セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「私が、生きる肌」

2016-03-06 22:40:45 | 外国映画
 「私が、生きる肌」(「LA PIEL QUE HABITO(THE SKIN I LIVE IN )」、2011年、スペイン)
   監督 ペドロ・アルモドバル
   脚本 ペドロ・アルモドバル  アグスティン・アルモドバル
   原作 ティエリ・ジョンケ 「蜘蛛の微笑」
   撮影 ホセ・ルイス・アルカイネ
   音楽 アルベルト・イグレシアス
   出演 アントニオ・バンデラス
       エレナ・アナヤ
       マリサ・パレデス
       ヤン・コルネット

 タイトル、変な日本語だけど大袈裟に言えば意味は深い。
 「ヒドゥン・フェイス」、「ロスト・ボディ」に続くスペイン系サスペンス。
 尤も、この作品が一番サスペンス色は薄く、サスペンスというより「ヒドゥ
ン・フェイス」と同じ心理劇に近い。
 けれど「ロスト・ボディ」より更にSF度が増して、最早、近未来物語。(笑)
 「フランケンシュタインの物語」と「マイ・フェア・レディ(ピグマリオン)」は
根が同じと言いますから、それなら「鉄腕アトム」も同類だと思うし動機は
天馬博士と同じ。
 フランス映画だったら、愛憎の葛藤を経て新しい愛の形とか言って5分
前に終わりそう。
 ハリウッドだったら八方明確に結末を付ける為5分伸びそう。
 僕には、この終わり方が最良かな。

 「ヒドゥン~」から芋蔓式に3本スペイン系サスペンス作品を観たけど、
いずれも秀作。
 けれど、スペイン系サスペンス映画にはハリウッドみたいな清廉潔白な
人物は出て来ない。
 そこが僕のお気に入り。(笑)

 優秀な形成外科医ロベル、しかし家庭では妻と娘に自殺され孤独だっ
た。
 彼は遺伝子操作によって、より耐性のある皮膚を作り生体実験の末、
忘れられぬ妻を新たに作り上げた。

 予告編
 https://www.youtube.com/watch?v=GQLX3PdViI8

※小~大の張り形をケースから出し「新しく作った膣が癒着しないよう、
 これを入れろ。まず小さいヤツからだ」って、笑いを取るシーンなんです
 か?(爆~このシーン無くたって、ちっとも支障はない)
※音楽はクラッシック系ばかりの中、突然「Petite Fleur」(小さな花)が流
 れてきて吃驚。
 ザ・ピーナッツのカバー曲(デビュー曲)「可愛い花」、好きなんです。
※wikは相変わらずクソなので事前に読まぬように。

 2016.3.6
 DVD
 
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 写し身に こころざわめく 現し身の
  儚き夢よ 虚し身なるとは
 
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4 コメント

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タイツヨガの映画 (宵乃)
2016-03-07 07:34:42
という印象しか残ってないです(笑)
同じ顔のひとを好きになる話が嫌いなのもあるけど、なんでよりによってあいつを!?と思ってしまって。奥さんへの侮辱であり冒涜でもあり…理解不能です。
ラストシーンだけはよかったと思いました。

>このシーン無くたって、ちっとも支障はない

細かいところは忘れましたが、元が男で、なおかつロベルが性の対象として見ている(執着している)と伝えるためとか。彼のもっとも異常な部分ですし。
返信する
いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2016-03-07 09:45:26
宵乃さん、こんにちは
コメントありがとうございます

今日は午後、日帰りで新潟まで行かなければならないので。
奥さんへの侮辱〉奥さんも(ロベルの)弟と火遊びの果て、ですからタイガイなもんです。

アイツ・性への執着〉娘を自殺へ追いやった人間だから最初は復讐でしようね。
でも、顔を似せたばっかりに、要らぬ自己矛盾、葛藤が起き、6年の時間を経て報われなかった「奥さんへの愛」の執着に負けた、と理解しています。
この作品、愛に報われなかった男の渇望が招いた悲劇、僕は、そう捉えました。
(ベラは最初から逃げる事だけしか考えてなかったし)

