台詞を違和感なく言えるとしたら、舞台「ショーガール」の中
の細川俊之と木の実ナナしか居ない気がします。
笑ったのは7月と比べてという事で、失礼いたしました。(ペコリ)
さっき初めて知ったのですが、お知り合いになる前ですが、同じ年の同じ月にこの作品を再見していて!!!
(日付けはちょっとだけずれていますが)
もう5年も経つんですネ~またそのうち見たいと思います♪
>まあ、ちょっとTVやDVD向きの作品ではないのかもしれません。
私はつねづね、どんな作品でも、やっぱり「家庭用録画機とレンタル屋さん」が
一般的に広く大衆に広まる前の作品は、全部そうだと思っています。
もちろん、鉦鼓亭さんのおっしゃる意味は分かっていますが、
筋を追う作品も全て、巻き戻し等を考慮していないから、って思っています☆
大雑把に言って1980年代半ば?以降に作られた作品って、
もとから映画館向けではない作品が多いような気がします。
色々と仕方ないのだとは思いますが、今度この映画を見るときは
できるだけ1回も休まずに見たいと思います♪
.
コメントありがとうございます!
酷暑>ここ2日ばかりは平年に戻りました。
今年の猛暑は西高東低なのかも。
「男と女」
>ストーリーは大した事ないのに、映像、音楽、雰囲気が抜群で「フランス映画を観てる」気にさせてくれますね。
家庭用録画機とレンタル屋さん」が一般的に広く大衆に広まる前の作品は、全部そうだと思っています。
>ビデオが普及するまで「巻き戻し」なんて、やりたくてもやりようが無かった。
全部、一発勝負だから今より集中して観てたかもしれません。
最近は映画館でボンヤリしてても、「DVDになったら確認しよう」と思ってしまいます。
1回も休まずに見たいと
>以前、「椿三十郎」を再見してた時(DVDで)、一番大事な30秒の緊張感の所で電話が入り、電話後、少し戻して30秒の最初から観直したのですが、全然。テンションが上がらなくて・・・。
やっぱり、それまでの90分が有ってこその30秒なんですよね。
(この30秒は呪われてるのか、女房が呼びに来たというのも有って、何か来るんじゃないかと集中できない時が有ります)
「冒険者たち」の水葬シーンも、そこだけだと、大して感傷的になれないのと同じですね。
これから夕食なので、すいませんが「ファントム」と「オリエント急行~」へのコメントは深夜か明日になると思います。
お待ち下さいませ。