私の大学生時代、彼女の『生きがいについて』を読み、又その後『心の旅路』を読み、これまでの人生、彼女の言葉にどれほど道しるべを示唆されてきたことだろう。
今回この本を読みながら、彼女の人柄というものを読ませてもらった。
一番なるほどと思ったことは、実に謙虚な方だったということ。 もう死を前にしての彼女の言葉は、 「私は もうたくさん生きて たくさん この世のめぐみを 頂いて そっと 去って行きたいと思う」と65歳の生涯を閉じていった。
以後 なるほどと思った言葉をつづる。
生が自然なものなら
死もまたしぜんのものである。
死をいたずらに恐れるよりも
現在の一日一日を大切に生きてゆこう。
現在のなお人生の美しいものに
ふれうることを喜び、
孤独の深まりゆくなかで、
静かに人生の味をかみしめつつ、
さいごの旅の道のりを歩んでゆこう。
人生最大の幸福
もし若き日に一生をつらぬくほどの友や師をとのこころのまじわりが与えられたら、それは人生の最大の幸福の一つにちがいない。
中井久夫さんの言葉
神谷さんの医師になる動機はむしろ看護に近いと思う。この方の存在が広く人の心を打つ鍵の一つはそこにあると思う。医学は特殊技能であるが、看護、看護は人間の普遍的体験に属する。一般に弱い者、悩める者を介護し相談し支持する体験は人間の非常に深いところに根差している。 と美恵子を分析している。