ラストシーン〉スペイン3作、いずれもダークで後味の良くないラストでしたが、その中では、この作品が一番スッキリした終わり方で、ちょとだけホッコリしました。
この作品を含め、いずれも僕には高得点でした。(汗)
返信する
こんばんは☆ (miri)
2016-03-07 18:49:16
出張、お疲れ様です☆
返信はゆっくり後日にお願いします☆

>けれど、スペイン系サスペンス映画にはハリウッドみたいな清廉潔白な人物は出て来ない。
>そこが僕のお気に入り。(笑)

そうですね! 私もお気に入りかもしれないけど、
スペイン系はドツボに陥りやすいので注意しています(笑)。

>彼は遺伝子操作によって、より耐性のある皮膚を作り生体実験の末、忘れられぬ妻を新たに作り上げた。

2年位前に見たのですが、昨夜携帯でこの映画のタイトルを見た瞬間から
映画のいろんな場面が脳裏をかすめ・・・もう全くよくもまぁ覚えているものだと、
自分に対して呆れ果てました(笑)。

でも、やっぱりこの映画は、ラストシーンを想って、一番強く覚えていて、
そこに一番ひかれ、自分ももらい泣きします(笑)。
多分、お母さんがラストシーン以降にするリアクションを想うのだと思います!

>笑いを取るシーンなんですか?(爆~このシーン無くたって、ちっとも支障はない)

私も宵乃さんと同じように思っています。
お前は男じゃないんだぞ、女なんだからな、みたいな?
娘の事での復讐でもあるように思います・・・。

2度と見たくないのに、忘れるのも難しい、そんな映画でした☆


.
返信する
遅くなりました! (鉦鼓亭)
2016-03-08 23:35:17

 miriさん、いらっしゃいませ
 コメントありがとうございます!

出張、お疲れ様です☆>出張というより今年5件目というか・・先月、厄払い行ってきたんだけど。

スペイン系はドツボに陥りやすいので注意しています(笑)。
>僕の場合、インド系ですね、多分、重症ではないかと。(笑)

もう全くよくもまぁ覚えているもの>
それは災難!僕の場合、何だろう・・・強いて言えば「オーメン」かな。
(ホラー苦手だからだけど)

やっぱりこの映画は、ラストシーンを想って、一番強く覚えていて
>あのラストシーンは良かったです。
特にお母さんに一言も喋らせなかった所。

お前は男じゃないんだぞ、女なんだからな、みたいな?
娘の事での復讐でもあるように思います・・・。
>そんな所かなと思わないでもなかったけど、こうして文字で客観的に読む事で漸くスッキリしました。

2度と見たくないのに、忘れるのも難しい
>やっぱり「オーメン」だ!(笑~僕の場合、二度観てしまいましたが)

※スペイン系3作の中では「ヒドゥン・フェイス」が一番好きです、ちょっと迷ったけど楽天で買ってしまいました。(いつまでも迷ってると、どこも「売切れ」になりそうで焦りに駆られた)
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「悪い奴ほどよく眠る」
僕の「赤ひげ」までの未見作。
「姿三四郎」、「続・姿三四郎」、「一番美しく」、「わが青春に悔いなし」、「素晴らしき日曜日」、「静かなる決闘」、「醜聞(スキャンダル)」、「白痴」、「生きものの記録」、「悪い奴ほどよく眠る」(橋本忍は「第7キャンプまでやったけど、結局、脚本が悪い」と言ってたし、黒澤さんも東宝と妥協が有り悔いのある作品と言ってたので)
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「世界最速のインディアン」>
面白い事は面白い作品だったけど、余りに一直線で起伏が無いのが残念。
悪人どころか対抗出来るクセの有る人間が主人公以外居ないのもね・・・。(モーテルの従業員はクセが有るけど本筋じゃないし)
リスペクト100%の映画って感じ、でも飽きもしないし面白くは感じました。
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