セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」

2018-01-04 23:24:48 | 外国映画
 「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」(「Lo chiamavano Jeeg Robot」、2015年、伊)
   監督 ガブリエーレ・マイネッティ
   脚本 ニコラ・グアッリャノーネ
   撮影 ミケーレ・ダッタナジオ
   音楽 ガブリエーレ・マイネッティ   ミケーレ・ブラガ
   出演 クラウディオ・サンタマリア (エンツォ)
       イレニア・パストレッリ (アレッシア)
       ルカ・マリネッリ (ジンガロ)
       アントニア・トルッポ (ヌンツィア)

 いや、一人だけで誰も呼んでないんですけど。(笑)

 ローマで窃盗を繰り返し食い繋いでいる中年男エンツォ。
 食事はヨーグルト、趣味はポルノDVD。
 或る日、警察に追い詰められ河に逃げ込むが、放射性廃棄物のドラム缶
を踏み抜いてしまう。
 翌日、目覚めてみるとスーパーパワーと治癒力が備わっていた。
 麻薬取引の段取り中にエンツォの兄貴分が殺され、麻薬隠匿の疑いを掛
けられる娘アレッシア。
 その危難を救うエンツォ、アレッシアは父親から性的虐待を受け続け、自
分の殻に閉じこもり大好きな「鋼鉄ジーク」の世界に生きていた。
 彼女はエンツォにジーグの姿を求める。

 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=YZEn4k_cmVk

 しょうもないカッパライの中年チンピラが成り行きでジーグに成長するよう
求められる物語。 
 中々、面白い作品で新年一作目として上出来の結果になりました。
 只、この物語は説明するのが結構難しく、上記の粗筋は半分くらいの要素
しか書けてない、それ以上はご覧になってとしか言えません。
 まぁ、このエンツォって中年男、ポルノばっかり観てるは、スーパーパワー
が身に付いてやる事といえば、深夜、ATM機械を丸ごと盗むとか、現金輸
送車襲撃で、何処が鋼鉄ジークなんだと。(笑)

 話が説明しずらいので、登場人物の説明で茶を濁します。
 エンツォ>当然、独身のひとりぼっち、家族も友達もいない。
 アレッシア>自閉症気味でアニメ世界に生息、ネジも飛び気味、生い立ち
にも関わらずアニメ世界に逃げ込む事で心は意外と綺麗なまま、18~20
歳くらい?
 ジンガロ>ローマの小さな暴力団のボス、キレやすくイカレてて、認証欲
求が歪んで超肥大化。
 ナポリの組織の鼻をあかしyoutubeで有名になろうと必死(←何故、そこな
んだ(笑))、この物語の敵役。(エンツォはこの組織の末端)
 ヌンツィア>ナポリ組織の女親分、ジンガロをコケにしまくる。

 話はタイトルにもなってる永井豪・安田達矢とダイナミック企画の「鋼鉄ジ
ーグ」のプロットを取り入れながらフェデリコ・フェリーニの傑作「道」(1954
年・伊)を融合させたような感じ。
 エンツォとアレッシアの関係って、無教養の力自慢ザンパノと少し足りな
いジェルソミーナにそっくりなんですよ、ほんの1、2滴「レオン」(1994年、
仏・米)のレオンとマチルダの関係性にも似てる。(イカレたジンガロって「レ
オン」のスタンスフィールドそのまま)
 ラストシーンも何か「道」に似ています。
 夜の浜辺で一人立ちつくすザンパノ、やがて彼は泣き崩れる。そこに神を
捨てた人間の哀しみがあるのですが、こちらは娯楽作ですからそんな宗教
的意味合いはありません、只一人、朝焼けのコロッセオの上に立ってるだけ、
でも、何となく似てると感じてしまいました。(続編、作る気満々だけどね)

 日本のアニメをオマージュしながら別作品に仕立て上げる、日本人には
ちょっと嬉しい作品でした。

※「鋼鉄ジーグ」、ちょうどアニメを卒業した頃で名前は知ってたけど、内容
 は全然。wikで調べました。
 ジーグも「サイボーグ009」も普通の人間じゃなくなった悲哀があるのです
 が、この作品にはまるで無し。(笑)
 不良が正義の味方になるって「サイボーグ009」、放射能で変化するって
 東宝特撮、それに「冬の華」(1978年、日)の要素も感じました、監督、日
 本に興味があるのかな。

 H30.1.4
 DVD
 
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